No.1414に続いて、天木さんのメールマガジンから統一教会と自民党の根深いつながりについて紹介します。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年8月18日第379号
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https://foomii.com/00001
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加治康男が書き続ける統一教会問題の核心
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以下に、読者の投稿が教えてくれる、加治康男氏が書き続ける統一教会問題の核心について、要旨を引用したい。
大手メディアがこの加治氏の書いている事を連載すれば、国民も統一教会問題の深刻さに気付くだろう。統一教会問題の真の解決とは、戦後の日本政治からの決別、つまり日米安保体制からの決別であることがわかる。
自民党はもとより、日米安保に反対できない野党や、日本国民が受け入れない共産党に、統一教会問題の真の解決ができない理由がわかる。
大手メディアが加治氏が毎日書いている事を、知らないはずがないのに、一切言及しない事がわかる。
引用開始
統一教会の評判は韓国、米国ではさほど悪くない。
異様な手口でひたすら金を巻き上げられたのは日本だ。霊感商法は1980年代に日本で社会問題化し、90年代に入ると信者に献金を強制する形に激化した。安倍元首相銃撃事件の山上容疑者の母親が教会に1億円もの献金をして自己破産、家庭崩壊したのもこの時期だ。
日本経済が金融バブルを迎え絶頂に達したこの頃、米権力中枢は、米国の脅威となった経済大国日本の弱体化に着手した。統一教会は米CIAとKCIAによって作られた宗教団体を装った政治団体であり、霊感商法被害や献金強要は、統一教会を介した米国の対日報復、バッシングの一形態でもあったのだ。
違法、異様な手口で日本人から金を吸い上げた統一教会が、日本の政権与党自民党に一貫して支援した。これが最大の問題である。
CIAは巣鴨拘置所にA級戦犯として拘留中の岸信介に接触を続け、米国に絶対逆らわないこと、日本を共産主義から守る防波堤とする政治活動に徹すること、を条件に1948年末、岸信介をGHQに釈放させたことは確実だ。
岸は1955年に保守合同で結党された自民党の傍流だったが、派閥の領袖となり、今日の清和政策研究会(清和会)の源流を育んだ。
1974年5月、文鮮明が東京・帝国ホテルで開いた「希望の日晩餐会」は、岸が名誉実行委員長を務め、約2000人が集り、自民党国会議員40人が出席した。岸派閥の後継者で当時の福田赳夫蔵相は「アジアに偉大なる指導者現る。その名は文鮮明である。」とスピーチ、文と抱擁を交わした。福田は1976年に首相となり、その福田の派閥後継者が安倍晋太郎であり、派閥「清和会」は、2000年の森喜朗内閣発足以来、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫が政権を掌握し、自民党最大の主流派閥となる。
1990年代半ば、統一教会による被害が多発し、大きな社会問題となったが、日本の警察は自民党の背後に米CIAやネオコン・米権力中枢の存在をひしひしと感じ取ったのであろう。
福田赳夫は首相時代に、前述の文鮮明礼賛スピーチを国会で追及される。その時の答弁は、「文鮮明氏が他にどういうことをしておるのか、そのことについてはいささかも承知しておりません」であった。
この虚言の系譜は44年後に赳夫の孫で三世議員福田達夫が行った、「旧統一教会と自民党の関係が批判されているが、『何が問題か分からない』」との発言に引き継がれてた。
統一教会との関係を秘匿することは岸の巣鴨拘置所からの釈放条件を固く守ることに通じる。巣鴨3人組の一人で右翼の大物・笹川良一は1970年、政治団体「国際勝共連合」のイベントに参加したアメリカ統一教会幹部に胸を叩きながら「私は文(鮮明)氏の犬だ」と語ったという。それは米権力中枢・CIAへの絶対忠誠を意味し、表に出ている統一教会のための裏の忠実なスパイ役・番犬であると自認したことになる。
米下院は
1976年から1977年にかけコーリアンゲートを究明する委員会を開く。議長ドナルド・M・フレイザー下院議員(ミネソタ州選出)の名をとってフレイザー委員会と呼ばれたこの調査委員会は400ページを超える報告書を作成した。
この報告の核心は「統一教会そのものが、KCIAにより『つくられた』存在であり、第二次大戦後にKCIAを設立した主要な機関はCIAである」、「ムーニーたち(統一教会信者)は米国の外交政策に影響を与える『政治的道具』としてKCIAと協力している」にある。統一教会は韓国人、キリスト教の仮面をかぶったCIA主宰の米国の反共政治団体なのだ。フレイザー委員会報告書は、文鮮明は名ばかりの会長であり、ダミーとみなしている。
統一教会がKCIA、CIA、ネオコンを動かす米権力中枢の『政治的道具』であるが故に、自民党、とりわけ「清和会」は絶えずその絶大な力に脅えて協力を余儀なくされてきた。こう見なさざるを得ないのだ。
引用終わり
私の家の裏庭にはささやかな家庭菜園があります。昨日珍しい花を見つけました。
花の形状からお分かりの方もいると思いますが、ミズバショウやザゼンソウと同じサトイモ科の花です。我が家では食用の「赤芽」を栽培しています。ただ、日本でサトイモの花が咲くのは比較的珍しいことのようです。私自身は生まれて初めて実物を見ることができました。
90歳を過ぎた古老は生きているうちにまた里芋の花を見ることができたと喜んでいるようです。この話と私の経験から、古老がかつて里芋の花を見たのは70〜80年ほど前の出来事ではないかと思います。
里芋の花は高温多湿の条件で開花するといいます。今年の夏は確かに高温で湿度も高いように感じます。古老の話から考えれば、70〜80年ほど前、西暦1940年前後も今年のように高温多湿の時期があったということなのでしょう。
これは、例えば上図に示す観測事実と合致しています。第二次世界大戦終戦の日は暑い夏の日であったと語り継がれています。
横ではテレビ朝日の朝の情報番組に出演している「気象の専門家」氏が今年の夏の高温と豪雨災害について、線状降水帯は昔もあったが、温暖化(勿論人為的CO2地球温暖化の意味なのでしょう)の影響でその規模や発生数が異常に多くなっているのだと素人相手に吹聴しています。
こんなまやかしを信じてはいけません。
まず、線状降水帯について、例えば過去の直近の温暖期であった1940年頃はまだ終戦前後の混乱期であり、線状降水帯を観測できるようなシステムは存在していません。線状降水帯が視覚的に観測可能になったのは地球観測衛星やレーダー網がある程度整備されたつい最近のことです。
さらに、例え温暖期に線状降水帯が頻繁に発生するとしても、その温暖な気候が人為的に放出されたCO2の影響であるなど、まったく科学的に証明されたことではありません。
日常的にこのような非科学による情報が大量に垂れ流され、それを扇動しているのが自然科学に携わる研究者自身という、日本の自然科学は悲惨な状況です。
岸田第二次改造内閣が発足しました。今回の組閣に大きな影響を与えたのが旧統一教会とのかかわりです。それにもかかわらず、すでに過去に旧統一教会とかかわりがあった人物が多数含まれていることがわかっています。旧統一教会と自民党、中でも安倍派との結びつきの強さは別格です。
我々の年代(60〜70歳)にとっては、反共組織である国際勝共連合=旧統一教会であり、その大学の実働部隊であった原理研究会による若者の洗脳問題を知らないものはないのではないでしょうか。
天木さんのメールマガジンに興味深い記事がありましたので転載します。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年8月10日第363号
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https://foomii.com/00001
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加治康男氏が教えてくれる統一教会と米国ネオコンの結びつき
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以下は、読者が教えてくれた加治康男氏の統一教会と米国ネオコンの結びつきに関する、直近のブログを私なりに要約したものである。
統一教会がネオコンと結びついたとは驚きと同時に、納得させられる。日本における統一教会騒ぎは茶番だ。日本はあらゆる意味で米国の隷従化にある。
この事については次のメルマガでさらに考察してみたい。
(以下要約開始)
8月6日広島、9日長崎、そして8月15日の敗戦と、戦後を回顧する季節がまた巡ってきた。安倍暗殺事件の衝撃は戦後日本政治の闇を白日の下にさらす絶好の機会を与えた。だが既成メディアはおざなりなマンネリ報道を続けている。
旧統一教会と自民党との関係に触れても、両者を生み出した冷戦構造下の米工作機関CIAがどのような役割を果たしたかには決して踏み込まない。戦後日本を半永久的に支配する自由民主党とは、米CIAやネオコンのパペット・代理組織である。この闇に触れるのはタブーなのだ。
1.統一教会の本拠はワシントン
1954年創立の統一教会は、1970年代になると米国を拠点に活動を始める。霊感商法でカモにした日本の信者から吸い上げた資金は、いったん韓国の本部に送られるが、その多くが布教を世界に広げるために軸足を置いた米国での活動資金に使われた。
統一教会がどれほどの金を集めたのか正確には不明であるが、文春は1999年からの9年間で計4900億円、年約500億円が日本から韓国に送金されたと報じている。
米ニューヨーク・タイムズによれば、1976年から2010年までの35年間に、日本で集められた資金のうち(韓国経由で)米国の旧統一教会に送金された額は36億ドル(4000億円)を超えているという。
1961年クーデターで誕生した朴正煕軍事独裁政権は、スパイ機関KCIA(中央情報部)を設立した。KCIAの初代局長金鍾泌は統一教会信者の増加に努め、後に首相にもなった。1963年に起案されたCIAの内部文書によると、「金鍾泌はKCIAの長官として統一教会を組織化し、2万7000人の信者がいる同教会を政治的なツールとして使っていた」という。CIA、統一教会、KCIAは一体なのである。
1972年に文鮮明がワシントンに拠点を移したのは、KCIAの勧めによるという。ワシントンを拠点にしたロビー活動の影響は世界に広がる。
韓国軍の将校から教団幹部となった朴普煕(1930-2019)とともに、文は米国で「ニューズ・ワールド」、「ニューヨーク・シティー・トリビューン」、米紙『ワシントン・タイムズ』を刊行、後にUPI通信までを買収した。
「韓米文化自由財団」、「カウサ・インターナショナル」、「世界平和連合」、「韓国文化財団」、「中南米統合機構」、「世界平和頂上会議」、「世界言論人協会」などを、多岐にわたるロビー活動の足掛かりにした。
2.米ネオコンとも一体化
米国内で影響力が急速に広がった。だが同時にこのカルト教団への懸念が、米政界で強まる。1977年にまとめられた米下院国際情勢委員会報告書によると、100人以上の米議会議員がKCIAと文鮮明による韓国のロビー工作に関与したと指摘されている。この騒動がいわゆる「コリア・ゲート」である。
米政界への接近は、リチャード・ニクソンに始まり、ドナルド・レーガン元大統領との親密な関係が取り沙汰され、CIA長官を務めたジョージ・H・W・ブッシュ元大統領は統一教会イベントに繰り返し登場した。米ワシントン・ポスト紙によると、1回の講演料は8万ドルを超えていたとみられる。
直近では2021年5月に旧統一教会の関連イベントに、いずれもマイク・ペンス前副大統領、マイク・ポンペオ前国務長官、マーク・エスパー元国防長官や潘基文・元国連事務総長らが登場した。
同年9月、ドナルド・トランプ前大統領も別の旧統一教会系のイベントでスピーチしている。
統一教会はブッシュ親子の取り巻きで冷戦後の米一極覇権戦略を実行した米共和党ネオコンのディック・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルト、ポール・ウオルフォビッツらとの関係も深める。彼らはブッシュ子政権の副大統領、主要閣僚としてジャパンハンドラーとともに小泉、安倍政権に自衛隊の海外派兵、米軍・NATOとの集団防衛を促していく。
3.清和会の興隆:ネオコン、CIA、統一教会
岸信介、福田赳夫、安倍晋太郎率いた派閥を継承する自民党清和会(安倍派)が、2000年の森喜朗政権発足以降、興隆を極めたのは、冷戦終結後の米ネオコン台頭と不即不離の関係にある。それを繋いだのが統一教会、CIAだ。
清和会が安倍晋三をいただき、吉田茂、池田勇人を源とする「宏池会」や田中角栄系の「経世会」など、かつての保守本流派閥を傍流に押しやり主流となったのはネオコン、CIA、統一教会の後ろ盾があったからだ。
換言すれば、ネオコン主導の2001年9月米同時多発テロに伴うアフガン侵攻、2003年イラク戦争遂行は、日本の保守政治の大転換を必要とした。
本格的な清和会内閣を率いた森後継の自民党総裁選絡みで小泉純一郎が「自民党をぶっ壊す」と啖呵を切ったのは「旧来の田中角栄系『経世会』や『宏池会』支配の自民党をぶっ壊す」ことに他ならず、小泉の発言は米ネオコンの代弁とみるほかない。もっとも、清和会が台頭する以前から統一教会は日本の政界との太い繋がりを印象付けていた。
脱税で、米国で実刑判決を受けた文鮮明は入管法の規定では入国できないはずなのに、1992年3月、当時の金丸信自民党副総裁の指示による超法規措置で日本入国を果たした。当時日本では統一教会の霊感商法が広がり、社会問題となっていた最中であり、自民党副総裁が超法規的措置を入管当局に打診するのは異常な出来事であった。金丸は1990年9月、社会党一行に自民党議員が加わる形で金丸訪朝団を結成、北朝鮮を訪問している。ある団員は、北朝鮮からの良質な砂利など建設資材の大量輸入の仲介で自民党建設族は大いに潤ったと明かした。
北朝鮮出身の文鮮明は91年末、ソ連崩壊と同時期に北朝鮮を訪問し、当時の金日成と会談、35億ドルの経済支援を約束した。以前から北に太いパイプを有していた文鮮明が金丸訪朝の仲介をし、それが文の日本入国を巡る超法規的措置に繋がったとみても大過なかろう。
4.統一教会の悲願:安倍政権誕生
日本の信者らの話によると、安倍晋三の父晋太郎氏が1991年に67歳で亡くなった時、統一教会幹部らは非常に無念がっていたという。1987年に中曽根康弘首相が退陣するにあたり、竹下登を後継指名したことは、日本の教団上層部に政界へのより深い関与を志向させた。統一教会と強く結びつく晋太郎の総理大臣指名挫折が、息子晋三への期待をいやがうえにも大きくした。
安倍は2006年9月20日予定の自民党総裁選挙への出馬に備えて新書『美しい国へ』を出版。50万部を超すベストセラーとなる。このタイトルは日本の統一教会初代会長久保木修己(1931-1998)の遺稿集「美しい国
日本の使命」から借用したものだ。
戦後最年少で日本の首相となった安倍晋三は「統一教会・自民党」政権を発足させたのだ。それは森、小泉と続いた自民党清和会政権を盤石なものにしようとする米ネオコン、CIAの後ろ盾、さらには人的、資金面での統一教会の支援がなければなりたたなかったはずだ。小泉が、閣僚経験も党要職も未経験の安倍晋三を党幹事長に抜擢、続いて官房長官に就かせた背景はここにある。
2007年に1年で退陣した安倍政権を2012年末に再登場させるに当たり、数多くの安倍応援団が組織される。5万人から6万人の統一教会の教団員が自民党員となり総裁選で安倍に投票し、日本会議を親米、反中団体へと変質させ、中国、韓国をヘイトするさまざまな刊行物・インターネット媒体が出現、学識者、知名人らの呼び掛けによる「安倍総理を実現する会」等々の結成があった。
それは、バブル経済崩壊後の日本の経済的衰退が米国の周到な策略であることを覆い隠し、怒りと嫌悪を、もっぱら台頭した中国に向ける米権力中枢の意向の反映であった。統一教会とその傘下の諸団体が、それと足並みをそろえたことに疑いの余地はない。
(引用終わり)
今朝の新聞でとんでもない記事を見ました。まず大分合同新聞2022年8月9日1面の記事を紹介します。
これは記事を書かないわけにはいかないと思っていたところに、久々に天木さんのメールマガジンが届きました。以下紹介します。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年8月9日第358号
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安倍よりはるかに危険で悪質な岸田(岸田政権で戦後政治が終る予感)
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台湾有事はすでに始まっている。
この危機意識こそ日本国民は持つべきだ。
政治家もメディアも有識者も、そのことを国民に教えなければいけない。
そう私は書き続けてきた。
しかし、現実はその逆だ。
ますます中国が悪者になっている。
政治家や外交・防衛の現役・OB官僚らが集まって、台湾有事のシミュレーションを始めた。
超党派の日華議員懇談会が来日中の台湾の国会議員と会い、安倍氏の遺志を引き継ぎ、これからも日台関係を深めていきたいとエールの交換をしている。
岸信夫防衛大臣は8日の記者会見で、安保法で決めた「存立危機事態」を想定した自衛隊の実動訓練を、米海軍と初めて合同で行ったことを明らかにした。
辞める前に、「後に続け」と置き土産したのだ。
そして、極めつけは、きょうの共同が報じた、「制服組、防衛予算を査定」という見出しのスクープ記事だ。
その記事の要旨はこうだ。
これまでは背広組の防衛官僚(文官)が自衛隊の要望を精査し、財務省へ要求して来た。
それを、これからは統合幕僚幹部も査定に参加させるというのだ。
軍事を最優先する旧軍の暴走が復活するのは時間の問題だ。
どれ一つとってみても、もしそれが安倍政権下で行われたら、安倍辞めろの大合唱で、一大政局になっていたに違いない。
しかし、岸田政権下では論争すら起こらない。
このまま行けば、岸田政権の手で、戦後政治が終る。
全面講和か部分講和か、日米安保は是か非か、戦後政治の一大論争は完全に過去の遺物となり、日本の政治は対米従属しか選択の無い政治になる。
それでいいのか、そう指摘する者が出て来なくてはいけない(了)
文民統制の建前は岸田反動政権によって消し飛んでしまいそうです。
ついでに、もう一つの天木さんのメールマガジンの記事も紹介しておきます。これは、アムネスティがウクライナ戦争の調査をした結果、ウクライナ軍が市民を盾にしているという報告を行ったというものです。
既にこのホームページでは、再三ウクライナ東部地区のウクライナ市民を攻撃しているのはネオナチ・ウクライナ軍であること、アゾフスタリ製鉄所の攻防でロシアが人道回廊を作ったにもかかわらず、ウクライナ市民の避難をウクライナ軍が妨害して市民を盾にしたことなどを報告してきました。
また最近では原発を攻撃している問題について、合理的に考えれば原発を制圧しているのはロシア軍ですから、ロシア軍が攻撃することは不合理であり、攻撃しているのはウクライナ軍であろうと考えますが、日本の報道はまったく非論理的です。
そのような中で、日本の好きな国際組織であるアムネスティのウクライナ調査団が、ウクライナ軍が市民を盾にしていることを非難する報告書を提出しました。この記事の意味をよく考えてほしいと思います。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年8月9日第359号
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ゼレンスキーの化けの皮を剥いだアムネスティ・インターナショナルに乾杯!
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悪いのはすべてロシアだ。
正しいのはすべてウクライナだ。
そう繰り返すゼレンスキーの悪人づらをテレビで見させられるたびに胸糞が悪くなる。
なんとかならないか。
そう思っていたら、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが見事にゼレンスキーの化けの皮を剥いでくれた。
小さな記事だが大きな意味を持つ記事をきょうの新聞で見つけた。
アムネスティは8月4日、報告書を出して次のようにウクライナ軍を批判したという。
すなわち、ウクライナ軍は学校や病院、住宅地に拠点を置いて人民を危険にさらしている、これは国際人道法に違反すると。
かねてからウクライナは人間を盾にしていると非難されて来た。
その事を、現場で目撃して来たアムネスティが、たまりかねて報告者で公表したのだ。
痛いところを衝かれたゼレンスキーは激怒した。
「アムネスティは市民が犠牲になっている責任をロシアからウクライナに転嫁している」と。
そして、ポカルチュクと名乗るアムネスティのウクライナ事務所長は、「この調査はロシアのプロパガンダになっている」と抗議の辞任をしたという。
私が注目したのはアムネスティ本部の対応だ。
アムネスティ本部の代表は7日、「報告者が苦痛と怒りを引き起こしたことを遺憾に思う」と謝罪したらしい。
しかし、その後で次のように述べたというのだ。
「我々の唯一の目的は、市民が保護されることだった」と。
「調査で訪れた19の街や村で、ウクライナ軍は民間居住地のすぐ隣にいた。市民がロシア軍の砲撃にさらされる危険があった」と。
そういって、報告書の撤回は拒否したというのだ。
胸のすくアムネスティ本部の対応だ。
アムネスティの指摘は正しい、目撃してきた、と言ったのだ。
そう言われたらゼレンスキーは沈黙せざるを得ない。
怒って見せたものの、引き下がらざるを得なかったのだ。
ゼレンスキーの化けの皮を見事に剥がしてくれたアムネスティ・インターナショナルに乾杯!である(了)
8月2日夜に米国下院議長ペロシが台湾訪問を強行しました。直前の中国習近平と米国バイデンの電話会議で習近平はペロシ訪台を強く警戒し、もし実行した場合は報復すると明言していたにもかかわらず、ペロシはこれを無視して訪台を強行しました。
当然ながら中国は猛反発して台湾周辺海域で実弾演習を開始し、沖縄の漁業者は直接的な被害を受けることになりました。
今回のペロシの訪台は、米軍やバイデンでさえ徒に中国との緊張関係を助長することは避けるべきだと忠告したにもかかわらず強行されました。また訪問を受ける台湾でさえ、ペロシの訪台による中国との関係悪化を懸念して望ましくないとしていました。
以前このコーナーNo.1387において、ロシアのウクライナ侵攻をお膳立てしたネオコンが、台湾でも同じことを行おうとしていると書きましたが、今回のペロシの行動はこれに沿ったものであろうと考えます。
これに先立って、ウクライナで2014年に正当な選挙で選出された親露派のヤヌコーヴィチ政権を米軍に支援されたネオナチの軍事クーデターで倒し米傀儡政権を樹立するなど暗躍しているネオコンのビクトリア・ヌーランドが日本を訪問して岸田政権に接触していたことはペロシ訪台の根回しであったのではないでしょうか。
ロシアのウクライナ侵攻に対してネオコンを全面的に支持し、ネオコンよろしく「自由と民主主義」という大義名分による武力行使を無批判に肯定する岸田政権は、ペロシ訪日に際してペロシ訪台という原因に言及することなく、それに対する中国の軍事訓練だけを一方的に非難しました。これで完全に岸田政権は中国を敵にし、日本国民の利益を著しく損ねることは間違いありません。
本来ならば岸田は、当然沖縄に影響が考えられる海域の緊張を徒に緊張させるようなペロシの行動は慎むべきであると忠告すべきであったと考えます。まして今回の訪台は米国政府や台湾政府自身が好ましくないと言っているのですから、ペロシに諫言をしたからと言って外交的には全く問題なかったはずです。それにもかかわらず、今回の岸田の発言は、岸田自身がネオコンにシンパシーを持っているということを示していると考えます。
以下、YouTubeの動画をご参考まで。
§6. 海流と海の物質循環
前節で大気・水蒸気の大循環構造を見てきました。同じように海にも海水の流れがあります。表層の海水の流れを海流と呼びます。世界の主な海流を下図に示します。
海流は、風と海水面との摩擦によって生じます。したがって、海流は貿易風、偏西風、極偏東風と似た流れになります。ただし、海水は大陸によって隔たれているため、各海域で循環流を形成することになります。下図に太平洋の海流を示します。
赤道付近では貿易風によって北半球で北赤道海流、南半球では南赤道海流が生じます。赤道海流は太平洋の西端に近づくと、コリオリの力によって、北半球では進行方向右側である北に方向を変え、南半球では進行方向左側である南に方向を変えて流れます。
北半球では、中緯度まで北上すると偏西風によって海流は東に向きを変え、温帯海流になります。南半球では、中緯度まで南下すると偏西風によって海流は東に向きを変え、温帯海流になります。温帯海流は太平洋の東端に近づくと北半球では進行方向右側である南に向きを変え、南半球では進行方向左側である北に向きを変えます。赤道に近づくと再び貿易風によって赤道海流となります。
高緯度側でも同じように極偏東風と偏西風による循環流が生じます。
図の@〜Eは主要な漁場を示しています。主要な漁場ということは、栄養が豊富なことを示しています。
一般に海水よりも重い生物の死骸や栄養素は、陸上と同様に、重力によって深海へと一方的に沈み込んでいく傾向があります。主要な漁場では何らかの原因で重力に抗して栄養を海面付近まで運び上げる機構が存在することを示しています。この栄養素の移動を担っているのが深海から海面への海水の上昇流である「湧昇流」です。湧昇流にはいくつかの成因があります。
一つは赤道海流の東端で見られる湧昇流です。貿易風によって表層の海水が西に向かって吹き流されると、それを補填するために深海から海面へ海水が上昇します。
次に、北半球の大陸西岸、例えばカリフォルニア沖で北風が吹く場合です。北風によって海水は南に流れようとしますが、コリオリの力によって、進行方向右側である西側に流れます。それを補うように湧昇流が生じます。
南半球ではコリオリの力の作用方向が逆になるため大陸西岸、例えばペルー沖で南風が吹く場合に湧昇流が生じます。
更に寒冷な海で起こる湧昇流があります。海水の氷点温度は−2℃程度なので、寒冷な海の表層の海水温は−2℃程度であるのに対して、深海の海水温は2〜3℃であり、表層の海水の方が比重が大きいため深海との間で対流が生じます。更に海氷がある海域では表層の海水の塩分濃度が大きくなるため、更に表層の海水の比重が大きくなります。
したがって、一般に寒冷な海は豊かな漁場になります。下図に主要な漁場の分布を示します。
風によって生じる表層の海流と温度ないし塩分濃度による比重差によって生じる鉛直方向の対流による流れが複合して、海洋を巡り深海と表層水をつなぐ大きな循環構造があることがわかってきました。下図に概要を示します。
詳細についてはまだ十分解明されていませんが、北大西洋北部ないし南極沖で比重の大きな海水が深海に潜り込み、インド洋ないし太平洋で表層に戻ることがわかっています。
以上みてきたように、海洋では重力によって深海に沈み込んだ栄養素を海流や熱塩循環による対流を原因とする重力に抗した上昇流(湧昇流)が再び海面付近に持ち上げる物理的な循環構造を持っています。海洋では栄養の循環構造があるため、資源の枯渇によって生態系が衰退することはありません。
§7. 動物による物質循環
これまで見てきたように、地球熱機関としての大気水循環、海洋における海水の大循環による物質循環は天体としての地球の物理的な機構によって保障されていることがわかりました。しかしこれだけでは陸上生態系が長期間にわたって安定的に維持されてきたことを説明できません。
陸上生態系が維持されるためには、重力に抗して海洋から陸上への物質の還流が必要です。これを担っているのが動物による物質循環です。そこで重要な役割を果たすのが、魚類と鳥類です。
地表水は陸地を流れ下る過程で周辺の森林や里山から養分を溶かしこみ、やがて河川に流れ込み海に至ります。河口周辺では河川から供給される養分によってプランクトンや海藻が育ち、これを餌とする魚が育ちます。
沿岸部に集まる魚を海鳥が捕食し、海鳥は海岸近くの陸上に糞をします。これを栄養に臨海部に草が育ちやがて森ができ、昆虫など小動物を含む生態系が生まれます。更に臨海部の草原や森で捕食する高地や山に営巣する陸棲の野鳥の糞などによって更に内陸へ栄養が運ばれます。
こうして一旦海洋に流出した栄養素が食物連鎖によって回収され、陸上に還流します。この時、一定の縄張りで暮らす定住型の動物に比較して移動範囲の大きな鳥類が大きな役割を果たすと考えられます。
海鳥の糞などが長期間堆積し化石化した「グアノ」が肥料として重用されてきました。しかし、近年の大量消費によって既にほとんど枯渇しています。
海から陸地への物質循環を担っているのは鳥類ばかりではありません。魚の中には河川と海洋を行き来するものが少なくありません。サケ・マス科の魚やウナギがすぐに思い浮かびます。
サケ・マス科の魚は河川で産卵し、稚魚が海洋に下り、成魚になって再び産卵のために河川を遡上します。遡上したサケは、哺乳類の餌となり、その糞は周辺の森林を育てます。また、産卵を終えたサケは一生を終え、その死骸は小動物によって捕食・分解されます。
このように陸上生態系を維持しているのは、生態系を構成する動物自身による食物連鎖による物質循環です。
天体としての地球の物理的条件による大気水循環、海洋における深海と表層をつなぐ海水の循環、そして海と陸地をつなぐ鳥類や魚類を介する食物連鎖による物質循環によって、陸上と海中の生態系が一つの物質循環として成立しています。
ここまで、実際の地球の表面環境、例えば太陽光で駆動されている大気水循環と生態系の物質循環の関係について触れてきませんでした。ここで少し具体的な地球の表面環境における物質循環について考えることにします。
§4. 地球重力について
地球には適度な重力があります。重力加速度の大きさは9.8m/s2程度です。その結果、生態系において重要な役割を果たす大気の構成要素である酸素O2、水蒸気H2O、二酸化炭素CO2は重力に捉えられ、宇宙空間に散逸することはありません。
重力は地球上のすべての物質に対して、その質量に比例した強さで地球の中心に向かって作用する力です。その結果、地球上の物質は地球の中心から外に向かって密度の大きいものから密度の小さいものへと順番に成層するように分布する傾向を持っています。
水よりも比重の大きな物質は地表水などによって高所から次第に低所に流されます。山から流れ出たミネラル分は平地に下り、やがてはすべて深海に沈むことになります。
重力による物質の移動は高所から低所への一方的な流れです。物質の移動がすべて重力による移動であれば、生態系、中でも陸上生態系は資源の枯渇で短期間で消滅することになります。
§5. 大気水循環
地球大気は太陽光に対して透明に近いため、主に地表面や海面を暖めることになります。地球は太陽公転面に直角の方向から23°ほど傾いた地軸の周りに自転しています。太陽高度の影響で、赤道を中心として低緯度側ほど強い太陽放射を受けます。したがって、赤道を中心とした低緯度側の低層大気ほど暖められ、同時に水蒸気を多く含むことから上昇傾向が強くなり赤道低圧帯になります。
赤道付近の対流圏界面まで上昇した空気は北半球では北に、南半球では南に流れます。対流圏上層で冷やされ凝結した水蒸気は雨となって地表面に落下し、水蒸気を失い冷やされた重たい大気は緯度30°付近で下降し中緯度高圧帯になります。
中緯度高圧帯からは赤道低圧帯に向かって大気が流れます。地球は西から東に向かって自転しています。その結果、北半球では気流は進行方向に対して右方向に、南半球では左方向に力を受けて曲げられます(コリオリの力)。その結果、中緯度高圧帯の赤道側では恒常的に東から西に向かって「貿易風」が吹きます。
註)コリオリの力は回転運動する座標系において作用する慣性力。地軸の周りに自転する球体(回転楕円体)である地球上でのコリオリの力は赤道上ではゼロであり、緯度が高くなるほど大きくなる。
同様に中緯度高圧帯から高緯度低圧帯に流れる大気は西から東に向かう「偏西風」になります。また、両極から高緯度低圧帯に流れる大気は「極偏東風」になります。
大気は低緯度、中緯度、高緯度で地表面付近で貿易風(東風)、偏西風、極偏東風が吹くだけではなく、それぞれ対流圏で鉛直方向の立体的な循環構造を持っています。対流圏上層における赤外線放射で宇宙空間に放熱し、それに付随して熱エントロピーを廃棄し、冷やされ凝結した水蒸気は雨となり、水蒸気を失い更に冷却されて重くなった大気は下降気流となります。
実際の地球では更に大陸の分布や高山の影響を受けて複雑な大気の循環構造になっています。大気循環によって、水蒸気が雨や雪となって山や陸地に運び上げられることで陸上の水循環が持続的に維持されています。
ただし、前セクションで触れたとおり、地表水は高所の物質を一方的に低所へ、更には海に押し流すだけであり、一旦押し流された物質は重力に逆らって水蒸気とともに再び高所に運びあげられることはありません。陸上生態系は常に衰退する傾向を内包しています。
日本の多くの報道機関は、米国がアフガニスタンにおいて無人機によるミサイル攻撃でアルカイダのザワヒリ氏を殺害したニュースを報道しました。米国のバイデンは、緊急の記者会見でこれを発表し、「正義が実行された」と国民にアピールしました。
一方、アフガニスタン政府は、米国がアフガニスタンの同意もなく主権を侵害して民家を無人機でミサイル攻撃したと米国を非難しています。
米国という国は独立国家の主権など無視して平気で領土侵犯を犯すならず者国家であることがわかります。しかも民家を攻撃して殺人という犯罪行為を「正義が実行された」というのですからあきれたものです。
こうした米国の蛮行に対して、日本の報道は何の批判もせずに米国の主張をそのまま垂れ流しています。日本のダブルスタンダードぶりはどうしようもありません。
例えば、日本に反ロシア的な犯罪者が潜伏していた時に、ロシアが無人機で領土侵犯を行い、潜伏先をミサイル攻撃したことを想像してみてください。そんなことが国際法上許されるはずがありません。
他の国が行えば侵略であり、非人道的な行為であっても、同じことを米国が行えば「民主主義を守るための正義」、米国は常に正しく米国が行うことが正義であるという恐ろしい価値観が日本を覆っているようです。「米国の正義」について根本から吟味すべきだと考えます。
ウクライナに対するロシアの侵攻は、東部のドネツク、ルガンスク両共和国の要請によって行われたものですが、9.11後のかつての米国によるイラク、アフガニスタン侵攻、そして今回のザワヒリ氏の殺害は直接的に米国に被害を与えたこともない主権国家に対して、一方的に米軍が攻撃を仕掛けたものです。これを見るだけでも、ロシアよりも米国の方がはるかに凶暴な国であることは明らかです。
現在、敢えてアルカイダを攻撃するような事態ではないと考えます。あまりに唐突なザワヒリ氏殺害の意味は、支持率が急降下するバイデンが人気取りのために企てたパフォーマンスなのではないか、そう思えて仕方がありません。
§2. 従属栄養生物〜分解者
第一生産者である光合成生物によって大気中のCO2と水などを原料に炭水化物が生産されています。これに対して第一生産者の生産した炭水化物を取り入れ、体内でこれを分解することによって体組織に必要な物質やエネルギーを得る従属栄養生物を動物と総称することにします。
動物は第一生産者の体組織を直接取り入れる「草食性」の動物ばかりではなく、草食動物や他の肉食動物を捕食する「肉食性」の動物もいます。動物による食物の分解は大型動物から小型動物、最終的には微生物による分解に至ります。
動物群は食物と酸素を取り入れ、多段階の分解を経て、最終的にCO2と無機栄養素を環境に廃棄します。
動物群の分解の途中の過程では、大気への熱伝導や発汗、あるいは尿や便として排泄され分解の過程で発生したエントロピーを体外に廃棄します。
動物は食物という低エントロピーの資源と酸素O2を取り入れ、体組織に必要な物質とエネルギーを得て活動し、熱伝導、発汗、排泄で利用できなかった廃物とエントロピーを体外に廃棄することで活動する定常開放系です。
動物群は従属栄養生物=分解者であり、有用な資源を消費するだけであり、何も生産しません。したがって、生態系が動物だけで構成されていれば短期間で有用資源を食いつぶして終焉を迎えることになります。
§3. 生態系は閉じた物質循環システム
これまで見てきたように、独立栄養生物あるいは従属栄養生物だけでだけで構成されたシステムであれば原料資源・食糧の枯渇あるいは物質拡散エントロピーの蓄積による環境汚染によって短期間で衰退することになります。
生態系は独立栄養生物と従属栄養生物の複合システムです。
上の模式図に示すように、植物群は大気中のCO2と土壌から吸収する水や無機栄養成分を原料として炭水化物等と酸素を生産し、動物群は植物によって供給されるバイオマス(炭水化物など)を摂取し体組織の原料とし、あるいはこれを大気中のO2を用いて分解することで活動のためのエネルギーを得ています。
動物群は多段階の分解の末に、最終的にCO2と無機栄養を環境に廃棄しますが、これは再び植物などの独立栄養生物に利用されます。
このように、生態系に独立栄養生物と従属栄養生物が存在することで生態系の物質循環は閉じた循環を構成しています。その結果、生態系から環境に廃棄されるのは蒸散や発汗などからの水(水蒸気)と廃熱だけです。
水は地球熱機関によって循環利用され、廃熱は赤外線放射で地球系外に廃棄され、同時に生態系の活動で増加したエントロピーを廃棄しています。生態系が物質に対して閉じた循環構造を持ち、物質拡散による環境汚染を起こさないことで、地球熱機関は系内で生じたエントロピーを廃熱とともにすべて宇宙空間に廃棄することで定常性を維持しているのです。
この生態系≒自然について誤った認識があるようです。曰く「地球の生態系の存在は奇跡であり、とても壊れやすい」ものだという認識です。地球に数十億年に亘って定常的な生態系が存在しているのは、物理的な必然です。勿論、環境の変化に従って生息する生物の構成は不断に遷移を繰り返しています。その中で不安定なシステムは淘汰され、常に与えられた環境条件の下で最も安定的に存在できる=壊れにくいシステムが具現している自然の姿なのです。生態系を人為的に破壊することは至難の業です。人為的なCO2排出の増加は、生態系の第一生産者である光合成生物などにとって最も必要な原料資源であるCO2の供給量を増やすことであり、生態系を豊かにすることはあっても悪影響を与えることはありません。世界中の大半の人々は、深く考えもせずに、CO2が最大の環境汚染物質だというとんでもない間違いを信じ切っています。
環境の変化によって常に遷移する生態系に、工業化された人間社会が常に含まれるという保証は全くありません。ヒトを取り巻く環境の変化、とりわけ産業革命以後の変化は極めて急激であり、見方を変えれば人間社会は最も不安定なシステムです。したがって、人間社会こそ生態系の中で最初に淘汰される可能性の高い部分システムだと考えられます。
いま私たちが考えている「環境問題」とは、「ヒトないし人間社会にとって都合のよい快適な環境」が失われる問題であるということを認識しておかなければなりません。その意味で、人間の極めてエゴイスティックな問題なのです。
極論すれば、環境問題にとってヒトないし人間社会以外の生態系の変化はどうでもよいことなのです。その意味で「美しいかけがえのない自然を守ろう!」という類の情緒的な自然愛護という謂わば理念の問題とは全く異なる次元の、極めて実利的な問題です。環境問題において生態系の保全を考えるのは、あくまでもヒトという生物ないし人間社会が必要とする生物資源=「更新性資源」を安定的に得るための条件として必要であるからなのだという視点を確認しておくことが必要です。