昨日、娘の通う県立高校・PTAの不法・不当な会計処理などについて、その上級庁である大分県教育庁(教育委員会)に対して、行政不服審査法第5条の規定に従って、審査請求書を提出してきました。
時期的に、県立高校に入学される直前の子供さんを持つ保護者の皆さんには、ぜひ知っておいていただきたいことなので、このコーナーでも紹介することにします。
そもそもPTAという組織は、社会教育法において、社会教育関係団体に分類されています。社会教育関係団体などというと準公的な組織のように考える方がいるかもしれませんが、全く関係ありません。学校教育以外のサークル活動や習い事を行う団体はすべて社会教育関係団体です。たとえば草野球のチーム、ゲートボール同好会などもれっきとした社会教育関係団体です。
通常PTAは各学校単位で組織されていますが、組織的には県立高校とは全く独立の、法人格さえ持たない任意団体に過ぎません。本来草野球のチームと同じですから、PTAに参加するかどうかは個人の勝手です。加入を強制されるようなものではありません。いつ加入しようが、またいつやめようが自由であり、辞めるためには何の理由も必要有りません。辞めたいから辞めるで良いのです。
現在、大分県の大多数の県立高校のPTAにおいては、校長がその肩書のまま、PTAの副会長に就いています。また、教頭や事務長もPTA役員に就いています。PTA役員は、ご承知のように、PTA活動に強大な権力を持っています。
県立高校の管理職がPTAの役員に就くことは社会教育法に反する行為です。校長や教頭、事務長は大分県の公務員です。社会教育法では次のように規定されています。
社会教育法 (国及び地方公共団体との関係)
第十二条 国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によつても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。
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多くの県立高校では、県立高校とは独立の組織であるPTAの会計処理の全権が校長に丸投げで委任されています。しかも、県立高校はPTAを使って学校援助的経費(たとえば、特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代などという費目がそれです。)をPTA会員から強制的に集めています。こうした資金の調達などによって、県立高校はPTAに対して統制的支配を及ぼし、強力に干渉しています。
しかし、こうした県立高校の運営経費を割り当てて強制的に徴収することは、地方財政法に違反している行為です。
地方財政法 (昭和二十三年七月七日法律第百九号) (割当的寄附金等の禁止) 第四条の5 国(国の地方行政機関及び裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第二条 に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。 (都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の三
都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。 |
以上をまとめると、PTAに加入するかどうかは保護者の自由意志によるものであって、何者にも強制されることはありません。PTAに加入しなければ、PTA会費をはじめ、PTAが会員から強制的に徴収している学校援助的経費を支払う必要は全くありません。
更に、たとえPTAの会員であろうとも、学校援助的経費を強制的にPTA会員に割り当てて口座引落などで強制的に徴収することは地方財政法違反であり、PTA会員であっても学校援助的経費を支払う義務はないのです。
さて、では掲題のPTAの加入について考えます。PTAに加入するということは、それによって会費の支払い義務に代表されるPTA会員としての義務と責任が発生します。つまり、PTAへの加入とは経済行為を伴う契約だと解釈できます。
こうした契約については消費者契約法において、契約の有効性を担保するための条件が定められています。
消費者契約法 (平成十二年五月十二日法律第六十一号) 最終改正:平成二五年一二月一一日法律第九六号 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。 2 この法律において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。 3 この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。 4 この法律において「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体(消費者基本法 (昭和四十三年法律第七十八号)第八条 の消費者団体をいう。以下同じ。)として第十三条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。 (事業者及び消費者の努力) 第三条 事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。 2 消費者は、消費者契約を締結するに際しては、事業者から提供された情報を活用し、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。 第二章 消費者契約 第一節 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し (消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し) 第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。 一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認 2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。 3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。 一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。 二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。 4 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。 一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容 二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件 5 第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。 (媒介の委託を受けた第三者及び代理人) 第五条 前条の規定は、事業者が第三者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託を受けた者(二以上の段階にわたる委託を受けた者を含む。)を含む。次項において「受託者等」という。)が消費者に対して同条第一項から第三項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において、同条第二項ただし書中「当該事業者」とあるのは、「当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。 2 消費者契約の締結に係る消費者の代理人、事業者の代理人及び受託者等の代理人は、前条第一項から第三項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第七条において同じ。)の規定の適用については、それぞれ消費者、事業者及び受託者等とみなす。 |
消費者契約法第二条(定義)の第2項において、PTAはその他の団体に含まれると解釈され、消費者契約法の適用を受けます。
消費者庁 「消費者契約法逐条解説」29頁 [2] 第2条(定義) 2 条文の解釈 (4)「その他の団体」 「その他の団体」には、民法上の組合(民法第667条〜第688条)をはじめ、法人格を有しない社団又は財団が含まれる。各種の親善、社交等を目的とする団体、P.T.A.、学会、同窓会等や法人となることが可能であるがその手続を経ない各種の団体がこれに含まれる。法人格を有しない場合のマンション管理組合もこれに含まれる。 |
消費者契約法において、契約にあたってはPTAという組織の性格や義務、責任、その他加入判断の上で重要と考えられる事柄について説明責任を果たすことが必要だとされています。
現状では保護者に対してPTAの最も基本的な性格である任意団体であること、加入の強制はできないことを含めて、重要な情報が全く説明されていません。
つまり、現在大分県下の大多数の県立高校で行われている生徒の入学と同時に保護者がPTA会員となるというやり方は、消費者契約法に違反しており、契約として無効なのです。
詳細は、大分県の県立高校・PTA改革私案を御覧ください。
今週になってから、やたらと震災関連のテレビ番組が増えている。しかしその内容の大部分は、原発事故を含めて、個人のドラマにしてしまっているようです。
原発事故は日本の国家エネルギー政策、社会・経済システムの構造的な問題から発生した問題であるという本質論が次第に影が薄くなりつつあるようです。この本質を隠蔽して、個人の生き方の問題に矮小化して、国や東電を始めとする犯罪者の罪状を曖昧にしてはいけない。
福島原発事故の処理は全く進まず、この一年間も原子炉周辺では冷却系を中心に無能な東電による放射能漏洩事故が頻発しています。つい先日もバルブ開閉操作の誤りで数100トンの高濃度汚染水が溢れだしました。
その一方で、タンクに貯めた汚染水を浄化処理するシステム「ALPS」は事故続きで全く運用できていないのが実態です。
Independent Web Journal の記事を一部転載します。
2014/01/08 作業用クレーン故障でALPS全停止、汚染水処理中断〜東電定例会見2014年1月8日(水)17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が行われた。多核種除去設備(ALPS)のHIC(廃棄物保管容器)取換中、作業用クレーンが故障して停止した。HICが満タンになっており、ALPSは稼働できない状態にある。 ■ALPS-HIC取換クレーンが故障 多核種除去設備(ALPS)は、放射性物質を吸着材に吸着させ除去している。使用した吸着剤は非常に線量の高い廃棄物となり、それを安全に収納するのが高性能容器(HIC:High Integrity Container)である。 能力限度まで吸着すると、順次新しいものに取り換える必要がある。その作業では、作業者の被曝を減らすため、まずHICに遮蔽材を被せる。東京電力の発表によると、HICに遮蔽材を被せる作業を行おうとした時にクレーンが停止したということだ。遮蔽材は架台の上にあり、釣り下がっている状態ではない。 今後、不具合箇所の特定、原因究明、対策を行った後に、再度HICの交換を行う予定。クレーンは一台しかなく、作業再開にどの程度の期間が必要か、まだ分からないという。 ■ALPSは全系統停止中 ALPSは三系統あり、現在、汚染水を使用して性能を確認する「ホット試験運転中」にある。B系は配管の腐食対策を施し、その有効性を確認するために停止している。またA、C系はHICが満タンになり、交換が必要だが、前述のクレーン故障により交換できない状態である。 以上のことからALPSは三系統全てが停止、運転できない状態にある。 ALPS停止中、汚染水は第二セシウム吸着装置(サリー)で処理をしているが、ALPSがどの程度の期間停止するか分からないので、「何とも言えない」と東電は回答している。 ■炉心注水量を減少させる 炉心に残っている燃料デブリの崩壊熱による発熱を除去するため、炉心に注水して冷却しているが、汚染水となって流れ出てくる。事故後の時間経過と共に、崩壊熱も減少していることや、汚染水の発生量を減らすことから、注水量を減らすことが発表された。 福島第一原発2号機について、炉心スプレー系の注水量を本日から毎時3.5立法メートルから3.0立法メートルに減らし、一週間程度様子をみてから、さらに毎時2.5立法メートルに減らす予定。 その後、3号機についても注水量を減らすが、1号機は窒素封入の作業により温度が上昇する可能性があるため、減らさないという。 |
また、読売新聞の電子版の記事では次のように述べています。
ALPS性能不良、稼働のメド立たず…福島第一東京電力が福島第一原子力発電所で試験運転中の新型浄化装置「ALPS(アルプス)」について、原子力規制庁は14日の記者会見で、目標通りの性能が出ておらず、いつ本格稼働できるか分からないことを明らかにした。 汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、62種類をほぼ完全に除去できるはずだったが、ヨウ素など一部の物質の除去性能が目標を下回り、改良を加えているという。 同庁はまた、汚染水タンクから出るエックス線によって、敷地境界の放射線量が基準を大幅に超えている問題について、当面はタンクの設計変更などを求めずに増設を認める姿勢を示した。同庁の担当者は、設計変更の具体案がまだないとして、「(アルプスで汚染水中の)ストロンチウムなどを除去するのが一番」と説明した。
(2014年1月14日21時08分 読売新聞)
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一方、破損した圧力容器、格納容器、原子炉建屋からの高濃度で放射性物質に汚染された炉心冷却水の地下水流入による拡散を防ぐためとして、この3月から予て鳴り物入りで提案された「凍土壁」の施工実験が始まります。
凍土壁設置の平面形状を下図に示します。
凍土壁の断面形状の模式図を下図に示します。
仮に、幸運に、この遮水壁が地下の不透水層にまで完全に施工できた場合、山側からの地下水流入による高濃度放射性物質汚染水の拡散が防げることになります。しかし、凍土壁で囲まれた内側で発生する高濃度放射性物質汚染水が減少するわけではありません。
しかし、凍土壁が不透水層にまで完全に施工されて、凍土壁に囲まれた内側が閉鎖領域になることはかなり難しいでしょう。地下の不透水層の止水性が100%保証できる可能性は少なく、穴の開いたバケツ状態になる可能性が高いでしょう。
また、凍土壁という、一時的な止水と地盤の安定化に使われる工法の信頼性、経済性には極めて大きな不確定性があり、長期的に運用できる保障もありません。
原子炉圧力容器、格納容器、建屋の破損箇所の修復ができない現状では、このまま水冷を続ければ、放射性物質の環境への拡散は止めようがないことは最初からわかっていたことです。3年も経って、未だに初期対応もまともにできていない日本政府、東電の愚か者たちには全く幻滅してしまいます。
このように、日本の原子力発電事故に対する危機管理能力など、全くお話になりません。福島第一原発事故の経験から作成した、世界最高の安全基準など全くの画餅に過ぎません。
少なくとも、原発事故が再び起こった時に、一体誰が責任をとって、どれだけの費用を準備して、どのような体制をとれば的確な事故処理ができるのか、などなどを明確に示せない限り、原発の再稼働などあり得ないと考えるのが科学的な判断です。
未だに原発事故の初期対応さえ安定的に運営できないこの国の原子力技術は、無免許運転の殺人車両と等しいでしょう。
先日、国会の原発事故の集中審議だったでしょうか、自民党の元官僚の女性議員片山さつきでしたか、「原発を視察したが、全く問題ない、もっと安全性を世界にアピールしろ」などという馬鹿げたことを主張していました。彼女はもうお年ですから(笑)、原発近くに住んでもさほど差し障りはないかもしれませんが、前途ある若者たちはそうではないのです。愚かな国会議員センセイ達によって、この国の原発はまたなし崩しで運転再開されることになりそうです。
このところ、私の娘が大分県の県立高校に通うようになってから約2年間の高校、PTA、大分県教育委員会とのやりとりについてのレポートを書いていたため、このコーナーへの書き込みがずいぶんできませんでした。
娘が高校に通うようになって、高校の使用する教科書における環境問題についての記述について確認しなければならないと考えました。それは、地球規模の環境問題、たとえばオゾンホールや地球温暖化問題の科学的な判断をするとき、高校レベルの理科の知識があればかなり正確にその理論的な妥当性を判断できると考えているからです。予想通り、高校で使用する教科書の記述には明らかな誤りがかなり多く存在することが確認できました。
この問題を巡って、教科書記述について高校管理職、担当の教師、そして大分県教育委員会高校教育課などと話合いを続けてきました。また、この問題についてPTAでも議論すべき問題だと考え、2度にわたってPTA総会の議題にするように提案しましたが、いずれも却下されました。PTAは高校の傀儡組織であり、高校にとって都合の悪い事柄を議題にするようなことの出来る組織ではなかったのです。
この閉塞した県立高校、PTA、大分県教育委員会の癒着構造を何とか風通しの良い正常な状態に戻すことが、高校教育の再生につながると考えます。その第一歩として、PTAの改革が重要な位置を占めると考えています。
大分県では来週県立高校の入学試験が行われ、合格発表があります。県立高校に入学するお子さんをお持ちの保護者の皆さんに、大分県の県立高校の教育現場の現状をぜひ知っていただき、PTA改革の始まりにしたいと願っています。
安倍アナクロニズム政権は、彼の構想する戦前回帰の『美しい国』を実現するために、情報管制の強化の手始めに秘密情報保護法を強行に成立させました。そして、最近物議をかもしているNHKの会長や経営委員会に安倍の息のかかった好戦的右翼思想を持つ人物を配置しています。
そしてその次に目指しているのが学校教育に対する政治介入です。社会科における歴史認識や領土問題について、安倍の歴史観に基づく偏った記述を書き込ませようとしています。更に道徳教育復活など、着々と改悪が進められています。そして、教育に対する政治介入を容易にするために教育委員会制度に対する自治体首長の権限強化を行おうとしています。
現在、大分県の教育問題についてのレポートをまとめています。そこでは現場の教職員に対しても多少厳しい内容を書いています。それは、批判のための批判ではありません。なんとか早く現場の教師の皆さんに本来の教師としての責任に目覚めてほしいからです。
安倍保守党政権は、着々と日本をまた戦争をする国にして、武力によって外交を行おうとしています。日本の若者や将来を守るために、保護者と協力して理不尽な政治的な圧力に屈しない教育を守ることが必要だと思います。
再生可能エネルギー≒自然エネルギー発電については、既に議論は尽くしているので、あまり触れたくもない話題なのですが、相変わらず愚かな安倍内閣・日本政府が血税を湯水のように垂れ流している現状について、報告しないわけにも行きません・・・。
元旦の大分合同新聞で見つけた記事をまず紹介します。
この事業は、震災・原発事故復興のために東北地域に再生可能エネルギーに関する生産拠点を作るというような名目で、開始されたものですが、その実は復興特需の大盤振る舞いの資金を東大と商社・重工・重電メーカーらが食い物にする事業です。このHPでは以下の記事で既に紹介しています。
No.725の記事を書いた時点では、この実証実験の予算は2011年度補正予算で125億円が計上されていました。新聞記事では、わずか2MW出力の風力発電装置の建設に220億円を費やしたとしています。おそらく、この220億円は風力発電単体の費用ではなく、変電施設などの付帯設備込みの費用だと思われますが、それにしてもあまりにも高すぎます。もうこの時点で浮体式洋上風力発電は無意味だという結論が出たようなものです(笑)。
陸上の風力発電施設の場合、定格出力1MW当たりの建設費用は2〜3億円/MW程度です。新聞記事の通り、220億円/2MW=110億円/MWだとすれば、建設コストは35〜55倍程度ということになります。
別の新聞記事(産経新聞電子版)では次のような愚かなことを書いています。
「国際競争に勝つには、できるだけ早く技術を確立する必要がある」。プロジェクトの技術リーダーを務める東大の石原孟教授は言い切る。政府も3年の実証期間のうち、すでに2年で実証試験として破格の220億円の予算を計上し、「国を挙げて採算度外視で臨んでいる」(関係者)。
エネルギー供給技術において、採算を度外視してはいけません(笑)。既にこのホームページでは繰り返し述べていることですが、エネルギー供給技術において原価の高いエネルギーとは非効率的な低劣な技術であることを示しているのであって、それだけで無意味であることを示しているのです。
特に、風力発電のように自然エネルギー発電の中でも最も出力変動の激しいクズ電力では、発電装置の他に供給電力の安定化のために巨大な付帯設備が必要となり、総合的なエネルギー供給能力は更に低下するのです。
No.746 (2012/04/27) 再生可能エネルギーの隠された費用
欧州では既に洋上風力発電の歴史は長いのですが、そこでも風力発電の失敗は既に明らかです。海上という陸上とは比べ物にならないような過酷な環境では、機械装置の劣化は激しく風力発電装置の維持補修コストが跳ね上がり、耐用年数も短くなるため、総合的に見れば陸上風力発電よりも圧倒的に低効率になることは、今更実証試験など必要のないことです。風力発電に対する技術的な論考は以下の記事をご参照ください。
最後に、この愚かな浮体構造による風力発電装置の実証試験を行っている、震災・原発事故復興予算に群がり、食い物にしているコングロマリットの正体を紹介しておきます。
前回で連載を終了しようと思ったのですが、少し書き忘れていたことがあるので、もう一回だけ連載を続けることにします。
さて、日本という国では、“文化”であるとか“スポーツ”という名を冠すると、全てが良いものであり、特別扱いすることを容認してしまう、不思議な土壌があるようです。
私個人は、比較的にからだを動かすことが好きです。どうでも良いTV番組が多い中でスポーツ番組は嫌いではありませんが、それはあくまでも娯楽として見ることであり、社会的な意味において良い、悪いなどという価値観とは全く異なる次元の話です。
例えば東京オリンピック。マスコミではほとんどこれを正面から批判する主張は報道されません。しかし、東北地方太平洋沖地震や福島第一原発事故の復旧作業の見通しが全く見えない中で多くの国民が苦しんでいる現状を考えれば、このような一時のお祭り騒ぎに衆目を集めて現実を覆い隠し、経済効果=オリンピック特需でボロ儲けを目論む一部企業のために国費をつぎ込むようなことは、冷静に考えればあってはならないことだと考えます。たとえ東北地方太平洋沖地震や福島第一原発事故の特殊事情がなかったとしても、借金だらけの日本の国家財政を考えれば、オリンピックのような一時の国費のバラマキが許される状況ではありません。
そこで公立高校における文化・体育の問題です。人間形成において、青年期に文化的な情操教育を行い、またからだを鍛えることは悪いことではありません。しかし、公立高校という公費によって経費を賄う場における文化・体育教育は学校教育課程における体育と芸術の正規の授業によって実施すべきです。
確かに、教育課程の他にもっと文化活動をしたい、運動したいという生徒の欲求があるのは事実でしょう。それに対しては、高校の正規の教育課程の実施に支障のない範囲で活動の場を提供することは良いことだと思います。しかしそれはあくまでも公立高校の正規の事業ではなく、生徒個人の責任に於いて実施することが基本でなければなりません。
ところが昨今の高校では、学校の宣伝活動のために本来ならば個人の責任に帰すべき教育課程以外の文化・体育活動を学校の名の下に管理し、利用しており、保護者の異常な介入など、目に余るものがあります。この状況は公立高校でも同じです。
40年ほど前になりますが、私が高校に在学していた当時、娘の通う高校にはラグビー部がありませんでした。私の友人はラグビーがしたいということで仲間を募り、高校と交渉し、まずは同好会として手弁当で活動を開始しました。勿論、その実力はひどいもので(笑)、試合をすれば必ず負けるという状態のようでした。しかし、実に楽しそうに活動していたように記憶しています。私はこの頃のラグビー同好会の姿こそ、公立高校における部活動のあるべき姿だと考えます。
今の高校における文化・体育の部活動のあり方は異常です。異常に華美な演出の県大会、地方大会、全国大会。マスコミによるTV放送などが更にこれを煽って増々“ショーアップ”されています。そのためには当然莫大な費用がかかります。それを賄うためには自ら商品となり、スポンサーを得るために、更にマスコミ受けするように変容しています。
莫大な運営資金を賄うために、県レベルでは既に連載で紹介した、大分県高等学校文化連盟、大分県高等学校体育連盟が県下の加盟校に対して上納金の支払いを課しています。娘の通う県立高校では、部活動を運営するための資金としてPTAの組織内組織として“体育文化振興会”をでっち上げ、保護者から強制的に会費を徴収していたのです。平成24年度の決算書を次に示します。
勿論、実際に部活動に参加している生徒個人にはそのような意識はないかもしれませんが、好むと好まざるとにかかわらず彼らの活動は他人の財布から強制的にかき集められた年間1000万円もの資金によって運営されているのです。特に有力種目は傾斜的に資金がつぎ込まれているはずです。
本来ならば、高校の部活動の経費は、かつてのラグビー同好会のように、部活動に参加している生徒自身が捻出するべきものです。どうしても大会に出るためには援助が必要だというのであれば、それを自ら訴え、寄附金を募るべきです。
しかし今の高校の部活動は、学校の売名行為のために学校とその傀儡のPTAが結託して保護者から強制的にかき集めた金で生徒を利用しているというのが実態です。他人の懐から強制的にかき集められた資金を使うのが当然というような思い上がった今の高校の部活動など、綺麗でもなんでもない、薄汚れた不純なものだと考えています。このような部活動にかり出される生徒自身もある意味で犠牲者なのかもしれません。
※PTA関係費と受益者負担について
前回、PTAに対するPTA会費以外の支払費目に対して、支払いを拒否していることを紹介しました。PTAの会員でもないのに、PTAが勝手にPTA関連の予算に計上している費目について、どんな根拠でPTA会員ではない者に対して支払いの請求をするのか、全く意味不明です。これに対して、PTAではなく学校は、PTA会員ではなくても受益者負担的な費用なので支払ってもらいたいと主張しました。
これは全くおかしな話です。PTAという任意団体の集める金について関わりのない、いやむしろ関わってはいけないはずの学校が支払いを要求すること自体が異常です。あるいは学校がPTAに依頼して集めさせているのでしょうか?だとすれば地方財政法的に見て違法行為になります。
行政行為に対する受益者負担を求める場合については、何らかの法的根拠が必要です。しかしPTAという任意団体のボランティア行為に対して受益者負担を求める法的根拠など存在しません。
それならば、ここで言う受益者負担とは、市場経済における商行為における受益者負担、つまり提供するサービスに対する対価としてその代金を支払うことを要求しているのでしょうか?もしそうだとすれば、PTAは学校という場で商売を行っているのであり、社会教育団体に対してその活動の場として学校を提供するという原則を逸脱していることになると考えます。
PTAがPTA会費以外に徴収している費目は、あくまでもPTA会員の自発的な意志による支払い=寄附金以外に合理的な説明は不可能だと考えます。また、受益者負担というならば、部活をしていない生徒の親からも体育文化振興会費を徴収しているのは不合理でしょう。全く支離滅裂なご都合主義といわねばなりません。
さて、朝講座・土曜講座の運営とその費用についての問題点を考える前に、公立高校の社会的な位置づけや意味について考えたいと思います。
高等学校は、教育基本法において後期中等教育の場とされています。現在の教育基本法では、小中学校は義務教育の場であり、すべての国民が就学し修了する権利と義務を持っています。高等学校は義務教育ではありませんから、高等学校の教育を受けるかどうかは個人の判断に委ねられています。
しかし、昨今の日本の社会状況を見れば、義務教育を修了してそのまま社会に出ていくケースは非常に稀になっています。また、現在の日本社会では終身雇用制が崩壊し、労働者派遣法のほとんど全職種への拡大によって労働市場は流動化し、かつての徒弟制度のような労働の中で労働者を教育し育てるという環境が非常に少なくなっています。
その結果、最終学歴が中卒である場合、その後の人生において経済的に極めて不利にならざるを得ないのが実情です。このような日本の社会情勢から、実質的には高等学校修了が社会人として必須の条件になりつつあります。
ところが、日本社会は前述の労働者派遣法に象徴される市場の開放・自由化によって、所得格差が拡大し、OECD加盟国の中で最も貧困率の高いグループに転落しています。
その一方で日本の国家予算からの教育費に対する支出はOECD加盟国の中で最低レベルになっています。
このような日本の社会情勢、教育環境を考えれば、保護者の所得格差が子の教育格差となり、貧困の世代を越えた連鎖を固定する可能性が高いと言わなければなりません。一方、国家の将来を考えた時、経済的な格差によって有能な人材が十分能力を生かせる場がなくなる可能性が高くなり、国家としての損失も小さくありません。
このような日本社会の現状において、公教育、中でも公立高校の社会的な意味は重要性を増してきています。公教育の意義について、早稲田大学名誉教授の小島順さんのレポート(数学教室No.669,2007.8)を再掲しておきます。
小島さんが述べているように、『公教育は・・・階層間の不平等の縮小を使命にしている』のです。つまり公教育の第一の使命とは、どのような人にとっても無理なく支払うことのできる安い授業料を支払うこと(あるいは無料)で必要な講義を受講することが出来る場を提供することです。これを実現するために、教育基本法において教育の機会均等が謳われ(第4条)、学校教育法では学校の運営のための経費は学校の設置者が負担することが定められている(第5条)のです。
特に、公教育においては教育の機会均等には十分な配慮が必要です。たとえ献金者の全くの自発的な意志による寄附行為であろうとも、特定の学校に対する寄附金によって教育環境に格差を生じるため、安易な寄附行為の受け入れはすべきではありません。
地方財政法第4条の5では、
国(国の地方行政機関及び裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第二条
に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。
とされています。
前回紹介したように、娘の通う県立高校では、PTAによって「特別指導費」、「空調維持管理費」などという費目が計上され、徴収された金が高等学校の運営資金として利用されています。これは、地方財政法4条の5に抵触しない運用だとするのならば、PTAによる完全に自主的な意志によって行なわれる寄附でなくてはなりません。当然、PTAはPTA会員に対して支払いを強制することは許されません。
しかし、現実には支払いの意思確認を行なわないままに銀行口座から強制的に引き落としで徴収されています。何も知らされていない保護者にとって、事実上この県立高校に子供を通わせるためには、授業料だけでなく、PTA会費、そしてそれに上乗せされた寄附金を支払わなければならないことになります。これは公教育の存在理由を根底から揺るがす重大な問題だと考えます。
さて、それでは今回の本題に入ります。現在、娘の通う県立高校だけではなく、全国の多くの公立高校において、公立高校の正規の授業以外に『受験のため』という名目で補習が行なわれています。通常、外から見れば朝講座や土曜講座を含めて全てがこの高校の教育だと考えるはずです。事実、娘の通う高校のホームページに掲載された学校紹介のパンフレットには次のように書かれているのです。
これを見れば、土曜講座はともかく、朝講座は高校自身が行っている教育課程の一部であると理解するのが当然です。
ところが、高校に入ると、朝講座と土曜講座は高校の教育課程以外で行う講義であって、その運営の主体はPTAであるというのです。更に、朝講座と土曜講座において講義を行う教員に対して、PTAから多額の謝礼金が支払われており、謝礼金の原資はPTA会員から徴収した「朝講座・土曜講座代」なのです。PTAが高校の教師を朝講座・土曜講座の講師として雇って、謝礼金=給与を支払うことによって運営するという状態は異常ではないかと考えます。
朝講座・土曜講座という県立高校の正規の教育課程の時間外の補習講義を行う場合、
『公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(平成15年12月3日政令第484号)』
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(以下『法』という。)
第6条第1項(
同条第3項
において準用する場合を含む。)の政令で定める基準は、次のとおりとする。
(1) 教育職員(
法第6条第1項
に規定する教育職員をいう。次号において同じ。)については、正規の勤務時間(
同項
に規定する正規の勤務時間をいう。以下同じ。)の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務(正規の勤務時間を超えて勤務することをいい、
同条第3項
各号に掲げる日において正規の勤務時間中に勤務することを含む。次号において同じ。)を命じないものとすること。
(2)
教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ
非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務
の規定によって、学校が教職員に対して超過勤務を命じることが出来ません。
こうした事情から実質的にはともかく、便宜上、PTAが高校の教師を補習講義の講師として雇って朝講座・土曜講座を運営するという『形式』をとっているということです。
本来、朝講座・土曜講座が高校の教育課程として必要であるのならば、その運営費用は高校の設置者である大分県が支弁すべきものであり、これを安易に保護者の負担に帰することは教育基本法・学校教育法の理念から適切ではありません。全国の多くの公立高校において補習講義が行われている現実を見れば、補習として行なわれている講義を正規の教育課程に組み込んだ上で、公費負担で実施するようにすべきです。
教職員やPTAは協力して行政や国に対して補習講義を正規の教育課程とするように働きかけを行い、どうしてもすぐに実現できないという状況であれば、その期間に限って緊急避難的に寄附金などによって運営費を賄うなどの緊急避難的な対応を行うことはあり得るのかもしれません。しかしながら、何ら現状を改善する働きかけを行なわないまま、無軌道に寄附金で朝講座・土曜講座を運営し続け、現状を固定してしまうことは、教育の機会均等を脅かす行為であり大きな問題です。
次に、次善の策としてPTAが緊急避難的に朝講座・土曜講座を運営する場合の問題です。娘の通う高校では、教師はPTAの会員です。PTAの会員は、PTA活動の役割分担に従ってボランティア=無給で活動に従事しています。
PTA決算書を見ても、PTA活動に従事した一般会員に対する謝礼金の支払いという項目はありません。朝講座・土曜講座をPTAの事業として行うのであれば、補習授業の講師を出来るという特技を持つ(笑)PTA会員がボランティアで実施すればよいのではないでしょうか?なぜ同じPTAの事業なのに朝講座・土曜講座を担当するPTA会員にだけ謝礼金を支払うのか、整合性がありません。つまり、朝講座・土曜講座はPTAの本来の事業活動とは明確に区別されているということです。PTAの事業報告にも朝講座・土曜講座に関する報告は記載されていません。
平成24年度分のPTA関連の決算書の公開を求めたのですが、朝講座・土曜講座代についての決算書だけは存在しないようで、その使途の明細は不明です。PTAが平成24年度に集めた朝講座・土曜講座代の合計金額は、PTA会費等納入金から類推すると、以下の通りです。
1200円/月人×8528月人=10,233,600円
年間1000万円以上のお金が朝講座・土曜講座の謝礼金として教師に渡されているということです。
高校の教育課程以外の補習講義を行う教師に多額の謝礼金が、PTAによって予算化されて=強制的に徴収されている資金によって賄われている状況は、国会においても問題視され始めています。こうした状況に対して文科省は次のような通知を出しています。
大分県教育委員会高校教育課の高畑課長の回答においては、娘の通う高校の場合、
教育公務員特例法第17条
教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十七条第一項
に規定する県費負担教職員については、市町村(特別区を含む。以下同じ。)の教育委員会。第二十三条第二項及び第二十四条第二項において同じ。)において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。
に該当するので何ら問題無いと述べています。
しかし、文部省の通知では、朝講座のように正規の授業と時間的・空間的に連続で区別の曖昧なものについては、報酬を得て従事することは適切で無いとしています。
また、教師が朝講座・土曜講座の講師のように学校以外の業務を兼務する場合には、実施方法や報酬の多寡などが社会通念上妥当であるかどうかを適切に判断するように指摘しています。年間1000万円を超えるような報酬の支払をPTA会員に負担させることが適切かどうか…。
次に、補習講義について教職員側からのレポート“「補習」のあり方について考える”(愛知県高等学校教職員組合)を示しておきます。
私も愛知県高等学校教職員組合のレポートにある通り、補習はその講義を担う教師がボランティアで行える範囲で行うことが妥当だと考えます。
さて、これで今回の連載を終わることにしようと思います。最後に大分県の学校とPTAの異常な関係についての全般的な感想を述べたいと思います。
今回報告したような無理な学校運営が行なわれている背景は、日本という国の教育予算が絶対的に少ないことが根底にあると考えます。そこで、本来ならば県費によって賄うべき県立高校運営のための経費を削減する代わりに、PTAが強制的に会員から寄附金を徴収してこれを高校の運営費用の欠損分に充当することを教育委員会と高校が結託して画策し、高校管理職の傀儡のPTAを組織して“集金装置”として利用しているということだと考えます。
PTAを効率的な集金装置として運用するためには、PTAの加入者数を最大限に増やす=全保護者をPTAに囲い込むことが必要です。そのために、本来は任意団体であるPTAを強制加入の組織であるように保護者に敢えて錯誤を起こすように装っているのでしょう。そして、PTA会費に上乗せして集めている各種寄附金についても強制的に支払うものと思い込ませ、銀行口座からの引き落としという“確実な方法”で徴収しているのです。
そして、学校運営において、PTAは全保護者が加入することを前提とした仕組みが貫徹するようなシステムが構築されました。ところが、今回の教科書問題を期に、私はPTAから退会することになったため、私のようなPTA会員ではない保護者は想定していなかったために、学校やPTAの対応はボロボロになってしまったのです。
PTAを退会する時、教頭AにPTA会員として支払っていた費目を教えてくれるように申し入れた時には、PTA会費と体育文化振興会費だけだと言われました。しかし、その後「特別指導費」、「空調維持管理費」、「朝講座・土曜講座代」もPTAに対して支払う費目であることが判り、昨年の11月以降は支払いを拒否しています。PTA会員ではない私にどうしてPTA会員に対して課せられた支払い費目について支払う必要があるのか、合理的な説明を求めているというのが現在の状況です。
また、一旦はPTAを退会した私に対して、高校の方から求められた現金による支払いを、再び銀行口座からの引き落としにしたいという申し入れがありましたが、これも拒否しています。