今回は、矢ケ崎克馬さん(物理学)の「避難者通信52号」をそのまま紹介します。明後日は奇しくも原爆の日ですが、今日の日本の原子力政策は、福島第一原発事故対応をはじめ、原子力災害を過少に見せかけ、国民の安全を犠牲にする棄民政策がまかり通っています。世界に対して反核を呼びかける前に、まず日本自身の対応を真剣に考えるべきだと考えます。
近藤
皆さん、暑いですね。負けないようにご自愛ください。
福島原発事故後たくさんの被害が現れています。
人権と福島原発事故
―民主主義とファシズムのはざま―
§1 歴史を繰り返させて良いものだろうか?
原爆投下直後1945年9月2日の日本の降伏文書調印を取材に来た新聞記者が、アメリカとイギリスでヒロシマを報道し「まったく傷を受けなかったものが1日100人の割合で死んでいる」等の報道をした。それを否定するために、6日、マンハッタン計画副官ファーレル准将が東京入りして「広島・長崎では、死ぬべき者は死んでしまい、9月上旬現在において、原爆放射能で苦しんでいる者は皆無だ」と宣言し、その後は占領軍等によりファーレル言明に従う「調査」「処理」がなされ、「公式見解」が作られた。
ファーレルの政治的言及はずっと日米の公式見解とされてきた。1968年、日米両国政府が国連に共同提出した広島・長埼原爆の医学的被害報告のなかには「原爆被害者は死ぬべきものはすべて死亡し、現在、病人は一人もいない」と書かれていた。
1975年末に原水爆禁止運動として第一回国連要請団が国連に要請書を提出しようとした際には上記報告書を理由に事務総長はそれを受理しなかったことが報告されている(故肥田俊太郎医師)。
(2)アベ首相の言明
東京オリンピック招致決定直後、アベ首相は記者会見した。原発事故に関して、「健康に対する問題は、今までも、現在も、これからも全くないということははっきりと申し上げておきたいと思います。 さらに、完全に問題ないものとする抜本解決に向けたプログラムをすでに政府は決定し、すでに着手しています。私が、責任をもって、実行して参ります。」と言明。
アベ言明の実施部隊は誰なのか?
今回の執行部隊は占領軍ではない。日本、官民挙げて(政府、行政、司法、地方自治体、多くの市民が)首相言明どおりの事故処理の「抜本解決」を執行しようとしているのである。もちろん背後には国際原子力機関、国際放射線防護委員会、原子放射線の影響に関する国連科学委員会が大本営を構成する。
§2 情報操作の「知られざる核戦争」――福一事故後7年間
政府が認めるだけでも広島原爆の168発分の放射能が放出しています(きちんと見れば400〜500倍とされる)。健康被害が無いはずがないではないか?
(2)首相の「抜本解決」の内容はどうなのか。
「健康被害が無い」ことは最大の健康被害が表面化している小児甲状腺がんを放射線と関係づけさせないことにより、防護線が張られている。患者発生率が事故原発からの距離に反比例すること、土壌汚染の強度に比例すること等を挙げただけでも、事故との関わりは明白だ。その他がんの男女発生率、疫学統計分析等々数々の証拠がある。政府の認知は一貫して「事故との関係は見出されない」として、健康被害を封じ込める。
(風評)
「風評」は、現実の被害を否定するために使われている用語だ。被曝に関する科学的な認識が遠ざけられる。現実の被害の事実を心の問題にすり替える日本住民に対する思想統制ともいえる象徴的用語だ(現に放射能は“禁句”とされる状況が報告されている)。それを隠そうとするがゆえに、「放射能に健康被害は無い」「健康被害が無いと思うことが幸せになる条件」などと精神主義を吹聴するのである。
(放射能環境下の日本)
甲状腺がんと診断され手術を受けた福島県内の患者84人のうち約1割の8人ががんを再発し再手術を受けた。老衰やアルツハイマーによる死亡率が事故後急増している。赤ちゃんの周産期死亡率の急増や、心筋梗塞などの増加が確認されている。お葬式が多くなったという新聞記事も現れた。
(事実を棄民の政策内容で置き換える)
「避難者は既にいません」は「避難者支援の予算はゼロです」に置き換えられる。住宅支援等を停止することにより帰還が強制され、「復興」が全面的に展開する強制被曝が進む。
(まだ自立できないの?)
政府や福島県のご意向の伝達機関となっている強制帰還を支える民間支援団体のキャンペーンは「もう7年もなるのに自立もできないで『避難』支援を訴えるのは見苦しい。自立できないのなら帰りなさい」と言う。被災者は「モラル」上でも責め苦を負う。本音で話すことさえできなくなっているのである。
(郷土愛が食い物に)
市民の純朴な郷土愛「先祖伝来の田畑を守りたい」が政府・国際ロビーの最安上りの棄民政策「避難させるな」に形の上で完全一致し、完璧な餌食となっている。数々の悲劇の「絆」が生まれているのである。
(直面する放射能問題)
土壌が高汚染されているところに住み続けることで日本は特殊な放射能問題を抱え込んだ。一つは大量な高汚染の「除染土壌」を抱え込んだことともう一つは汚染食料を生産し続けて内部被曝を拡大させたことだ。お年寄りに被害が顕著に表れるが、あらゆる市民が対象になる病気患者の増加、死者の増加がその結果を物語る。
(すべての人の命を守る政策)
政策の転換が必要だ。
(汚染地域もそうでない地域もともに人権をたたかいましょう)
被曝を避けようと当たり前のことを主張すると、得てして汚染地内の人を侮辱すると捉えられがちな世の中になってしまった。「福島県民の敵」とも発せられる。
(被曝を避けるのが生きる権利)
内部被曝を避けるためには放射能汚染食材を避けることが第一だ。
(命を守る声を上げよう)
汚染区域内にいる人もその権利を主張してください。自らの命を自ら守ってください。
チェルノブイリ周辺国では今も継続させている(主として子供を対象とする)1か月規模の「保養」を政府の責任で行うこと。移住したいと思う市民を支援すること。今からでも遅くは無い。
(命を人権の下に守るたたかいを)
作物が低価格であることが「風評被害」であるならば、政府に全部買い取らせて市場に出すことをやめるようにしようではないか!
(3)食品汚染の現状
食品に関する現状を確認しますが、厚労省による食品汚染マップを次の図に示す(2017年上半期、厚労省調査、ホワイトフード地図化)。
東日本の太平洋側、内陸部に食材汚染が多く認められる。
立つ「復興」であってはならない。それ等を含む共通の人権保障が日本市民の“人道”であるのだ。放射能に「これくらいまでは大丈夫」という目安は無い。現に食糧安全基準などの虚偽キャンペーンの下でたくさんに人が寿命を縮め、多量の患者さんが作られ、健康被害が生じている。「危険だから可能な限り避けなければなりません」が放射線から命を守る合言葉だ。これを実施するためには毎日食べる食材選びを丁寧にしなければならない。そうしないと命が守られないのだ。
§3 戦争とは:人格が武器そのものに変換されるー心も体もー
(1)民主主義社会市民の市民性(人格)の機能要素はどのようなものか?
@事実をありのままに見ることができ、
B自らの意志で行動できること。これが市民性を表す人格要素だ
「放射線は健康被害をもたらす」と考えることが「非国民」とされる社会はまっぴらゴメンだ!
政府の責任で全ての子どもに保養をさせてください。
「戦争ができる国づくり」には反対する。
「主権を放棄した辺野古米軍基地の強権的建設」は阻止したいと思う。
「憲法の改悪」には反対だ。
「8時間労働制(人権)を破壊する労働法制」には反対だ。小泉以来労働者の年間平均給与は50万円減っている(410万円⇒360万円)。賃金も労働条件も明治期の女工哀史を上回る過酷さ。
放射線は生命に異質な危険をもたらす。
すでに放射能分野では事態は深刻。
原子力緊急事態宣言の下で総動員体制は大きく進んでいる。
政府・原子力ムラのキャンペーンは、放射線に健康影響は無い」と信じることで「幸せ」になれると言う。放射能被害は無いと思う幸せを「食べて応援」で甘受しようと大合唱している。この幸せはなんなのだろう?戦前の「国家総動員」の幸せではないか?
(2)人格を支えあう人々が社会を守る
チェルノブイリでは住民を保護する「チェルノブイリ法」ができ、いまだに生きている。日本では真逆な加害者の論理がまかり通る。
「一人一人が大切にされる社会を作り上げましょう。」
(侵略戦争の「臣民」にはならないようにしよう)
安倍晋三首相の「健康に対する問題は、今までも、現在も、これからも全くないということははっきりと申し上げておきたいと思います。」という言明に協力することはやめましょう。
放射線被曝関連で命を失った全ての方に哀悼の意を表し、放射能をまき散らす核兵器も原発も世界から無くすことに力を注ぐことをお約束いたします。
さて、梅雨末期の西日本の豪雨災害以降、梅雨明けと同時に猛暑が続いています。軽薄・非科学的で無知な新聞報道やテレビのニュース番組では、人為的CO2地球温暖化の影響で、ますます日本の夏の猛暑がひどくなるという情報を垂れ流し続けています。この種の話題にはうんざりなのですが、このホームページとしては一言発言しておくべきであろうと思います。
猛暑の原因は早い梅雨明けと、背の高い温暖高気圧に覆われたから
さて、自然現象として、今年の7月の気温状態が高温で推移しているのは事実です。そして、その直接的な原因も明らかです。
第一に、梅雨明けが早く、7月の日照時間が平年よりも大幅に長くなっていること。つまり地表面の受け取る太陽放射が平年よりも多くなっていること。 第二に、温暖高気圧が西日本上空に安定して停滞し続けていること。ここでは第二の点について少し補足しておきます。
赤道付近では太陽光に照らされて暖められた大気が海面からの水蒸気をたっぷり含んだ軽い大気となり大気中を上昇し、上昇の過程で水蒸気は凝結して雨となって大気から取り除かれ、同時に潜熱を放出して大気はさらに加熱されて対流圏上層に供給されます。
赤道付近で対流圏上層に供給された大気は南北に向かって吹き出します。しかし、地球が自転しているために生じる赤道に並行する緯度30度、60度付近のジェット気流によって、北半球、南半球でそれぞれ3つに分断されています。
北半球赤道付近で上昇した大気は対流圏上層で南西風となって吹き出し、北緯30度付近でジェット気流(Subtropical Jet
Stream)によって北上を阻まれるために下降気流となって集積します。この赤道〜北緯30度の間の大気の循環構造をハドレー循環(Hadley
cell)と呼びます。
その結果、赤道付近は活発な上昇気流が発生するため赤道低圧帯となり、北緯30度付近では大気が集積して下降気流になるため中緯度高圧帯になります。
さて、日本の夏の高気圧は太平洋高気圧と呼ばれています。これは、フィリピン周辺の北太平洋で上昇した湿潤・温暖な大気が北緯30度付近に下降・集積することによって生じたものです。
赤道付近で上昇する大気は水蒸気をたっぷり含んでいるために、大気中を上昇するときに断熱膨張で冷却される過程で水蒸気が凝結して取り除かれ、同時に凝結熱は大気を温め上昇を加速するため対流圏界面を押し上げます。
湿った空気塊が大気中を上昇して水蒸気が取り除かれ、乾燥した空気塊が下降気流となって地表に戻るサイクルでは、上昇するときの温度変化は湿潤温度減率(<乾燥断熱減率)で温度が低下し、水蒸気を取り除かれた空気塊が大気中を下降するときには乾燥断熱減率(=9.8℃/km)で温度が上昇します。したがって、地表に戻った空気塊は大気中を上昇する前の湿った空気塊に比べて高温になります。例えば「フェーン現象」もその一例です。
ハドレー循環で北緯30度付近で下降する大気は乾燥しています。大気の降下に伴って断熱圧縮されて温度が上昇します。高度の低下に対する温度上昇率は乾燥断熱減率である9.8℃/km程度だと考えてよいでしょう。その結果、太平洋高気圧は周辺の湿った大気よりも高温になります。
一般に、中緯度高圧帯を構成する高気圧は周囲よりも温度が高い「温暖高気圧」です。温暖高気圧は対流圏の比較的標高の高い所まで高圧部が明瞭なため「背の高い高気圧」と呼ばれることもあります。太平洋高気圧は、日本付近のハドレー循環が活発であるほど強くなります。具体的には、北太平洋フィリピン周辺の海水温が高いほど太平洋高気圧は強くなるのです。
さて、2013年の猛暑の時(No.885 この夏の異常な暑さの原因は?)、そして今回も話題になっているのが「チベット高気圧」です。これも、北半球インド洋付近で加熱されて上昇した大気がハドレー循環で運ばれて出来る中緯度高圧帯を構成する高気圧の一つです。チベットの高原は標高が高く乾燥して加熱されやすいため大気には活発な対流が生じるため、対流圏界面が成層圏側に盛り上がることになります。その結果、高層天気図に明確な高気圧が現れます。これがチベット高気圧と呼ばれるものです。しかし、低層ではむしろ低圧になっています。
2013年や今年は、このチベット高気圧が強く、東端が西日本上空にまで広がっています。その結果、西日本付近では対流圏の中・低層の高気圧である太平洋高気圧の上を、チベット高気圧という対流圏高層の高気圧が覆う形になっています。その結果、西日本はもともと暖かい高気圧に覆われるばかりでなく、安定した晴天が続くことで太陽放射を大量に受けることで気温が上昇しているというわけです。
近年、日本の夏が暑くなったと感じるのは、
ヒートアイランド現象と農山漁村の崩壊が原因
「確かに、2013年や今年のような気象条件が夏の猛暑の原因だとしても、その猛暑自身も次第に高温化しているのではないか!」という人もいるかもしれません。ここには、二つの要因が考えられます。
一つは、すでに前回紹介した都市化に伴う人口エネルギーの集中的な消費と地表面環境の乾燥化を主因とする都市化された地域の局所的な昇温現象であるヒートアイランド現象の拡大と地方都市への拡散です。これは、地球の全般的な気温変動とは全く異なる原因で生じる、明らかに人為的な原因に起因する昇温現象です。詳細は以下の論考をご参照ください。
No.223 (2006/08/07)散歩して思ったこと
No.1050
(2015/10/28)人為的な影響による気温上昇の仕組み1
No.1051
(2015/10/29)人為的な影響による気温上昇の仕組み2
それともう一つ重要なのが、第二次世界大戦後に急速に進んだ日本の産業構造の変化に伴う第一次産業のスクラップ化と第二次産業、第三次産業への人口移動です。
この産業構造の変化によって、農山漁村は人口が激減し、その代わりに大都市圏へ人口の大移動が起こりました。
図から分かるように、三大都市圏だけで日本の全人口の60%近くが居住しているのです。さらに、三大都市圏以外でも地方中核都市に居住する人を合わせれば、いわゆるヒートアイランド現象が顕著に生じる地域に住んでいる人は、おそらく全人口の80%をはるかに超え、もしかすると90%を超えているのではないかと考えられます。
つまり、産業構造の変化によって多くの人々が居住地域を、里山の森や草原、農地の生きた土壌に囲まれた自然環境の豊かな場所から、不透水性舗装と排水溝で乾燥化した大都市や大都市近郊の都市化された住宅地に移したことによって、ヒートアイランド現象で高温化している場所に居住する人が激増したことで、夏の猛暑を感じる人口が激増したのです。
例えば、上図を見ると、東京ではこの100年間余りの期間で2.87℃/100年間の気温上昇であるのに対して、地方都市である島根県の浜田では1.13℃/100年間の気温上昇なのです。浜田に住んでいた方が東京に移住すれば、それは暑いと感じることでしょう。
日本の夏にはCO2地球温暖化の影響は絶対に顕在化しない
以上で、夏の猛暑の原因はわかったと思います。それでは、人為的CO2地球温暖化の影響が猛暑に関係していないのでしょうか?
CO2地球温暖化の理論とは、大雑把に言うと(笑)、大気に含まれているCO2分子が地表面からの赤外線放射を吸収することによって地表面付近の大気温が上昇するというものです。対流圏大気に含まれる赤外線放射を吸収する気体(赤外活性を持つ気体)は、まず圧倒的に大きな効果を持つのは水蒸気(H2O)であり、次いで二酸化炭素CO2です。
上図は対流圏低層大気の平均的な電磁波の吸収スペクトルを示しています。一番上は混合気体である大気の総合的な電磁波吸収スペクトルを示し、以下、各気体分子ごとの寄与を示しています。大気の吸収スペクトルと水蒸気の吸収スペクトルを比較すると、大気の吸収スペクトルの大部分が水蒸気によるものであることがわかります。
CO2による寄与は、わずかに波長4.2μmと15μm付近のごく限られた部分だということがわかります。波長4.2μm付近の地球表面放射(288K)はそれほど大きくないため影響は小さく、考慮すべきは15μm付近の吸収帯ですが、その大部分は水蒸気の吸収スペクトルと重複しているために影響はごく限られています。さらに、4.2μm、15μm付近とも、現在の大気中CO2濃度で既に帯域の中央部分では完全に不透明であり、これ以上大気中濃度が上昇したとしても吸収スペクトルの増加は極めて限定的だと考えられます。
図の水蒸気の吸収スペクトルは対流圏低層の平均的な水蒸気密度に対する特性を示しています。ところが、実際の大気中の水蒸気密度は大気温度や気象条件によって極端に変動します。例えば、標高に対する水蒸気密度の変化を下図に示します。
これに従って、高度によって水蒸気による吸収スペクトルは極端に変化します。
上図は、地表面付近と高度11kmの対流圏界面付近の大気の電磁波に対する吸収特性スペクトルを比較したものです。高度11km付近では水蒸気密度が極端に低いために、大気の吸収スペクトルが大きく減少していることがわかります。
具体的に日本の冬と夏の地表面付近の水蒸気密度を計算してみましょう。
まず冬の条件として、気温5℃、湿度20%の場合を考えます。
上図から、5℃の飽和水蒸気量は7(g/m3)程度なので、水蒸気密度は次の通りです。
7(g/m3)×20%=1.4(g/m3)
次に夏です。気温35℃、湿度80%だとすると、水蒸気密度は次の通りです。
40(g/m3)×80%=32(g/m3)
実に、夏と冬では地表付近の大気中の水蒸気密度は20倍以上の開きがあることになります。したがって、冬の晴れた日には地表面からの放射が水蒸気に吸収されないまま宇宙空間に放熱されるため、「放射冷却現象」で気温はとても低くなるのです。
水蒸気密度が低い環境、例えば対流圏の界面付近や、地上でも水蒸気密度の低い砂漠気候や寒冷な地域では、相対的に水蒸気以外の赤外活性気体の効果が大きな比重を占めることになります。
日本の夏場は、気温が高いばかりではなく水蒸気密度も非常に高くなっています。夏の晴れた空が白っぽく見えるのは、水蒸気密度が高く、微細な水滴の粒子による太陽光のMie散乱が起きているからです。このような湿潤な夏の大気では濃密な水蒸気と微細な水滴によって、平均的な大気では「大気の窓」として地表面からの赤外線を透過する部分までも塞がれてしまい、CO2による赤外線吸収の出る幕は存在しません。もちろん、熱帯太平洋上の大気については、言わずもがなです。
オウムの洗脳よりも怖い国家権力による大量洗脳
先週、オウム真理教の一連の凶悪犯罪における死刑囚に対して刑が執行されました。オウム事件に対して、なぜ優秀な若者が容易く洗脳されてしまったのか、宗教的な洗脳は恐ろしい・・・、というような評価が一般的なようです。
しかし、私は特異な少人数のカルト集団による洗脳事件よりも、国家や権力による大量洗脳の方がもっと怖く、しかも凶悪であると考えています。
人為的CO2地球温暖化は、まさに現在における疑似科学を利用した大量洗脳であり、その影響はオウムなどとは比べ物にならない重大問題だと考えます。高校生の理科教育を理解していれば容易に理解できる人為的CO2地球温暖化説の自然科学的な誤りをまったく理解せずに、猛暑だといえば、何の科学的な根拠も要求せずに人為的CO2地球温暖化によるものだというお題目を鵜呑みにして、疑おうともしないこの時代の風潮は、科学的知性の崩壊を示しているものであり、オウム事件と人為的CO2地球温暖化教を信仰する信者にいったいどれほどの違いがあるというのでしょうか?恐ろしいことです。
6月末から7月初旬にかけて(6月28日〜7月8日)の一連の豪雨災害を気象庁は「平成30年7月豪雨」と名付けましたが、ここでは西日本豪雨と呼んでおきます。人的被害は、死亡・行方不明を合わせると200人を超える大災害となりました。被災された方には心からお見舞い申し上げます。
今回の豪雨災害は、梅雨末期の活発期にあった梅雨前線に台風7号によって高温湿潤な大気が供給され、その後も太平洋高気圧が停滞したために長期間にわたって活発な梅雨前線が日本列島上に停滞し続け、ここに高気圧の周辺部を右回りに流れ込む湿潤な大気が供給され続けたことによって引き起こされたものです。
確かにこのような条件が重なることはまれな出来事であったかもしれませんが、気象現象として取り立てて異常な現象ではありません。まして、人為的CO2地球温暖化の直接的な影響であるなどと叫びたてるのは、「風が吹けば桶屋が儲かる」と同程度のまったくの戯言にすぎません。
今朝、テレビをつけていると、久々に懐かしい顔を見ました(笑)。日曜日朝のTBS系列の情報番組「サンデーモーニング」の西日本豪雨を扱った場面で国立環境研の江守正多を登場させて、温暖化によって今回の西日本豪雨のような災害が増々起こりやすくなると理論的な背景についての何ら説明なしに危機感を煽り立てるような発言をさせていました。サンデーモーニングの制作者の目論見は、日本国内で人為的CO2地球温暖化教の著名な伝道師であり、国立環境研というブランド力を持っている江守正多にこれを言わせること、それだけであり、端から自然科学的な説明など求めていないことがよくわかります。
その後のパネラーたちも、人為的CO2地球温暖化をまったく疑うこともなく、温暖化対策をしなければ西日本豪雨のような災害が防げないというたぐいの発言ばかり、誰一人として人為的CO2地球温暖化による気象現象の脅威を疑う者はいませんでした。
田中秀征は「昔はこんなに暑いことはなかった」というような感覚的な発言をしていましたが、彼は77歳だそうですが、一体いつ頃の話をしているのでしょうか。彼の青年期は、戦後の寒冷化の時期であり、また現在に比べれば都市化の影響は小さく、確かに現在よりは過ごしやすかったでしょう。しかし当時と今の生活環境の温度上昇が人為的CO2地球温暖化が原因であるという裏付けはまったくありません。
その後、亀石倫子という弁護士も、人為的CO2地球温暖化説が正しいという前提で、人道的な見地から云々という砂上の楼閣の議論をしていました。
さらに、長野県出身だという青木理も昔はエアコンなしでも暮らせたなどとまったくお話にならないコメントでした。
報告者の女性も人為的CO2地球温暖化の影響で都市の高温化やゲリラ豪雨が増々酷くなるというような趣旨の説明をしていましたが、このことを見ても、サンデーモーニングに出演しているような「知識人」たちは、都市部での高温化やゲリラ豪雨のメカニズムと、人為的CO2地球温暖化と呼ばれる全地球的な温暖化現象との自然科学的な評価が一切できていないことを露呈していました。
都市部の高温化とゲリラ豪雨の自然科学的な背景については、すでにこのコーナーで何度も触れていますので、例えば以下の記事をご覧ください。
No.1050
(2015/10/28)人為的な影響による気温上昇の仕組み1
No.1051
(2015/10/29)人為的な影響による気温上昇の仕組み2
さて、今回の西日本豪雨では、多くの被害が発生しましたが、その原因の一つは土地利用の在り方です。例えば倉敷市真備町では、堤防決壊によって甚大な被害が発生しました。
真備町では高梁川とその支流である小田川の合流部の上流側で堤防が決壊して広範囲で水没地域が急激に拡大しました。
上図に示すように、今回水没した地域はハザードマップで予想されていた浸水想定エリアとほとんど重なっていることがわかります。つまり、今回の浸水災害は予測可能なものであったのです。
まず言えることは、小田川が決壊すれば、浸水の危険性があることが予測されていた地域に、重要構造物や民家の建設を許可してきたことそのものが土地利用計画として妥当ではなかったということです。
私は鋼構造を専門とする土木構造物の設計屋でしたが、私の学生時代であった40年ほど前でも既に連続堤による治水構造物には限界があることが指摘され始めていました。連続堤によって河川を囲い込む場合、堤体が破損せず、河川流量が想定内であれば安全です。しかし、一旦堤体のどこか一部が崩壊すれば、水の流れが破損部分に集中し急激に被害が拡大することになり、甚大な災害につながります。あるいは想定以上の洪水波が押し寄せれば堤体を越水し、同様に急速に被害が拡大することになります。
今回の場合、高梁川の河川断面が、小田川から流れ込む流量を受け入れるだけの能力がなかったことが第一の破綻であり、その結果小田川の水位の上昇、堤防の決壊につながったようです。
治水構造物とは、所詮費用対効果、構造物の耐用年数などから想定されるほどほどの大雨に対して設計するものであって、絶対的な安全性を担保することは不可能なのです。
そこで考え方を根本的に改め、不連続堤で水勢を弱める一方、流域に遊水地を設け、ある程度水かさが上がれば堤内の遊水地にスムースに溢水させることで、急激で甚大な被害を回避するのです。こうすれば、堤内地への溢水の頻度は高くなりますが、激甚な被害は回避されます。遊水地には重要構造物や居住地は設けない土地利用を行うのです。こうした非連続堤+遊水地型の治水が本気で取り入れられていれば今回のような被害にはならなかったものと思います。
真備町の場合、小田川は河床が堤内地の標高よりも高い、いわゆる「天井川」であり、堤防が決壊すれば流域は急速に水没することはわかりきっていたのです。ハザードマップの浸水想定エリアは、安全第一の土地利用を目指すならば、遊水地として重要構造物や住居建設を制限すべきであったのです。しかし、非連続堤+遊水地による治水では経済的に有効利用できない土地が必要であり、短期的利便性や経済性から考えると、無駄が多いという理由で実際にはうまく生かされていません。
真備町の例に限らず、経済性や利便性を優先するあまり、自然災害に対する危険性が明らかであるにもかかわらず、居住地域として土地利用を推進した結果、ひとたび自然災害が起こると被害が激甚になる、「人災」が今回の西日本豪雨の人的被害を大きくした要因であることを銘記しておきたいものです。また、防災構造物があれば安心と考えるのは誤りであり、むしろ防災構造物が必要であるということは、そこが本質的に災害の危険性をはらんだ土地であると考えるべきなのです。
お金持ちは安全な山の手に住むわけですが、私たち貧乏人の庶民は、自ら自然災害の危険性について考えて不断の自己防衛を行うことが必要なのです。
さて、ひと月近く更新していませんでした。安倍ファシスト腐敗政権の政治の私物化、でたらめな国家運営の酷さは、時間の経過に伴ってますますその実態を露呈しているにもかかわらず、安倍は逃げ切り・自民党総裁3選を目指してのらりくらりと時間を空費し、その一方で批判の大きな働き方改革法案を強硬に成立させ、あまつさえカジノ法案、参議院選挙定数の改定法案を強硬に成立させようとしているにもかかわらず、野党やマスコミは安倍を追及しきれず、国民はサッカーワールドカップでバカ騒ぎしているという日本の悲惨な現実を目の当たりにして、もはや何をかいわんやという心境です。
もちろんこれは国家存亡の重大問題ではありますが、現在の愚かな国民が覚醒しない状況では、短期的には問題解決に至ることは考えられません。『森加計スパ』問題、カジノ法案、参議院定数改定について、多数の国民が政権に対して批判的であるにもかかわらず、安倍政権に対する支持率が上昇するという「思考停止状態」を超越した、全く非論理的な「思考破綻状態」にある馬鹿者国民の下ではどうすることもできないと考えます。今のところこの政治問題に対して有効な手立てが私には思いつきません。
さて、今回の本題に入ります。昨日(2018年7月9日)朝のNHKのニュース番組で、経産省の国産自動車に対する長期的な戦略についての報道がありました。まずはこれについて、「NHK NEWS WEB」の記事を紹介します。
2050年にすべて電動車に 世界で販売の日本乗用車 経産省
2018年7月9日 5時09分
経済産業省は日本の新たな自動車戦略で、2050年ごろに世界で販売する日本の乗用車をすべて電気自動車やハイブリッド車といった「電動車」にする目標を盛り込む方針です。
経済産業省は中国やフランスなどが電気自動車を普及させる「EVシフト」を進める中、日本の新たな自動車戦略を検討しています。
関係者によりますと、この中で、2050年ごろに世界で販売する日本の乗用車をすべて電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車といった「電動車」とする目標を盛り込む方針です。
これに伴って、車から排出する二酸化炭素を2010年に比べて90%削減するとした目標も明記する見通しです。
そのうえで、産学官が連携して新たな電池やモーターなどの開発を進めることなども盛り込む予定です。
すでにこのコーナーでは、温暖化対策=CO2放出量削減対策としての経産省の政策の非論理性について繰り返し述べてきたところです。今年になってからも、
No.1215 (2018/02/06)
破綻した日本の官民合作の燃料電池車普及計画
熱力学の基本原理を逸脱した愚かな技術開発は必ず破綻する
No.1217 (2018/02/17)
現実を無視したIPCCによる温暖化脅威論
一体どうやって「産業の脱炭素化」を行うというのか?!
No.1223 (2018/04/14)
嘘で塗り固められた三流国家日本の温暖化対策
現在における最も巨大な権力詐欺は「人為的温暖化の脅威」とその対策
で触れたとおりです。
今回の経産省の自動車電動化戦略では、2050年頃に国産車のすべてを「電動車」とすることで、自動車運用時のCO2放出量を2010年比で90%削減するというものです。
このコーナーのNo.1217、No.1223の中で発電技術においても触れましたが、現在の工業生産とは、本質的に化石燃料の消費によって成り立っています。人間の社会システムから放出されるCO2をゼロにするためには、工業生産を非化石燃料によるエネルギー(主に電力)供給で代替しなければならないことを意味しています。
これを突き詰めれば、非化石燃料による電力供給システムによって、すべての工業生産を拡大再生産することが可能でなければならないのです。しかしいまだかつてそのようなことが技術的に可能であるということが明確に説明されたことはありません。この本質的な技術論を議論せずに、闇雲に特定の分野のCO2放出量の削減を行えば、別の工業分野に余計に化石燃料消費を増大させることになるのです。
今回の自動車の電動化であれば、これまで化石燃料消費で運用されてきた自動車駆動用のエネルギーを電力産業が供給電力量の増大で賄うことが必要になります。そのためには電力供給システムの肥大化が必要であり、しかもこれを非化石燃料による発電システムで賄うためには、非化石燃料発電システムという、化石燃料火力発電に比較して圧倒的に設備規模が大きくなる工業製品による生産システムを大増産することが必要になり、これを供給する装置産業の爆発的な肥大化が必要になります。この装置産業を運用するために必要なエネルギー供給を非化石燃料による発電システムによって賄うためには・・・・・(笑)。これは、限りない無間地獄、あるいは無限連鎖講が成立可能であるという類の与太話にすぎないことはお判りでしょう?
人間の社会システムを非化石燃料によるエネルギー供給システムによって成立させることが可能かどうかという問題を検証することは、きわめて単純です。非化石燃料によるエネルギー供給システムだけで供給可能なエネルギーによって、非化石燃料によるエネルギー供給システムを再生産した上に、さらに大幅な余剰のエネルギー供給が可能であるかどうかを判断すればよいのです。これはエネルギー産出比が1.0より大きいかどうかを判断しさえすればよいのです。
ちなみに、化石燃料によるエネルギー供給システムは、有限の地下資源によって成り立っているという限界が存在しますが、現状では、化石燃料1単位を投入すれば、10単位オーダーのエネルギーを供給可能(エネルギー産出比が10.0よりも大きい)だという非常に優れたエネルギーシステムであり、1単位で自らの燃料供給システムを再生産したうえで、9単位以上の余剰なエネルギーを他の工業生産や消費者に供給可能であるからこそ豊かな工業化社会が営まれているのです。
これに対して、太陽光発電や風力発電では、果たして自ら供給する電力だけで自らを単純再生産(エネルギー産出比が1.0)することすら極めて難しいというのが現状です。つまり、非化石燃料による電力供給によって工業化社会を維持するということは幻想にすぎないのです。
したがって、為政者や脱CO2社会で荒稼ぎしたい金銭亡者どもやそれに飼われている研究者や技術者は、馬脚を現すことを恐れて、再生可能エネルギーのエネルギー産出比に対する議論を一切行わないのです。
最後になりましたが、このような経産省の与太話を、何ら科学的に検証する能力もなく右から左に垂れ流すことしかできない、批判的精神の欠落した日本最大・最強のマスコミであるNHKの無能さはあきれ果てるしかなく、このような百害あって一利なしのガセ情報で国民の愚民化、洗脳に協力するNHKに受信料を支払うなど、盗人に追い銭としか言いようがないと考えます。
初めての米朝会談が成功裏に終わった。米国大統領選挙の時からトランプは金正恩と直接対話して歴代米国大統領の無し得なかったことを行い、朝鮮半島から米軍を撤退させると言っていましたが、結論的にその方向で動き出したことを歓迎します。一旦はネオコンに取り込まれて軍事的な強行に出るかと思われましたが、結局彼らを抑えて自らの方針を貫いたトランプを称賛したいと思います。
さて、翻って日本の安倍ファシスト政権は米国のネオコンの残党と結託して、最後までこの会談の足を引っ張り続け、この歴史的会談に全く貢献してこなかったことは誠に嘆かわしい限りです。ファシスト安倍の北朝鮮政策は、現実と乖離した拉致問題に拘泥し、むしろこれを口実に北朝鮮との議論を自ら拒否し続けてきたとしか言いようがありません。
また、無能なマスコミの米朝会談に対する評価は、非核化の具体的内容が全く決められておらず形だけだと批判していますが、見当はずれでしょう。まずは非核化を行うという枠組み、しかも北朝鮮だけではなく米軍を含む「朝鮮半島の完全な非核化」という方向性が決められ、更には米韓軍事訓練の中止、朝鮮半島からの米軍の撤収にまで言及するという画期的な内容だと考えます。朝鮮戦争の終結、朝鮮半島の平和安定化という大きな流れの中で核兵器廃絶を現実的=段階的に進めるプロセスを実務レベルで決めることこそ現実的な対応です。米朝のトップ会談の合意文章に非核化のプロセスを具体的に書き込むなどということこそ非現実的な主張です。
蛇足ですが、日本人拉致問題は、まずは日朝間の第二次世界大戦の終戦処理が第一条件であり、そして朝鮮戦争の中で米軍の兵站として戦争に加担した日本の歴史について総括し、朝鮮戦争の終結手続きの中でしか解決することはできないと考えるべきです。このプロセスを抜きにして拉致問題だけを解決しろなどと言うのは手前勝手であり、北朝鮮は応じないでしょう。
言いたいことは山ほどありますが、すでに何度も書いてきましたので、今回は天木さんのメールマガジンの記事を紹介します。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2018月6月13日第422号
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いくら強調しても強調し過ぎる事のない米朝首脳会談の成果 =============================================================
今度の米朝首脳会談の成果は、署名された共同声明とその後のトランプ大統領の記者会見の二つを一体として理解、評価すべきものだ。
その二つを素直に読めば読むほど、誰もが想像できなかったような大胆な合意がなされた事がわかる。
今度の合意はトランプ大統領と金正恩委員長という二人の絶対的権力者の間の合意だ。
そして、金正恩委員長はすべてをトランプ大統領に委ねた。
そのトランプ大統領は、弾劾されなければあと2年半大統領に留まる。
つまりあと二年半の間に、この共同声明に書かれた内容が、記者会見で語られたトランプ大統領の言葉通り、現実のものとなるのだ。
ポンペイオやボルトンがトランプ大統領の命令通り、それを実現する事になる。
彼らが少しでもトランプ大統領の意にそわない事を唱えれば直ちに首を飛ばされる。
もちろん金正恩委員長はトランプ大統領にすべて従う。
その結果、これから時間をかけて何が起きるか。
それは朝鮮戦争の終結であり、北朝鮮の完全非核化であり、朝鮮半島の非核化であり、在韓米軍の縮小、撤退であり、そして米朝国交正常化の実現であり、北朝鮮の劇的な経済開発である。
トランプ大統領の残された2年半の間にそれが起きるのだ。
そう考えた時、今度の米朝首脳会談の合意がどれほど物凄いものか、この事はいくら強調しても強調し過ぎる事はない。
ところが今日の各紙の社説を見るとまったくその認識が欠如している。
どの論調も、不完全で具体性がないと書いている。
次は日朝首脳会談の番だと書いている。
二つとも大きな間違いだ。
トランプ大統領がここまで明確にコミットしたのだ。
それが具体化されないはずがない。
その実現は時間の問題である。
そして日朝首脳会談が実現するためには、安倍首相が拉致問題についての方針を変えるしかないが、日本会議を支持基盤とする安倍首相にはそれは無理だ。
もし次は日朝首脳会談だというのなら、安倍政権を変えて再出発するしかないのである。
この点について、発売中のサンデー毎日(6月24日号誌上で、和田春樹東大名誉教授がこう語っている。
拉致問題を持ち出しては日朝交渉をストップさせてきた安倍首相にその路線変更ができるのかと。
拉致された人は皆生きている、一人残らず返せと主張して来たことと現実の落差をどう埋めるつもりかと。
この言葉こそ、安倍首相にトドメを刺す言葉だ。
歴史的米朝首脳会談がついに実現し、そして歴史的な米朝合意が署名された。
日本がその合意を日本の国益につなげるためには一日も早く安倍政権を変えて出直すしかない。
しかし、それを求める声は、メディアからも有識者からもそして野党からも出て来ない。
このままでは日本は歴史の大きな転換に取り残されたまま終わる事になる(了)
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追記:2018/06/14
6月14日の大分合同新聞朝刊に、河野洋平の拉致問題に対するコメントが掲載されたので紹介しておきます。例え保守党の政治家であったとしても、まともな歴史認識を持っていれば、拉致問題の解決のためには北朝鮮と第二次世界大戦の戦後処理、国交正常化が前提となると考えるのが当然です。ファシスト安倍晋三や日本会議のように第二次世界大戦を美化する者たちの考えが、現在の日本国民の多く、マスコミによって肯定されている現状は、恐ろしいと考えます。
日本における原子力発電所事故対応は非科学的であり、同時に汚染地域住民に対する扱いは非人道的な棄民政策が貫徹しています。福島県以外であれば放射線管理区域として一般人や18歳未満のすべての国民が立ち入りを禁止すべき場所に乳幼児や児童生徒まで帰還させるなど、言語道断です。また、市民団体による「福島県産品を購入して支援」などという、放射能の二次汚染を日本国中に拡散させる愚かな行為が「善意」と勘違いされているのも悲惨というしかありません。
今回は矢ケ崎さんの通信とその添付資料を紹介します。
避難者通信47号2018年6月5日
皆様お元気ですか?多事多難でありましておもわずご無沙汰いたしました。避難者におかれましては7年後の苦難に耐え、堂々と歩んで行かれますことを祈っています。
今回のテーマは「来年4月こそ本格的苦難のはじまり」です。
本年度で福島県からの支援全面停止
政府・福島県は一昨年指定区域外避難者への住宅費支援を停止し、過渡的な措置として昨年度と今年については一定の所得以下の世帯に対して家賃の2分の1、3分の1の支援をしています。
沖縄県においても沖縄県独自に支援体制を敷いてくださいましたが、そのニライカナイカード(交通費の補助やスーパーなどでの割引などが提供されるカード)が一昨年廃止され、この(2018年)6月に「東日本大震災支援協力会議」が解散されます。
(法には明記される居住の自由)
そもそも、子ども被災者支援法には次のように謳われます。
チェルノブイリ周辺国は住民保護法であるチェルノブイリ法を制定し、32年経過した今なお、被災者に継続的支援を行っています。これに対して、日本は子ども被災者支援法は制定しましたが、実施段階で全て政府の都合の良いように骨抜きされて実際は「法など無き」状態です。
(支援ではなく本当は人格権に基づく措置)
支援という言葉を用いていますが、国が棄民している関係で残念ながら使われています。正確には原発事故の加害者がはっきりしている災害で、被災者が受ける当然の措置(権利)であり、人格権の保護です。
支援という言葉により「施しをする」というような誤った意味合いを抱かれることを懸念いたします。
(沖縄での取り組み)
「つなごう命の会」(避難者支援組織)は一昨年昨年と県に陳情し、昨年度本年度と住宅費支援各家庭毎月1万円の予算をいただきました(沖縄県に深く感謝)。
明日には、沖縄県民医連、沖縄医療生協、沖縄協同病院さんに、医療支援、避難者健診の来年度以降への継続を要請しに参ります。
全国各地で全力挙げて支援の継続を図って行こうではありませんか!
(県知事・県議会議長に対する要請書)
放射能公害被災者に人権の光を与えてください(要請)
(継続審議)「陳情平成28 年第48
号」放射能公害被災者に人権の光を求める陳情
沖縄県知事(議会議長)におかれましては県民の信頼を集め、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。政府および福島県は、福島県指示区域外避難者に対する住宅無償提供制度を一昨年度で打ち切りました。沖縄県は沖縄県独自の施策として、沖縄への避難を継続する避難者に対しまして昨年度および本年度の家賃補助を予算化していただきました。
福島県からの避難者は、来年度は福島県からの住宅支援が停止され、激烈な試練の年になります。
福島県以外からの避難者が沢山県内におります。これらの避難者は福島県内からの避難者と本質的に同じ「放射能公害被災者」です。
放射性セシウム汚染が10分の1になるまでには約100年かかります。
3.11以降日本在住市民の健康状態は悪化しています。7年後の現在、福島県内では小児甲状腺がんの罹患者が約200名もあり今後も増加する恐れがあります。科学的に見れば明瞭に放射能がかかわる異常発生です。
このような状況で、日本市民には避難の権利、居住の自由と健康に生きる権利を保障する必要が特にあります。
本件は平成28年以来継続審議とさせていただいておりますが、
記
1.福島県からの自主避難者への住宅支援が平成30年度限りで停止されます。
2.福島県以外からの放射能避難者は社会的に認知されておりません。
3.沖縄県民にも内部被曝によるのではないかと思われる健康被害が生じています。
県民の健康維持のために具体的施策をお願い申し上げます。
以上
要請書には資料を添付いたしました。それをこのメールに添付して紹介します。
唯一の核戦争被爆国である日本が核兵器禁止条約に署名し、批准することができる政府を作ることが日本市民社会の大きな課題ですが、この裏の核戦争「知られざる核戦争」による犠牲者を隠して、予防医学的な措置一切を切り捨てる棄民政策をやめさせることも重要課題です。
矢ヶア克馬