少し古い話になりますが、原子力発電関連の話題二つについてコメントしておきます。
まず、私の住んでいる大分県から最も近い四国電力の伊方原子力発電所の話題です。伊方原子力発電所の運転差し止めを求める仮処分申請の即時抗告に対して、12月13日に広島高裁は運転差し止めの決定をしました。その理由は、9万年ほど前の阿蘇山の噴火と同程度の噴火が起これば伊方原発の立地地点は安全とは言えないので、原発運転に対する新規制基準に対して伊方原発が適合するとした規制委員会の判断は不合理だという内容です。
日経電子版の記事を紹介しておきます。
私は、原子力発電は総合的な発電効率が極めて低効率であること、その反映として極めて高コストであること、そして放射性廃棄物の管理が難しいこと、事故発生時の影響が甚大であることから、即刻廃止すべきだと考えています。したがって、いかなる理由であろうとも、原発の運転が止まることは歓迎します。
しかしながら、今回の広島高裁による伊方原発運転差し止めの判断には二つの大きな問題があると考えています。
まず第一は、前にも触れたことですが(No.1088
(2016/03/11)高浜原発運転差し止めは喜ばしい出来事/しかし、裁量範囲を逸脱した司法判断を危惧する)、司法が科学技術的な判断にまで踏み込んだ判断を行うことは、司法の権能を逸脱する行為であり、あってはならないと考えます。詳細についてはNo.1088をご覧いただきたいと思います。
もう一つは、国策として原発を運用することを前提とした場合、今回の判断は不合理である点です。広島高裁の判断は、火山活動については過去最大規模の噴火に対して安全であることを求めるという立場であり、阿蘇山について9万年ほど前の噴火規模を想定して「安全とは言えない」ことを根拠として原子力規制委員会の判断に合理性がないという判断を示しています。
しかしこの判断は日本の原子力政策と根本的なところで前提条件に齟齬があります。火山噴火に限らず、期限を区切らずに過去最大規模の自然災害に対して、絶対的な安全性を担保できなければ原発を運転してはならないということが前提条件であれば、そもそも日本には原子力発電を作ることはできないという帰結になります。これは原子力発電に限らず、あらゆる構造物についても同じことが言えます。
原子力発電を運用するという日本の国家政策の基本にあるのは、絶対的な安全性は確保できなくとも、「できるだけ自然災害に対しても安全であるように」配慮した上で運用し、運悪く運転期間中に想定を超えるような自然現象が起これば事故が起こったとしても甘受するしかない、という立場なのです。そしてこの方針に従って、「できるだけ自然災害に対しても安全である」ことを担保するという視点から新規制基準が作られたということです。
今回問題としている具体的内容は、「伊方原発という特定の原子力発電所の今後数十年間程度の運転期間において、阿蘇山の噴火によって事故が起こる危険性があるか否か」という点です。広島高裁は、9万年ほど前の巨大噴火と同程度の噴火が起これば安全とは言えないから運転を差し止めるということです。それは言い換えれば、伊方原発を運転する今後数十年間において、9万年前の阿蘇山の巨大噴火と同程度の噴火が起こる蓋然性が小さくないと判断したということです。
前述の通り、確率論的には9万年ほど前の規模の噴火が伊方原発運用中に絶対起こらないとは言えませんが、現状ではその蓋然性は極めて低いと判断した規制委員会の判断の方に合理性があると考えます。したがって、今回の広島高裁の判断は不合理だと考えます。
私は、現状では、日本の国策として原子力発電を即刻中止し、直ちに廃炉に向けて行動開始することが最良だと考えます。しかし、国策として原子力発電を運用するとしている現状では、安全論争で原発を運転中止することは、確率論的な水掛け論に終始し、最終的には原発を稼働させたい側の意向が通ることになるのは必定です。
しかし、裏を返せば、原子力発電を運用する限り、自然科学的に事故の発生を完全に否定することは不可能なのです。原発事故発生を想定した避難施設の準備、災害復旧、人的物的な損害に対する損害賠償などあらゆる事故発生後の処理を、国庫からの一切の支出なしに、原子力発電事業者の責任において確実に実施することを担保させることを求めることこそ、最も現実的な原子力発電運転中止の実現方法ではないかと考えます。
福島原発事故の経験から、原発重大事故の処理には最低の補償でも100兆円規模の支出は必要だと考えます。そこまでの巨額な事故処理の引当金を用意できる原子力事業者や、引当金を用意してまで敢えて原子力発電を継続しようと考える事業者はどれほどいるでしょうか?
さて、話変わって、プルサーマル発電用のMOX燃料の価格高騰の話題が報道されていました。MOX燃料とは軽水炉の使用済み核燃料を再処理して抽出した燃え残りの235Uや239Puを抽出して作られた混合酸化物燃料です。プルサーマル発電とは、サーマルリアクター=熱中性子炉=軽水炉でMOX燃料を使用して発電を行う方式のことです。
まず新聞報道を紹介します。
日本の原子力発電計画では、高速増殖炉が実現されることを前提に、高速増殖炉核燃料サイクルを想定して軽水炉使用済み核燃料の再処理を行い、「高速増殖炉用MOX燃料」を生産することになっていました。ところが、肝心の高速増殖炉は技術的に実現不可能ということで頓挫し、また六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場すら技術的な問題でまともに稼働できずにいます。
その結果、ご承知の通り、核拡散防止条約(NPT)に触れることになるために大量のプルトニウムを保持できないために、やむなく非効率的なプルサーマル発電用のMOX燃料を全量海外委託で加工せざるを得なくなっているというのが現状です。その結果バージンウランから製造される軽水炉用ウラン核燃料よりもはるかに高額になる軽水炉用MOX燃料を使用しているのです。何とばかばかしい話でしょうか?
高速増殖炉がとん挫した段階で、高速増殖炉核燃料サイクルだけではなく、日本のすべての原子力発電計画の存在意義は消滅したのですから、本来ならば即刻原子力発電から撤退する以外に合理的な政策判断はないのです。
高速増殖炉核燃料サイクルが頓挫しているにもかかわらず、いまだに原子力発電を維持しようとする国策の合理的な理由付けは、日本が将来的に核兵器保有国になることを技術的に担保しておくこと、ないし、電力会社の短期的な利益を守るためという、誠にばかばかしい理由しかありません。悲しいことです。
2017年も暮れようとしています。この一年間、安倍ファシスト政権下の日本は軍事国家化の方向性がますます明確になった一年でした。
安倍ファシスト政権は凶暴な米国の世界戦略を無批判に追従する隷属的な同盟関係をひたすら強化することに邁進しています。米国のすべての軍事オプションを含む危険な北朝鮮政策を「完全に支持する」と臆面もなく表明する安倍の傀儡・無能ぶりにはあきれ果てる限りです。安倍に迎合する者を集めた官邸や安倍政権内には暴走する安倍の行動を諫めるものが誰一人いないという危険な状態になっています。
安倍政権はトランプ政権の北朝鮮政策に同調し、あるいは扇動することでマッチポンプ的に北朝鮮との緊張関係を増大させて、軍需支出増大の大義名分とし、あるいは安倍の個人的な悲願である平和憲法の改悪に利用しようとしています。安倍政権は日本の軍備を増強すると同時に、トランプ米政権に気に入られるために、米国経済の浮揚に貢献するために米国軍事産業から高額の兵器輸入を加速しています。
北朝鮮のミサイル攻撃に対処するとして米国から高額の陸上配備型のイージスシステムを導入し、更に敵基地攻撃能力をもつ巡航ミサイル開発も現実的なものとなってきました。
このHPでは巨大護衛艦「いずも」がゆくゆくは集団的自衛権の合法化をにらんで航空母艦としての運用を想定されたものであろうと書いておきましたが(No.882
(2013/08/20)安倍政権で加速する平和主義日本の崩壊)、それが現実になってきたようです。新聞記事を紹介しておきます。
安保法案の改悪において、時の政権が敵国からの軍事攻撃の蓋然性が高い、あるいは経済的な事由であっても日本の存立が脅かされると判断すれば、「防衛」の名目で敵基地を先制攻撃することが憲法違反ではないという見解を示しました。例えば、この考え方は米国がイスラムテロから米国を「防衛」するために、濡れ衣によってアフガニスタンやイラクに侵攻したことと同じことを日本もできると言っているのです。
巡航ミサイルの開発、ロボット爆撃機の導入、航空母艦の建造と、日本の攻撃的な軍事国家化のハードウェアの整備が急速に進んでいます。航空母艦は日本本土から攻撃し得ない遠隔地攻撃を実現するものであり、専守防衛を国是としてきた安倍ファシスト政権以前の日本では決して保有しなかったものです。
ハードウェアだけでなく、安倍ファシスト政権日本政府は、米国を中心とする軍事ブロック化によって外交ではなく武力を背景とする圧力で、東アジアを掌握するという道に踏み出したように感じます。オーストラリアとも軍事同盟化を強化することで、環太平洋における覇権を確立しようとしているようです。しかしこの方向は、将来的に必ず中国やロシアとの軍事的軋轢を生むことになることは想像に難くないことです。
第二次世界大戦以後、日本は国際紛争を武力によって解決する道を放棄し、平和国家として外交によって平和を構築するという道に踏み出したわけですが、わずか70年でその革新的な試みは安倍政権によって破壊され、戦前回帰の武力を背景とした力対力による野蛮な軍事国家日本が息を吹き返してしまいました。
不覚にも私は、平和国家日本の崩壊が、国民や野党からの抵抗がほとんどないまま、これほど静かに実現されるとは、思ってもいませんでした。既に日本の平均的な国民の少なくない部分が安倍晋三をはじめとする戦前回帰の好戦的な勢力による「平和国家幻想論」に取り込まれ、「現実的な再武装」を支持するようになっていることが背景にあります。特に恐ろしいことは、日本の軍事国家化を進める保守党政権に対して最も支持する割合が高い年齢層が10代と20代という状況です。しかし、このような状況を作ってしまったのは、私たち第二次世界大戦後の第一世代が、戦争の教訓を十分に子や孫たちに伝えることが出来なかったからであり、責任を回避できるとは思えません。
何とか、実戦において自衛隊、日本軍が再び戦火を交え大量殺戮に加担する前に、再び平和国家の道に戻るために出来る限りの声を上げることが必要だと考えます。
まず、NHKのHPから紹介ページを以下に示します。
これはあくまでも「脱炭素」を食い物にする世界経済についてのルポであり、温暖化問題や脱炭素社会システムを構築するための技術についてのレポートではありません。要するに、パリ協定以降、脱炭素を冠する経済市場が最も利益率の高いものとなり、世界の金融資本も脱炭素ビジネスに投資を集中し始めているから、日本もこれに乗り遅れないようにしてしっかり儲けなければならないという、扇動のためのルポです。
なぜ脱炭素市場の儲けが大きいのか、と言えば、従来の石炭や炭化水素燃料で駆動されてきた優れたエネルギー供給システム、生産システムに比較して脱炭素技術が迂回度が大きく投入資材対効果が低効率であるが故に、コストが高いためです。通常の経済競争の市場であれば売れるはずのないこうした脱炭素技術が儲かるのは、人為的CO2放出量削減という非経済的な障壁によって従来技術を放逐するというパリ協定が出来たおかげです。
こうした脱炭素技術は非効率的であるがゆえに、短期的には世界経済を活性化させ、肥大化させる効果があるのは当然です。しかし、長期的には有用資源を加速度的に食いつぶし、自然環境を荒廃させ、貧困層の生存基盤を切り崩し、最終的には工業生産に支えられた文明社会の崩壊に結びつくことになります。まあ、途中でその馬鹿さ加減に気づいて、脱炭素革命などというものから逃げ出すことになるでしょうが、それまでにどれだけ無駄に有用資源が食いつぶされるのか…。
今世紀末までにCO2放出をゼロにするなどと言っていますが、そんなことが自然科学的あるいは工業技術的に出来ないことは分かり切っているでしょう?何を馬鹿なことを言っているのか、頭を冷やしてほしいものです。
番組の中では、ウォルマートや世界の有力企業が使用電力を再生可能エネルギーに切り替えることが取り上げられていましたが、このように今取り上げられているのはエネルギー供給分野の脱炭素化ですが、それを実現するための工業製品や社会システムといったハードウェアの製造をどうやって脱炭素化するのかという技術的問題が一切取り上げられていないのは致命的な欠陥であることが分からないようです。
とても単純な問題なのですが、脱炭素・再生可能エネルギーが工業生産に依拠した社会システムを支えるためには、脱炭素・再生可能エネルギーの消費だけでエネルギー供給システムのハードウェア(再生可能エネルギー発電装置、電力安定化のための蓄電システム、送電システム、などなど)を再生産した上に余剰エネルギーによって、その他のすべての工業生産システムを駆動するために必要な莫大なエネルギー供給ができることが必要です。しかし現実には、どう考えても、再生可能エネルギー供給システムを単純再生産することもできないでしょう。
私はもともと土木屋ですが、番組の中では戸田建設で洋上風力発電の技術開発に携わったという技術屋が、COP23に出向き、外国の高名なエコノミストに日本の脱炭素への取り組みが弱いと指摘されて涙ぐむという映像が使われていましたが、愚かでみっともない、自らの無知をさらけ出す情けない態度であり、見ている私の方が居たたまれなくなってしまいました。
この技術屋は、彼のかかわった洋上風力発電技術が15年も前に完成したのに未だに全く利益を上げていないということが、自然科学的・技術的に見て一体何を意味しているのかを本質的に見つめるべきですが、売れないことばかりを悔しがり、どうやって売り込むかという問題設定しかできない近視眼的なたこつぼに迷い込んでいるのです。
パリ協定以降、人為的CO2地球温暖化説の科学的な根拠に対する検討を置き去りにしたまま、効果も定かでないエネルギー供給システムの脱炭素化が自己目的化して、世界的規模の単一の政治・経済目標となり、人類のスタンピードが始まりましたが、これは極めて危険な兆候だと考えます。
そのような状況の中で、このNHKの番組は、かつて日本国民を世界大戦に突入するように扇動した大本営発表と同じように、脱炭素革命に盲目的に突入するように扇動するプロバガンダのように感じました。
昨日、NHKの受信料徴収に関する最高裁判決が出ました。このホームページでは繰り返しNHKの報道内容や経営体質に対して批判してきました。最高裁はNHKの公共性に言及して、受信契約の強制並びに受信料徴収を合理的としました。まずは新聞報道を紹介しておきます。
「公共性」とはあいまいな概念です。公を国家や権力組織と解すればこれは「滅私奉公」としての公であり、全体主義的トップダウンの社会体制に資するという意味に解することもできます。
しかし判決では公共性について、憲法で保障された国民大衆の表現の自由や(正しい情報、個人にとって有益な情報を)知る権利を保証するという意味をもって公共性としているように読めます。これはNHKが報道機関であれば当然でしょう。
さて、判決ではこの意味の国民の権利保障に対して有用という意味においてNHKが公共性を有していることを前提として、通常の自由契約による商行為の公序良俗に即した運用を、つまり契約を結ぶ両者の合意の上で契約が成立するという運用を逸脱した契約の強制を合憲とするという判断を示したわけです。
しかし、ここには大きな問題があると考えます。NHKという報道機関が例え国家から独立した立場で運営されていたとしても、その経営方針が視聴者すべての考えと合致することなど在り得ないことです。NHKの経営方針を押し付けることは、あくまでもNHKという組織にとっての表現の自由であり、NHKの偏った価値観に基づく主張・情報による全体主義的な情報操作=「洗脳」であって、多様な個性に基づく国民個人の表現の自由や知る権利に対して普遍的に資することなど論理的にあり得ないことであり、むしろ侵害するものです。
したがって、あくまでも受信契約は、NHKが必要であるという個人が自発的に契約を締結した上で受信料を支払うべきものだと考えます。個人の価値観とNHKの価値観が異なり、NHKの放送内容に賛同できないという個人の明確な意思表示に反して、国家権力によって受信契約を強制して受信料を徴収するという行為は、NHKの主張を個人の思想・信条・表現の自由という憲法で保障された最も基本的な権利よりも上位に位置付けることであり、まさに個人の思想・信条・表現の自由を侵害する憲法違反であることは明白です。
存在しない国民すべての表現の自由や知る権利の保障という『公共性』という虚像の存在を前提として、司法という国家権力を使って、受像機設置者すべてに対して受信料の支払いを強制するなど非論理的な判断としか言えないでしょう。
付け加えれば、国家の法律によって特別な待遇を与えられたNHKという組織、経営組織の人事についても時の国家からの影響を強く受け、籾井のように「国が右というものを左とは言えない」と公言するような好戦的安倍ファシスト内閣礼賛の危険思想の持ち主が経営トップや経営委員会にいるような組織が、国家・権力機関に対抗する意味での第四権力としての報道の本来の役割を全うできるはずはありません。NHKが国営放送、国家のプロパガンダ組織であるというのであればその性格は明確であり、国民はそのように理解します。つまり、戦時中の大本営発表を行った組織の延長線上にある組織であるということです。『公共』放送などというあいまいな表現で国民を洗脳する組織であるNHKの在り方は極めて悪質だと考えます。
既にNHKに報道機関という意味における存在意義はありませんから、日本国営放送として国家のプロパガンダを行うことを表明したうえで、税金で運営することが望ましいと考えます。
安倍政権は、米国と共謀して北朝鮮を軍事的に挑発して危機を煽り、北朝鮮がその挑発に乗って直接的な軍事行動を起こせば米軍はこれを口実に大規模な軍事攻撃を開始するつもりなのでしょう。また、安倍政権は北朝鮮危機を煽り、国内における森友・加計疑惑隠しをしようとしているのです。
正に、朝鮮半島における軍事的緊張関係を作り出しているのはトランプ米国と日本の安倍ファシスト政権であり、北朝鮮ではないのです。北朝鮮は朝鮮戦争の平和協定交渉を米国と対等な立場で開始することを目指しているのであって、他国への侵攻など意図してはいないのです。
本来ならば平和国家日本であれば、ロシアや中国と共同して米国の軍事行動をいさめ、対北朝鮮対話を促進することこそ国際的な役割です。しかし、好戦的安倍ファシスト政権は、軍事的手段による米国による力による北朝鮮制圧を支持するという、およそ平和国家として似つかわしくない行動をとっており、これに対して国会において野党も正面からこの行動を批判しないというとんでもない状況になっています。平和国家日本はまさに今消滅しつつあるのでしょう。私たちはこのことを目に焼き付けておかなければなりません。私たちはまたしても第二次世界大戦に突入した時代の国民と同じ過ちを繰り返しているのです。
天木さんのブログの記事を紹介します。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2017月12月5日第945号
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戦争前夜の軍事演習に沈黙するこの国の政治の無力さ
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きょうの各紙は米韓合同軍事演習を一斉に報道している。
その内容を見ると、これは実戦さながらの、世界でも例を見ない大規模かつ攻撃的な演習であることがわかる。
よくもこのような演習を、北朝鮮危機の最中に行えるものだ。
これは北朝鮮に戦争を起こせと仕掛けているようなものだ。
ところが、それを批判する記事はどこにも見当たらない。
それどころか、日本まで 米軍と合同演習をしている。
米軍と一緒になって北朝鮮と戦争している韓国は自業自得だ。
しかし、関係のない日本までもが北朝鮮と戦争をしようとしている。
どう考えてもおかしい。
憲法9条の完全な否定だ。
それにもかかわらず、それを批判する記事はどこにも見当たらない。
護憲であるはずの朝日も毎日も東京も、一言も止めろと書かない。
メディアが書かないのは、しょせんメディアはその程度だと割り切ればまだ我慢できる。
しかし、打倒安倍政権を掲げる野党までも、安倍政権と一緒になって全会一致で北朝鮮批判決議を採択している。
北朝鮮批判だけならまだ理解できる。
しかし、米軍との合同軍事演習までも、安倍首相と一緒になって容認しているごとくだ。
このままでは、米国が北朝鮮を攻撃しても、悪いのは北朝鮮だから仕方がないと追認する事になるだろう。
この政治の無気力さにはつくづく虚脱感をおぼえざるを得ない。
どうやら、戦後72年経って、日本の護憲政治は完全に終わってしまったようだ。
日本は、もはや唯一の被爆国を名乗る資格も、平和憲法を世界に誇れる資格も、みずから放棄してしまったようだ。
この深刻さは、いくら強調しても強調しすぎる事はない(了)
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久々に早朝からNHKのニュース番組で気象庁によるオゾンホールに関する発表の内容が繰り返し報道されました。NHKのウェブサイトから関連部分を引用しておきます。
南極上空のオゾン層が破壊され穴が空いたような状態になる「オゾンホール」の面積が、ことしは平成に入ってから最も小さくなったことが気象庁の解析でわかりました。ただ、ふだんの年はあまり見られない気象状況が原因だとして、引き続きオゾン層保護の取り組みが重要だと話しています。
「オゾンホール」は、有害な紫外線を遮るオゾン層がフロンガスなどによって破壊され南極上空で穴が空いたようになる現象で、毎年8月ごろから12月ごろにかけて発生します。
気象庁が衛星のデータをもとに解析した結果、ことしの「オゾンホール」の最大の面積は9月11日の1878万平方キロメートルで、平成に入ってから最も小さくなったことがわかりました。
この原因について気象庁は、ことしは上空およそ20キロの「成層圏」の気温がふだんの年よりかなり高く、オゾン層を破壊する化学物質が作られにくかったことが原因と見ています。
既にこのホームページでは分析しつくしていますが、オゾンホールの成因はフロンによるオゾン層の破壊などではありません。南極のオゾンホールは、春先の一時期に南極上空の気象条件によってオゾン全量が220ドブソンユニット以下になる現象です。詳細については、本ホームページのオゾンホールに関する論考をご参照ください。
さて、毎度のことですが、気象庁やマスコミ、気象関係者諸君は、オゾンホールの拡大はフロンによるオゾン層の分解反応の結果であると言い、オゾンホールが縮小するとこれは特殊な気象条件の結果であると言います(笑)。御都合主義のこんな説明をありがたがって信じる人々はまったくおめでたい、科学的な思考を全く停止してしまった愚か者としか言いようがありません。
そもそもオゾンホールは南極上空に常時存在しているわけではなく、南極の上空に春先の一時期(9〜10月)に特有の気象条件によって生じる自然現象です。その面積は毎年の気象条件が異なることによって毎年変化しています。
2002年にも同じようにオゾンホールが著しく小さくなり、翌2003年には極端に増大しました。このように気象条件によって極端に変動するオゾンホールの面積に対して、自然変動から分離してフロンによる分解反応の影響を定量的に測定することなど全く不可能なことです。
No.038 (2002/05/29) オゾン・ホール、おまえもか!
No.110 (2004/01/15)
2003オゾンホールに関する備忘録
CO2温暖化同様、フロンによるオゾン層の破壊などというシナリオは所詮出来の悪いフィクションにすぎないのです。
、
安倍ファミリー私物化・ファシスト・対米隷属政権による「だまし討ち解散」から小池百合子による民進党破壊工作(笑)、自民党の大勝、そしてトランプ東アジア歴訪を巡るの対米幇間外交、臨時国会における質問時間配分問題、加計学園の獣医学部の正式認可と、この国のでたらめな政治状況を見て、あきれ果て、この先一体どうすればよいものか、という思いから、しばらくはホームページの更新をできないままでいました。
そんな折、総選挙で天木さんの支援に参加しておられた沖縄県在住の中本さん(元沖縄国立高専教授)からメールをいただき、もう一度自らを奮い立たせなくてはならないと思いなおしました。
以下、中本さんに了承を得て、この間のメールのやりとりを紹介させていただきます。
沖縄から皆様に愛をこめて
2017年11月9日に私は羽田から沖縄県名護市に到着いたしました。
天木直人さんの選挙では皆様にお眼にかかり、私はまるで1970年代の学生時代戻ったかのように楽しい選挙運動の時間を持てたことは私にとって大変貴重です、
憲法9条という言葉自体は今更に新しいわけではありませんが、しかし、天木直人さんの新党憲法9条には既成のどの政党にも見られない「ある種の思想が根付いている」と私は思います。
だからこそ今回の天木さんの選挙演説動画は大変な反響を日本の各地で引き起こしていると私は思います。
天木直人さんの街頭選挙演説でしばしば使われた語句に「私はあなただ」があります。これは天木さんの演説の聴衆にたいして天木さんが日本国に憲法の精神を呼び起こしているのだと私は解釈致します。
日本国憲法の基本理念(思想)の一つは人民主権です。主権とはSupreme Ruler
(最高の支配者)という意味です。したがって天木直人さんが
「日本国憲法が日本国の国是(の法則)である」
と言うとき天木直人さんは
「日本国の人民1人1人が日本国の最高支配者である」
ことを意味していると私は解釈したいのです。
しかしこの国では誰も自分が日本の最高支配者だという自覚が芽生えていません。たとえば「日本国から独立したい」などと息巻いている人がいるこの沖縄島でさえ、
「クニが決めたことだから」
「仕方がない」
の文化が日常化しているような気がするのです。
また日本国の酒飲みの間では
「農耕民族は和を持って尊しと為す」
「本居宣長の神ながらの道こそ大和民族の道なり」
などと物知り顔で説教する団塊オヤジ連中が自己陶酔する文化が流行することがあります。
でも私は佐藤優などのように
「日本人は農耕民族なんだから、こんなものなんだ。」
「日本人は革命をする民族ではない」
という諦念には与しません。
なぜなら私が知っている日本以外の複数国の友人たちだって
「日本人の行動と思考を共有すること」
を私は知っているからです。
明治以来のこの国ではヨーロッパ近代の国民国家の成立を真似して大日本帝国という国民国家の精神文化を完遂してきました。
以来、日本国で教育を受けた我々には
「日本列島の人民が自分自らで主権を求めた記憶が学校教育から
完全に消し去られたままになっている」
に違いないと私は推測いたします。
しかし天木直人さんの直観は
「代議士を名乗って日本国の人民の貴重な税金を掠めている
ドロボーの蓄財資金を人民が取り戻す」
権利を発見しました。そして、
「税金ドロボーから金を取り戻すこの人民の権利は
日本国憲法に書かれた日本人民の生存権に基ずく」
ことを私に気付かせてくれました。
1640年にイギリス島の人民が「税金を返せ」と国王に要求し、40年後には
「人民主権がイギリス国の国是権利の章典になりました。
それから400年後の2017年に東洋の島ニッポン国で
「人民の金は人民に返せ」
に表現された日本人の権利の章典に我々が気が付いたことは幸運でした。
註:上の文章はカール・マルクスの名著「共産党宣言」の真似をして
私が書きかけた「新党憲法9条党宣言」の草稿の一部です。
消滅しかかった思想表現の自由を勝ち取る名護市辺野古にて
中本正一朗
(2017.11.13)
中本正一朗 様
選挙運動、ご苦労さまでした。
選挙結果について、大変残念ではありますが、予想通りの結果になったと思います。
私の感覚、あるいは論理的・合理的な判断を国民の大多数が選挙行動に結びつければ、安倍ファミリー・自民党・ファシスト政権が政権与党であり続けることなどありえないことです。
しかし現実には、自民単独過半数の圧倒的な勝利に終わりました。これは、小池百合子の失敗や野党共闘の崩壊も遠因ではあるかもしれませんが、本質的にはこの国の有権者・大衆の意識の問題だと考えます。
私は日本以外の状況はまったくわかりませんが、日本の大衆にとって、学校教育において与えられた知識は、あくまでも形而上学的なものであって、実社会を生き抜く術として獲得したものではないと考えています。
知識としての理科や数学の知識、民主主義や立憲主義の知識は十分知っていながら、それが現実社会の問題になるとまったく生かされない、これがこの国の悲劇です。
なぜこんな状況になったのか?残念ですが、この国の教育者や大人たちが、戦前だけではなく戦後においても建前=論理的な合理性を持つ判断よりも、現実=論理性や合理性を力が捻じ曲げる社会で波風立てずに生きる処世術を重要視してきたことによるのではないかと考えています。
今、温暖化の本をまとめているところですが、どう考えても人為的CO2地球温暖化説の内容は、中高生以上の一般的な日本人であれば、出来の悪い嘘っぱちであることを見抜くことは容易なことのはずです。
ところが、娘の通った高校の理科教師は、教科の内容については雄弁に語っても、人為的CO2地球温暖化という問題についてはまったく内容を吟味することもなく、えらい科学者が言っているのだから誤りであるはずがないから、コメントできないという、およそ自然科学を教えるものとは思えない発言をするのです。
このような教育の在り方が、日本の教育が社会を生き抜く術にならない現実を象徴的に表しているように感じます。学生たちはこうした教師の処世術を見て、建前はともかく、長いものには巻かれるのが正しいのだと感得しているのではないかと考えます。
結局のところ、この国の悲惨な状況を変えるためには、国民すべてに対して、理論と実践の統一を再教育していく必要があるように思います。残念ですが、現状でいくら論理的な政策を述べても、「そうはいっても現実はそう上手くは行かない」という教育が蔓延している状況では、上滑りの徒労に終わるように思えてなりません。
どのような方法をとるべきなのか、具体的な提案はありませんが、時間がかかっても大衆に対する啓蒙・教育を気長に行わない限り、この国を変革することは難しいように思えます。
温暖化の本の出版は、学校理科教育と現実社会の「人為的CO2地球温暖化狂騒状態」と政治的温暖化ファシズムを結び付けて止揚する試みだと考えています。
(2017.11.13)
近藤邦明さま
近藤さんのおっしゃる通りで、この国の教育が崩壊していることが諸悪の根源です。
今日の沖縄タイムスにも出ていましたが、エール大学名誉教授の浜田こういちという日本人が安倍晋三の経済政策を操っているとのことでしたが、日本の大学の海洋も大気も防衛も原子力もすべてアメリカの命令するとおりになってしまったその原因は、まさしく天木直人さんが立川市の砂川闘争碑の前での演説した戦後の日米の不平等密約にあったのだと私は思うようになりました、
近藤註)砂川事件
1957年にアメリカ軍の立川基地拡張に対する反対運動の過程で起きた事件をいう。57年7月8日,当時の東京都北多摩郡砂川町において,基地を拡張するための測量に反対するデモ隊の一部が立入禁止の境界柵を破壊して基地内に侵入し,7名が「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定に伴う刑事特別法」違反として起訴された。この事件は直接には一刑事事件にすぎないが,前提問題として旧安保条約の合憲性が法廷で争われた初めてのケースである。59年3月
30日東京地方裁判所は被告人を無罪とし,日本に指揮権のない軍隊であっても,わが国が外部からの武力攻撃に対する自衛に使用する目的で合衆国軍隊の駐留を許容することは,日本国憲法第9条2項前段の禁止する陸海空軍,その他の戦力に該当すると述べ,日米安全保障条約違憲の判決を下した
(下級刑集1巻3号 776) 。
ブリタニカ国際大百科事典小項目辞典の解説抜粋
アメリカも日本もCO2温暖化を信奉する科学者たちの多くはかつての団塊世代(日本で団塊世代という日本語が流行する数年前から欧州で「pebble
generationさざれ石ころ砂利世代」という表現が出現しました)で左翼崩れの確信犯であることが大変残念です、例えば私が翻訳した「Forgiving
Air
邦訳大気寛容なれども」の著者サマービル教授は今ではCO2温暖化説の旗手になっていますが、彼もニューヨークのブルックリンの貧しいユダヤ人家庭で生まれ育ち苦学してニューヨーク大学を卒業したと私は思います。
これら日米の団塊左翼崩れや全共闘崩れは彼らが学生時代に身に着けたアジ演説の才能を全開させ、1990年代になると霞が関周辺に登場して政治家や官僚をたぶらかし(洗脳し)研究開発費という名の巨額の国家予算を我が物顔で要求することに励みます。
これら日米の団塊左翼崩れが人民の金を合法的に盗むことに何の矛盾も感じないのは不思議ですが、すでに1970年には加藤周一はこのこと(専門家が自発的に馬鹿になる宿命)を指摘していたことを私は最近になって知りました。(加藤周一:「戦争と知識人」を読む、青木書店ISBN4-250-99020-6)
崩壊した日本の教育を変えるために、まずは無学な大学教授知識人階級を教育しなければいけないと天木直人さんと私は話しました。私も機会を見付けて大分で近藤さんのお話しをお伺いしたい気がいたします。
追伸:
我々には学問で彼ら御用科学者たちと戦かい、彼らの矛盾を彼らに納得させることが、我々に残された唯一の方法かもしれません。
(但し彼らが普通の頭脳の持ち主である場合だけ、この方法は通用します)
このため私は2つの作業を行っています。
1つは2006年に近藤さんのHPで開始した気候シミュレーション講座の続きです。
ナビエストークス方程式の誤った使い方の一例として「防衛省の辺野古アセス」のインチキを東アジア共同体研究所琉球沖縄センター紀要第3号に書きました、
この東アジア共同体研究所紀要がどれくらい広く読まれるかは未知ですが、大学生たちが教授に隠れて私の文章を回し読みしてくれて、教授たちの無学に気が付いてくれればこれほどうれしいことはありません。
(私が紀要に寄稿した文章は数か月前に近藤さんにお送りした内容とほとんどおなじです。)
紀要が出版されたら近藤さんにお送りさせて下さい。
2つ目の仕事は変数係数を持つ非線形の2階微分方程式の厳密解を見つけることですがこれは今のところ成功していません。
私がこの課題に挑戦した理由は、本当の環境流体の拡散は非線形であるのみならず、微分項の係数(例えば拡散係数)は定数ではなく時間座標tと空間座標xを含んでいるからで、1970年にアメリカの数学者が乱流への応用を目指して変数係数を持つ非線形の3階微分方程式の厳密解を発見して以来誰も手を付けていない微分方程式です
中本正一朗
(2017.11.13)
さて「だまし討総選挙」は予想通り、大山鳴動してネズミ一匹、小池百合子にかき回された挙句、自民党の大勝利、ふざけた話です。
安倍ファシスト内閣は、その後のトランプのアジア歴訪に幇間よろしく付き従い、何の意見もできずに沖縄県民を見殺しにする売国ぶりを表し、危険なトランプの対北朝鮮政策に唯一「100%の賛同」を示すなど、まったく米国の属国になったとしか思えぬ卑屈な態度にはあきれ果てるばかりです。
選挙後の臨時国会は、安倍ファミリーお友達内閣による国政の私物化である加計学園問題に始まり、重要課題が山積しています。NHKにとどまらず、我が国のマスコミ・報道機関はの感覚はまったく麻痺し、あるいは安倍ファシスト政権の気持ちを忖度した結果か、事もあろうにこの時期に下らぬ大相撲のモンゴル人力士の暴行事件や、相撲協会の内紛をトップニュースで垂れ流す始末です。悲しい限りです。
さて「だまし討総選挙」も終盤を迎えています。民進党の崩壊と希望の党の参加によって、民進党の中の自民党シンパ=憲法9条改正支持、奴隷的な日米安保条約支持議員があぶり出されたことは現在の日本の政治状況をわかりやすくしたという意味で、一定の積極的な役割を果たしたと考えることができるでしょう。小池自身はどんなにソフトな仮面をかぶったところで筋金入りの保守政治家、軍国主義者ですから初めから自民党補完勢力であることは分かりきっています。
その結果、全体状況として自民党、公明党、維新の会、日本の心、希望の党を含めた米国従属の改憲・軍事国家化を目指す勢力が大きくなり、共産、社民、立憲民主党を合わせた立憲主義に基づく自主・独立の民主主義・平和国家を目指す勢力が減少することが予想通りではありますが、残念ながら、明らかになりました。
これは、政治家の思惑や選挙戦術を超えて、有権者である国民の意識が、古い言葉ですが『親方日の丸』的な自ら考えることを放棄して長いものに巻かれる=保守化の傾向を示していることに本質的な原因があると考えます。絶望的なのが中高年よりもむしろ若年層の保守化の傾向が強いことです。残念ながら、米国の奴隷的な立場を固定している日米安保条約,ないし同地位協定の呪縛から解き放たれた自主・独立国家への道のりは全く先が見えません。
戦後の平和国家日本の建設を希求した日本国憲法に基づく人間社会の前衛としての壮大な実験は、愚かな安倍保守党政権によって日本自らが放棄することになったようです。
選挙期間中の沖縄県における北部訓練場近くの民有地へのヘリコプター墜落事件をめぐる状況は、日本は米国の完全なる属国であり続けていることを如実に示しました。日米安保条約は対等な国家間の条約ではなく、米国は一方的に条約を踏みにじることができることを示しています。
以下、これを報じる新聞記事を紹介します。心ある読者諸兄にはこの日本の置かれた状況を直視していただきたいと切望します。
追記:
新党憲法9条の候補者である天木直人さんのメールマガジンから、この総選挙の争点についての文章を紹介しておきます。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2017年10月20日第827号
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私がこんどの選挙で訴え続けてきたこと
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どうやら今度の選挙の結果がはっきり見えてきた。
安倍暴政が続き、野党はばらばらのまま、再び、「安倍暴政を許さない」と叫ぶだけの、不毛な政局が繰り返されることになる。
その間に、対米従属の日米軍事同盟が、引き返せないほど加速する。
きょう10月20日の産経新聞を見て思わず苦笑せざるを得なかった。
安倍首相は、来日するトランプ米大統領を海上自衛隊の護衛艦「いずも」に乗艦させるという。
米軍の親分が、自衛隊の親分を子分に従えて、自衛隊を指揮する。
文字通り日本は米国の属国になり、自衛隊は米軍の指揮下に置かれる。
もはや誰も日本の対米従属を止められない。
私が今度の選挙で訴えたかった事はまさしく、次の事だ。
・・・今度の選挙の一大争点は、安倍首相を倒す事ではない。
対米従属の自民党政権に代わる、自主、自立した一大平和政党をつくることができるかどうかだ。
憲法を守るとか、生かすとか、そんな生ぬるいことを言っている場合ではないのだ。
憲法9条違反の在日米軍を、この美しい日本から撤退させ、日米安保条約という不平等条約を改正し、主権を取り戻せるかどうかだ。
そのことを、あの歴史的名判決である伊達判決を産んだ砂川闘争の地から訴えるために、私は東京21区から立候補した。
世界最大の軍事国家である米国から、自主、自立し、平和な日本を取り戻すことができるのか。
これこそが、とりもなおさず戦後一貫して政権を担って来た自民党政権を交代させ、それに代わる国民政権をつくれるかどうかだ。
この一大事業を達成するためには、野党がばらばらなままで、選挙協力とか、野党統一候補などという、党利、党略に明け暮れるのではなく、本気で戦わなければいけない。
憲法9条を錦の御旗に掲げた、一つの大きな政党をつくって、自公政権を倒さなければいけないのだ。
憲法9条が共産党や社民党の独占物でとどまっているから広がらないのだ。
憲法9条を、平和を願う一般国民の共通の財産にしなければいけない。
自公政権の中にも、日米安保に反対の者もいるはずだ。
自公も巻き込み、分断して、日米同盟は憲法9条違反だと堂々と主張する一大国民政党を、いまこそこの国の政治の中に誕生させなくてはいけない。
そしてその時は今を置いてない。
今上天皇が退位される前に実現しなくてはいけない。
それこそが天皇陛下のお言葉に対する政治と国民の応えである。
それが新党憲法9条だ。
平成の維新を起こさなければいけない。
ペリーの来航から始まった明治維新は、武士が武力でなし得たものだが、平成の維新は国民が平和の一票で成し遂げるものだ。
これこそが、われわれが初めて手にする人民革命であり、人民主権の実現だ。
いまこそ平成の坂本龍馬が必要だ。
いや、坂本龍馬を超える人物が出て来なくてはいけない。
それは私であり、あなたである・・・
この訴えを私は毎日街頭で叫び続けた、
そして私はあと二日、最後まで街頭で叫び続ける。
その訴えは、今度の選挙で結実しなくても、必ず選挙の後の政治を動かす事になるだろう。
今回の私の21区からの出馬が日本の歴史を動かずことになる。
そう私はうぬぼれている。
そうとでもうぬぼれない限り、大事はなし得ないと思っている(了)
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既にこのホームページで繰り返し取り上げてきた、大分県竹田高校の剣道部における指導者の部員に対する暴行致死事件(敢えてこう呼ぶことにする)の民事訴訟において、部活動指導者の重過失を認めた裁判所の判断が確定しました。これを契機に、公立高校の加熱した部活動、とりわけ体育系の部活動のあり方を根本的に問い直す契機になって欲しいと願うばかりです。
裁判を報道した大分合同新聞の記事を紹介します。
小池新党の立ち上げによって、政局は大混乱を見せているようです。
まず、民進党、共産党、社民党、自由党の選挙協力体制は雲散霧消し、共産党と社民党は梯子を外されてしまったようです。これはむしろ良かったのではないかと思います。共産党は連立政権の実現のために譲歩しすぎていたように思います。やはり共産党は自らの主張に正直に行動すべきであると考えます。社民党とて同じです。共産党と社民党は当面は政権党になるなどということは考えずに正論を正論として主張する政党であることを貫くことがその存在意義であることを自覚すべきだと考えます。
問題は民進党の崩壊です。小池は筋金入りの保守政治家ですから、小池新党はあくまでも保守政党です。民進党からの鞍替え組に対して保守の踏み絵をさせることを言明していますから、民進党の左派は小池新党に合流することはないでしょう。民進党が解党し、小池新党にも行けない左派は自ら新しい組織を作ることになるのでしょうか…。
さて、ここで言う小池のイメージする保守とは、外交的に日米安保条約による同盟関係を基軸とし、自衛隊による軍事力による防衛政策を堅持することのようです。本来的な意味の伝統文化に根ざし、大きな社会変化を行わないという意味の保守主義とは随分と違ったものです。小池のイメージする保守主義とは、つまるところ敗戦国日本と戦勝国米国の不平等な日米安保体制を堅持して、米国の属国として虎の威を借りて行く国家ということでしょう。
さて、安倍政権下の日本の問題の本質は、安倍の戦前回帰のファシスト体質と、憲法を無視し、国会を軽視し、制度を私物化しているところにあります。この安倍政権はどのような手を使ってでも早急に終わらせることが必要です。その点で民進党の前原の主張は非常によく理解できます。安倍政権打倒という一点に絞れば自公以外の全野党共闘があっても良いと考えます。小池新党の登場によって安倍ファシスト政権が打倒できるならば、これは良いことだと考えます。
しかし、仮に小池新党を軸とする政権ができたとしても、日米軍事同盟を基軸とする米国隷属的な政権になることは変わりません。小池は決して穏健な保守主義者ではありません。日本で初めて女性による防衛大臣を拝命し、あの安保関連法制の強権的な成立にも賛成していたことを忘れてはいけません。
政権党になるかどうかにかかわらず、小池新党の登場によって、機密保護法、盗聴法、安保関連法に対する批判的な意見は小さくなることが明らかです。また改憲勢力が大きくなることも間違いありません。どうころんでも、当面、民主的な平和国家日本の実現は難しいでしょう。
追記:
勿論、どのような形であれ、安倍政権を倒すことができれば、今回の総選挙はそれだけで日本にとって最悪の状況を回避するという意味で大成功であることに異論はない。
ただし、最近の東京都議会の運営や、今回の総選挙における小池百合子の言動や行動に見られる目に余る独断専行ぶりは大きな不安要因です。仮に安倍を引きずり下ろすことに成功したとしても、新たに安倍とは異なるタイプの強権的保守独裁政権になる危険性は低くないように感じます。
東京都の運営を見ても、小池百合子に既存の体制を破壊するパワーは感じるが、新たな枠組みを創造して運営していく能力は疑問です。彼女自身、ある意味でそれが分かっているから東京都は放り出して新たなステージを求めているのかもしれません。
取り敢えず、安倍政権の破壊は小池に任せても良いが、それを花道として小池にはできるだけ早く引退していただくことが良いように思います。
あまりにも酷い米国による北朝鮮に対する軍事的な挑発は、北朝鮮に先制攻撃をさせて、これを口実にして北朝鮮を軍事的に徹底的に破壊して体制を崩壊させることを狙っているのではないかと考えます。
このアメリカの軍事行動を盲目的に支持する安倍政権、これに追従するようなマスコミ報道を見るとやりきれない。またその報道を鵜呑みにして、米国正義、北朝鮮悪者論を疑うこともなく受け入れてしまう無能な大多数の日本国民を見ると、安倍にやりたい放題をさせておくこの国の現状は致し方ないのかもしれません。
米国は太平洋を挟んで反対側のアジアに多くの軍事基地を作り、1960年代以降、一貫して核兵器の使用をちらつかせながら北朝鮮を軍事的に威嚇し続けています。そんな米軍が北朝鮮周辺で軍事演習を行うことは軍事的な挑発行為であり威嚇であることは明らかです。米韓日の軍事演習は国連お墨付きの合法的な行為であり何の問題もなく、これに対して北朝鮮の核・ミサイル実験は国連決議違反の行為であり制裁の対象となるなどという建前論はバカバカしいとしか言いようがありません。
以下、天木さんのメールマガジンを紹介します。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2017年9月26日第775号
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目にあまる米国の北朝鮮に対する軍事的挑発
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米国防省がB1戦略爆撃機を北朝鮮沖の国際空域を飛行したと発表した。
ご丁寧に、この飛行は、南北休戦ラインである非武装地帯から「今世紀では最も北の空域を飛行した」と発表している。
あの太平洋戦争を体験した事のある人にとっては爆撃機と言えばB29だ。
国際法に違反して日本全土を無差別爆撃して焦土にした爆撃機だ。
その後、米国の爆撃機は進歩を重ね、爆撃を表すBを頭に様々な数字の爆撃機が開発されてきた。
そのもっとも破壊力のあるのがB1である。
それを北朝鮮の領空近くまで威嚇飛行させ、それを堂々と公表している。
もし米国と北朝鮮の立場が逆なら、米国は即座に撃墜しただろう。
ことほど左様に、米国の軍事活動は威嚇に満ちた悪意のあるものだ。
北朝鮮の外相は「明白な宣戦布告」だと反発した。
「(米側が)宣戦布告した以上、戦略爆撃機が我々の領空に入らなくても撃ち落とす権利を含め、あらゆる自衛的対応を取る権利を考慮することになる」と警告した。
これは決して間違ってはいない。
表現を慎重に選んだこれ以上ない外交的反撃だ。
しかし、安倍首相は、だから北朝鮮は許せない、さらなる圧力をかけるべし、あらゆる選択がテーブルにある、となる。
そして世論もその言葉に納得する。
しかし、戦争の危機を不必要にあおっているのは米国の方なのだ。
北朝鮮の有事は何としてでも避けなければいけない。
そのためには圧倒的軍事力を誇る米国の方こそ自制すべきなのだ。
それなのに、そんな米国の尻馬に乗って、あるいは米国をけしかけ、北朝鮮の脅威を解散・総選挙の理由にした安倍首相は許しがたい憲法9条違反の首相だ。
日本国民を不当な戦争に巻き込もうとしている国民の敵だ。
その事を私は21区で訴えるつもりだ。
こんなことを選挙演説で訴える候補者は、全国ひろしと言えども、私一人に違いない。
安倍自民党の候補者はもとより、小池新党の長島昭久候補も安倍首相と同じように北朝鮮を敵視して非難するに違いない。
いや、共産党の候補者ですら、世論に迎合して、票を失いたくないから、そんなことは言わないだろう。
そんな中でただ一人、私は、いまこそトランプの米国が必要としているのは憲法9条の精神だと叫ぶつもりだ。
トランプの米国が率先して憲法9条の精神を実践すれば、世界は平和になると訴える。
その私の言葉を日本のメディアが報じなくても、世界のメディアが世界に向けて配信するだろう。
私は21区を全国一の注目選挙区にして見せる。
いや、世界が注目する選挙区にして見せる(了)
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2017年9月27日第780号
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米に「北朝鮮特需」と書いた毎日新聞
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きょう9月27日の毎日新聞に、「米に『北朝鮮特需』」という見出しの記事を見つけた。
その記事は、米上院が9月18日に、2018年会計年度の国防予算の大枠を決める国防権限法を89対9の圧倒的多数で可決したと言う記事だ。
北朝鮮が開発を急ぐ核・弾道ミサイルに備える予算が上積みされ、政府案を600億ドルも上回った7000億ドル(77兆円)だという。
主要軍需産業の株も軒並み上昇しているという。
そこに列挙されている装備はF35戦闘機など、日本が導入を予定しているものが目につく。
北朝鮮との戦争が起こらないのにこの特需だ。
戦争が起これば、ますます需要が増すだろう。
戦争で金儲けする軍産複合体の米国の真骨頂だ。
その米国との軍事同盟を最優先し、財政負担のしわよせを受けるのが日本だ。
あまりにもわかりやすい日米関係である。
この関係を断ち切らなければいくら働いても日本国民は楽になれない(了)
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パリ協定によって、温暖化対策として人為的CO2放出量を限り無く少なくすることを求めています。しかしながら、現在の工業化社会を駆動しているのは石炭、石油、天然ガスという化石燃料です。化石燃料を全面的に代替できるような新たなエネルギー供給技術は存在しません。したがって、人為的なCO2放出量を劇的に削減することは不可能です。これは自然科学的な必然であって、今更検討する必要もない事柄ですが、大多数の人々はそれが理解できないのです。一体学校の理科教育は何を教えているのでしょうか?
現在言われている石油代替の再生可能エネルギーなど、まやかしに過ぎません。既に繰り返しこのHPでは太陽光発電や風力発電について、発電燃料としては化石燃料を使わなくても、製造・運用に莫大な化石燃料が必要であり、総合的に見ると化石燃料消費はむしろ増加し、その他の地下資源消費量が爆発的に大きくなることを述べてきた通りです。今回はもう少し違った角度から石油消費量削減の可能性について考えることにします。
この夏、フランスとイギリスが相次いで2040年までにガソリンエンジン、ディーゼルエンジン車の製造を全面的に禁止する方針を打ち出しました。なんと愚かな目標でしょうか。フランスやイギリスでは非内燃機関の自動車として主に電気自動車の導入を想定しているようです。
まず、電気自動車を駆動する電力は主に原子力発電、火力発電で生産されており、火力発電は言うに及ばず原子力発電とて化石燃料の大量消費なしには供給できません。更に、再生可能エネルギーによる発電のような低効率の発電装置を使えば、化石燃料消費は増大する可能性のほうが高いというのが、この間の経験からわかっています。この点については既に説明済みなので最早説明の必要もないと考えます。
今回のフランスとイギリスの決定は、自動車駆動系の運用から直接放出するCO2の量を削減する意味しかありません。もし自動車駆動用のガソリンや軽油の消費が減れば、単純にそれだけ石油消費量が減るのでしょうか?
現在の化石燃料の消費による工業化社会が少ないムダで効率的に運用されているのは、化石燃料、特に原油が様々な用途に利用され、無為に廃棄されること無く効率的に使い尽くされていることで、環境をそれほどひどく傷つけることが無いからです。
原油は多様な炭化水素化合物の混合物であり、沸点の違いを利用して様々な成分に分留されて利用されます。原油の性質は産油地によって大きく異なりますが、例えば次の表に示すような比率です。
化学製品の原料であるナフサは現在の工業製品製造に不可欠です。また、航空機の使用は今後増大することはあっても縮小することは考えにくいことです。陸上を走る車の駆動系として電動モーターは実用化されましたが、航空機を電動モーターで駆動することは将来的にも不可能でしょう。つまりジェット燃料消費が減少することはありえないでしょう。
単純に原油を精製すれば石油ガスから重油、アスファルトまでが一定の比率で生産されます。ガソリンと軽油の消費だけが減少することになると、需給バランスが崩れてしまいます。世の中からガソリンエンジンやディーゼルエンジン車が駆逐されてしまえば、ガソリンや軽油は経済価値を失い、廃物として環境に廃棄されるのでしょうか?もしそのようなことをすれば環境が汚染されることになります。
実際には、ガソリンや軽油価格は低下するでしょうが、そうすればフランスやイギリスなどの先進国の自動車以外の燃料として消費されることになるでしょう。結果的に先進国の自己満足としてガソリンエンジンやディーゼルエンジン車からのCO2放出が減ったところで、世界全体を見ればそれによってCO2放出が劇的に減少する可能性は皆無だと考えるべきでしょう。