No.910 (2013/12/31)大分県の県立高校の教育と運営を考えるC
教育委員会・県立高校・PTAの癒着構造が教育を破壊する

 この連載の最後に、教科書の記述問題を発端として経験した大分県の高校教育現場の異常な学校運営の状況について報告しておくことにします。

 県立高校の学校現場の運営で、最も問題なのは、教育委員会・学校が保護者を利用する対象としてしか見ていないことです。大分県は地域に開かれた学校、保護者との協同を謳っていますが、その実は、学校に従順に従う保護者を求めているだけであって、学校教育現場の運営に対して真剣に考えて意見する保護者は排除するということです。更にこの構造を、組織的・財政的に補完しているのがPTAです。

1.PTAという組織の社会的位置と性格

 本来、PTAとは組織的には学校とは全く独立の“任意団体”に過ぎません。しかも法人格さえ持たない組織であって、社会的にはその責任の所在は、会員の互選によって選ばれた代表=会長個人に帰すことになります。
 活動内容からのPTAの性格は、社会教育関係団体に分類されます。社会教育関係団体とは、社会教育法に言う社会教育を行うことを主な目的とする団体です。

社会教育法
(社会教育の定義)
第2条 この法律で「社会教育」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう。

(社会教育関係団体の定義)
第10条 この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。


 当然のことですが、学校教育は学校教育法に従って行なわれるものであって、学校の運営は学校の専権事項であり、これに社会教育関係団体であるPTAの活動がいかなる影響も与えてはなりません。
 ただしPTAは、主に学校現場の教職員と在籍する生徒の保護者によって構成されているため、学校現場とは無関係とはいえません。そこで、PTAは学校事業に対して、学校の指導のもとでボランティアとして協力すること、財政面においてPTA会員による完全な自発的な意志による寄附行為は認められるものと考えられます。

2.学校とPTAの異常な癒着構造

 このところ、学校教育現場における学校とPTAとの癒着構造、ないしPTAの学校行事への過干渉による問題が全国的に問題となっています。これはPTAという組織の構造的な問題だと考えます。
 例えばほとんどすべてのPTAにおいて、学校管理職がPTAの役員を兼務している事実です。PTAの会長ポストは保護者の代表であっても、その任期は最長でも3年間、一般的には1、2年間です。これに対して学校側役員=学校管理職の同一の高校におけるPTA役員任期はPTAの会長の任期よりも一般的に長く、複数の教育現場におけるPTAとの関わりは更に長いため、実質的にはPTAの実情を熟知している学校管理職によって(学校にとって都合が良いように!)日常的なPTAの運営が行なわれていると考えられます。
 更に、PTAの会計事務も学校事務に委任されているのです。このように、日常的なPTA活動と会計までが学校と根深く癒着しているため、学校現場においては学校の事業とPTAの活動の境界線が曖昧となっています。全国的に問題となった高校事業へのPTA会計からの資金流用問題は起こるべくしておきたものと考えます。
 これは一般教職員の認識も同じで、家庭訪問の折に娘の担任教師に学校行事とPTAの活動は明確に分けるべきではないかと申し入れたのですが、個人的には判断できないという返事でした。

 この種の学校とPTAを巡る問題は、ここ大分県だけの問題ではなく、全国的にも近年大きな問題になりつつあります。ここでは、PTA問題に取り組んでいる方によって整理された内容を紹介することにします。

 まず、沖縄県におけるPTA問題の事例の資料を示します。

クリックすると拡大した物が見られます

 次に示すのは、ホームページ“PTA署名、法律面からのアプローチ”の10項目の署名項目と、その内容についての説明を紹介します。

クリックすると拡大した物が見られます

 以上の2つの資料の内容をまとめると問題点は3点に集約されると考えられます。

  • @PTA入会の任意性の問題、及びPTA規約の不備の問題。
  • APTA会費以外の寄附金徴収の任意性の問題。
  • BPTA活動の学校の事業に対する過介入の問題。

 娘の通う大分県の県立高校における問題もほとんどここに網羅されているようです。以下、具体的な事象を検討することにします。

3.大分県の県立高校における実例

@PTA入会の任意性の問題、及びPTA規約の不備の問題

 既にNo.907 (2013/12/27)大分県の県立高校の教育と運営を考える@で報告した通り、娘の通う大分の県立高校においてもPTAが学校とは全く独立の任意団体であって、参加は任意であることが示されておらず、PTAの入会手続きが行われておらず、PTA入会の時点(最初にPTA会費を銀行引き落としで徴収された時点か?)では保護者に対してPTA規約さえ示されていません。また、PTA会費などを徴収することを知らせる文章では組織名を詐称して、PTAが学校内の組織であるように装って、保護者に対してあえて錯誤を誘発するように仕向けています。
 またPTA規約にはもっとも重要な権利である入・退会の自由についての記述や、子供の卒業によるPTA会員資格の失効についての記述が存在しません。

クリックすると拡大した物が見られます。

APTA会費以外の寄附金徴収の任意性の問題

 前出の“PTA会費等納入金”中のPTA会費以外の赤枠で囲んだ費目はどういう性質の項目でしょうか?費目から見ると、学校が徴収すべきもののように思えます。しかし、県立高校の学校運営に必要な経費は県費から支出されるものであって、学校が主体となって保護者に授業料以外の費用負担を求めることは学校教育法上も、地方財政法上も禁止されています。
 これらの「特別指導費」、「空調維持管理費」、「朝・土曜講座代」の3項目は、PTAがPTA会員からPTA会費以外に上乗せで徴収する費用です。これらの費用はPTAが徴収して、高校の運営費用として使用されています。PTA規約から、PTA会員にはPTA会費を支払う義務は存在しますが、これら3項目の費用を支払う義務はありません。
 PTAが学校の運営に供するために支払うお金は、PTAの完全な自発的な意志による寄附金でなければなりません。当然その原資となるPTAがPTA会員から集めるこれらの費目については、PTA会員個人の完全な自由意志によって支払われた寄附金でなければなりません。これらの費用を予算化して、PTA会員に割り当てて強制的に徴収することは許されません

 残された「体育文化振興会費」です。これも実に不自然な会費です。娘の通う高校では、PTAという組織の他に、PTA会員を会員とする“体育文化振興会”という別組織がでっち上げられ、PTA会費とは別に体育文化振興会費が徴収されていました。要するに、PTAと別組織を装い、会費の二重取りを行うための組織だと考えられます。勿論、この体育文化振興会も任意団体ですから、PTAの会員が強制的に加入しなければならない理由は存在しないことは当然です。

 さて、私は昨年度末でPTAを退会したため、私だけは特別に現金で学校納入金を支払っています。退会するにあたって、学校納入金の内でPTAに支払ってきた費目を教頭Aに確認しました。それによるとPTA会費と体育文化振興会費だけだと告げられました。その時点では、迂闊にも「特別指導費」、「空調維持管理費」、「朝・土曜講座代」の3項目は、学校に支払う費用なのだと思い込んでいました。更にそう思い込んでしまったのは、今年度に入ってからの私の受け取った『学校納入金について(お願い)』という印刷物の表記でした。

クリックすると拡大した物が見られます

 建前として、私にはPTAに関する費目の請求はしない事になりますから、請求の主体は高校であり、その代表者は校長ということです。しかし、実際には「特別指導費」、「空調維持管理費」、「朝・土曜講座代」の3項目は、PTAがPTA会員に対して徴収する費目だと判りました。教頭Aは私に対して虚偽の説明お行ったばかりか、『学校納入金について(お願い)』という印刷物自体が悪質な詐欺文書なのでした。

BPTA活動の学校の事業に対する過介入の問題

 PTAは学校とは独立の任意団体であり社会教育関係団体です。PTA自らが学校行事を主催することなどあり得ないことです。ところが、娘の通う高校では進路説明会や学級懇談会までがPTAの主催する行事として行なわれてきました。ところがPTAの主催する進路説明会や学級懇談会において配布される資料作成の経費は県費によって賄われていました。
 このように、現在の高校では事業の内容においても経費負担においても学校とPTAの境界が曖昧になり、出鱈目な運営が行なわれてきました。また、私の個人的な経験として、PTAを退会したことによって、本来全ての保護者が対象であるはずの進路説明会や学級懇談会の案内が配布されず、学校行事から排除されるところでした。

 更に、高校で行なわれている朝講座・土曜講座という、補習講義におけるPTAの関わり方は大きな問題をはらんでいます。この問題は次回更に詳細に検討します。

(続く)

No.909 (2013/12/29)大分県の県立高校の教育と運営を考えるB
高校教科書・参考図書の記述についての説明会報告

 今回は、12月25日に行われた高校の使用している理科・社会科の教科書および参考図書の記述についての説明会の内容について紹介します。
 この問題は、娘が高校に入学した2012年6月18日に高校の教科書の内容について判らない記述があるので説明して欲しい旨、学校の窓口となった二人の教頭(教頭Aはこの時から居た。)に申し入れを行ったことに始まります。二人の教頭は、いきなり教科書検定の問題を持ちだし、検定済教科書の記述について一切疑義を差し挟むことは出来ないという理由で、私の申し出を却下しました。
 その後の経過は、過去の記事をご覧頂きたいと思います(大分県の環境問題のNo.762〜)が、粘り強く交渉した結果、何とか話し合いの場を持つことになりました。

2012年11月7日の説明会の顛末

 3点の疑問点(No.908で示した3点と同じ)と、それに対する私見をまとめた資料を事前に配布した上で、2012年11月7日に話し合いの場を持ちました。話合いの当日は、担当教師からの説明を伺うことに時間を割くつもりでしたが…。話合いでは、最も事実確認のし易い、オゾンホールについての記述から説明を求めました。担当の公民の教師は、参考図書の記述をそのまま読み上げ、「ここに書いてある通りです。」と言い放ったまま、それ以上何の説明も行いませんでした。書いてある内容が理解できないために説明を求める場を設けていただいたのにもかかわらず、何という無礼極まりない態度なのか、あきれ果てたものです。

 私は、オゾンホールの観測結果を示し、オゾンホールとオーストラリア大陸は地理的に離れており、また、オゾンホールとオーストラリア大陸の間のオゾン全量は、同時期の南半球で最も大きな値を示す地域であって、「オゾンホールに近いから紫外線が強い」という事実はないことを示し、参考図書の記述は間違いではないですかと再三問いかけました。
 これに対して、公民の教師は「私にはわかりません」、「どうしろというのか」と開き直りました。そこで、話合いに参加していた理科担当の教師に意見を求めました。すると彼は、私の質問に具体的に言及して答えることはなく、「検定教科書の記述は、専門の研究者や学者がまとめたものであって、専門家ではない一介の教師には判断できない」と述べました。私は、「観測事実として、オゾンホールとオーストラリア大陸は地理的に離れているという事実から、オゾンホールを透過した紫外線がオーストラリア大陸に影響をあたえることはあり得ないのではないか」と問いかけたのですが、この愚かな理科教師は「専門家ではない私にはわかりません。」と言うのです。
 このような押し問答を1時間ほど繰り返したのですが、進展がないので話合いを途中で打ち切らざるをえませんでした。以上が、昨年11月の話合いの顛末です。その後の経緯は省略します。

2013年12月25日の説明会について

 そして2013年12月25日に再び説明会が開催されることになりました。各項目について、以下に報告します。

@オゾンホールのオーストラリアへの影響

 これは、現代社会の参考図書である、浜島書店の「ニュービジョン現代社会」の記述
“オーストラリアは皮膚がんの発生率が高い。オゾンホール(オゾン層が局所的に薄くなっているところ)ができている南極に近いため,紫外線が強いなどの原因が考えられている”
についての疑問です。

 この問題については、昨年説明を行った公民の教師は出席せず、教頭Bが説明しました。出版社である浜島書店に問い合わせたところ、オゾンホールがオーストラリア大陸にまで拡大して紫外線が強くなったという事実はないことが確認された、オゾンホールについてのニュービジョン現代社会の記述は訂正されることになる、ということです。

 この記述について、調べるべき資料は米国NASAによる衛星観測データが唯一のものであり、そのデータはだれでも自由にアクセスできる状態にあります。前回の説明会においても、公民の教師に対して、観測データを確認しさえすれば分かることなのだから、調べるべきではないかと述べました。理科の教師には、専門家ではなければわからない、主張の分かれるような問題ではなく、観測事実さえ確認すればすむことを述べました。紫外線がどうしてオゾンホールを透過してオーストラリア大陸に影響を及ぼし得るのか、これは高校の理科で教える光の性質から十分判断できる事柄であり、専門の研究者でなければ判断できない類の問題では無いことを繰り返し述べました。しかし、社会科の教師も理科の教師も自ら考えることを放棄したのです。これは科学の教師として失格であると考えます。

 参考のために、今回この問題について配布した資料を示しておきます。

クリックすると拡大した物が見られます

A地球放射と温室効果について

 これは、同じく浜島書店「ニュービジョン現代社会」の次の図についての疑問です。

 この問題についても教頭Bから説明がありました。地球のような比較的安定した気温が保たれている状況では太陽放射と地球放射はほとんど釣り合っていると考えられるので、図のように極端な不釣合いは適切ではなく、この図についても訂正されることになるということでした。

 この問題について、簡単に触れておきます。真空中において熱的に安定している物体は、放射平衡状態にあると考えられます。真空の宇宙空間に浮かぶ地球(地球大気を含む)は、真空の宇宙空間との間では放射現象によってのみ熱のやりとりが出来ます。地球の受け取る電磁波は殆ど可視光線を中心とする太陽放射です。地球から放射されるのは地表面からの赤外線放射の内の地球大気に捉えられなかった放射と、雲頂あるいは対流圏大気上層からの低温赤外線放射です。これらを全て合わせて地球放射と呼ぶことにします。
 比較的安定している地球の温度状態は殆ど放射平衡状態にあります。つまり、地球を温める太陽放射と地球放射は釣り合っているのです。今回配布したIPCCによる放射平衡状態の図などの資料を以下に示します。

クリックすると拡大した物が見られます

 資料にもあるように、太陽放射と地球放射が釣り合うということは、学習指導要領の地学の内容として明記されており、理科の担当教師であるならば、当然知っておくべき事柄であり、教科間の整合性から社会科の教師も知っておくべき事柄です。参考図書の記述の誤りを指摘できなかった社会科教師、理科教師は認識不足、あるいは無能の誹りを受けるべきです。

 太陽放射と地球放射の不平衝で地球の表面環境という局所的な温度の上昇、あるいは温室効果を說明する非科学的な模式図は、かつてJCCCA全国温暖化防止活動推進センターによって広められました。

この誤った図が日本中に蔓延し、未だにそのままになっています。しかし、この図が誤りであることは、高校の理科教育(地学)でも判断できる事柄です。科学教育がこうした誤った宣伝活動を見抜く真の科学的思考につながることを望みます。
 JCCCAの最近の模式図は変更され、太陽放射と地球放射の不平衝で温室効果を說明することは止めましたが、またしても別の誤りを犯しています(下図)。詳細については環境問題についての高校教科書の記述を科学するの記述を参考にしてください。

 以上2項目については、前回の説明会の折には「分からない」、「判断できない」としていた高校の主張が100%覆り、いずれも誤った記述であることが確認されました。一体前回の彼らの下した愚かな判断は何だったのでしょうか?
 また、この2項目についても、大分県教育委員会高校教育課の岩武氏は「学説が複数ある問題」だとして、説明を拒否した高校の対応を正当だとしたのは明らかな判断の誤りだったということです。
 本来なら、最初に説明を求めた昨年の段階で、自ら調べていれば、すぐに判断できたはずの問題を、彼らはまともに考えようともしなかったのであり、今回は大分県教育委員会との関係から、渋々事実確認をしたということなのでしょう。なんという情けない教師たちでしょうか。猛省を求めたいところですが・・・、そのような自浄能力はないようです。

B大気中の二酸化炭素濃度について

 これは、数研出版「生物基礎」の次の記述についてです。
“大気中の二酸化炭素濃度は、おもに光合成による吸収と呼吸による排出によってバランスが保たれているが、近年の二酸化炭素濃度の増加は、石油などの化石燃料の大量消費による排出量の増加と、大規模な熱帯林の破壊による吸収量の低下がおもな原因と考えられている。”

 この問題については、教頭ではなく、昨年も参加した理科担当の教師が説明(?笑)をしました。この愚か者の理科教師は、全くこの一年間何も学習しなかったようで、昨年の説明会においてオゾンホールの問題に対して行ったのと同じように、またしても具体的な内容には一切言及せず「専門の研究者ではないので私にはわかりません。」と繰り返すだけでした。あきれ果てたものです。

 私は、生物の教科書の記述は、私の知っている事実とは異なる内容であり、理論的に理解できないために説明を求めたのです。これに対して理科教師が行うべきは、生物の教科書に記載された内容がどのような事実によってその自然科学的な合理性が担保されているのかを示すことです。彼が言うようにこの問題に複数の理論的な論争があるとしても、彼は教科書の記述を論証する事実を提示すればよいのです(ただし、地球の表面環境の炭素循環について、私の示したIPCCの炭素循環図と本質的に異なるような理論など存在しません。この問題は愚かな理科教師が言うような理論的な論争など存在しない事柄です。)
 彼は私の提示した資料に対して、正しいかどうかわからないと言い、その一方では教科書の記述の科学的合理性を担保する事実を提示することもしようとしませんでした。つまり、彼は「専門の研究者ではないから判断できない」ということによって、自分が教科書の記述について、実は何も考えていない無責任な教師であることを正当化しようとしただけなのです。

 この問題について配布した、おなじみのIPCCによる炭素循環図などの資料を次に示します。

クリックすると拡大した物が見られます

 今更ですが(笑)、陸域での一次生産(光合成)と呼吸による炭素循環量が120Gt/年程度であるのに対して、海洋における無機的なガス交換もそれにほぼ匹敵する90Gt/年程度を占めています。むしろ短期的な調整能力は無機的なガス交換が主体であると考えるのが妥当です。
 更に近年の大気中の二酸化炭素濃度上昇の主要な原因は、最も大きな変化を示している海洋におけるガス交換量の20Gt/年です。化石燃料の燃焼による変化量は6.4Gt/年程度であり、それほど大きくありません。また森林破壊については1.6Gt/年程度です。

 参考資料では、IPCCの炭素循環図から考えられる微分形式の数学モデルを示しました。更に、生物の教科書の主張のベースとなる標準的な人為的二酸化炭素蓄積モデルの概念図、東大IR3S「地球温暖化懐疑論批判」の明日香グループの蓄積モデルの概念図、そして循環モデルの概念図を示し、IPCCの炭素循環図から考えうる数学モデルの概念図として可能なのはどれだと考えられるかを問うてみました。
 これに対して、参加した6名の内、教頭Bは循環モデルだとさらりと述べられたのには感銘しました。ところが、理科担当の“無能君”は相変わらず「専門家ではない私には判断できません」と繰り返すばかりでした。この男は本質的に理科の教師を担うだけの資質がないのだと理解して、説明会を終了することにしました。

 

 今回の説明会を終了して、問題提起した3項目の内2項目については、通説として流布されている誤りが訂正されることになったことは、大変喜ばしいことだと考えます。しかしながら、一方では無能君のように、教育現場には事実を全く見ようともせず、自ら考えることを放棄してしまった実に愚かな教師が多数いることが確認されたことは、実に悲しむべきことです。もしかすると、今回の成果は、教頭B一人が誠実で立派な人物であっただけなのかもしれません。

 教科書問題について、一定の成果を収めることが出来たこと、これ以上時間をとっても私の個人的な対応では、娘の通う高校の愚かな教師たちは改心するつもりがないことがわかりましたので、今回の説明会で一区切りにしようと考えます。

(続く)

No.908 (2013/12/28)大分県の県立高校の教育と運営を考えるA
大分県教育委員会高校教育課との交渉経過

 高校との交渉は道が閉ざされましたので、残された手段は二つになりました。一つは法的な手段です。しかし、これは時間が掛かるし面倒なことなので後にして、政治的な手段がとれないかを模索することにしました。そこで、20年来の知人である県議会議員に相談することにしました。参議院選挙の後に会う機会を持ち、それまでの経緯を説明しました。
 その結果、昨年度末2月27日に大分県教育委員会高校教育課指導班の岩武茂代参事(当時)に一旦交渉の打ち切りを宣告(笑)されていたのですが、議員から高校教育課の高畑一郎課長にもう一度話しをするようにとの指示を受けました。しかし、実際には高畑氏は私と面会することはなく、彼は部下の管理予算班の足立氏らに、主に学校とPTAの会計について話を聞くようにと指示したようです。
 9月20日に大分県教育委員会高校教育課予算班の足立氏ほか2名と話し合いを持ちました。その結果、いくつかの確認を取ることが出来ました。9月20日の話合いなどについて、後日足立氏より送られてきた資料を次に示します。

クリックすると拡大した物が見られます

 まず、2月27日に岩武氏が電話で通告してきた内容(No.831 (2013/02/28) 悲しむべき大分県の高校教育の現状)の文書記録が手に入ったことは重要です。電話で聞いた内容と文書記録の内容はだいぶ異なっていました。
 まず、大分県教育委員会の教科書の記述に対する判断は、『学説が複数ある記述に関しては・・・(中略)・・・高校の教員の力の及ぶところではない。』という限定されたものだということがわかりました。これは妥当な判断だと考えます。
 今回私が高校教科書の問題で取り上げた内容は、学説が未だに定まらないような難しい問題は避け、事実資料を確認すれば判断できる単純な問題に絞りました。つまり、県教委が判断できないとした条件に抵触するものではないのです(詳細については次回以降に示すことにします。)。県教委は今回私が取り上げている問題の具体的な内容を、私ではなく高校側にだけに聴取した結果、歪曲された情報で判断したために勘違いしていることがわかりました。
 その上で、大分県教育委員会は、『保護者から教科書に対する質問が出された場合、学校は回答できる範囲のものは説明する。また意見を聞くこともやぶさかではない、(後略)』という判断を示してくれました。これは私にとって、ほとんど満額回答です(笑)。
 この記述に従って、岩武氏の後任となった林氏に対して私が高校に確認したいと考えている内容を事前に目を通してもらうことにしました。その内容を次に示します。

クリックすると拡大した物が見られます

林氏は全く問題無いという返答でしたので、この内容が大分県教育委員会高校教育課の承認を得ていることを伝達した上で、高校に申し入れを行いました。(その結果が25日に行われた説明会です。説明会の詳細については次回報告することにします。)。
 大分県教育委員会高校教育課の高畑課長から送られてきた最終的な見解をまとめた文章を次に示します。

クリックすると拡大した物が見られます

 高校が話合いを拒否した問題について、いくつか改善されることになりました。

@進路説明会、学年保護者会、学級懇談会などの行事は保護者に対して学校が学校運営の状況を説明する場であること。

これは、私の主張が認められました。

A高文連・高体連会費については、その必要性を説明した上で協力を求める事。娘の通う高校では今年度も事後承諾になっており、今後そのようなことがないように指導する。

これも、私の主張が認められました。

 朝講座・土曜講座の件は、とりあえず大分県の認識は確認できましたが、これが正常な状態とはとても言えません。朝講座・土曜講座を見た時、通常の講義と同じ場所で同じ教師と同じ生徒によって授業が行われているのであって、これも全て含んで高校の教育課程と認識するのが普通です。
 朝講座・土曜講座の謝礼金としてPTAは会員から年間1000万円(?)を集め、教員に金が渡されています。県立高校の教育とは、本来授業料さえ納めれば高校教育として必要十分な教育が受けられることが当然であり、保護者に対してそれ以上の経済的負担を強いるような事があってはならないでしょう。朝講座・土曜講座を含めた県立高校の普通の教育課程を受講するために、多額の費用を授業料以外にPTAが強制的に徴収することが許されてはならないと考えます。この件はいずれ別の機会に検討します。

(続く)

No.907 (2013/12/27)大分県の県立高校の教育と運営を考える@
高校とのその後の交渉経過の概要

 大分県の県立高校についての記事は、昨年度末の3月22日の記事以降、長らく書き込んでいませんでした。しかし、この県立高校の問題は決着したわけではなく、今も継続中です。一昨日、一つの懸案であった社会科と理科についての教科書あるいは参考図書の記述についての学校・担当教師からの説明会が行なわれましたので、これを一区切りとしてその後の状況と、新たに明らかになってきた県立高校の出鱈目な運営について、何回かに分けて報告することにします。

 昨年度末で、私は娘の通う県立高校のPTAを退会しました。その時驚いたことは、退会の手続きが存在しないことでした。しかし、思えば娘が高校に入学した当時は、PTAという組織は学校の内側にある組織であって、子供がその高校に入学すればユニオンショップ制の労働組合よろしく、保護者は強制加入するものと思い込んでいました。おそらく大部分の保護者もそのように考えているのではないでしょうか?当時はPTAへの入会の手続きなど一切しなかったことをさほどおかしなことだとは考えませんでした。ですから、PTAの会費などと、教材費が同じ「学校納付金」という取り扱いで一括して銀行引き落としで強制徴収されることにも唯々諾々と従っていました。それもそのはずです、学校納付金の内容を知らせる印刷物は保護者に対してPTAが学校内の組織であるように装うために、次のように書かれていたのです。

クリックすると拡大した物が見られます。

 つまり学校納入金を徴収する主体は県立高校であって、その代表者はPTA会長と校長であるという錯誤を敢えて与える表現にしていたのです。
 しかし、PTAを退会するにあたってPTAという組織の社会的な性質について調べてみたところ、PTAとは学校とは全く独立な、法人格さえ持たない任意団体に過ぎない事がわかりました。言うなれば、保護者と教師で作った草野球チームと変わるところはないのです。PTA規約にも会の正式名称は『大分県立■■■高等学校PTAと称し、』と明記されているので、正式には次のように訂正すべきです。

(誤)大分県立■■■高等学校
      PTA会長 ○○○○
       校 長  ●●●●

(正)大分県立■■■高等学校PTA (←という学校とは別組織)
      会長 ○○○○
    大分県立■■■高等学校
      校長 ●●●●

学校とは何の関わりのないPTAという組織の会費などと教材費を一括で徴収し、しかもその事務を高校の事務方が代行しているのです。これは極めて異常な状態です。このような会計事務の取扱をしていれば、PTA会費の流用などの問題(これは刑法犯罪ですが・・・)が起きるのは必然的な成り行きです。

 話を元に戻します。PTAは学校とは全く独立な任意組織ですから、県立高校に子供を通わせている保護者であっても、参加するかしないかは保護者の自由意志なのです。PTAは保護者に対してそのことを説明した上で、PTAの活動を説明して勧誘しなければならず、参加の意思を何らかの方法で、例えば参加申込書の提出によって確認しなければならないのです。そうした意思確認を行った上で初めてPTA会費を徴収することが許されるのは当然です。
 入学の事務手続きのドサクサに紛れて、PTAの規約も示さず、保護者個人に対して参加意志の確認も行なわないまま、いきなり銀行引き落としで全保護者からPTA会費を引き落とすなど、詐欺行為ないし窃盗に値する行為です。
 PTAは県立高校とは独立の任意団体ですから、保護者がPTAに参加しているか否かによって高校の教育において生徒はいかなる不利益も被らないことは当然のことです。

 少し付け加えておきますと、PTA規約も出鱈目な内容です。任意団体における会員の最大の権利である、参加・退会の自由が一切記述されていません。それどころか、「生徒の保護者」は「会員となる」という記述があるのです。これを読んだ保護者は、「やはり保護者は強制的にPTAの会員になるのだ」と理解するのが当然です。

 ちなみに、文部省がPTA規約のひな形を作っていますが、そこでは、PTAの会員になることができる者として保護者を上げています。これでは全く意味が違います。

クリックすると拡大した物が見られます


 また、PTAの会員である期間は通常子供が高校に在籍する期間である3年間であろうと考えられますが、子供が卒業した段階で退会となるという記述もありません。その後、個人情報はどのように扱われるのか、正に規約として穴だらけの出鱈目なものです。

 その後、PTAを退会したので、私については学校納入金の支払いは現金払いとなりました。そのおかげで、請求費目の内容について吟味して納得の上で支払うことができるようになりました。その中にまた理解できない請求費目がありました。それが大分県高文連会費と高体連会費です。これは、高校の文化系のサークルや体育系のサークルの活動の振興・支援する団体です。娘の通う県立高校は高体連、高文連に加盟しています。加盟校は高文連、高体連に対して学校単位で会費を支払うことになっています。私の娘は、高校では部活動に参加していませんので、高文連にも高体連にも関わりがありません。なぜ高文連・高体連の会費を請求されなければならないのかを不思議に思い、高文連、高体連の事務局に確認しました。それによると、各加盟校において、保護者に加盟の意義を説明した上で協力を求める=寄附をお願いするものだという確認が出来ました。ところが、娘の通う高校では昨年までは、そのような説明を一切行わずに、前出の“PTA会費など納入金”の一項目として滑りこませて、銀行引き落としで強制的に徴収していたのです。
 この学校の行為は極めて悪質です。保護者の学校に対する信頼を利用して、本来ならば保護者の自由意志によって支払うかどうかを判断すべき費目について、何の説明もせずに銀行引き落としという強制的な手段で徴収したものであり、これは明確に窃盗犯罪を構成するものと考えます。
 この高校のやり方は、「高校生の文化・体育活動を支援するという高い理念を実現するため」なのだから、保護者は当然協力すべきであり、わざわざ意思確認を行う必要はないし、集金方法が多少強引(?不法行為)であっても構わない、という極めて傲慢な姿勢が見え透いています。
 勿論、しっかり高文連や高体連の意義を説明し、真摯に協力の依頼を求めるという正規の手順を踏んでいたのならば、私個人としては協力することはやぶさかではありません(勿論正規の手続きで説明されても支払わないという選択も当然あり得ます。)。しかし、何の説明もせずに当然支払うべき費用だという態度で、いきなり支払い請求を行うという、保護者をないがしろにする高校の姿勢は許されません。そこで、私は抗議した上で支払いを拒否することにしました。
 この抗議を受けて、高校は今年はPTA総会において高文連・高体連からの文書を資料として配布して負担協力を求めたとしており、「この方法は、全県的に行なわれている協力依頼の方法であり、本校独自の方法ではありません。」と校長は自己を正当化する説明をしました(10月3日付の文章)。“この方法”が何を指すのか不明ですが、全県的に行なわれている方法が全て不法ということもあるわけで、何の理由にもなりません。今年はともかく、これまでの行為に対して、何ら反省しない、正に盗っ人猛々しい実に傲慢な態度です。
 しかしこの説明すら、時系列的に見て正しくないことが判明しました。実際には説明を行う前に銀行決済が行なわれ、PTA総会において事後承諾を得たというのが実態だったのです。PTA総会では異議は出なかったようですが、だからと言って、高校の行為が正当であったということではありません。

 私はPTAを退会しましたので、PTAを退会するまでの1年間の問題はあるものの、今更これ以上PTAに関わるつもりはなかったのですが、そうも行かないことになりました。PTAを退会した私には、当然のことですがPTA総会の案内状は届きませんでした。ところが、別途配布された家庭訪問についての印刷物によると、PTA総会の開催される日に、進路説明会と学級懇談会というPTA会員だけではなく保護者全員が対象となる会合があることがわかりました。PTAを退会したことによって、私は学校行事から排除されることになったのです。

 ここに紹介した事例を含めて、PTAと学校の不正常な運営について、学校に対して娘の担任教師を介して説明を求めたのですが、教頭A(この高校には昨年から居る教頭Aと、今年度赴任した教頭Bが居る。)は些細な問題なので一切対応しないと申し入れを却下しました。話合いで問題を解決する道は閉ざされてしまいましたので、残念ながら法的な手段を考えざるをえない状況になりました。弁護士に相談をした結果、もう少し明確な資料が必要ということで、学校に対していくつかの資料を請求しました。その回答を以下に示しておきます。

クリックすると拡大した物が見られます。

ここで少し説明を加えておきますと、資料を請求した途端に学校はあたふたと態度を変え、話し合いに応じたいと教頭Bを通して申し入れてきました。私は話合いに応じる条件として、これまでの無礼な対応を謝罪し、なぜ話合いに応じることに態度を一転させたのかについて合理的な説明を求めました。また、話合いにおいては文書記録を残すことを提案しました。しかしいずれの申し入れも拒否されてしまいましたので、話合いには応じないことにしました。

(続く)

MENU

Design by Megapx  Template by s-hoshino.com
Copyright (C) 2013 環境問題を考える All Rights Reserved.