明治以降、第二次世界大戦敗戦までの日本の歴史は、血塗られた周辺諸国への侵略の歴史でした。現在に生きる我々日本人が、周辺諸国に許され、受け入れられるためには、この原罪を深く記憶・継承し、その反省の上に立った外交を行うことが基本であると考えます。これは自虐的な後ろ向きの行為ではなく、日本の現在、そして将来において、われわれ日本人自身が過去に犯した過ちを深く学び、二度と過ちを繰り返すことながないように自らを律するための指針として、そして周辺諸国から信頼される国になるいという積極的な意味を持つことです。
しかしながら、戦後日本、特に保守党政権は第二次世界大戦までの侵略行為を本質的には反省せず、出来得ることなら、加害者としての戦争犯罪を歴史から抹殺しようとしています。特に、日本会議やこれに近い現在の安倍ファシスト政権は、露骨に戦争を美化し、終戦以前の日本を「美しい国」として復活させようとしています。
おそらくその一環として、経済的な見返りによって俗悪な朴槿恵政権を利用して、当事者や韓国国民を無視する形で慰安婦問題に対して雀の涙の経済的見返りで、慰安婦問題を終結させる=歴史から抹消しようと画策したのでしょう。
しかし、当然のことですが、戦争の加害責任に対して賠償金を支払い経済的な援助を行ったとしても、日本軍の行った韓国女性に対する侮辱的な行為や中国における虐殺行為などの歴史的事実がなくなることなどはなく、加害者たる日本は謝罪し続け、その反省の上に立って周辺諸国と付き合うしかないのです。文在寅大統領の言葉を借りれば「加害者である日本政府が終わったと口にしてはならない」のです。
ところが、戦後日本、とりわけ現安倍ファシスト政権は、敗戦までの侵略行為を反省することなく、世界で最も凶暴で傲慢な米国と軍事同盟を強化し、再び東アジアにおける覇権国家となろうと画策しています。それが、今回の慰安婦問題に対する文在寅の発言に対して、菅官房長官の即座の傲慢な批判となって表れています。また、オリンピックを機に文在寅政権が北朝鮮と外交関係を進めようとしていることに対して、第三者であることも省みず日本政府の勝手な立場から傲慢に批判するという態度に現れています。誠にみっともなく、醜悪の極みというべき対応です。
欧州において、日本と同じような戦争加害者であるドイツは、戦後70年以上が経過してもナチスドイツの戦争責任を追及し続けており、戦後の対応の立派さが、信頼を勝ち取り、尊敬されているのであろうと考えます。翻って無様な日本政府にすり寄るのは、ジャパンマネーの恩恵を受けんがための付き合いばかりであり、最も経済関係が強いお隣の韓国でさえ、全く信用を得られていない状況は象徴的だと考えます。
今回の『3.1独立運動』記念式典での文在寅大統領の演説は、まさにこうした安倍・河野・菅ファシスト政権の侵略戦争を全く反省していない傲慢な政治姿勢を見事に見透かしているというべきでしょう。菅に代表される日本政府の反応に対して、批判的にとらえるマスコミが皆無である日本は、官民ともども傲慢というしかないでしょう。
久しぶりに福島原発についてです。2013年5月に決定された福島第一原発からの放射能高濃度汚染水の流出を削減するための切り札として導入された凍土壁について、3月1日にその効果についての初めての報告が行われました。まず新聞記事を紹介しておきます。
このコーナーでは、当初から凍土遮水璧の有効性に対して批判し続けてきました。例えば、
No.916 (2014/03/11)
東電・福島第一原発事故から3年・・・
No.929 (2014/04/19)
混迷を続ける福島第一原発汚染水処理
No.949 (2014/08/25)
福島原発・放射性物質の拡散が止まらない
No.1133 (2016/09/06)
東京五輪の馬鹿騒ぎの陰で福島原発の今は?
鳴り物入りで導入した汚染水問題解決の切り札=凍土壁の破綻
予想通り、凍土遮水璧の効果は限定的であり、相変わらず放射能汚染水は海洋に垂れ流され、環境を汚染し続けています。しかも、凍土壁は新聞記事にあるイニシャルコスト約350億円だけではなく、今後運転し続けるためには年間10億円以上のランニングコスト(主に電気料金)が国費から投入し続けられることになります。なんとふざけた話でしょうか!?
福島原発事故から7年間が経過しようとしているのに、放射能の環境への拡散を抑えるというもっとも初期段階の事故対応すらまだ完了できないこの日本という国の原子力事故対応能力の低さは目を覆いたくなるほどです。このような国に、これ以上原子力発電を継続させるべきではないことは議論の余地はないと思うのですが…。「現実的には原発再稼働は致し方ない」などと宣う、我が能天気な非科学的・論理的思考を停止してしまった国民は、度し難いとしか言うほかないようです。
2018年1月から2月の異常寒波によって日本の各地で大きな被害が発生しています。今回の日本の異常寒波に限らず、2000年代に入って世界各地で異常寒波の観測の報告が増えています。
この事実と真っ向から対立するような、IPCCによる温暖化の脅威を煽る特別報告書が作られているようです。さすがに今回の日本の異常寒波による被害発生という事実を「忖度」したためか(笑)、いつもならば新聞一面に写真付きで報道されるであろう内容が、大分合同新聞の17日朝刊の7面に地味な目立たない記事として扱われていました。
記事で見る限り、相変わらず高温、洪水、海面上昇といった言葉が羅列されているだけの無内容なもののようです。IPCCの記事を見ると、いつものことですが、産業革命頃の地球がまるで理想的な環境であったように思えるかもしれませんが、歴史的な事実としては当時は「小氷期」と呼ばれており、完新世で最も寒冷で人間社会にとって過酷な時代であったことを確認しておきたいと思います。温かくなることは好ましいことなのです。
むしろ心配なのは、2000年頃から太陽活動が不安定化して、寒冷化していることの方です。今回の寒波で如実に示されたように、この温帯の日本であっても、少し寒冷化するだけで農作物生産の減少に直結し、物流システムが麻痺状態になり、石油燃料消費量が増大するなど、社会生活に大きな影響が出るのです。
この問題についての議論は散々やってきたのでこの辺にしておきます。さて、IPCCの報告ではCO2排出量を削減すること、「今世紀半ばまでに温室効果ガスの排出をゼロにする」必要があると繰り返し述べていますが、そんなことが現実的にできるのか、一切科学技術的な検証が行われていません。
IPCCや日本政府の言う「脱炭素化」を実現するための最低必要条件を検討するだけで、IPCCの目標は実現不可能なことはすぐわかることです。
その最低必要条件とは、化石燃料を一切使わずに鋼材をはじめとする現在の産業社会を構成するために必要な基本的な資源を供給し、化石燃料を一切使わずにこれを駆動するためのエネルギー供給を行うことです。もっと簡略化するならば、化石燃料を一切消費せずにIPCCや日本政府が言うところの再生可能エネルギーと呼んでいるエネルギー供給システムを拡大再生産可能であることを示すことです。
このホームページで検討してきたように、既存の石油を始めとする化石燃料消費によるエネルギー供給システムを再生可能エネルギーで置き換えることによって、社会システム全体で必要な鉱物資源量、そして化石燃料消費量も爆発的に大きくなることは必定です。No.1215で紹介した燃料電池車の失敗はその典型的な一例です。
再生可能エネルギーへの転換で「脱炭素化」ができるなどという夢物語で一体いつまで大衆をだまし続けるつもりなのでしょうか。愚かな大衆は一体いつまでこんな与太話を信じ続けるのでしょうか?
私は、オリンピックについて何の幻想も持っていません。オリンピックが「非政治の平和の祭典」などというお題目はそもそも画餅にすぎないと考えています。歴史的に見て、オリンピックの開催は開催国の国力のアピール、競技の勝利は国威発揚の絶好の機会として利用されていることは、今更言うまでもないことです。
今回の平昌オリンピックを機に進められている北朝鮮と韓国の融和・対話による朝鮮半島の緊張緩和に対して、日米同盟が横槍を入れていることこそ「平和の祭典」にとって最も似つかわしくない「極めて政治的な態度」であり、せっかくの朝鮮半島の緊張緩和の動きに対して水を差す愚かな行為です。愚かな安倍−河野ファシスト政権を忖度したすべての大手新聞がこぞって北朝鮮と韓国の対話に否定的な報道をしている日本は、誠に情けないとしか言いようがありません。
河野太郎について触れておきますと、米国の使える核兵器開発路線への方針の明確化に対して、おそらく世界で唯一、100%の支持を表明しました。つまり、世界で最も核兵器を実践において使用する可能性の高い軍事戦略を持つ米国を100%支持する安倍−河野ファシスト政権は、最も核兵器廃絶から遠いところにいることを表明しているのです。聞くところによると、核兵器使用戦略について米国の行動を追認したのではなく、むしろ先導したのが安倍−河野ファシスト政権による強い要請であったと言います。つまり、日本は自己で核兵器を持っていないだけであり、その使用戦略においては、米国以上の最悪の国家だということです。
さて、北朝鮮と韓国との緊張緩和の問題は第一義的に当事者同士の問題であって、米国や日本が口をさしはさむ問題ではありません。日本は隣国として、朝鮮半島の緊張緩和することこそ最大の利益であり、オリンピックを契機に開始された北朝鮮と韓国との対話路線を支持し、側面から支えていくことこそ重要です。米国が朝鮮半島から撤収することこそが、本来あるべき姿であることを認識すべきです。
蛇足ですが、どのような圧力をかけたとしても、米国や日本のように核抑止力が必要だという国家が存在する限り、北朝鮮が一旦獲得した核兵器技術を放棄することなど在りえませんし、例え外面的に放棄したと言ってもその技術を消し去ることはできないことは説明の余地もないことです。これを消し去るためには北朝鮮という国家を消滅させるしかありませんが、そのようなことが許されるはずがありません。既に核兵器を保持した北朝鮮を前提とした現実的安全保障の枠組みを構想するしかないのです。
以下、この問題について、天木さんのメールマガジンを紹介しておきます。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2018月2月11日第122号
=============================================================
南北融和を歓迎できない日本に9条護憲を語る資格はない
=============================================================
9日夜の平昌五輪開会式を見て、平和と南北統一を訴えるその思いに、私は圧倒された。
翌10日には、金正恩は妹の金与正に親書を託し、文大統領を招聘した。
「私が特使です」
「これが金正恩の意思です」と金与正に言わせて。
両首脳が会えば解決できないことはない、と言わんばかりだ。
朝鮮戦争が停戦されて以来、南北融和の気運がここまで高まった時はなかった。
この機会をさらに発展させていけば、南北統一も夢ではない。
逆に、もしこの機会を生かす事が出来なければ、南北統一は遠のき、戦争が起きることすらあり得る。
そう思わせるほどの歴史的分水嶺に我々はいま立っている。
米国が南北融和を望まないのは当然だ。
アジアを分断し、戦争状態にしておかないと、米軍をアジアに駐留させる根拠がなくなる。
米軍を国内に封じ込めていては、国が成り立たない。
それが米国という国だ。
しかし、日本が南北融和を望まない理由はどこにもない。
ましてや憲法9条を世界に掲げる日本は、いまこそ世界のどの国よりもこの動きを歓迎し、支援すべき国である。
しかも日本には朝鮮を侵略した負の歴史もある。
いまこそ日本はこの歴史的南北融和の動きを、隣国として最大限に支援すべきだ。
ところがどうだ。
きょう2月11日の各紙の社説は、金正恩のほほえみ外交に警戒一色だ。
対米従属の安倍首相が水を差すのはわかる。
安倍首相を応援する読売や産経がそう書くのはあたりまえだ。
しかし、朝日も毎日も、東京も、「非核化の目標を堅持せよ」(朝日)、「平和攻勢に惑わされるな」(毎日)、「南北だけを先行させるな」(東京)などと注文をつけている。
一億総警戒だ。
一億総北朝鮮憎しだ。
そして、文在寅大統領に対する一億総反発だ。
この国は、憲法9条を語る資格はない。
しかし、1億を超える日本国民の中には、私のように、今度の南北融和の動きを全面的に歓迎し、文在寅大統領の英断を褒め称え、そして金正恩に、北朝鮮の核はアジアに向けられることはない、北朝鮮の核は韓国と共有する、そう宣言させたい、と考える国民は必ずいると信じている。
本当にそう願う100万人の国民がいれば、その国民と共に、新党憲法9条を実現することを私はあきらめない。
戦争国家の米国をアジアから叩き出し、南北統一の韓国と、軍事覇権国中国を憲法9条を掲げて説得し、戦争に満ち溢れた今の世界から、少なくとも東アジアだけは解放する、東アジアに恒久的平和体制を構築してみせる、そんな外交・安保政策を正面から日本国民に訴える政党こそ、これからの日本の政治に必要なのである。
それを教えてくれた平昌五輪である(了)
────────────────────────────────
購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、
メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com
までご連絡ください。
────────────────────────────────
編集・発行:天木直人
登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/
2018年2月6日付の大分合同新聞朝刊の経済面に「こっそり」(笑)、小さな囲み記事がありましたので、まず紹介しておきます。
この記事にあるように、2015年の初めには、トヨタの量産型の燃料電池車「ミライ」の市場投入を機に、官民挙げての燃料電池車普及の大キャンペーンが行われたことは記憶に新しいと思います。
発売当初は、愚かな日本政府やお調子者の地方自治体によってトヨタの予想以上の受注があったようですが、その後はまったく普及していないのが実情です。
この問題については、このコーナーにおいて2015年1月19日〜同年2月9日にかけて6回の連載として技術的な問題を取り上げましたので、詳しくはそちらの記事をご覧いただきたいと思います。
結論的に言えば、熱力学におけるエントロピー増大の法則、つまり、迂回度が大きく多段階のエネルギー変換過程を含むエネルギー供給システムは、最終的に利用可能なエネルギーを得るために、それだけ多くのエネルギーと資源を浪費することになり、その結果として価格が高くなり、使い物にならないということを実証してくれたということです。
しかしこのことは、2015年の連載でふれたとおり、まともな技術者であれば今回のような「実証実験」(笑)を行う必要もなく、机上の論理的な検討によって十分理解していたはずです。愚かな政府の「高給官僚」(笑)とカネに目のくらんだトヨタの経営者によって多くの国民の血税がドブに捨てられることになったのです。
こうした高い授業料を払った経験を他山の石として生かして、再生可能エネルギーの大量導入や原子力発電の維持などという愚かな国家政策は直ちに放棄すべきです。
大寒以降、異常に寒い日が続いています。還暦を過ぎた年寄りには(笑)寒さはこたえます。老人ではなくとも、異常寒波や豪雪は人が暮らしていく上で大きな障害になることは、最近の毎日の報道を見ていれば説明の必要もないでしょう。多少暑いのはしのげても、寒冷化はすぐに食糧生産の減少、流通の障害、はては人命にもかかわる死活問題に直結するのです。
温帯の日本でもそうなのですから、欧州の大部分、ロシア北極圏の国々、北米大陸の冷涼な場所に住む人々にとって、寒冷化は重大な問題のはずです。守銭奴になった愚かな気象学者やエコ産業の口車に乗って、温暖化の脅威を未だに叫び続けている人々は何を見ているのでしょうか?まあ、彼らに言わせればこの異常寒波も地球温暖化のせいだというのでしょうが(笑)。
この写真は今朝の別府市後背の山並みの写真です。この数日、別府も最高気温が0℃台と冷え込みが続いています。これだけ寒い日が続くのは、私が小・中学生だったころ、1960年代から1970年代の寒冷だった時代にもそれほどなかったように思います。昨日からは水道管の凍結が心配で室外の水道の蛇口には防寒対策の布を巻きましたが、それでも少し凍ったようです。
庭では、15mm程度の立派な霜柱ができていました。この寒波のおかげで庭や菜園の植物たちも霜害を受けています。ずぼらなもので、あまり庭や菜園には手をかけていないため、防寒などついぞ考えていませんでした。
裏庭に植えてある柑橘もあまりの寒さに、ここ数日で多くの葉を落としてしまいました。写真はカボスの枝の状況です。
さて、年末には「NASAによると2017年は観測史上2番目に暑い一年」だったという報道が流されました。観測史上といったところで高々100年あまり、近年の情報と比較しうるような観測資料があるのは第二次世界大戦以降でしょうから、観測史上2番目の暑さなどというのはさほど大した情報ではありません。まして、現在の世界の主要気温データベースには人為的な作為が働いていることは公然の事実ですから、観測史上2番目などという事には何の信頼性もありません。
上図は、グリーンランドのGISP2によるアイスコア分析から得られている北半球の最近10000年間程度の気温変動曲線ですが、現在の間氷期は3500年ほど前のミノア(Minoan)温暖期をピークに、既に気温下降局面に入っています。現在は気候最適期と呼ばれている時期に比較して3℃ていども気温が低下しているのです。古代文明が栄えた完新世気温最適期は現在よりもはるかに高温だったのですから、多少の温暖化は歓迎すべきことですが、「人為的CO2地球温暖化脅威論」が言うような破滅的な状況をもたらすことなど到底在りえないことなので、何の心配もいりません(笑)。
上図は、GISP2のアイスコア分析から得た気温復元図をもとに作成された近似曲線(緑色の曲線)と、これを2900年まで外挿したものです。これを見ると、西暦2000年付近は、ミノア温暖期、ローマ温暖期、中世温暖期というほぼ1000年間周期で現れる気温極大期に当たっており、特段人為的な影響を考える必要はなく自然変動としてごく自然な高温期であると考えられます。
むしろ問題なのは緑の曲線が予言するように2000年以降、寒冷で過酷であった14〜19世紀の小氷期(Little
Ice Age)よりもさらに過酷な寒冷期が訪れることが予測されていることです。
上図に示すように(出典:CRU3#-The next step, by Jeff Id, 2010.1.3による無補正気温データを用いた世界気温偏差)、すでに西暦2000年以降、気温は低下傾向を示しており、また今回も含めて異常低温の報告が頻発するようになっていることは大きな懸念材料です(例えばWikipedia「寒波」によると、2000年代以降、日本においても世界においても異常寒波の頻度が明らかに多くなっている)。
追記(2018.01.27)
今朝の庭で見つけた霜柱です。昨日の霜柱が解けることなく更に2段目の今朝の霜柱が重なっていることが分かります。この霜柱は家の南側で採取したものです。昨日の日中も地表面温度はほとんど0℃以上にならなかったことがよくわかります。
文在寅政権による慰安婦問題の見直しが行われています。日本政府、そして大多数の報道機関、マスコミの論調は、安倍ファシスト政権の主張を忖度したもので、「安倍政権と前朴槿恵政権との間で交わされた慰安婦問題に対する日韓合意において本質的・不可逆的に解決した。政権が変わったからと言って国家間の正式な合意を見直すことは不当であり、文政権による慰安婦問題に対する追加の要請には一切応じない。」というものです。
既にこのHPでは慰安婦問題は日本軍によって行われた歴史的事実であり、例え賠償を含めた政治的な対応が行われたとしても、それによって過去の犯罪をなかったことにすることはできないし、自戒し、謝罪し続けなければならないものであると述べてきました。
安倍ファシスト政権をはじめとする戦前を美化しようとするアナクロニズムの保守主義者たちは、日本軍の恥部の一つである慰安婦問題をなかったこととして歴史から抹殺しようとしています。安倍ファシスト政権はこうした思惑から、前朴槿恵政権との間に微々たる賠償金を支払うという条件と引き換えに韓国国民の民意を無視して合意文書を取りまとめたのです。
慰安婦問題についてはここではあまり深く触れるつもりはありません。国家間の条約や合意文書が、果たして絶対不可侵なものなのかどうかという観点から考えたいと思います。
既に少し触れましたが、前韓国朴槿恵政権は汚職問題などでも知られるように、我が安倍ファシスト政権同様に、政治を私物化して国民を無視した政権運営を行い、政権の座を任期途中で去らざるを得なかったでたらめな政権でした。朴政権が打倒された現在、韓国国民世論を受けて朴政権で行った国家政策を見直すのは民主主義国家として当然の行動であり、国際条約であろうと、外交的合意文書であっても例外はありません。
安倍ファシスト政権やマスコミは、どんな政権であろうと一旦交わされた国家間の条約や合意文書を見直すことなど言語道断だなどと述べていますが、そのようなことはありません。これを認めれば、不平等条約や理不尽な日米地位協定は未来永劫不変となり、日本は永久に米国の属国であり続けなければならないことになります。そんな馬鹿な話はありません。
安倍ファシスト政権のでたらめな主張やこれを忖度したマスコミによる合作である「慰安婦問題日韓合意見直しは国際関係のルールを逸脱した言語道断の暴挙」という主張は、慰安婦問題をなかったことにして歴史から抹殺したいという手前勝手な思惑を正当化するためのご都合主義の屁理屈であり、このような主張にまんまと丸め込まれてしまう愚かな日本国民の圧倒的多数が安倍ファシスト政権を支持している状況は、恐ろしいことです。
昨日朝のTBSの「サンデーモーニング」を見ていて、非常に違和感を持ちました。比較的理性的な主張をするコメンテーターがいたように思いましたが、慰安婦問題に対する文政権の見直しについて、ほとんど全員が安倍ファシスト政権に同調して見せたのには唖然としました。元保守党議員秘書や外務官僚崩れ、経済評論家は致し方ないとしても、反安倍色の強かった青木理の態度は全く幻滅でした。そう思っていたところに天木さんのメルマガを受け取りましたので、紹介しておきます。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2018月1月15日第47号 =============================================================
全員で韓国叩きに走った14日朝のサンデーモーニングの衝撃
=============================================================
およそテレビの政治番組は、読売、フジ、NHKといった御用番組はもとより、リベラルを売りにしているものですら、時の政権を正面から批判しなくなったが、きのう1月14日朝のTBSサンデーモーニングには心底驚いた。
日韓合意の見直しを求めた文在寅大統領の韓国を全員で袋叩きした。
民主党政権を相手にするな、と米国務省に伝えていた事がウィキリークスで暴露されて大恥をかいた藪中元外務次官が韓国批判をするのは当たり前としても、関口宏をはじめとした全員が韓国批判をした(ただひとり、女性の人権重視はいまや世界的な動きだ、と語っていた女性解説者を例外として)
リベラル役を一手に引き受けている青木理ですら、奥歯に挟まったような言い方で、せっかく安倍政権は2年前に10億円の政府拠出をするという英断を見せたので、ここで日韓関係を悪化させるのはもったいない、などと、訳のわからない事を言っていた。
いまや老醜が隠せなくなった田原総一朗に代わって電波芸者の後を継いだ観のする青木理の正体見たりだ。
どうして、「あの日韓合意はいかさまだった。だから、朴槿恵政権の失脚と共に韓国国民の手で無効にされるのは当然だ」、と言い切る者がただの一人も出て来ないのか。
そう思っていたら、今朝の読売新聞を見て驚いた。
安倍首相の追加要求拒否を支持する世論が83%だという。
韓国を信頼できないとする世論が78%であるという。
読売新聞の世論調査であることを割り引いても、この世論調査の数字は異常だ。
私のような事を言っている者は排除される事になる。
まさしく一億総安倍首相化だ。
安倍政権が、こんなに間違った政策を繰り返していても、それでも政権に留まっていられる理由がここにある(了)
────────────────────────────────
購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、
メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com
までご連絡ください。
────────────────────────────────
編集・発行:天木直人
登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私の人生において、おそらくもっとも暗澹たる気分の年明けになりました。昨年の安倍ファシスト政権によるだまし討ち解散は、おそらく自公両党にとっても予想以上の大勝利をもたらしました。野党勢力は四分五裂でまったく安倍ファシスト政権の暴走にブレーキをかけることが出来ませんでした。その状況はおそらく今後も変わらない可能性が高いと思われます。
最早国会はほとんど機能していない状態になっています。野党は国会から街頭に出て、直接有権者の意識変革を行うことに活動の主軸を置くべきだと考えます。
現状の日本の悲惨な状態は、直接的には安倍政権によって出現したことは間違いありません。しかしながら、曲がりなりにも自由選挙制度が機能している日本において、安倍政権を登場させ、政権の座に居続けさせているのは紛れもなく国民・有権者自身の責任です。本質的に日本をこんな状態にしているのは国民自身の責任なのです。
しかしながら、現在でも日本国民の多くは立憲主義の下で平和国家を求め、自由・平等、思想信条・表現の自由に対して大きな価値を認めています。このような国民がその対極にある安倍ファシスト政権に対して高い支持率を示す現状は不条理です。この状態を出現させているのは、国民有権者が、自ら主権者であることを放棄し、国家の在り方について思考を停止し、その結果として非論理的な選択を行っていることに起因しているのです。
安倍ファシスト政権を打倒するためには、国民・有権者が思考停止状態を脱して、主権者としての責任を全うすべく自ら考え、主体的に判断していくこと以外にないと考えます。