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燃料電池はエネルギー供給システムではない・・・

 燃料電池は19世紀初頭に基本的な構造が完成したもので、新しい技術ではありません。誤解を恐れずに、燃料電池とは何かを一言で言えば、水素と酸素から水を合成する化学変化の反応エネルギーを電気として取り出す装置であり、水の電気分解の逆反応です。
 基本構造が完成して以降200年以上を経過した現在においても未だにエネルギー供給技術として普及するには至っていません。それはエネルギー供給技術として本質的な欠陥があるからです。
 工業的なエネルギー供給技術とは、“工業的なエネルギー=有用なエネルギー”を投入して工業的なエネルギーを供給する技術です。したがって、エネルギー供給技術としての最低の条件は、

投入エネルギー量<供給エネルギー量 

です。燃料電池は“理論的に”この条件を満足することが出来ないという致命的な欠陥を持っています。本質的には、燃料電池はエネルギーをただ単に浪費するだけのシステムなのであり、エネルギー供給システムとは呼べない代物なのです。
 つまり、ポスト化石燃料の基本的なエネルギー供給技術には成り得ない、“水素社会”などというものは実現できないということが自然科学的な必然なのです。これは、自然科学的な必然なのであって、技術の改良で克服することの出来ない限界だということを理解しなければなりません。

 したがって、燃料電池の利用価値は、エネルギーを供給する能力ではないのです。燃料電池以外に優れたエネルギー供給システムが存在することを前提に、何らかの特殊な利用条件下で、エネルギー効率を度外視した何らかの利用価値があると認められる場合においてだけ、その存在に合理性があるのです。例えば、近代的には有人の人工衛星において、電力と同時に飲料水を供給する目的で最初に実用的に利用されました。

 宇宙空間はともかく、地球上では敢えてエネルギー効率を犠牲にしてまで燃料電池を利用するような特殊な環境は存在しません。ここでは、トヨタ自動車が量産型の燃料電池車としてMIRAIを販売開始したことを取り上げて、燃料電池車の科学的な分析と同時に、トヨタ自動車の陰謀について分析することにします。

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