24日のNHKの報道によると、全国の120の大学や研究機関が「脱炭素社会」の実現に向けて共同研究を行う機関を創設するということです。
私は、この行為は菅政権というたかが一政権の表明した「2050年CO2放出ゼロ」という科学的な根拠も全くない無謀としか言いようのない政策の実現に向けて、大学・研究機関が動員されるという思想統制、国家総動員体制の構築だと考えます。
おそらく、人為的CO2地球温暖化に懐疑的な研究、脱炭素化は不可能と考えるまともな研究者に対しては科学研究予算は支出されることはなくなるでしょう。このような体制に対して最高学府たる大学が協力するなど、思想的な集団自殺行為としか言いようがありません。
画像を見ると、中央にいるのは萩生田文科相であり、その左には小泉環境相と、実質的に国家主導で組織されることは明白です。
かつて、原子力発電に対しても国家的なプロジェクトが組織され、反対意見を無視して原子力発電の導入が行われました。当初の目標だった高速増殖炉核燃料サイクル、核融合炉は夢のまま、福島第一原発事故という史上最悪の原子力発電所事故を起こし、もんじゅは動かぬまま廃炉となり、原子力発電は今や廃炉するのみで、廃炉の後も国家的なお荷物となって将来的にも日本国民を苦しめ続けます。
かつて理化学研究所において、国家戦略であった熱核融合炉についての技術的な検討を行い、熱核融合炉は実現不可能であるという主張をした 槌田敦さんは、その経験から、国家の命運を左右するような大プロジェクトにおいては、それと同等の予算規模のアンチ・プロジェクト研究(プロジェクトの負の側面を研究するプロジェクト)を同時に行うことが必要であると述べていました。今ほど原発の失敗の轍を繰り返さぬためにも、温暖化研究、脱炭素研究のアンチ・プロジェクトが必要な時はないと考えます。
しかし現実は、この国はまたしても太平洋戦争や原発推進、地震予知同様に、国家の掲げた非論理的・実現不可能な目標に向かって大学・研究機関が総動員されて引き返せない暴走を始めようとしています。恐ろしいことです。
昨日のNHKニュースウォッチ9という番組の中で、まったく科学的な思考能力が感じられない有馬嘉男というキャスターと、これまたどうにもならない経団連の中西弘明が、菅政権の2050年CO2放出ゼロ宣言に向けての産業界の展望について、まったく科学的な裏付けのない薄っぺらな精神論を語り合っていました。
例えば、2050年に再生可能エネルギー発電の割合を60%(くらいでしたか?)にすることができるかという有馬の問いに対して、中西は洋上風力を中核とする技術で可能であろうといいます。ふざけてはいけません、洋上風力発電は陸上の再生可能エネルギー発電に比較しても、圧倒的に単位発電電力量当たりの施設規模が大きく、全く実現性はありません。この点については、最近では、このコーナーのNo.1331、No.1332で触れた通りです。
このホームページでは繰り返し述べていますが、工業化社会とは、突き詰めれば化石燃料という優秀な天然のエネルギー資源によって支えられた特異な生産システムを持つ社会のことです。化石燃料を消費せずに工業化社会を維持すること、あるいはCO2を放出しない工業化社会とは、自然科学的な思考能力のない大バカ者の妄想に過ぎません。
まず第一に工業化社会を支え得る人工的なエネルギー供給システムの必要条件を自然科学的に明らかにすることが必要です。この点を確認しない限り、その他の電力を利用する個別技術開発、たとえば自動車の電動化など全く砂上の楼閣というしかありません。
最新のレポート「工業化社会システムの脱炭素化は不可能」において、どうして再生可能エネルギー発電に基づくエネルギー供給システムでは工業化社会を維持できないかという点について自然科学的に考察していますのでご覧ください。
企業技術者の近視眼的な技術開発が後を絶ちません。昨日のNHKの報道番組で、日本製鉄が製銑・製鋼工程を非炭素化するという技術開発方針を公表したことが流れました。私はサラリーマン時代に日本製鉄の前身の鉄鋼メーカーのエンジニアリング部門にいただけに、このバカバカしい技術開発に対しては忸怩たる思いです。
まず、NHKのホームページから記事を紹介します。
日本製鉄 “CO2排出量実質ゼロ”を2050年までの目標にする方針
2021年3月5日 6時10分
鉄鋼最大手の日本製鉄は、石炭の代わりに電気を使って鉄を作る「電炉」で質の高い鉄を生産したり水素を活用した全く新しい製鉄技術の研究を加速させたりすることで、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目指す目標を初めて打ち出す方針を固めました。目標の達成に向けては、5兆円規模の巨額の投資が必要になる見通しで、会社では、政府に長期的な支援を求めて行く方針です。
脱炭素社会の実現に向けて、政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げていますが、鉄鋼業界は、石炭を使って高炉で製鉄する過程で多くの二酸化炭素を排出しその排出量は国内全体のおよそ15%を占めていて対応が注目されています。
こうした中、関係者によりますと日本製鉄は、2050年までに排出量の実質ゼロを目指す目標を初めて打ち出す方針を固めました。
具体的には石炭の代わりに電気を使って鉄を作る「電炉」で質の高い鉄を生産する技術や水素を活用して鉄を作る全く新しい技術の研究開発を行い、実用化するとしています。
さらに国内外で開発が進む二酸化炭素を回収して地中にたくわえる技術の活用も推進するとしています。
目標の達成に向けては、5兆円規模の巨額の投資が必要になる見通しで会社では今後、政府に長期的な支援を求めて行く方針です。
日本製鉄は、こうした目標をきょう公表する経営計画に盛り込む方針で、環境分野に力を入れる中国やヨーロッパなど海外の鉄鋼メーカーに対抗する狙いがあるものと見られます。
さて、製鉄の主な工程は、天然資源である鉄鉱石=酸化鉄を還元して酸素を取り除くことで銑鉄(C炭素を多く含んだ脆い鉄)を作る製銑工程と、銑鉄から炭素や硫黄などの不純物を取り除き成分を調整する製鋼工程に分けられます。
高炉では、鉄鉱石、石灰、コークス(石炭を焼結して純粋な炭素に近くしたもの)に高温の熱風を吹き込み熱源・還元剤としてのコークスの酸化反応によって鉄鉱石=酸化鉄を還元しています。
転炉では、溶けた銑鉄に酸素を吹き込み、余計な炭素を酸化して取り除きます。
コークスは製造過程で様々な副産物が生じます。
従来の製銑工程の改良として、コークス炉で副産物として生じるH2水素やCH4メタンを高炉に送り込み、還元剤としてのコークスの量を削減することが考えられていました。
しかし、今回の報道では、こうした技術ではなく、還元剤を全てH2に置き換える技術や電炉の改良が考えられているようです。
還元剤となる水素を一体どうして製造するのでしょうか?水素製造のために必要なエネルギー、鉄鉱石を溶解するために必要な熱エネルギーを供給するために、一体どのようなエネルギー供給システムを構想しているのでしょうか?
残念ながら、これらを再生可能エネルギー発電で供給することは、社会全体の化石燃料消費量を拡大することになるのは必定です。鉄鋼技術者たちも近視眼的な技術開発に埋没しているようです。
菅政権が誕生し、「グリーンとデジタル化」が経済浮揚の目玉政策として浮上してから、世の中は一層狂ったようにCO2温暖化対策に暴走を開始したように思える最近です。まさに狂気の時代です。
このコーナーで繰り返し触れているように、現在のCO2温暖化対策の成否は、突き詰めれば実に簡単な問題であり、再生可能エネルギー発電が利用可能な工業的エネルギーを供給できるかどうかで判断できます。冷静に考えれば、
再生可能エネルギー発電のエネルギー産出比≒0.3<1.0
ですからCO2温暖化対策ないし、工業化社会からのCO2放出をゼロにすることは、自然科学的、技術的に不可能であることは明白です。
それ以前に、人為的なCO2放出によって地球の気温状態が異常に上昇しているとする「人為的CO2地球温暖化脅威説」そのものが自然現象として起こり得ないことも、これまでのこのホームページの検討から明白です(不知火書房「検証温暖化」、「温暖化の虚像」参照)。
沖縄在住の中本正一朗さん(JAMSTEC地球シミュレーター次世代海洋大循環モデル開発研究初代責任者、元沖縄高専教授)から頂いた私信メールを、許可を頂いて以下に掲載しておきます。
近藤邦明さま、
1990代に初版が出版されていらい、現在も大変に評判が良い大気物理学の教科書
Fundamentals of Atmospheric Physics(Academic Press 1996)、
を書いた、Murry SalbyはCO2温暖化論がインチキであると主張して、オーストラリアの大 学を追われました。
詳しくは、以下の動画
Climate
Scientist Murry Salby Returns! - Presents NEW SCIENCE - YouTube
をご覧ください。
上の動画は Salbyが気温とCO2の相互相関(クロス・コリレーション)をしらべて、近藤さんと槌田先生の指摘されたことを観測データを解析することで証明したも のです。つまり、地球の大気の温度が変化した後で、大気中のCO2濃度が変化することをSalbyは観測データを統計処理して実証したわけです。
Salbyが用いた相互相関の手法は時系列解析(Time series analysis )の基礎ですから、時系列解析の手法は習得している気象学や海洋学の博士課程の学生ならば、Salbyの行った気温とCO2の相互相関(クロス・コリレーション)の結果が何を意味するか理解できると私は思います。
追伸:
近藤さんと槌田先生が
「気温が先に変化して、そのあとでCO2が変化する」
と指摘された数年後に、Salbyは近藤さんと槌田先生のように
「気温の変化がCO2の変化を引き起こすこと」
を発表して、オーストラリアの大学から追放されたわけです。
以下の動画は、Salbyがオーストラリアで大学を追放された後の講演です。
Prof. Murry
Salby: Neue Forschungsergebnisse zum Ursprung atmosphärischen CO2 -
YouTube
Murry Salby -
"Global Emission of Carbon Dioxide: The Contribution from Natural
Sources" - YouTube
Prof Salby:
Atmospheric Carbon, 18 July 2016, University College London - YouTube
これらの動画の画面右下の歯車をクリックし、自動翻訳の欄で日本語を選ぶと日本語訳が表示されます。
中本正一朗
沖縄県名護市
琉球研究所
動画の日本語字幕表示の要領
@画像下の歯車記号「設定」をクリックして、字幕を「英語(自動生成)」にします
A更に、「英語(自動生成)」を選択して、「自動翻訳」をクリックして日本語を選択します
追記
Salby氏の主張は、前著「検証温暖化」163頁「大気中のCO2量の循環モデル」、あるいはPDF「温暖化の虚像」27頁「炭素循環に対する人為的な影響」の考え方と同じ内容です。大気中のCO2は、地表面環境の中で急速に循環しているのであって、産業革命以降に放出された人為的なCO2が大気中に蓄積し続けて大気中CO2濃度を上昇することなどありえないのです。
テレビ朝日の朝の情報番組で、電動自動車、再生可能エネルギー発電をはじめとするCO2温暖化対策技術に対する対応について紹介されていました。正に机上の空論のオンパレードに、絶望的な気持ちになります。
現在のCO2温暖化対策技術は、再生可能エネルギー発電技術が工業技術として成立することが前提となっています。これは、再生可能エネルギー発電によって、他の産業分野に対して利用可能な余剰の電力供給が可能であることを意味しています。単純には、
再生可能エネルギー発電のエネルギー産出比≫1.0
であることが前提だということです。
実際には、
再生可能エネルギー発電のエネルギー産出比≒0.3
程度です。太陽光発電や洋上風力発電では更に小さいと考えられます。これは、再生可能エネルギーの密度が希薄でしかも不安定であることに起因している回避不能な本質的な問題です。この工業的に利用価値の低い屑エネルギーを工業的に有用なエネルギーに変換しようという試みは、一種の錬金術と言ってよいでしょう。
現在の再生可能エネルギー発電技術の技術開発の方向性は、本質的な問題であるエネルギー産出比の改善は既にあきらめた状態であり、再生可能エネルギー発電施設の規模を大きくしたメガソーラーや洋上風力発電によって見かけ上の発電量を大きく見せかけているだけです。しかしこうした方向はさらにエネルギー産出比を低下させていることは既にNo.1331、No.1332等で触れた通りです。
問題はそれだけではありません。電力供給を前提とした派生的なCO2温暖化対策技術もまた大きな問題を持っています。
熱力学の成果から、地球上で起こるあらゆる物理・化学的変化は必ずエントロピーを増大させます。これは、効率が100%の変化はあり得ないことを示しています。その典型的な例の一つが「永久機関は不可能」というものです。
ところが、CO2温暖化対策技術の開発において、技術者たちはこの最も基本的な熱力学の基本法則を無視した愚かな技術開発を進めています。
先日、大阪ガスが二酸化炭素の『メタネーション技術』についてマスコミ発表をしていました。これは、液化天然ガスの燃焼によって放出されたCO2に対して、大量のエネルギーを投入してメタンCH4にして再び都市ガスとして供給するという馬鹿げた技術です。
確かに見かけ上、CO2をサイクル利用するため、環境のCO2量は増えないように思われます。しかし、CO2に対する化学プロセスによってCH4を製造するためには、製品としてのCH4の持つ燃焼エネルギーよりも多量のエネルギーを投入することが必要になります。したがって、このメタネーションによって人間社会が利用可能なエネルギーは減少するのです。
大阪ガスの発表では、CO2の還元に用いる水素H2は再生可能エネルギー発電電力による水の電気分解によって製造するとしています。すでに燃料電池についてはNo.975で検討したように水の電気分解の効率でさえ100%よりもはるかに小さくなります。さらにCO2をH2によって還元するプロセスが必要なため、メタネーションの製造プロセスは更に低効率になります。既にこの段階でメタネーションに科学的な合理性がないことは明白です。
大阪ガスの技術者は、「都市ガスの燃焼から放出されるCO2を回収すること」に対して近視眼的な技術開発を目指した結果、社会全体にとってはCO2増加になる点について全く理解していない視野狭窄に陥っているようです。
詳細については、下記レポートをご覧ください。
「工業化社会システムの脱炭素化は不可能」
2月9日の大分合同新聞に、子供を大分市内の小学校に通わせている女性が校長を地方公務員法違反で刑事告発したという記事が掲載されました。
このホームページでかつて私の娘の通っていた県立高校ないしPTAの問題について報告してきました(大分県の県立高校における教育・PTAの諸問題)。内容の主要部分は不知火書房から「公立高校とPTA」として書籍にまとめました(2015年)。
おそらくこの女性も大変なご苦労をされたことだと思います。PTAの問題は日本社会の中において、特に地方ではタブーとされています。私の場合は最初に大分県内で民主的な弁護士として知られている方に相談したのですが、「PTAの問題は勝ち目がないから・・・」と断られてしまいました。
笑い話になるのですが、娘の通う県立高校の同窓会の重鎮という、これもまた人権派の弁護士として広く知られた人でしたが、この方も県立高校と癒着しており、PTA問題の相談には全く乗っていただけませんでした。それどころか、生徒の個人情報を勝手に同窓会に開示するという犯罪行為の一方の当事者でした。
大変なご苦労かと思いますが、気づいた親が繰り返しPTA問題を告発し続けることだけが問題を解決するのだと考えます。
1月31日の大分合同新聞に菅政権下の2050年CO2排出ゼロ目標を標的に、欧州の風力発電企業が日本市場を狙っているという記事が掲載されました。
風力発電については「温暖化の虚像」第5章の「風力発電の実像」や第6章で取り上げている「福島洋上風力コンソーシアム事業」で検討しているように、全く使い物になりません。また、このコーナーの記事No.1331でも触れました。
欧州の風力発電企業が日本の洋上風力発電が「有望」という意味は、菅政権下で今後再生可能エネルギー発電の導入に日本の国費が大盤振る舞いでばらまかれるから、ぼろ儲けの市場として実に有望であるという意味であることを理解しておかなければなりません。
風力発電の導入の歴史の長い欧州では、既にそのあまりの非効率性によって、これ以上の導入が難しい状況になっているため、新たな市場として日本にターゲットを絞ってきたのです。
CO2放出量削減対策として無意味な再生可能エネルギー発電導入によって、日本国民の血税が欧州の風力発電企業にかすめ取られてしまうことになるのです。
また、一方で日本の太陽光発電パネル製造メーカーが中国との価格競争に敗れて製造部門を撤退するというニュースが流れました。
太陽光発電パネルの製造はエネルギー集約的な産業であり、エネルギー価格の高い先進国では、たとえ再生可能エネルギー発電に対する固定価格買取制度の下でも、経済的に成り立ちません。日本国内のメガソーラー発電にしても、おそらく大部分はエネルギー・電力価格の安い中国や東南アジア諸国製品を利用しているはずです。これについては「温暖化の虚像」第5章の「太陽光発電の実像」や第6章で取り上げている「なぜ太陽光発電パネルは中国製なのか」で検討しています。
太陽光発電も、有用エネルギーを食いつぶすだけの無意味な発電方式であることをそろそろ認識すべきでしょう。
NHK・BSの「英雄たちの選択」の2時間スペシャルとして掲題の番組が1月3日に放映されました。私はおそらく再放送を見たようです。NHKのホームページから概要を示しておきます。
NHKのこの種の番組はなかなか面白いと思っています。ただし、今回これを取り上げたのは、歴史番組としての本来のNHKの狙いとは全く関係のない部分で、いつもは人為的CO2地球温暖化脅威説の大洗脳キャンペーンを行っているNHKが迂闊にもこれと全く逆の内容を主張していたことを興味深く思ったからです。
番組では現在から6000年ほど前の完新世温暖期に最盛期を迎えた縄文文明を、食糧供給を含めて、縄文土器に象徴されるような文化的にも「豊かで平穏な時代」であったと特徴づけていました。
しかし、次第に環境が寒冷化することで豊かで平穏であった時代は次第に衰退したことが説明されていました。
この評価は、私自身が学校教育で学んできた古代縄文文明の内容と変わらないものであり、特異なものではありません。つまり、「縄文時代の最盛期は温暖で豊か=人類にとって住みやすい環境」であったということです。
では、その住みやすい環境の気温とはどの程度だったのでしょうか?産業革命以前の環境気温程度だったのでしょうか?
人為的な影響を受けていない北半球の継続的な気温変動の代表として、GISP2によるグリーンランド氷床の温度変化を示します。
上図は、現在を基準とした気温偏差としてグリーンランドの気温変動を示しています。日本の縄文文明の最盛期は図中の「完新世温暖期」の時期に対応します。縄文文化は最盛期を過ぎると2℃以上も急速に寒冷化したことがわかります。
2℃以上もの気温低下は植生を大きく変え、狩猟・採集生活をおくっていた縄文人たちにとっては厳しい環境になったはずです。
人為的CO2地球温暖化脅威説が蔓延する今日、IPCCやこれに洗脳されてしまった大多数の人たちは、「産業革命以前の気温からの気温上昇を1.5℃までに抑えないと、生態系に破滅的な影響が起こる」と言い、グレタ嬢にいたっては「私たちの家(地球)は燃えている」などと言って民衆の恐怖心を煽っています。
しかし実際はどうでしょうか?豊かで平穏であった完新世温暖期=縄文文明最盛期の気温は現在よりも2℃以上も高温であったのです。産業革命以前は「小氷期」であり、完新世で最も寒冷な時期でした。完新世温暖期よりも3℃以上も低温の寒さの厳しい時代であり、飢饉が頻発した過酷な時代でした。
こうした過去の歴史的な事実を振り返るだけでも、パリ協定の目標自体が全く非科学的な主張であることは、誰にでもわかるはずですが・・・・。実に不思議です。
NHK総合の人気番組「チコちゃんに叱られる」でCO2地球温暖化説が登場しました。予想通り(笑)国立環境研のCO2温暖化説の顔、江守正多が登場しました。
まずこの番組を見て感じた印象は、これだけ世界中の人たちが皆、「人為的CO2地球温暖化で大変だ!」と言っている割には、番組に登場した誰一人としてそれらしい説明ができる人がいないということです。よくこんな状態で温暖化対策に巨大な国費が使われることに疑問を持たないのだろう?というのが素朴な疑問でした。こんな状態だから江守のようないかがわしい解説にころりと騙されてしまうのであろうと納得しました。
江守の説明は、これまでのCO2温暖化論の主張から随分と変節した内容でした。まあ、人為的CO2地球温暖化説がいかがわしいものである証左であろうと思います。
番組では、大気中CO2濃度上昇の原因については説明されていませんでしたので、人為的なCO2放出で温暖化しているという主張の説明にはなっていませんでした。
詳細については「珍説、CO2地球温暖化説by江守正多」をご覧ください。
さて、今年最初の書き込みです。このところ年を追うごとに憂鬱になってきます。老人性の鬱、あるいは老害でしょうか(笑)。さて、今年も寒の入りを迎えました。この冬は年末から寒い日が続いています。それでは恒例の「寒中見舞い」の公開です。今回は、はがきバージョンと電子メールバージョンを公開することにします。
次の電子メールバージョンは、大学時代の同窓生である技術屋に送ったものです。
寒中お見舞い申し上げます。
昨年は、人為的CO2地球温暖化に対するパリ協定の実施開始年でした。日本では、ファシスト安倍政権に代わって無能・強権的な菅政権が登場し、2050年にCO2放出ゼロを目指すという、何の科学・技術的な裏付けのない無謀な政策目標が掲げられました。
ご承知の通り、私は人為的CO2地球温暖化説について検討してきましたが、自然科学的に全く誤りであることを確認しました。
現在の地球大気を巡る炭素循環を見ると、年間に地球の表面環境から放出されるCO2量は炭素重量で230Gt(230×10^9トン)程度であり、その内化石燃料の燃焼などによって人為的に放出されているのは7Gt、3%程度です。現在の大気中CO2濃度を400ppmとすると人為的な寄与は高々12ppmに過ぎないことは、高校の化学を学んだ子供でも理解できることです。つまり、たとえ人為的なCO2放出をゼロにできたとしても大気中CO2濃度は388ppm程度にしか減少しないのです。
仮にCO2地球温暖化説が正しいとしても、産業革命以降の大気中CO2濃度上昇を125ppm程度とすると、人為的な影響は10%に満たないのであって、人為的な影響はCO2濃度上昇の主要な原因ではないということです。
実際には、産業革命以降の近年の大気中CO2濃度の上昇は、気温の上昇が「原因」となって、その「結果」として主に海洋からのCO2放出が増加したからです。「人為的CO2地球温暖化説」は、CO2濃度上昇の主因を間違えた上に、気温上昇とCO2濃度上昇の因果関係を取り違えるという二重の間違いの上に創造された正に「砂上の楼閣」です。
さらに今回、大気の放射現象を分析することによって、現状では大気中CO2濃度が上昇することによって、対流圏上層大気温度が低下し、その結果として気温も低下することがわかりました。人為的CO2地球温暖化説は完全に誤りです。
それにもかかわらず、日本を含めて世界の国々は温暖化対策と称して、再生可能エネルギー発電の導入に突き進もうとしています。しかし、その中核技術と言われる風力発電や太陽光発電は、余りにも鉱物資源や化石燃料の利用効率が低いため、自ら産出する電気エネルギーだけでは再生可能エネルギー発電システムを単純再生産することすら出来ない劣悪な技術です。つまり、再生可能エネルギー発電の導入で化石燃料消費は増大することになります。
https://www.youtube.com/watch?v=ObvdSmPbdLg&feature=emb_logo
このまま再生可能エネルギー発電の導入を拡大していけば、基本資源であるエネルギー価格が暴騰し、すべての社会システムが機能不全になるばかりでなく、国土の自然環境が太陽光発電所や風力発電所の建設で破壊され尽してしまうことになります。私の住む別府市の周辺でも里山の南斜面や耕作放棄地が次々と太陽光発電パネルで覆われつつあります。
おそらく企業技術者たちは、将来的にはともかく、短期的には温暖化対策製品という高額商品市場の拡大をもたらし企業収益の増大に資する温暖化対策を歓迎しているのであろうと考えます。確かに短期的にはCO2温暖化対策は工業生産規模を拡大して経済を肥大化させますが、それはとりもなおさず鉱物資源や化石燃料消費を拡大させることを意味することは自明です。科学者・技術者の社会的モラルは完全に崩壊しているように思います。
2020年12月25日に愚かな菅政権は、2050年にCO2放出量をゼロにするためとして「グリーン成長戦略」を公開しました。それによると2050年にはCO2放出量削減対策の経済効果が年間190兆円になると試算しています。これは、グリーン成長戦略によって国民の受ける便益が充実するわけではなく、現在と同レベルの便益を受けるために国民消費者が負担する費用が暴騰することを意味しています。
既に名目電力供給のわずか8%ほどの再生可能エネルギー発電を促進するために電気料金に上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金額は年間3兆円を超えています。更に2030年代にはすべての新車が電動車になるため、貧乏人は車を購入できなくなるかもしれません。
このように温暖化対策商品という高額商品市場が拡大することで大企業はぼろ儲けをし、庶民生活は崩壊していくことになるのです。
願わくは、学友諸氏におかれましては、他人事ではないこの人為的CO2地球温暖化問題の実体について知っていただき、子供たちの世代に対する我々世代の責任として、無謀な温暖化対策を押しとどめる力になっていただきたいと切望するものです。
前著「検証温暖化」の続編として公開した拙著「温暖化の虚像」
https://www.env01.net/d_count/download.php?download=1
をご覧いただきたいと存じます。内容について、何らかの意義を感じられたときは、ご家族や友人、知人にも紹介していただければ幸甚です。
また、内容について疑問やご意見がありましたらコメントしていただければできる範囲で対応したいと思います。
https://www.env01.net/wp01/
末尾になりましたが、今年が昨年より少しはましな年になることを願っております。
2021年1月5日
近藤邦明 拝