北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル、InterContinental Ballistic
Missile)の発射実験に成功しました。米日が認めようが認めまいが、北朝鮮が核兵器保有国になったことは否定しがたい現実です。
今回のICBMの発射実験成功は、米国にとっては大きな意味がありますが、日本や韓国にとってはそれほど大きな意味はありません。北朝鮮は既に短距離、中距離ミサイル技術は完成しており、日韓を攻撃するためにはそれだけで十分だからです。
今までは北朝鮮からの核攻撃の外にいた米国にとって、今回のICBMの発射実験の成功で、近い将来において、北朝鮮の核兵器によって直接米国本土が攻撃範囲に入ることになったことの意味は小さくないでしょう。社会正義からの良い悪いにはかかわらず、北朝鮮のICBM保有によって、米国はこれまでよりも北朝鮮に対する軍事オプションに慎重にならざるを得なくなったことは確かです。
米国や日本政府はミサイル迎撃システムがあると言いますが、ICBMに対する迎撃訓練であっても、成功の確率は高くありません。まして実戦においてICBMやSLBMを確実に迎撃することが出来るはずはありません。北朝鮮が本気で日韓を攻撃すれば、人的被害を含めて多大な犠牲を強いられることになることは否定することが出来ないのです。したがって、米国が北朝鮮に対して軍事行動を行うことを日韓が承認するということは、日韓は甚大な被害を被ることを承諾したということと同義です。
能天気で幼稚な安倍晋三は、米国が北朝鮮に対して軍事的な手段を含めたすべてのオプションを用意しているということを“額面通り”に受け取って歓迎するなどという愚かな発言をしていますが、とんでもない話です。本来ならば、日本国民の安全に責任を負う総理大臣であるならば、米国に対して軍事行動は自重すべきであると進言すべきです。
米国は、北朝鮮の核実験やミサイル発射実験に対してあらゆる軍事的オプションをとる用意があるとけん制していますが、これはあくまでも恫喝であって、現実には直ちに軍事的オプションをとることを想定していないことは明らかです。米国は軍事オプションも否定しないと言ってはいますが、同時にティラーソン国務長官が言うように、米国が北朝鮮に対して軍事行動を起こせば、韓国や日本にとっても悲惨な被害が出ることになるので、対話による解決が重要であると述べているのです。北朝鮮はそれが分かっているから実験をやめないのです。
したがって、現実的には経済封鎖による圧力しか手段はないわけですが、中露やその他の国の協力が得られない状況では有効な圧力にはなり得ません。また、北朝鮮に対してどのような圧力をかけたところで、いったん手にした核兵器やミサイル技術を放棄することなど非現実的な願望にすぎません。核保有国がまた新たに増えたことは悲しいことではありますが、北朝鮮が核兵器保有国になったことを認めることからしか、今後の交渉の糸口は開けないでしょう。
なぜ北朝鮮が核保有国になったのかを再度考えておくことが重要だと考えます。第二次世界大戦後朝鮮半島は、悲しいことですが、大国のエゴによって米国とソ連によって分割統治されることになり、朝鮮戦争を経て(と言っても現在休戦中ですが)米国は一貫して北朝鮮の体制を倒して親米の韓国による朝鮮半島の支配を目指してきました。その結果、北朝鮮の存在を認める形の朝鮮戦争の終結交渉には応じようとしていません。
北朝鮮は、米国の軍事的圧力を背景とした強硬な要求に対して、自らの体制を守るためには軍事力の強化によって対抗し、究極の目的として核保有国になってICBMを保有して米国との対等な立場による平和交渉の締結を認めさせることを目標にしてきており、今まさにその技術を手に入れようとしているのです。
北朝鮮同様、国連安保理の常任理事国という『公式』な核保有国による理不尽な軍事圧力と先鋭に対峙している国家・地域では核兵器開発によって対等な立場で交渉しようと考えるのは無理からぬことです。その意味で、北朝鮮の成功を見て、核開発に向かう国はその意志を強くするはずです。正に核による恫喝が世界に核を拡散させるのです。
現状において、最も現実的な対北朝鮮政策とは、中露が主張している通り、できるだけ早い段階で北朝鮮との外交交渉を再開し、北朝鮮と韓国の相互不可侵を担保した上で米軍の完全撤退を行うことが最良だと考えます。
戦後最悪の国会が閉幕しました。この国会を通して、安倍政権が目指す日本の方向性が極めて明瞭な形で見えました。盗聴法、機密保護法、共謀罪、安保関連法案、そして官邸主導という名の人事権の掌握による恐怖政治による「トップダウンによるスピーディーな政策決定」という自民党・安倍政権による国家運営の目指すものは、国家権力の強化による国家による国家のために統治機構の実現と、軍事大国化、その究極の形こそ国会審議の形骸化である翼賛国会でありファシズムです。要するに戦前回帰のアナクロニズムです。
官邸主導による岩盤規制を打ち破るという国家運営は、国会審議の積み重ねによって形成されてきた法治国家体制を、一内閣がトップダウンで超法規的に破壊する正にファシズムの体現です。
このような民主主義と真っ向から対立する国家運営、国会運営を行う安倍ファシスト政権がどうしてここまで増長しているのか。まずは、今朝の大分合同新聞1面のトップ記事を紹介することにします。
ここに紹介された共同通信社による世論調査では、安倍内閣支持率が前回に比べて10%程度低下したとして、トップニュース扱いになったようです。
しかし、本国会のでたらめな国会運営を見れば、安倍ファシスト政権とこれを支える自民・公明・維新は、国会審議を完全に形骸化することで、事実上、日本の民主主義の根幹である国会審議を全く無意味なものにし、民主主義を破壊したのであり、国民有権者が民主主義国家の有権者としての資質を有しているのならば、保守・革新の思想のいかんにかかわらず許してはならないものと考えます。
今回の世論調査で特に気になったのが、安倍ファシスト政権支持率が最も高い年代層が30代以下の若年層であったことです。
小泉政権についても書いたことがありますが、大統領制に比べて権力の集中が起きにくいと考えられている日本などの議院内閣制においても、実は容易にファシスト政権が成立する可能性があるのです。特に、日本のように3権分立が不完全で政府に対する国会や裁判所による監視機能が弱く、更に商業主義に侵された無能な報道機関しか持たない国では、ファシストはやりたい放題です。
制度的に、国家権力を独立した視点から監視する制度的枠組みの導入と、内部告発者の人権の保護制度を確立するなどの改革が必要かもしれません。
しかし、一番重要なのが、国民有権者が権力機構の行動に対して常に情報を確認した上で厳しい監視の目を持ち、それを投票行動に結びつけるという、民主主義が成立するための基本を国民・有権者が自覚することです。
今回「平和ボケ」という表現を使いましたが、それは、戦後しばらくの間(60年間ほどか?)は、敗戦後の真摯な先人によって作られた日本国憲法という優れた憲法のおかげで、そして戦争の記憶を有している世代の存在によって、曲がりなりに日本の平和と民主主義が保たれてきたために、民主主義や不戦・平和主義が明治以降の度重なる戦争を経る中で、先人の血と涙によって命がけで獲得されたものだという歴史を忘れ、努力せずとも当たり前に存在するものだと認識している危機的な状態を指しています。安倍晋三を筆頭とする、戦前回帰のファシズム国家復活の野望を持つ権力志向の反民主主義的保守主義者は虎視眈々と復活の機会をうかがい続けているのです。その安倍晋三らが仕掛けた、テロ防止のために共謀罪、警察権力の強化、軍事力の増強が必要などという戯言にまんまとのせられる馬鹿者を平和ボケと表現したものです。
残念ながら、教育内容を国家が管理する強固な教科書検定制度の下で、権力に都合の良い情報だけを10年以上にわたって刷り込まれ、現実社会の出来事に対して思考を遮断されてきた若者を中心とする大多数の国民は、享楽的な社会の中でスマートホンやネット情報によって、現実社会の政治問題に対してほとんど思考停止状態に陥っています。若者ほど安倍ファシスト政権に対する親和性が高いという状況は、残念ながら絶望的な状況というしかありません。
安保関連法案の強行採決後においても、安倍ファシスト政権支持率は多少下がりましたが、翌年の選挙では自民党一強体制が確立しました。本国会のような無茶苦茶な国会運営をしたところで内閣支持率の低下は「わずか10%」であり、自民党支持率は圧倒的です。これでは安倍ファシスト政権はまったく安泰というところです。ファシスト安倍晋三が国民を見くびるのも当然です。次の国政選挙に今回の国会運営のでたらめさについての正当な評価が反映される可能性は皆無なのでしょう。
このHPでは安倍政権の強権的な姿勢に対して繰り返し批判してきました。国会も終盤を迎え、ますます国会はでたらめな状態になってきました。どうせ最終的に与党の強行採決で押し通されることが分かっている国会など無意味です。野党はすべての国会審議をボイコットして街頭に出て安倍政権の横暴を国民に向かって今こそ訴える時だと考えます。
知人から掲題のアピール文の拡散依頼がありましたので以下に公開します。
今朝からトランプ米大統領のパリ協定離脱表明に対するバッシングが繰り返されています。トランプのパリ協定離脱の理由には幻滅しました。結局のところ、米国の経済的な不利益、米国ばかりが損をするから離脱するという誠に矮小な理由に終始しました。
私は大統領選挙において、トランプが人為的CO2地球温暖化仮説が誤りであるからパリ協定から脱退するとしていたことから、トランプ政権下で人為的CO2地球温暖化仮説の自然科学的な見直しが行われることを期待していましたが、今日のパリ協定離脱表明には全く幻滅してしまいました。トランプは単なる目先の経済的な損得にしか目の届かない愚か者だったということでしょうか。残念です。
註)おそらくこの記事をお読みになった読者だと思われる方から、トランプは「温暖化していない」と言っているのであって、「人為的CO2で温暖化しているのではない」とは言っていないというご指摘を受けました。しかしながら、一般的に「温暖化」という場合、「人為的に放出されたCO2による大気の付加的な温室効果によって、人類にとって脅威となるような異常な気温上昇」という内容を包含しています。トランプはその意味における「温暖化はでっち上げである」と主張しているものと、私は理解しています。
とはいえ、トランプのパリ協定離脱に対する批判的論調もまた誠に非科学的極まりないものであり、トランプ以上に俗悪なものです。新聞報道を紹介します。
トランプ批判の大部分の主張は、「世界的なコンセンサスを得ている人為的な原因によるCO2増加による地球温暖化仮説」という政治的に仕組まれたフィクションを無条件に正しいとしているところから始まりますが、その自然科学的な内容を全く理解せずに妄信しているだけの大バカ者というしかありません。
さらに、その対策として進められている再生可能エネルギーの導入は、これまで繰り返し述べてきた通り、非効率であり鉱物資源や炭化水素燃料・石炭を大量に浪費するがゆえに、確かに一時的には不要な経済の肥大化を加速します。しかし、あまりにも非科学的で非効率な再生可能エネルギーシステムによって工業的生産システムはやがて自壊し破綻することになります。
現状は絶望的な状況ですが、やがて誤りに気づいてくれる人が増えることを信じて、ごまめの歯ぎしりを続けるしかないようです。
前回、風力発電の実態を把握するために大分県日田市の椿ヶ鼻風力発電所についての検討を行いました。
その後、ネット上に会計検査院の平成25年報告に関連して、国の補助事業として行われている国内の風力発電についての報告がありましたので、これを紹介し、併せて風力発電について考察することにします。
まず報告の全文を以下に示します。
資料の風力発電の運転実績について考えることにします。風力発電実績をまとめると、
調査期間:H20年度〜H25年度の6年間(2,190日間)
調査対象:1,207基(128事業者)
計画発電量に対する発電実績
5事業者はすべての年度で50%未満
地域助成金では8割程度が50%以上
事業者補助金では9割程度が50%以上
事故などによる稼働停止
90日間以上の稼働停止を伴う事故件数は486
稼働停止の総日数は115,154日間
この資料の実績を見ると、日本の平均的な風力発電の実態は前回示した椿ヶ鼻風力発電所のケースよりもはるかに悪いことが想像されます。
例えば椿ヶ鼻風力発電所では計画発電量670,000kWh/年(設備稼働率15.6%)に対して実際の発電量の比率は、
(659,718+644,190)÷(670,000×2)=97.3% (設備稼働率では15.2%に相当)
でしたが、この資料では50%以上が8〜9割程度という表現を使っていることを考えれば、平均的には75%程度あるかないか程度であろうと推測します。これではまったく使い物になっていないというしかありません。
更に問題なのが、90日間以上の稼働停止期間を要する事故が6年間で486件も起きている点です。風力発電の平均耐用年数を20年間とすれば、90日間以上の稼働停止期間を要する事故数は
486×(20年間/6年間)=1,620件
つまり平均すると、対象となる1,207基の風力発電は少なくとも耐用期間中には1回以上90日間以上の稼働停止期間を要する重大事故にあうということです。稼働停止期間が90日間未満の小・中規模の事故・故障の発生は日常茶飯事であろうと考えられます。
風力発電設備の事故は、単に運転期間が短くなるだけではありません。事故の復旧のためには鉱物資源やエネルギー資源の消費を伴うため、二重にエネルギー産出比の悪化をもたらします。財政基盤の弱い運営主体であれば、復旧できずに廃業になる可能性もあります。
また、予定外の運転停止は電力供給の信頼性についても大きな問題となります。
現在、風力発電を大型化し洋上に設置しようという方向に向かいつつあります。しかし、洋上風力発電設備は、着底式であろうと浮体式であろうと、陸上風力発電に比較して建設に投入する鉱物資源、エネルギー資源量が飛躍的に大きくなります。多少設備稼働率が向上したところで、エネルギー産出比が陸上風力発電に及ばないことは自明です。
さらに、洋上の自然環境は陸上以上に過酷なものになります。潮風による風力発電設備の劣化は急速に進行します。また、運転・維持補修作業には陸上風力発電に比べ物にならない大きな費用、つまり鉱物資源とエネルギーの消費を伴います。
これらを総合的に勘案すれば、洋上風力発電には何の合理性もないことは明らかです。
大分県のある風力発電が設置から20年を経過して、老朽化によって運転を停止し撤去されることになりました。比較的データが公開されているので、風力発電のライフサイクル全体についての検討を試みようと思います。
その前にエネルギーつながりで、一つ話題を紹介します。今朝のNHKのニュース番組において、日本の有名なロックバンドが、コンサートのギターリストの使用する電源を燃料電池車の車載燃料電池で供給するという、なんともばかばかしいデモンストレーションを行ったという報道がありました。
燃料電池車と言えば、このコーナーNo.1181において燃料電池車の普及に暗雲が立ち込めている(笑)という話題を紹介しました。この無知で愚かなロックバンドのギターリストは、聞きかじりの耳学問で燃料電池が環境問題の解決に役立つと思い込み、トヨタやホンダ、あるいはその利権構造に深くかかわっている自民党議員によっていいように利用されていることが分かっていないのでしょう。もともとロックンロールとはアウトロー、あるいは反体制的な情熱を音楽にぶつけていると思っていましたが、コマーシャリズムに乗った彼らは、もはや体制の犬と化したようです。
この愚か者はどうでもいいのですが、このロックバンドの妄信的なファンの若者たちには、「燃料電池は環境問題の解決に役立つ」という誤った情報が、何の科学的な根拠も示されないままに刷り込まれていくのです。
さて本題です。大分県日田市の椿ヶ鼻ハイランドパークに設置された風力発電が老朽化によって撤去されることになりました。まず新聞報道を紹介します。
まず注目していただきたいのは、風力発電は運用管理にかなり高額の費用が掛かるという点です。再生可能エネルギー発電に対してはメンテナンスフリーというような誤った先入観があるようですが、実際にはかなり大きな運用のための経費が必要だという点です。1998年4月から2017年現在うまで、概ね20年間で、投入された経費が132,990,000円なので、1年間当たり平均で6,649,500円/年が投入されたということです。
この椿ヶ鼻の風力発電の諸元を紹介しておきます。
この椿ヶ鼻の風力発電施設の発電能力は245kW×2基=490kWです。年間発電量は670,000kWh/年と推定していますので、これが正しいとすると設備利用率は、
(670,000kWh/年÷365日/年÷24h/日)÷490kW=15.6%
まずまず妥当な値だと考えられます。椿ヶ鼻の風力発電の生涯発電量の総計は、
670,000kWh/年×20年=13,400,000kWh
この電力を生産するために投入された費用の合計は、
200,000,000円+132,990,000円+18,600,000円=351,590,000円
発電原価は、
351,590,000円÷13,400,000kWh=26.2円/kWh
原価の20%を投入エネルギー費用だとすると、
26.2円/kWh×20%=5.24円/kWh
したがって、この風力発電のエネルギー産出比は火力発電と同程度ということになります。風力発電電力は、太陽光発電以上に時間に対する変動が激しい不安定なクズ電力です。電力の安定化に必要な蓄電装置等の付帯設備まで考慮すれば、風力発電を利用することで、莫大な鉱物資源の浪費だけではなく、石炭、石油、天然ガスというエネルギー資源も浪費することになることは明らかです。
そろそろこの椿ヶ鼻の風力発電同様に老朽化によって耐用期間の終わりを迎える風力発電が続々と現れることになるでしょう。せっかくなので、風力発電のライフサイクル全体についてのデータをしっかり分析し、洋上風力発電などという無謀な計画を思い直すように切にお願いしたいものです。
追記:椿ヶ鼻風力発電の発電実績
経産省の資料に椿ヶ鼻風力発電の発電実績データがありましたので以下に示します。
諸元に示してある年間発電量670,000kWhは概ね妥当なもののようです。H13年度、14年度の平均設備利用率は、
(659,718+644,190)÷(490×24×365×2)=15.2%
現在、再エネ特措法によって九電は20kW以上の陸上風力発電電力について20年間は23.76円/kWhで買電していますが、実際の発電原価は26.2円/kWh程度ですから、営業的にはまったく成り立たないことになります。椿ヶ鼻風力発電では、再エネ特措法の成立以前では上表からは15円/kWh程度で売電していたようですから、売電事業としては大失敗であったことが分かります。
椿ヶ鼻風力発電同様に風力発電がブームであった頃は、設置費用の半額国庫補助などに目がくらんで地方自治体が競って風力発電を導入しましたが、あまりの不経済から途中でやめたり、大赤字を抱えた地方自治体が少なくありません。風力発電事業の失敗という高額の授業料を支払った貴重な経験を今後に生かすために、詳細な検討を行い、安直に第二世代としての洋上風力発電などという無謀な計画を取りやめるよう、自治体には冷静な対応を切にお願いしたいと考えます。
安倍政権・官邸による権力の私物化は目に余ります。加計学園の獣医学部開設に対する安倍・官邸の介入はもはや疑う余地はありません。安倍のとりまきに対する利益供与は、金銭的な見返りはなかったとしても、韓国の朴槿恵と変わるところがありません。
おそらく国家機関の高級官僚の人事権までを安倍・官邸の下の内閣人事局に集中したことで、国家公務員は安倍・官邸の意向をますます「忖度」せざるを得ない状況となり、安倍・官邸に都合の悪いことは絶対に口外しないという風潮になっているのであろうと考えられます。加計学園の獣医学部新設に対する前文部科学事務次官の前川氏が記者会見で述べたとおり、安倍・官邸マターの案件については疑問を持っても抵抗できない状況になっていることは想像に難くありません。
この前川証言に対する内閣官房・菅の意味不明の説明は苦し紛れのでたらめです。出どころのわからない怪文書であれば出所を特定して真偽を明らかにすることこそ道理だと考えますが、今回も森友学園の時の籠池氏に対する人格攻撃同様、前川氏に対する本件とは全くかかわりのない事柄に対する個人的な人格攻撃で乗り切るつもりのようです。あきれ果てたものです。この件に対する新聞記事を紹介しておきます。
権力側が市井の人となった一個人に対して人格攻撃を行うという状況は常軌を逸した異常な行動ですが、この一点からも前川氏の発言は真実であることは間違いのないことだと考えます。
この件も含めて、安倍政権・官邸のやりたい放題と安倍・官邸に国会運営や憲法改正までが主導されている状況は、ほとんど日本という国がファシズムに突入しようとしているように感じられます。
最近の政治情勢について、天木さんのメールマガジンの記事をいくつか紹介しておきます。天木さんはかなり楽観しているようですが、…。安倍政権を追い込むためには国民が安倍政権NO!を、あらゆる機会を使って明確に示すことが必要不可欠です。
□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2017年5月24日第424号 ============================================================
内田樹さん、あきらめるのはまだやはい
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きょう5月24日の東京新聞に、神戸女学院大学の名誉教授であり思想家の内田樹氏が、「立憲主義廃絶への一本道」という寄稿を寄せている。
その寄稿で彼はこう書いている。
特定秘密保護法、安保法制、共謀罪を経由してやがて改憲に至る、これは間違いなく立憲デモクラシー廃絶と一党独裁を目指す一本道だ、と。
私が書いてきたとおりの言葉だ。
その通りなのだ。
いまや、安倍首相は、共謀罪成立後の、憲法9条3項の実現に向かって、走り出した。
そして今の野党では、どう転んでもそれを阻止できない。
それどころか、東京都知事選とその後に続く国政選挙で野党は壊滅し、もはや護憲政党は共産党だけになるだろう。
それこそが安倍首相の狙いだ。
まさしく一党独裁である。
内田樹氏は自問する。
なぜ、「国民主権を廃絶する」と明言している政党に半分以上の有権者が賛成し続けているのかと。
そして内田氏は自答する。
それは、戦後生まれの日本人は生まれてから一度も「主権者」であったことがないからだと。
家庭でも、部活でも、就職先でも、社会改革を目指す組織においてさえ、常に上意下達の非民主的組織の中にいたからだと。
上位者の指示に唯々諾々と従う者の前にしか、キャリアパスが開けない世界だったからだと。
私が興味深いと思って読んだのは、その後に続く、日本の企業について語った次のくだりだ。
・・・企業労働者たちは会社の経営方針の適否について発言する必要がないと思い込むに至っている。それは「上」が決めることだ。それでも平気でいられるのは、経営者のさらに上には「マーケット」があり、経営者の適否を過(あやま)つことなく判断してくれると彼らが信じているからである。「マーケットは間違えない」。これはビジネスマンの信仰箇条である。売る上げが減り、株価が下がれば、どのような独裁的経営者もたちまちその座を追われる・・・
つまり日本国民の大勢を占める企業人、労働者こそが、主権を放棄しているというわけだ。
この観察は鋭い。
内田氏はその寄稿をこう締めくくっている。
・・・日本の統治者のさらに上には米国がいる。米国の国益を損ない、不興を買った統治者はただちに「日本の支配者」の座を追われる。これは72年前から一度も変わったことのない日本の常識である。統治者の適否の判断において「米国は決して間違えない」という信ぴょうは多くの日本人に深く身体化してる。それがおのれの基本的人権の放棄に同意するひとたちが最後にすがりついている「合理的」根拠なのである、と。
どうやら内田氏は日本の将来をあきらめているかのごとくだ。
そしていまや私のまわりにもあきらめ顔の者ばかりだ。
私でさえもそう思う時が増えて来た。
しかし、内田さん、あきらめるのはまだ早い。
安倍首相が憲法9条改憲を明言し、それを自らの任期中に行うと宣言した瞬間から、安倍首相は憲法9条の逆鱗に触れて、自滅への一本道を進む事になる。
廃絶への一本道は、立憲主義ではなく安倍首相の方なのだ。
日本の政治を最後に動かすのは、日ごろ政治的活動などしない、声なき声だ。
声なき声が平和な日本を望む限り、憲法9条改憲は、たとえ政治が否定しようとしても、その誤りは国民の手でとがめられる。
声なき声に憲法9条の大切さを見づかせるのが新党憲法9条の役割である。
内田さん、あきらめる前にぜひ新党憲法9条の実現に最後の希望を託しませんか(了)
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
□■ 天木直人のメールマガジン2017年5月26日第429号
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前川前次官の国会証人喚問が実現すれば安倍・菅暴政は終わる
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きのうの午後4時から行われた前川喜平前文科省事務次官の記者会見は圧巻だった。
たったひとりでも、官僚のトップが覚悟を決めて正しい言動を行えば、安倍晋三や菅義偉といった三流政治家など、ひとたまりもないということだ。
加計学園系列大学の獣医学部が、国家戦略特区の名の下に不当に新設が承認された事は、すでのこれまでの報道で明らかである。
しかし安倍・菅暴政コンビは権力を濫用して逃げ続けてきた。
野党の非力さと骨抜きメディアに助けられて、「悪だくみ」をごまかして来た。
しかし、担当官庁のトップであった前川前次官が記者会見で明らかにした言葉の数々は、安倍・菅暴政コンビにとって致命的だ。
「あったものをなかったということはできない」
「公正、公平であるべき行政のありかたが歪められた」
「極めて薄弱な根拠のもとで規制緩和が行われた」
「内閣府の回答は最後通告に近いもので、『開学は決まった事だ』(と伝えられた)。そこに、総理のご意向という言葉も出てくる」
もしこれらの前川氏の発言が、国会で証人として語られるなら、間違いなく安倍政権は倒れる。
天下り処罰の逆恨みであっても、風俗通いをした者の発言でも、次官をやめた後の発言でも、そんな事など吹っ飛ばすほど勇気ある発言だ。
すべてのマイナスを克服する、国民のためになる発言だ。
かくなる上は、野党は何があっても前川次官の証人喚問を実現させなければいけない。
安倍・暴政コンビは、何があっても応じないだろう。
その時こそ、野党はすべての国会審議をストップするのだ。
あらゆる法案審議は止まる。
共謀罪も、天皇退位特例法も吹っ飛ぶ。
安倍首相が、やぶれ、かぶれ解散・総選挙に打って出れば、その時こそ国民が安倍・菅暴政に鉄槌を下す時だ。
野党は何があっても前川次官の証人喚問を実現しなければいけない(了)
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前回まで2回にわたって太陽光発電について検討してきましたが、今回はより一般的に自然エネルギーを利用した発電システムが使い物にならない普遍的な理由を紹介することにします。
その前に、エネルギー問題がらみで新聞記事を紹介しておきます。政府の肝いりで推進されてきた燃料電池車の普及に暗雲が立ち込めてきた(笑)という内容です。
燃料電池車の失敗は、No.1176 科学的合理性の欠落した政策は必ず失敗するでもふれたように、導入に自然科学的な合理性がないから失敗しているのです。
前回までの太陽光発電でもふれたように、高価なエネルギー供給システムはそれだけエネルギー的に見て非効率的であり、エネルギー資源と鉱物資源を大量に浪費していることを示唆しているのです。燃料電池車の自然科学的な検討については既にこのコーナーで取り扱ってきたので、燃料電池は低効率のエネルギー供給技術をご覧ください。
さて、では本題に入ることにします。
不安定なエネルギーを安定性を要求される送電線網に接続することの誤り
現在もてはやされている再生可能エネルギー技術の多くは、自然界に普遍的に存在する自然エネルギーを工業的にかき集めて、電力供給を行おうというものです。
自然エネルギーを電力として供給するという点で、既に大きな問題を抱え込むことになります。現在の電力供給は、一般的には、全国土を覆いつくす巨大な送電ネットワークで運用されています。電力は、供給量と消費量が均衡することが必要です。供給量と消費量の間に大きな不均衡が生じると電力供給ネットワークは不安定になりクラッシュすることになります。
したがって、電力事業者は供給電力量と電力需要を常に監視し、供給電力量を電力需要の変動に応じてを自在に調整することが必要になります。
ところが、自然エネルギー、例えば風の強さや太陽放射量は、正にお天道様任せで、自在に調整することは不可能です。これが自然エネルギー発電電力をクズ電力と呼ぶ所以です。本質的に、自然エネルギー発電のクズ電力を既存の送電線ネットワークに直結して利用するという発想そのものに根本的な誤りがあるのです。
この自然エネルギー発電のクズ電力を送電線ネットワークに接続して無理やりに運用するためには、いくつかの方法があります。
@自然エネルギー発電装置と送電線ネットワークの間に何らかのバッファー装置を組み込むこと。例えば蓄電池や、揚水発電所など。
A自然エネルギーのクズ電力を超広域で分散利用することで局所的な不安定を解消するために、超広域で電力を融通し合うための超高規格の巨大送電線網を付け加えること。
このいずれの方法も莫大なハードウェアが必要になるため、この付帯設備を含めた自然エネルギー発電のエネルギー産出比は極度に悪化することになります。
エネルギー密度の低い自然エネルギーの利用には巨大な装置が必要
人間の生息できるような環境中で得られる自然エネルギーは、どこにでも普遍的に存在しますが、当然その空間的あるいは面的な密度の低いエネルギーです。これを集めて工業的に利用できるような電力に加工するためには、必然的に巨大な設備が必要になります。No.1176 科学的合理性の欠落した政策は必ず失敗するでも紹介したように、実効出力で300kWの発電能力を得るために、火力発電なら鉄の使用量は6t程度なのに対して、陸上風力発電では250t程度が必要です。
300kWをイメージするために身近な単位として馬力(PS:仏馬力)に換算してみます。1PS=735.5W=0.7355kW なので、300kW≒409PS です。つまり、高さ100mにも及ぶ巨大な発電風車の出力は、ちょっとした自動車用エンジンの出力と変わらないのです。
不安定なエネルギーは過大な発電装置を必要とする
まず、自然エネルギー発電の性能評価の指標である「設備利用率」について簡単に説明しておきます。
さて、実際の自然エネルギー強度(≒実際の発電量と仮定)の変動と設備の発電容量の関係を模式図に示します。
例えば、風力発電では定格出力が緑色の実線で示した発電装置の必要容量に対応します。例えば2MW風力発電装置の場合は2MWです。ところが、自然風は時間に対して激しく変動しています。定格出力の発電ができるような風が吹くことは稀です。平均すると赤の実線で示す値になったとします。この時の設備利用率は、
設備利用率=平均強度÷必要容量
このホームページでは、風力発電では設備利用率を15%程度と考えています。この場合、2MW風力発電の実効発電能力=平均発電能力が300kWなのに、発電機は2MW=2000kW用の発電機を備えなければならないのです。安定した操業ができる火力発電であれば、実効発電能力300kWであれば300kW用発電機を備えれば済むのです。風力発電では不安定なエネルギー源を使用することによって、実効発電出力に対して2000/300≒6.7倍もの過大な発電装置が必要になるのです。これも自然エネルギー発電が割高になる必然的な理由です。
太陽光発電について設備利用率を考えてみましょう。太陽光発電パネルのWpから、1000W/m2の南中時の太陽放射に対して15%の変換効率とすると、発電設備容量は150W/m2です。これに対して年間の実効発電量は120kWh/m2だとします。
設備利用率=120kWh/m2÷(150W/m2×24h/day×365day)
=120kWh/m2÷1314kWh/m2=9.1%
つまり太陽光発電では発電容量に対して僅か9.1%しか設備を利用しておらず、風力発電以上に実効発電量に対して過大な発電装置が必要だということです。これは、太陽光発電では太陽の出ている昼間しか発電できず、しかも天候に大きく左右されるため、当然の結果です。
このように、自然エネルギーという制御不能な不規則変動するエネルギーを発電装置を駆動するためのエネルギー源として用いる発電装置はすべてエネルギー資源と鉱物資源を浪費する発電装置にならざるを得ないのです。