前回の検討で、産業革命以降、現在までに観測されている大気中CO2濃度の上昇の大部分が、気温の上昇による海洋からのCO2放出量の増加であることがわかりました。結論をまとめておきます。
■産業革命以前の大気中CO2濃度:280ppm |
産業革命から現在までに上昇した大気中CO2濃度の
87% は気温上昇などに伴う自然現象なのです。したがって、仮に、産業革命以降の大気中CO2濃度の上昇が気温上昇の主因だとするCO2温暖化仮説が正しいとしても、CO2濃度の上昇の主因が自然現象なのですから、産業革命以降の気温上昇の主因は、少なくとも人為的な影響ではあり得ない、自然現象であるというのが科学的な結論です。
現在、温暖化対策として人為的なCO2排出量を削減しようと躍起になっていますが、仮にCO2放出をゼロにしたところで、削減できるCO2量は
14.3ppm に過ぎず、「CO2温暖化対策」としてほとんど効果がないのです。CO2温暖化対策につぎ込まれる莫大な税金は、CO2温暖化対策商品を製造販売する企業を肥え太らせるだけで、温暖化を防止する実質的な効果はなく、庶民生活を悪化させるだけです。
今回は、炭素循環について、もう少し詳しく見ておくことにします。
1.大気中に放出されたCO2は急速に混合し、区別できない
人為的CO2蓄積説では、産業革命以降、化石燃料消費で大気中に放出したCO2の炭素重量は
350GtC 程度であり、その半分が大気中に蓄積することで大気中CO2濃度が
100ppm 程度上昇したと主張しています。
しかし、これは全く奇妙な主張です。発生源が異なっても、炭素原子に区別はありません。勿論炭素原子の同位体は化学的な性質が異なりますが、大部分(98.93%)を占める質量数12の12Cであれば、化学的に区別することは出来ず、全く同じ挙動を示すはずです。一旦大気中に放出されてしまえば、放出源の違いは無関係です。人為的に放出されたCO2の半分だけが『選択的に』大気中に『蓄積』することはありません。
大気中CO2濃度は世界各地で観測されています。記録を見ると南極のsouth
pole基地、ハワイのMauna
Loa観測所、日本の南鳥島の観測所・・・、季節変動を除けば、どの観測所の観測値、そして変動傾向も非常によく対応しています。これは、大気は急速に撹拌されて一様に混合が進むことを示しています。対流圏の乾燥大気の組成はどこでも共通の値を示すのです。
したがって、「人為的CO2」という特定の放出源からのCO2の、しかも半量だけが大気中に蓄積することは化学的に起こり得ないことは、中学生でも分かることです。
各放出源が大気中CO2濃度に及ぼす影響の大きさは年間放出量(時間あたりの放出量)によるのです。IPCC2007年報告の炭素循環図によると、産業革命から現在までの年間放出量の増加量は、人為的CO2が
6.4GtC/yr であるのに対して、海洋からの放出は 20GtC/yr
であり、海洋からの放出量の増加の影響のほうが遥かに大きいことがわかります。
また、人為的CO2蓄積説では、産業革命以降の人為的CO2放出量の合計は
350GtC であり、影響は大きいと言います。しかし同じ期間、たとえば 200年間の海洋からのCO2放出量の合計は、16000GtCにも及ぶのであって、全く比べ物になりません。
以上の検討から、通説としている人為的CO2蓄積説にまつわる2つの誤りを指摘しておきます。
大気に放出されたすべてのCO2は同じ挙動をするので、 |
Aについて少し補足しておきます。
大前提として、生物化学反応である光合成は、放出起源にかかわらず大気中に存在するすべてのCO2を区別なく利用しています。
石炭紀では巨大なシダ類などが繁茂し、地球史的に最も光合成が盛んであった時代です。石炭紀の初頭では大気中のCO2濃度は数1000ppm
程度もありましたが、光合成による大気中CO2吸収速度が呼吸や生物体組織の分解によるCO2放出速度よりも大きかったために、大気中のCO2量は急速に減少し、数100ppm
程度にまで低下しました。植物の生体反応であればカーボン・ニュートラルであるという保証はありません。また、化石燃料の内、石炭とは石炭紀に蓄積した大量のバイオマスが熱変性を受けて乾留されたものです。したがって石炭も広義のバイオマスです。
逆に、植物起源のバイオマス燃料の消費であればニュートラルであるという保証もありません。自然環境中で起こるバイオマス分解反応に比較してバイオマス燃料消費による分解は極めて早く、大気中CO2濃度を上昇させます。
2.大気中に存在するCO2すべて同じ吸収率で吸収される
では、大気中に放出されたCO2が時間の経過によってどのように変化するのかを見ておくことにします。地球大気をめぐる炭素循環では地球環境の吸収するCO2の年間吸収量qoutは次式で表されます。
qout = rQ
地球大気に含まれるCO2量は準定常的に変化するため、近似的に
qout = qin
として差し支えありません。このような平衡系では、上式に示す通り、Q の内、年率 r だけが地球環境に吸収され、同じ量のCO2が補填されています。
下図は、初期状態 (t = 0) において大気中に存在していたCO2について、時間の経過とともに残留率がどのように減少するかを示したものです(着色部分)。r
の値はIPCC2007年の炭素循環を参考に、r = 0.2864(1/yr) とします。
1年間にQの内の r = 0.2864 だけが吸収されるので、単純に考えれば、1/r = 3.491年ですべてが入れ替わるように思われます。3.491年を平均滞留時間と呼びます。
仮に、地表面環境の年間吸収量が rQ で一定であれば、上図の t = 0 の接線に沿ってCO2が減少します。確かにその場合は3.491年ですべてが入れ替わることになります。しかし、当初大気中に存在していたCO2は時間Δt が経過するとΔQ減少するため、Δt 経過後の年間吸収量は
qout(Δt) = r(Q − ΔQ)
に減少します。このような関係を満足するのが図に示した指数関数です。この関数の特徴は、平均滞留時間が経過するごとに、残留率が
1/e = 1/2.71828 = 0.3679 倍になることです。
したがって、平均滞留時間の3倍が経過すると、残留率は5%未満にまで低下します。
以上から、大気中のCO2は概ね10年程度経過すれば大部分(95%程度)が入れ替わります。したがって、人為的CO2蓄積説の「産業革命以降に人為的に放出されたCO2が200年間以上も大気中に蓄積し続けて現在の大気中CO2濃度を上昇させている」という主張は不合理です。
さて、Δt 経過すると、大気には新たなCO2がΔQだけ供給され、全体量はQで変化しません。増加したΔQに対する年間吸収量は当然 rΔQです。したがって、系全体に対する年間吸収量qoutは、
qout = qout(Δt) + rΔQ ≡ rQ
です。これは、着目時点の前から残存しているCO2と着目時点で今正に放出されたCO2のいずれも、同一の吸収率
r で地表面環境に吸収されることを意味します。これは、大気中に存在するCO2は放出源だけではなく、放出された時期によっても一切区別されないことを示しています。
人為的CO2蓄積説では、人為的に放出されたCO2は初年度に50%が吸収され、二年目以後はそのまま大気中に存在し続ける=蓄積すると主張しています。これは、放出源だけではなく、放出された時期によって吸収率が異なることを主張していますが、科学的な必然性の存在しない不合理な主張です。
このHPでは、米国の核の傘をあてにしておきながら、他国に対して核廃絶を訴える日本政府や日本の核廃絶運動は信頼を得られないと繰り返し述べてきました。本質的に日本政府は積極的に核兵器廃絶など考えていないのは周知の事実ですが、幻想を抱いている日本人が多いことに呆れ果てています。
今回、米オバマ政権は、核政策として核兵器の先制不使用を検討し始めたと報道されるやいなや、我が好戦的な安倍ファシスト・保守党政権が反対の立場を示し、話合いの申し入れをしました。先ずは新聞報道から。
つまり、日本政府の立場としては、核攻撃されていなくても危険だと判断すれば核兵器を使用する権利を担保しておくべきだというものです。こんな立場は、北朝鮮ですら公言できないような内容です。このような立場の日本政府には他国に対して核廃絶を訴えるような資格はないと考えます。
また何度も書いていますが、日本の反核運動はまず日本政府に対してこそ運動の焦点を絞るべきだと考えます。高校生の国連に対する反核申し入れなど滑稽としか言いようが無いと考えます。
さて、同じ紙面に沖縄のヘリパッド建設の記事がありましたので紹介しておきます。沖縄の基地問題は普天間・辺野古だけではありません。内地の日本人は、沖縄じゅうの基地が問題なのだということを銘記すべきです。
日本では、外交・安全保障は国=日本国政府の専権事項だとして、当該自治体の意向を無視して独断的に米国の顔色ばかりを見ています。安倍ファシスト・保守党政権は民主主義とは何かが全く理解できていないようです。国の本質は実態としての主権者=国民自身であり、最も重要視すべきものは国民個人であり、地域社会であり、その集合体が国なのであって、国家機関とはその事務処理に当たる機関にすぎないのです。安倍ファシスト・保守党政権は全く倒錯して、個人は国家の決定に従うべきものと考えています。彼らの考え方は、自民党憲法草案に明確に読み取ることが出来ます。
安倍ファシスト・保守党政権による憲法改正によって、日本は民主主義国家から中央集権国家へと変貌することになることを、明確に意識することが必要だと考えます。
前回まで、大気中CO2濃度がどのように決まるのかをIPCC2007年の炭素循環図の数値を用いて検討してきました。
今回は、化石燃料の消費による人為的に放出されているCO2量の削減効果を検討することにします。まず現在の大気中CO2濃度を見ておきます。
上図はハワイ Mauna Loa観測所における大気中CO2濃度の観測値の変動曲線です。図から現在の平均的な大気中CO2濃度を 390ppm 程度としておきます。
上図から、現在の人為的なCO2の年間放出量は 320億トン=32Gt とします。炭素重量に換算すると、CO2の分子量は44、Cの原子量は12なので、
32(Gt/yr) × (12/44)(GtC/Gt) ≒ 8.73(GtC/yr)
です。大気中のCO2の交換率は便宜的に前回使用した r =0.2864(1/yr) をそのまま使うことにします。現在の大気中CO2量に対する人為的に放出されているCO2の寄与は、
8.73(GtC/yr)/0.2864(1/yr) = 30.48(GtC)
これを大気中CO2濃度に換算すると
30.48(GtC)/2.132(GtC/ppm) = 14.3ppm
大気中CO2濃度 390ppm の内、人為的に放出されているCO2の寄与率は、
14.3 ÷ 390 = 3.7%
です。産業革命から現在まで増加した大気中CO2濃度は、390−280=110ppm なので、この産業革命以降の大気中CO2濃度の増加量に対する人為的に放出されているCO2による寄与率は、
14.3 ÷ 110 = 13%
に過ぎません。したがって、人為的に放出しているCO2量をゼロにしたとしても、大気中CO2濃度は 390ppm から
(390 − 14.3) = 375.7ppm
に減少するだけです。
前回に引き続き、もう少しIPCC2007年の炭素循環について考えることにします。
1.産業革命前と現在の炭素循環の比較
現在は合計で、大気に放出されるCO2量が (218.2 − 190.2) = 28GtC/yr 増加しました。増加した 28GtC/yr の内訳は表の通りです。
海洋放出増加 | 土地利用の変化 | 化石燃料消費 | 合計 |
20.0GtC/yr | 1.6GtC/yr | 6.4GtC/yr | 28.0GtC/yr |
71.4% | 5.7% | 22.9% | 100.0% |
同様に、大気から吸収されるCO2量が (215.0 − 190.2) = 24.8GtC/yr 増加しました。増加した 24.8GtC/yr の内訳は表の通りです。
海洋吸収増加 | 土地吸収 | 合計 |
22.2GtC/yr | 2.6GtC/yr | 24.8GtC/yr |
89.5% | 10.5% | 100.0% |
産業革命前から現在の変化を考えるとき、最大の変化は海洋における大気への流入量、大気からの流出量の増加です。これは、気体の水への溶解反応という可逆反応の化学平衡で考察した通り、産業革命前から現在までの気温・海洋表層温度の上昇によって、吸熱反応である海洋からのCO2放出が増加して大気中CO2濃度が上昇する方向に化学平衡が遷移したからだと考えられます。氷期―間氷期サイクルと大気中CO2濃度で考察したのと全く同じ現象です。
それに加えて、土地利用の変化や化石燃料の消費で大気中CO2濃度が上昇したため、この変化を緩和するように海洋の吸収量が更に増加したものと解釈できます。
産業革命前夜は、マウンダー極小期などの無黒点期で知られるように太陽活動が極端に低下して、完新世(ここ1万年ほど続いている間氷期)の中で最も寒冷な時期であった小氷期でした。その後、太陽活動が再び活発になり、寒冷期が終わって気温が回復して、現在は産業革命当時から0.6〜1.0℃ほど気温が上昇していると考えられています。
この気温の上昇にともなって、海洋部分からのCO2放出反応が活発になったことがこの間の大気中CO2濃度上昇の主要な原因です。
2.大気中CO2濃度に対する化石燃料の消費の寄与
それでは、現在の人間活動に伴う化石燃料の消費が大気中CO2濃度にどの程度影響しているのかを考えることにします。基本となる関係式を再掲しておきます。
Σqin(t) = Σqout(t) = r(t)Q(t)
上式を大気中CO2量Q(t)と大気へのCO2流入量qin(t)との関係に書き直します。
Q(t) = Σqin(t)/r(t)
IPCCの図では厳密には Σqin(t1)≠Σqout(t1) ですが、実際には数%の違いは大した意味はありません。ここではCO2放出量の大気中CO2濃度への寄与を考察しますので、便宜的に次の値を用います。
r(t1) = Σqin(t1)/Q(t1) = 218.2/762 = 0.2864(1/yr)
現在の大気中CO2は、1年間に28.6%が入れ替わるということです。産業革命以前では31.9%でしたから、すこし交換率が小さくなっています。それでもわずか1年間で大気中CO2量の1/3程度が入れ替わっているのです。
Q(t1) = Σqin(t1)/0.2864
各CO2放出源 i からの放出量 qi による大気中CO2量に対する寄与を Qi とすると、
Qi = qi/0.2864 (GtC)
この式を用いて、現在の各放出源からの寄与を計算したものを次表に示します。
放出源 | qi (GtC/yr) | Qi=qi/0.2864 (Gt) | 体積濃度(ppm) |
呼吸 | 119.6 | 417.6 | 195.9 |
土地利用変化 | 1.6 | 5.6 | 2.6 |
海洋放出 | 70.6+20 | 316.3 | 148.4 |
化石燃料の消費 | 6.4 | 22.3 | 10.5 |
合計 | 218.2 | 762 | 357.4 |
以上から、現在の大気中CO2濃度を357.4ppmとすると、化石燃料の消費で放出されている人為的CO2の寄与は10.5ppm、比率にして10.5/357.4=2.9%だということがわかります。
産業革命以前の大気中CO2濃度は280ppmなので現在までの増加は(357.4−280)=77.4ppmです。人為的CO2の影響は10.5/77.4=13.6%です。
さて、参議院選挙が終わり、予想通り与党自民党の圧勝に終わりました。これで昨年夏に強行採決され成立した憲法違反の安保関連法=戦争法の速やかな破棄は当分望めなくなりました。与党自民党の思惑通り、この一年間で日本国民の安保関連法に対する怒り・熱はどこかに吹っ飛んでしまい、参議院選挙の関心の第一は経済問題だと…。安倍ファシスト政権を生かし続けているのは学習しない愚かな主権者である一般大衆自身だとつくづく思います。戦後すぐに書かれた伊丹万作の文章は今もそのまま正しいと思います。
とはいえ、自民党に対峙する軸が存在しないことも、国民には不幸なことかもしれません。民進党の大企業労組依存体質はエネルギー政策などを縛っていますし、前原など防衛・憲法問題では安倍に近い立場であり、米国盲従も同じです。これでは思い切った政策は取れないでしょう。
いずれにしても、事なかれ主義で寄らば大樹の陰と思考停止で与党に投票する愚かな有権者が大勢を占める限り、この国に民主主義は根付けないことだけは確実です。有権者が有権者自信をどう鍛えていくべきなのか、なにか妙案はないものでしょうか……。
選挙後、安倍はアベノミクスをもう一段二段とアクセルを踏むと大見得を切って打ち出したのが、何の新しさもないリニア中央線の前倒し、整備新幹線の整備などに10兆円規模の財政出動を追加するというものです。この大馬鹿者にはあいた口がふさがりません。ますます将来世代の借金を増やすだけの無能なバラマキ土建屋政治の再来です。
さて、7月6日でしたか、英国のイラク戦争参戦に対する独立調査委員会の報告が出されました。その中で、米国盲従で参戦ありきで冷静な現状分析を怠り、大量破壊兵器を保有していなかったイラクに対して、国連決議を得ずに参戦したことが誤りであったと報告されました。なおざりの調査で、小泉政権の判断に誤りはなかったとして何の反省をも行わない日本とは大きな違いです。政策の検証能力のない=歴史に学ばない日本はまた大きな誤りを犯すことになるでしょう。
2001.9.11のアルカイダによるという米国同時多発テロに対する米国の感情的な復讐・リンチとして開始されたアフガニスタン侵攻とタリバン政権の転覆、引き続くイラク侵攻とテロとの闘いは、軍事作戦として完全に失敗したことは最早明らかです。米国主導で対テロ戦争が開始されて15年を経過した現在、イスラムテロは中東のみならず、欧州、アフリカにまで拡散し、更に南アジアに広がりつつあります。この米国の軍事行動によって既に数十万人の尊い命が失われています。武力によるイスラムテロの撲滅という誤った作戦は即刻中止すべきであろうと考えます。
このような時期に安倍ファシスト政権は愚かな米国軍事作戦に参戦するために昨年安保関連法案を強行採決し、『血の軍事同盟』となりました。テロ掃討の有志国連合に日本が参加し、米国との軍事同盟を強化したことによって、在外日本民間人の危険は確実に高まっています。バングラデシュでは最悪の事態を招きました。安保関連法の成立で、おそらく今後はこの種の事件は増えることはあっても安全になるようなことは考えられません。
米国主導の有志国同盟の中東介入で中東・北アフリカ・欧州の軍事的な緊張は確実に高まりました。更に、日米軍事同盟の強化は東アジア諸国を刺激し、確実に緊張を高めています。
米国は、北朝鮮対策という大義名分で韓国内に高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD」(サード)を配備することを決定しました。この間、まともに北朝鮮と対話を行うこと無く、経済制裁による北朝鮮の屈服だけを目指し、これが出来ないとなると交渉を打ち切り迎撃ミサイルを配備するという米国の力による外交は確実に朝鮮半島情勢、そして東アジア情勢の緊張を高めています。
勿論米国のサード配備の目的は北朝鮮だけを対象としたものではないのは明らかです。中国に対する威嚇の意味も当然あります。サードの配備によって中国やロシアと日米軍事同盟の間の緊張が高まることは必定です。
米国は、一連の軍事行動で北朝鮮を挑発して北朝鮮によるミサイル攻撃を誘発させようとしているとしか見えません。北がミサイル攻撃を開始すれば思う壺です。米軍は一気呵成に北朝鮮政権転覆へと向かうことでしょう。そうならないことを祈るばかりです。
前回まで、比較的水に溶けにくい気体の水への溶解反応いう可逆反応の化学平衡として大気中のCO2量のモデルを構成しました。ただし、これまでは着目した特定の時点の量的な関係として表現していましたので、時間要素を含んでいませんでした。時間的な要素を明示的に示すと、時刻tにおける一般的な関係は次のように表現することが出来ます。
Σqin(t) = Σqout(t) = r(t)Q(t)
以下、この関係を用いて分析を進めることにします。
地球の表面環境における炭素循環については様々なものが提案されていますが、比較的新しいものとして、IPCC2007年報告で紹介されている炭素循環図を紹介します。
図中の矢印は炭素Cの年間移動量(GtC/yr:炭素ギガトン/年)を表し、四角の枠の中の数値は炭素Cのストック量(GtC:炭素ギガトン)を表しています。また、黒の数値、矢印は、産業革命以前の定常状態と考えられている時代の炭素循環、赤の数値、矢印は、産業革命〜現在までの変化量を示しています。この図について考察します。
1.産業革命以前の炭素循環
産業革命以前の定常状態を時刻t0とします。
Σqin(t0) = 119.6[呼吸]+70.6[海洋放出] = 190.2(GtC/yr)
Σqout(t0) = 0.2[風化]+120[光合成]+70[海洋吸収] = 190.2(GtC/yr)
∴ Σqin(t0) = Σqout(t0)
Q(t0) = 597(GtC)
さて、産業革命以前の大気中CO2濃度は280ppm程度だと言われています。したがって、気体濃度が近似的に重量に比例することから、
(597/280) = 2.132(GtC/ppm)
なので、大気中の炭素重量が2.132Gt増加するとCO2濃度が1ppm上昇することになります。また、
r(t0) = Σqout(t0)/Q(t0) = 190.2/597 = 0.319(1/yr)
なので、一年間に大気中CO2量Qの31.9%程度が地球環境に吸収されていたことがわかります。
2.現在の炭素循環
現在の時刻をt1とします。
Σqin(t1) = Σqin(t0) +1.6[土地利用変化] +20[海洋放出増加] +6.4[化石燃料消費]
= 218.2(GtC/yr)
Σqout(t1) = Σqout(t0) +2.6[土地吸収] +22.2[海洋吸収増加]
= 215.0(GtC/yr)
Q(t1) = Q(t0) +165[産業革命から現在の変化] = 762(GtC)
大気中CO2濃度は、762(GtC)/2.132(GtC/ppm) = 357.4ppm
IPCCの図からは、現在は大気へのCO2流入量Σqin(t1)と流出量Σqout(t1)は釣り合っていません。不平衡量は次の通りです。
Σqin(t1) − Σqout(t1) = 3.2(GtC/yr)
これは、人為的に大気中へ放出されたCO2の半量に対応しています。3.2GtCを大気中CO2濃度に換算すると、(3.2/2.132)=1.5ppm に対応します。これは20世紀後半に観測されている大気中CO2濃度の変化率1.5ppm/yrに対応しています。
しかし、実際には年間の大気中CO2交換量が215.0〜218.2(GtC/yr)程度に対して、不平衡量3.2(GtC/yr)は1.5%程度であり、このような細かい精度で炭素循環が特定されているわけではありません。この図に対するIPCCのシナリオは大気中CO2量Qの変化はΣqin(t) と Σqout(t)の不平衡量を積算した結果であると考えているものと想像されます。
しかし、地表面環境の炭素循環が準定常的(=ある時々で大気中CO2濃度が有限確定値として観測できる程度にゆっくり)に変化している場合には、冒頭で紹介したように、一般的に次式が成立します。
Σqin(t) = Σqout(t) = r(t)Q(t)
したがって、Σqin(t) = Σqout(t) であっても、大気中CO2量Q(t)は気温変化などの環境条件変化によって r(t) が変化すれば無数に異なる平衡状態が存在します。したがって、気温上昇が顕著な20世紀の大気中CO2濃度を考えるとき、大気中CO2濃度が年間1.5ppm上昇することを年間の不平衡量が3.2(GtC/yr)であることによって説明できるというIPCCのシナリオは短絡的すぎるのです。IPCCの炭素循環図は、「人為的に放出されたCO2量の半量程度が大気中に蓄積して大気中CO2濃度が変化する」という人為的CO2蓄積仮説を説明するために細かい数値を弄びすぎているようです(笑)。
今回は、連載のテーマである地球大気に含まれる二酸化炭素の濃度の気温との関係を南極の氷床コア分析から考えることにします。
地球大気はいろいろな気体から構成された混合気体です。現在の乾燥した地球大気の組成の概略は次の通りです。
気体の溶解反応について、気体が水に溶け込む速さは次式で表されることを述べました。
v1 = k1[X(気体)]
大気をめぐる二酸化炭素CO2については、含まれる炭素Cの重量で表すことが多いので、上式を書き換えることにします。CO2の溶解の反応速度v1(単位はmol/sec:1秒間あたりに水に溶解するCO2のmol数)の代わりにq1(単位はGt/yr:1年間当たりに水に溶解するCO2に含まれているCの重量)を使うことにします。
※ Gt(ギガトン) = 1×109t(トン) = 1×1015g(グラム)
q1 = v1(mol/sec)×12(g/mol)×3600(sec/hour)×24(hour/day)×365(day/yr)
= 3.78×108×v1(g/yr)
= 3.78×10-7×v1(Gt/yr) ≡ A1v1 ただし、A1は比例定数
∴ v1 = q1/A1
同様に、着目する気体の濃度は、モル濃度[X(気体)](単位はmol/litre)の代わりに体積濃度を使います。1気圧標準状態で1molは22.4litre なので、
体積濃度 = [X(気体)](mol/litre)×22.4(litre/mol)×(106ppm)
= 2.24×107[X(気体)](ppm) ≡ A2[X(気体)] ただし、A2は比例定数
大気中のCO2濃度は高々390ppmと低濃度なので、体積濃度は近似的に大気中に含まれるCO2量に比例するとして差し支えありません。大気中のCO2量を炭素重量でQ(Gt)で表せば、
A2[X(気体)] = 体積濃度 ≒ A3Q ただし、A3は比例定数
∴[X(気体)] ≒ (A3/A2)Q
以上の関係を使うと、
v1 = q1/A1 = k1[X(気体)] = k1(A3/A2)Q
∴ q1 = k1(A1A3/A2)Q ≡ rQ ただし、r = k1(A1A3/A2)は比例定数
つまり、大気中に含まれている比較的水に対する溶解度の小さな気体の溶解速度q1は、大気中に含まれているその気体の量Qに比例するのです。比例定数rは速度定数k1に比例するので、温度が高くなるほど大きくなります。
今、1年間に海から大気中に放出されるCO2量をq2とすれば、平衡状態では次の関係が成り立ちます。
q1 = q2 = rQ
地球大気の大気中のCO2の挙動を考察する場合、大気中のCO2濃度は有限の確定値として測定可能です。したがって、Qの遷移速度は十分に遅く、現象は準定常的だと考えられるので、あらゆる場合について上式を用いて考察して問題ありません。
では具体的に地球大気に含まれるCO2濃度がどのように変動してきたのかを、南極の氷床コアの分析結果で見ることにします。
上図から、赤で示す気温変動と大気中のCO2濃度、さらにメタンCH4濃度が大変よく同期して変動していることがわかります。これは、比較的水に溶けにくい気体の水に対する溶解反応が発熱反応なので、気温ないし海洋表層水温が上昇すれば、逆反応である海洋からの気体放出が大きくなる方向に化学平衡が遷移するためです(ルシャトリエの法則)。この点については、人為的CO2地球温暖化論を主張する気象学者も同意しています。
しかし、地球には海洋だけではなく陸地があります。陸上では動植物の生物活動や無機的な風化や火山活動などがCO2の放出・吸収に関与しています。海洋部分と陸上部分の担うの放出・吸収量はほぼ同じ程度です。
陸上の主要なCO2放出現象は生物の呼吸であり、吸収現象は光合成です。生物の呼吸、そして光合成という生物反応も気温が上昇すれば活発になります。また光合成は大気中のCO2濃度が高くなるほど活発になります。しかし、呼吸で放出されるCO2量と光合成によって吸収されるCO2量が等しくなるような調整能力はありません。
陸上環境におけるCO2の出入りが釣り合わない場合はどうなるのでしょうか?例えば呼吸による放出が光合成による吸収を上回る場合には、大気中のCO2濃度が上昇します。すると、海洋部分ではCO2の海洋への溶解速度が大きくなり、呼吸によって上昇した大気中のCO2濃度の変化をを小さくする方向に化学平衡が遷移することによって調整されます(ヘンリーの法則、ルシャトリエの法則)。光合成によって吸収される量が卓越する場合には逆の現象が起こって調整されます。
海洋以外に独立したCO2の放出・吸収源がある場合においても、海洋の調整能力によって地球の大気中のCO2濃度は常に準定常的に変動していると考えられるのです。したがって、上図の場合には次式が成り立ちます。
(qin1 + qin2) = (qout1 + qout2) = rQ
より一般化して、CO2の放出源qin、吸収源qoutが複数ある場合には次式が成り立ちます。
Σqin = Σqout = rQ
高校化学の内容を思い出していただけましたでしょうか?今回は速度定数についてもう少し詳しく見ていくことにします。
1.活性化エネルギーと触媒反応
化学反応が起きるとき、反応物質はエネルギー的に一旦励起されることが必要です。
上図は、物質の持つエネルギー状態が化学反応の進行にともなってどのように変化するのかを模式的に表したものです。縦軸がエネルギー量、横軸が反応の進行方向を示しています。まず左側の図について考えます。
化学反応が進行するためには反応物は基底状態から一旦Eaだけ励起されなければなりません。このEaのことを活性化エネルギーといいます。活性化エネルギーを得た反応物は化学反応によってエネルギー的に安定な生成物になります。このとき、反応物の持っていたエネルギーよりも生成物のエネルギーが小さい場合には余分なエネルギーQを反応熱として放出します。上図は発熱反応です。
逆反応(右から左に反応が進行する場合)では、活性化エネルギーは(Q+Ea)になります。逆反応では反応前のエネルギーのほうが小さいので反応熱は−Qになるので吸熱反応になります。
注意すべきことは、たとえ発熱反応であっても無条件に反応が進むわけではなく、一旦活性化エネルギーを超えるために励起されることが必要だということです。
右の図は同じ化学反応について、反応を促進する触媒がある場合です。触媒は反応の前後の状態を変化させることはありませんが、活性化エネルギーEaを小さくすることで反応の進行を促進します。
アレニウスは温度Tにおける化学反応速度を推定する目的で速度定数を次のように表しました。
k = A・exp(-Ea/RT)
ここに、Aは温度とは独立の定数であり、一般に頻度因子と呼ばれています。この式は、速度定数kを気体の分子運動論から考えて、気体分子の持つ運動エネルギーが活性化エネルギーEaよりも高くなる確率に比例することを示しています。
指数部分(-Ea/RT)<0から、速度定数は反応の活性化エネルギーが小さく、温度Tが大きいほど大きな値になることを示しています。つまり、化学反応は一般的に触媒を用いて温度を高くするほど反応速度が大きくなります。
以上で、地球大気に含まれる溶解度の大きくない気体の挙動を考察するために必要な基本的な化学の知見の整理ができました。重要な内容をまとめておきます。
@化学平衡にある系に対して何らかの変化が生じると、変化を緩和する方向に平衡が遷移する(ルシャトリエの法則)。
A化学反応の速度定数は活性化エネルギーが小さく温度が高いほど大きくなる。
B気体の水への溶解反応は発熱反応であり、反応系の温度が上昇するほど気体濃度を高くする方向に化学平衡が遷移する。
C気体の水への溶解反応では、反応系の温度が不変であれば、気体濃度が高いほど水への溶解度が大きくなる(ヘンリーの法則)。
次回から、実際の地球大気について考えることにします。
前回予告した通り、高校生が分かるように人為的CO2地球温暖化説が科学的に誤りであること、それ故現在世界中で行われている温暖化対策としてのCO2排出量の削減が全く無意味であることを示すことにします。
この問題について、娘の通っていた大分県立別府鶴見丘高校の理科教師たちと話し合おうとしたのですが、彼らは全く理解する気さえ示さない始末でした。自然科学を教える彼らが、日頃教えている化学の教科内容と全く矛盾している人為的CO2地球温暖化仮説に対して何の疑問も持たない無頓着ぶりには呆れ果てたものです。
閑話休題、人為的CO2地球温暖化仮説は2つの内容があります。一つは大気中のCO2の濃度によって変化する大気の温室効果によって気温が変動するという仮説です。もう一つは、産業革命以後に観測されている大気中のCO2濃度の上昇が人為的に放出されたCO2の半量程度が大気中に蓄積することが原因だという仮説です。この2つの仮説が同時に正しい場合に、はじめて人為的CO2地球温暖化仮説が成立することになります。
今回の連載では、後者である人為的CO2蓄積説を論破することによって人為的CO2地球温暖化仮説が誤りであることを示すことにします。今回は、高校の化学の復習から始めることにします。
1.可逆反応と不可逆反応
例えば、2つの物質XとYがあるとします。物質XとYを一つの容器で混ぜあわせると、化合物XYが生成するとします。一般的に、物質XとYが化合物XYを作るのに過不足無く混合しても容器内が全て化合物XYにはならず、物質Xと物質Y、そして化合物XYが一定の比率で存在する状態で変化が止まってしまいます。
これは、物質Xと物質Yから化合物XYができる正反応と同時に、化合物XYが物質Xと物質Yに分解する逆反応が同時に起こっているからです。このように、正反応と逆反応が同時に起こる化学反応を可逆反応と呼びます。
X + Y ⇄ XY
これに対して、正反応に対して逆反応が起こるための活性化エネルギーが極端に大きく、正反応だけが一方的に進むような化学反応を不可逆反応と呼びます。
X + Y ➞ XY
2.反応速度と化学平衡
例えば、可逆反応 X + Y ⇄ XY の正反応(左から右へ進む反応)について考えます。反応物X、Yの濃度をそれぞれ[X]、[Y]で表すものとします。正反応の反応速度v1はk1を比例定数として次式で表すことが出来ます。
v1 = k1[X][Y]
同様に逆反応の速度v2は、
v2 = k2[XY]
と表すことが出来ます。k1、k2を速度定数と呼びます。
反応物XとYの場合、はじめの段階では生成物XYは全く無く正反応だけが進行します。反応が進むと[X]と[Y]が減少し、[XY]が増加します。それにともなって正反応速度v1は次第に小さくなり、逆反応速度v2は大きくなります。ある程度時間が経過すると[X]、[Y]、[XY]は一定の値になり変化しなくなります。
これは反応が止まってしまったのではなく、正反応の速度v1と逆反応の速度v2が等しくなったことを示しています。したがって次式が成り立ちます。
v1 = k1[X][Y] = v2 = k2[XY]
この状態を化学平衡と呼びます。正反応の速度定数と逆反応の速度定数の比率を平衡定数Kと定義します。Kを平衡状態の反応物と生成物の濃度で表すことが出来ます。
K = k1/k2 = [XY]/[X][Y]
さて、ここからもう少し具体的な問題について考えていくことにしましょう。気体の水への溶解反応を考えます。ここで扱う気体は水に対する溶解度があまり高くないものとします。
上図に示すように、水と気体が接しているような系を考えます。気体物質Xの水への溶解反応を正反応、水に溶けていた物質Xが気体となって放出される反応を逆反応だとします。一般に、気体の水への溶解反応は発熱反応になるので、反応熱Q>0として反応式は次のように表すことが出来ます。
X(気体) ⇄ X(液体) + Q
化学平衡にある系に対して、何らかの変化を与えると、系の平衡状態は加えた変化を緩和する方向に遷移します。これをルシャトリエの法則といいます。
気体の水への溶解反応は発熱反応でした。いま化学平衡にある系に熱を加えると、系は温度の上昇を小さくする方向、つまり吸熱反応である逆反応が進む方向に遷移します。したがって、化学平衡にある系において溶液の温度を上げると溶液からX(気体)の放出が増え、[X(気体)]が増加する方向に化学平衡が遷移することになります。
気体Xの水への溶解反応では、
正反応速度: v1 = k1[X(気体)]、
逆反応速度: v2 = k2[X(液体)]
平衡状態では、平衡定数Kは次のように表すことが出来ます。
K = k1/k2 = [X(液体)]/[X(気体)]
気体については気体の状態方程式が成り立ちます。今、X(気体)の圧力をP、体積をV、温度をT、モル数をn、気体定数をRとすると次式が成り立ちます。
PV = nRT 故に、[X(気体)] = n/V = P/RT
[X(液体)] = K×[X(気体)] = K×(P/RT) = (K/RT)×P
上式から、気体温度Tが一定であれば、気体の液体への溶解度は気体の圧力Pに比例することがわかります。これをヘンリーの法則と呼びます。
今回はここまでとします。
現在の日本の、そして多くの国のエネルギー政策は人為的CO2地球温暖化仮設によってとんでもない方向に向いています。その結果、エネルギー供給技術は安全性、経済性、利便性を犠牲にして高コストで危険な原子力発電や高コストで制御不能の再生可能エネルギーの利用へと向かっています。
1.原子力発電は即刻運転停止以外に合理的な政策はない
原子力発電は日本の国家政策、おそらく核兵器保有のために、金のかかる廃炉や放射性廃棄物処理コストを隠したまま、電力会社が儲かる料金体系を作って導入が進められました。
しかし、福島原発事故によって、事故による被害の大きさ、事故処理に途方も無い巨額の費用と年月がかかることのみならず、原子力発電運用に関わるコストの高さが明らかになりました。事故発生のリスクを考えれば、早急にすべての運転を停止し、廃炉処理に着手すべきことは、まともな政治家であれば、いや人であれば誰もがそう考えるでしょう。
確かに廃炉、放射性廃棄物処理にかかれば、莫大な処理費用が発生しますが、先延ばしにすればするほど処理コストは大きくなるだけです。おそらく、原子力発電の廃棄処理を完遂するためには莫大な費用が発生し、しかも数百年あるいはそれ以上の時間がかかることになります。電力会社が勝手にやったのだから、本来ならば彼らの自己責任で処理することが道理ですが、原子力の危険性・特殊性から、おそらく電力会社では処理費用をまかないきれませんし、長期間にわたる作業を一私企業に管理を任せることは危険すぎます。愚かな原子力発電の導入を許してしまった現在に生きる我々すべての責任として処理に着手するしかありません。
私は、原子力発電を導入した九電力会社は、原子力発電と送配電システム以外のすべての資産を売却して売却益をすべて原子炉廃棄のための国家基金に入れ、九電力は送配電のみを行う会社に改組し、原子力発電所は全て国家に移管し、国の直轄事業として責任をもって廃炉、後処理作業を遂行するしかないと考えます。長期間に及ぶ廃炉・後処理作業を遂行するために国の責任で大学教育において質の高い原子力技術者を計画的に養成することも国家政策として不可欠です。
安倍ファシスト政権は、未だに電力会社の目先の短期的な利益のために、原子力発電を再稼働させようとしています。しかも、原則40年とした運転年数を延長してまで老朽原子炉まで動かそうとしています。全く愚かな電力政策です。まともな政治家であるならば、原子力発電は即時停止、可及的速やかな廃炉の開始以外に合理的な政策など存在しません。
2.再生可能エネルギーは温暖化対策とは無縁であり、資源を浪費する
もう一つのエネルギー政策の争点は再生エネルギー発電です。原子力発電の即時停止を主張する野党は少なくありませんが、そのすべてが同時にセットとして再生可能エネルギーの導入促進を主張しています。実に愚かです。
東工大の丸山茂徳さんの著書『科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている』(宝島社新書、2008年)にある通り、20世紀の気温上昇の主要な原因は大気中のCO2濃度の上昇ではないことは、自然科学者の多くが知っています。更に、大気中のCO2濃度の上昇の原因が人間の産業活動が主因でないことは自然科学者どころか、高校で化学を履修した程度の知識でもわかる単純な問題です。
気象学者や温暖化対策関連企業にとって、生態系を破壊するような温暖化の元凶が人間の生産活動によって放出されたCO2だという主張は、金儲けの脅しの口実として誠に都合が良かったのです。先進国の企業は、出来るだけ特殊な技術で高く売れる製品を作って儲けたいと考えています。しかし安価で優れた製品があれば価格競争で負けてしまいます。その既存の安価で優れた製品を排除するために人為的CO2地球温暖化脅威論が利用されたのです。
人為的CO2地球温暖化脅威論をナチスドイツの宣伝部隊同様に繰り返し、執拗にマスメディアで放映し、消費者大衆を洗脳した結果、高価で非効率的な再生可能エネルギーを導入することを認めさせたというわけです。消費者大衆はまさに悪徳企業に騙されている愚かな現在における『裸の王様』なのです。
この点から考えると、産業界とつながりの強い安倍ファシスト政権は人為的CO2地球温暖化は嘘だと知りつつ、企業が儲かるから放置しているのではないかと考えます。
むしろ大きな問題なのは脱原発を政策としている野党が、人為的CO2地球温暖化脅威論を信じこんで、本気で再生可能エネルギーの導入がいいことだと盲信している状況です。既に述べたように、20世紀の気温上昇が人為的な影響ではないことは高校生レベルの知識で十分理解できる事柄です。こんなことも理解していない野党には科学的な政策立案能力がないと理解するしかありません。
現在、何らかの形の温暖化対策関連でおそらく5〜10兆円程度の国費が毎年消費されていますが、これは裸の王様の高価な見えない着物の代金のように、国民消費者からむしり取られ悪徳温暖化関連企業の懐を肥え太らせているのです。
更に、電力小売は形式上自由化されましたが、すべての電力料金には再生可能エネルギー導入のための賦課金が上乗せされており、昨年度で既に年間1.5兆円以上が徴収されています。このまま再生可能エネルギーの導入を続ければ、数10兆円にも膨れ上がり、電力料金はとんでもない高額になるでしょう。
以上から、参議院選挙でまともなエネルギー政策を提示している党派は皆無です。しかし、その危険性から考えて原子力発電の廃棄のほうが優先順位は高いと考えます。したがって、エネルギー政策からは安倍ファシスト政権以外の脱原発を主張する政党を選択すべきだと考えます。
次回からは、人為的CO2地球温暖化が誤りであることを高校生レベルの知識で理解できるように説明することにします。
追記(2016.07.06):再エネ賦課金の推移
再エネ賦課金単価は毎年倍々で増えています。今年の電力料金の請求を見ると、平成28年度の再エネ賦課金単価は2.25円/kWh、昨年の1.42倍になっています。昨年の賦課金総額の実績は1.5兆円程度ですから、今年は2.14兆円程度になることが見込まれます。
九州地方で大雨が続いていましたが、7月1日に久しぶりに青空がのぞき山が見えましたので、山肌の崩落の状況を確認しました。
5月14日の時点から大規模な崩落は起きていないようです。市街地に影響をあたえるような大雨による土石流の発生も報告されていないのは幸いです。それでも、山肌から植生が剥がれ落ちている状態は今後数年間は続くでしょうから、山肌の崩壊が落ち着くためにはまだ時間が掛かるでしょう。
さて、これまでも安倍ファシスト政権について折りに触れ批判してきましたが、来週は参議院選挙がありますので、今回は安倍政権に対する評価をまとめておくことにします。安倍政権の姿勢を端的に示す新聞記事がありましたので、まずはそれを紹介します。
このHPでは、安倍政権唯一の経済政策として武器輸出を取り上げてきました。平和国家として自衛に徹するとしてきた日本では、当然のことですが武器を輸出することは認められませんでした。好戦的安倍ファシスト政権では集団的自衛権行使容認の閣議決定と同時に武器輸出を事実上無制限に解禁しました。正に欧米先進国の仲間入りして日本の製造業も『死の商人』になるわけです。重工、機械、電子、光学・・・産業にとって、兵器製造分野という『新分野』は利益率が高い誠に魅力的な分野であり、武器輸出解禁に対して産業界は大賛成です。
さて、小泉政権がテロとの戦いに参戦するまでは、日本は中東地域では独自の良好な関係を築いてきましたが、その関係がいま崩壊しつつあります。米国主導によるテロとの戦いによってイスラムテロが世界中に拡散し始めた現在、有志国連合の一員として金も人も積極的に出すようになった日本が、更に武器供与まで始めるというのです。しかも、中東地域でイスラムを目の敵にして国連決議さえ無視してパレスチナに武力行使しているイスラエルと武器開発の共同研究を行うというのです。このような日本の軽はずみな対応によって、日本は明確なイスラムテロの標的になるのです。
バングラデシュのテロ事件において、日本人は不幸にも巻き込まれたのではなく、テログループは自国の国民には危害を加える事をせず開放し、イタリア人や日本人を意識的に選別して人質にし、危害を加え、殺傷したのです。つまり、日本は明確にイスラムテロのターゲットに含まれるようになり、日本人はいつでもテロのターゲットになりうるということです。
政府は、このテロに対して再発防止の対策を取ると裏付けのない声明を発表しています。現実的には日本政府の行動によって海外で活動する日本人を守ることなど不可能です。本気で対策するというのならば、日本企業の進出しているすべての国に日本の租界をつくり、それを武力によって警備すること以外にないでしょうが、それは現実には不可能です。また、日本人が危ないからといって、事件が発生する以前に他国の主権の及ぶ範囲に日本の兵力を侵入させることなど、とても出来ないことです。
最も現実的かつ有効なのは、米国主導の対テロ戦争有志国連合から日本が脱退することを表明し、イスラム圏に対して日本がいかなる干渉も行わないことを宣言することです。つまり、日本国憲法の精神である平和主義を徹底的に貫徹することこそ最も有効な対応です。
この日本の武器輸出の自由化、『死の商人』化に関連して、防衛省による大学研究に対する協力要請の問題があります。日本の貧困な文教政策によって、研究費の欠乏している理工系大学の研究室はあふれています。政治に無頓着で無節操な研究者ならば容易に軍事研究を受けるでしょう。既に防衛省は大学に対して研究費の提供をはじめており、後追いで日本学術会議は大学における兵器開発に対する研究を解禁すべきか否かの検討を始めています。おそらくこのままでは大学における軍事研究は解禁する方向で進むでしょう。
では、以下本題に入ります。
1.民主主義の破壊
戦後日本は、主権在民の民主主義国家です。主権者である国民大衆の総意によって国家運営がなされなければなりません。私は、民主主義国家システムを全面的に支持します。国民主権者による民主主義の根幹は、国家運営に関するあらゆる重要情報に対してすべての国民の知る権利を保証することです。
安倍ファシスト政権は、国家機密法によって、政府の判断で情報の公開非公開を勝手に判断することにしました。これは、政権の主観によって如何なる情報操作も可能にすることにほかなりません。
例えば安全保障関連では、戦後米国との間に数々の密約があったことが明らかになっていますが、今後は、合法的に軍事機密は隠蔽されることになります。
もう少し生活に密着した問題としては、例えばTPP交渉があります。TPPに関して、政府は秘密交渉であり内容は公開できないが、交渉をすすめるとしています。とんでもない話です。これは主権者に対して、TPP交渉について日本政府にすべての判断を白紙委任することを容認することを求めているのです。つまり、主権者国民に対して主権を放棄することを求めているのであって、最早これは主権在民の民主主義国家の形骸化にほかなりません。
安倍ファシスト政権は、憲法の精神に反する機密保護法によって法的に国民の知る権利を制約するばかりではなく、放送法による行政指導や、政府による個別放送内容に対する介入などによって圧力をかけています。民主主義を破壊する安倍ファシスト政権には断固反対です。
2.憲法の蹂躙
近代立憲主義国家は、絶対主義、封建主義の批判的な総括によって、実力を持つ行政機能=国家権力による大衆に対する強制力を排除する目的で、国家権力の暴走を縛るための最高法規として憲法を定めました。戦後の日本国憲法は、主権在民の民主主義国家であり、絶対平和主義をその根本としました。
安倍ファシスト政権は、機密保護法や報道機関に対する行政指導や圧力によって、国民の知る権利を著しく害しています。これは日本国憲法の主権在民、それを保障する言論の自由、表現の自由、国民の知る権利に対する重大な違反行為です。
更に集団的自衛権の行使容認の閣議決定を受けて1年前に強行採決によって可決され今年施行された安全保障関連法=戦争法はもう一つの日本国憲法の本質である絶対平和主義を180度覆す憲法違反の法律です。
勿論、立憲主義における憲法、そして日本国憲法も憲法改正手続きが定められており、未来永劫一切条文を変更してはならないものではありません。国民の立場からの憲法論議に基づく国民総意に基づく憲法の条文改訂はあり得ます。
しかし、安倍ファシスト政権、ないし自民党の姿勢は、憲法違反であろうが国会における多数決があれば、無視しても構わないというものであることが明らかです。現行憲法を守らず、憲法違反の閣議決定や立法を容認するような政権には、立憲主義を語る資格は無く、憲法改正を委ねることは絶対できません。
自民党改憲草案の中心は、日本を戦争可能な国にし、緊急事態に於いては、国民の権利を剥奪し、公の強制に従うことを求めることです。緊急事態とは、時の政権の判断であり、何でもできるということです。民主主義の後退、権力集中の戦前の国家主義への回帰がその本質です。アナクロニズムの安倍ファシスト政権による改憲に断固反対します。
3.戦争法で日本国民を危険にさらす
明治以降、近代国家としての日本は第二次世界大戦敗戦まで、絶え間なく戦争を繰り返してきました。江戸政権末期には欧米諸国がアジアを食い物にする侵略を続けていました。明治政権成立時に、これに対して富国・強兵政策で欧米諸国による侵略を食い止めることには正当性があったと考えます。しかしその後の日本帝国主義は軍備を増強し続け、ミイラ取りがミイラとなって、周辺国への侵略戦争を繰り返しました。
ようやく第二次世界大戦で敗戦して武装解除され、平和憲法が成立したことによって、日本による周辺諸国に対する侵略が終結しました。正に敗戦による武装解除と絶対平和主義の憲法によって、その後70年間今日に至るまで、日本は戦闘行為で自国民も他国民も誰ひとりとして命を奪うことがなかったのです。
これに対して、安倍ファシスト政権や自民党は日米安保条約のおかげだなどととぼけたことを言います。もし日本に平和憲法がなかったら、日本は韓国同様に同盟国としてベトナム戦争に巻き込まれていたことは当然です。また、幸いベトナム戦争当時のベトナム軍には地理的に離れた韓国や日本の米軍基地を攻撃する能力がなかったために日本がベトナムから直接攻撃されることはありませんでした。
しかし、昨年の安全保障関連法案の強行採決によって安倍ファシスト政権曰く『血の同盟』と化した日米安保条約に基づいて、米国と軍事行動をともにすれば、ミサイル攻撃能力を保持している中国や北朝鮮によって日本の米軍基地のみならず、大都市圏が直接標的になることが現実の問題になるのです。
日本が主体的に侵略戦争を起こす可能性が小さいとしても、世界で最も好戦的な軍事大国である米国の世界戦略に巻き込まれて、日本が軍事同盟国として攻撃される可能性は極めて高いと考えるべきです。幸い朝鮮戦争は休戦状態が続いていますが、一度戦闘状態に入れば、北朝鮮が日本を攻撃することは極めて当然であり、集団的自衛権の行使を容認した結果、北朝鮮による米軍基地を持つ日本への攻撃は通常の戦闘行為であって、謂れのない理不尽な攻撃などではなくなることを銘記しておかなければなりません。
冷静に考えれば、戦後70年間の日本の平和は、すぐれて絶対的平和主義の日本国憲法と武力の放棄によってもたらされたのです。日本が武力を完全放棄し、米軍の駐留をすべて排除したとしても、米軍基地がなく、領域外で実力行使を一切行わない日本に対して、中国や北朝鮮が侵略する可能性は極めて小さいのです。更に、北朝鮮と平和条約を締結して経済協力関係を構築すれば東アジアの安定に寄与することは間違いありません。
さて、今日たまたま見た自民党の政権において、ファシスト安倍は、「自衛隊がなかったら熊本地震のような災害を誰が助けるのか、だから自衛隊≡国防軍が必要だ」等というすり替えを行っていました。これは極めて低レベルな詭弁です。被災地は武力集団としての自衛隊によって助けられたのではなく、災害復旧を行う自衛隊によって助けられたのです。私は、自衛隊を完全に武装解除して、国土保全・災害救助隊に改組することがもっともよいと考えています。平常時には荒廃した山林の管理など農山村の環境改善、無医地区の診療などを行い、国内外の災害時には災害復旧にいち早く対応する高度な災害救助集団となり、武力による攻撃ではなく、災害復旧による救済で世界貢献することこそ、絶対平和主義の日本国憲法にふさわしいと考えます。
4.大資本・大金持ちだけを儲けさせる経済政策
アベノミクスという経済政策は、要するに大企業活動を如何にやりやすくするか、という点につきます。
3本の矢の内、金融緩和による円安誘導と財政出動という2つの矢とは、本質的には経済政策などと呼べるものではありません。肝心なのは第3番めの矢である新たな経済成長分野の創設だったはずですが、結果的には何も出来ていません。アベノミクスは完全に破綻しました。
金融緩和はついにマイナス金利にまで踏み込み、市場には円がジャブジャブの状態ですが、実体経済は好転していません。結局円安株高誘導で輸出産業や大株主がボロ儲けをしただけで、中小企業や地方にはそのオコボレは行き渡らないばかりか、むしろ貧富の格差は拡大する傾向を示しているのです。この間、大企業は空前の高収益を上げても、賃金や設備投資には支出せず、ひたすら内部留保を貯め続け、資本金10億円以上の大企業の内部留保の総額は300兆円を越えるまでに至っています。新保守主義のいう、企業とりわけ大企業活動をやりやすくすることで経済を拡大させ、そのオコボレで社会全体を豊かにするという経済モデルは、実態とかけ離れている、失敗したのです。
さて、アベノミクスによる日銀の金融緩和政策によって市中に出回っている円のマネタリーベースは400兆円という、経済の実体的な実力からはかけ離れた大きなものになっています。
この状態はあまりにも出鱈目な経済政策によってもたらされた金余り状態であり、一つ間違えば円の世界的な信用を崩壊させかねない危険な状態です。
また、安倍政権では大企業が労働力を自由に調整できるように非正規雇用労働者を更に拡大し、必要なときには労働者に過重な負担を押し付け、不要になればいつでも切り捨てる自由を拡大しています。その結果、非正規雇用労働者の比率が40%にも及び、正規雇用と非正規雇用の格差の広がりによって就学期の子供の6人に一人が貧困という状態になっています。
さて、アベノミクスの失敗で消費税引き上げを再度延期しましたが、これについて愚かなマスコミの連中はしたり顔で、社会保障の安定財源はどうするだとか、財政再建はどうするのか、と騒がしいことです。元々逆進性の強い消費税で社会保障費を賄う事自体が自己矛盾なのです。税制の基本に戻り、富めるところ、経済的に余裕のあるところに税の拠出を求め、これをセーフティーネットとしての社会保障に回すことこそ政治の本質です。つまり、安定財源は所得税と法人税に求めることが筋なのです。
安倍ファシスト政権は、大企業の活動しやすい環境を作り、大企業と大金持ちを儲けさせることを第一に経済運営をしています。そのために大金持ちに対する所得税率を低く押さえ、更に法人税率を下げようとしています。法人税率について安倍ファシスト政権は世界的に見て高率な法人税率を低くすると言っていますが、これは詭弁です。
日本の法定法人税率は38%程度で、世界的に見ても高率だと言われています。しかし、租税特別措置法など大企業に対する有利な数々の仕組みから、実効税負担率は極端に低いものになっています。特に資本金10億円以上の大企業になればなるほど実効税負担率は低くなっているのが実態です。
中央大学名誉教授富岡幸雄氏による表を紹介します。
法定税率38%に対して、実効税負担率が10%以下の企業がざらにあるのです。
上図でわかるように、資本金5億円程度の中堅企業はほぼ法定税率を負担しています。それ以下の小規模企業は税の軽減措置でそれよりも低率になっているのは理解できます。ところが、資本金10億円を越えるような大企業になればなるほど実効税負担率が下がるのです。資本金100億円を超える企業の平均的な実効税負担率は法定税率の半分にも満たない14%に過ぎないのです。
税制については、共産党、社民党、生活の党などが主張するとおり、日本の企業収益の大部分を稼ぎ出している大企業に対して法定の税負担を確実に支払わせること、同時に所得税の累進制の強化によって消費税の引き上げ中止、更に消費税の廃止も可能です。一時的には、300兆円以上にまで膨れ上がっている大企業の内部留保に対しても課税して適正レベルにすることも考えるべきでしょう。
行政手続としても、消費税率を引き上げて、逆累進制の緩和のために軽減税率を導入するほど非効率なことはありません。流通業者、特に中小小売店に対して煩雑な手続きを強要し、更に消費税還付のための手続のために財政支出が必要になるなど、バカバカしいことこの上ありません。所得税の累進税率の引き上げと法人税の例外ない徴収によって、確実かつ単純に税収を増やすことが可能なのです。
くれぐれも日本の法人税は高すぎる等という大企業や太鼓持ち安倍ファシスト政権の詭弁に載せられないでいただきたいものです。
さて、財源不足については、税収の確保と同時に不必要な支出を削減することが必要です。戦争法によって5兆円以上にふくらんだ防衛費は自衛隊を武装解除すれば正面装備費に振り向けている部分はすぐに削減可能です。更に、温暖化対策費は全額すべてが無駄な支出ですから、即刻廃止することが可能です。おそらくこれだけで年間10兆円近くが確保できることになるでしょう。
エネルギー政策については次回に報告します。