No.1380(2022/03/17)争いを止めることのできない愚かな人間E
結論:米欧を中心とする戦争を食い物にする軍需産業の存在が全ての根源

 相変わらず日本や米欧のマスメディアはロシアの侵略によるウクライナの民衆の悲惨な映像ばかりを流しています。もちろん無垢の子供を含む庶民が軍事衝突の犠牲になっている状態は悲惨で、目を覆いたくなります。しかし、その外形的に表れている表層の現象の「悲劇」にばかり目を奪われていると戦争の本質を見失うことになり、またこれを繰り返すことになってしまいます。
 悲惨な映像によって、侵略したロシアが悪であり、犠牲になっているウクライナや、これを軍事的に支援する米欧は正義であるという印象操作にまんまとはめられてしまっている大多数の民衆の反応は「本当の悪者」にとって思うつぼです。
 テレ朝の夜のニュース番組のキャスターである大越某の昨日のライブ映像で、独裁者(プーチン、ロシア=悪玉)と民主主義を標榜するウクライナやこれを支援する米欧の正義との闘いなどという全く頓珍漢の評価をして見せました。情けないことです。
 軍事的な侵略と国家体制には必然的な関係性などありません。独裁国家が軍事侵略を行う悪である必然性はないし、民主主義国家であっても米国のように他国の要人を暗殺したり、ありもしない濡れ衣によって他国の体制を軍事的に転覆して傀儡政権を作っているのが現実です。 

 ネットを通じて米国議会で演説したウクライナのゼレンスキーは、米国に対して更なる軍事援助を求めました。ゼレンスキーも庶民の命を犠牲にして軍事力によって紛争を解決しようとしている意味で、ロシアと同じ穴の狢です。


大分合同新聞2022年3月17日

 ロシアの国営放送の女性職員がロシアのウクライナに対する軍事侵攻に対して身を賭して反対の意を表したことは尊敬すべき出来事です。しかし、翻ってウクライナの民衆の中からゼレンスキーの軍事的な紛争解決に反対する主張が現れないのは悲しいことです(もしかすると、ウクライナ当局が握りつぶしている可能性もありますが・・・)。

 昨日、沖縄の中本さんから米国のジャーナリストであるマイケル・ムーアの米国民に対する訴えの和訳をメールで受け取りました。概要を紹介します。


2022年3月16日のマイケル・ムーアのメッセージ

 我々を戦争に引きずり込もうとしている奴らがいます。プーチンのことではありません。

 私(マイケル・ムーア)は、崩壊前の旧ソ連と、崩壊後のロシアを訪問したことがあります。その時に数回プーチンと顔を合わせて、プーチンの考えを聞いたこともあります。その時のプーチンの考えと今のプーチンの考えには、何の変化もありません。
 変わったのは、我々を戦争に引きずりこもうとしている奴が出現したことです。それは、政治屋とマスメディアと戦争産業集団です。

 テレビや新聞などの主流メデアを見ている私は、
「我々はウクライナに行かねばならない。我々は戦争しなければならない」
という内なる声に誘惑されるたびに、そのような誘惑に対して私は抵抗しなければならないのです。

 なぜなら、アメリカは第二次世界大戦後の75年間に世界を荒らしまわってきているからです。それらは、朝鮮半島、ベトナム、カンボジア、ラオス、中近東諸国、中南米諸国、チリ、パナマ、ニカラグア、キューバ、父ブッシュによる第1次イラク戦争とそれに続くグロテスクなイラク侵略戦争、その前にはアフガニスタン戦争、など数えたらきりがありません。我々(アメリカ人)は暴力の好きな野蛮な人民なのです。

 ですから、我々アメリカ人は、舞台から降りて、楽屋に引っ込まねばいけません。我々アメリカ人が、(ウクライナで)過去20年間に何をしたのかを考えると、もはや、アメリカ人は戦争することは許されないのです。

 私は、アメリカのテレビのスイッチを切っています。アメリカのテレビは毎日、毎日、悲しいニュースばかり流します。なぜなら、悲しければ、悲しいほど、大衆洗脳と戦争動員プロパガンダ効果があるのです。

 今日、私があなた方にお願いしたいことは「抵抗」です。プーチンに対してではありません。我々の抵抗は、政治屋とマスメディアと戦争産業集団の仕組んだ大衆プロパガンダに対してです。

 ウクライナのゼレンスキー大統領(ゼレンスキーのことをマイケル・ムーアは“サディスト野郎”と呼んでいます。)は「ロシアと休戦」と言う口で「アメリカはロシアと戦争するべきだ」と主張するのです。

 我々アメリカ人は、たとえウクライナ人のためであっても、戦争に参加してはいけないのです。我々は、世界中を破滅させる戦争をしてはいけないのです。

 ここで、私の CRAZY IDEA を皆様に御披露いたします。

 プーチンがウクライナに攻め入ることを宣言したときのロシア陸軍大将の不満そうな顔を見たとき、
「荒稼ぎして金儲けして安楽生活をむさぼっているロシアの為政者にとってはもちろん、高給をかせいでいるロシア政府の陸軍大将高級官僚にとっては、プーチンの戦争を止めさせるか、またはプーチンを失脚させることによって、資本主義ロシアでの裕福な盗人生活を再び取り戻す」ことを考えているのではないだろうか、というのが私の WILD IDEA です。
私の CRAZY IDEA は当たることもあります。

 我々の思考はあやつられているのです。メディアよ、洗脳プロパガンダ放送なんかやめてくれ。

 今すぐ、あなたが選んだ国会議員に連絡して、
「我々はアメリカの参戦に反対だ」
と、電話してください。

 我々は、ベルリンの壁が取り壊されたときに、NATOを廃止すべきだったのです。

 アメリカ軍は ウクライナに行ってはいけません!アメリカ軍はロシア領土に入ってはいけません!アメリカ軍は NATO軍に参加してはいけません!

 メディアだって?! 糞食らえ!


 軍需産業とは、最も利益率の高い産業です。国家は軍需産業に対しては潤沢な研究費を青天井で支給し、製品を高額で買い取ります。兵器は日進月歩であり、消費されあるいは破壊されれば当然ですが、破壊されなくても一定の期間が経過すれば陳腐化して役立たずになるため短いライフサイクルで更新されます。 したがって、国が大きな軍隊を保有することが軍需産業にとっては最良の選択なのです
 蛇足ですが、日本を代表する好戦的ファシスト安倍晋三が武器輸出で金儲けをしたいと考えたのは、米国軍需産業に倣ったにほかなりません。

 現在の米国の巨大化した軍需産業を維持するためには、まず巨大な軍隊を擁することの正当性を示す大義名分が必要です。そのためには敵国を作り出し、絶えず戦争状態を維持することが必要です。あるいは兵器を消費して新規需要を作り出すためにも戦争が必要です。
 戦争のための大義名分など、如何様にも作り出すことができます。場合によっては9.11後のイラク侵攻のように全くのでっち上げの濡れ衣で一国の政府を転覆させて米国の傀儡政権を作ることだってやるのです。
 あるいは、軍事同盟を拡大し、米国と同じように武力による国際紛争の解決を是とする国を増やし、同時に同盟国に対して米国製の兵器を高値で売却することで経済的な利益を得るのです。

 このように覇権主義的に世界を牛耳りたい国家ないし政治家と莫大な利益を得られる軍需産業、そして実働部隊である軍による巨大化した複合体が甘い汁を吸い続けるために常にどこかで戦争状態を作り出すことが必要なのです。これが戦争がなくならない本質的な原因です。

 ノーベル文学賞作家(私としては幻滅ですが・・・笑)のボブ・ディラン(Bob Dylan)は、
かつて「戦争の親玉(Masters of War)」という歌でこのことを歌っていました。

  そのため、ソ連、東欧諸国が崩壊した後も米国は各地で戦争を起こすと同時にNATOの更なる拡大を続けています。そして、米国による世界支配を良しとしない国に対しては、いつでも難癖をつけて軍事的な干渉・侵略をする可能性を持っているのです。
 米国に飼い慣らされてしまった能天気な日本国民には最早理解できないかもしれませんが、第二次世界大戦後に米国の行ってきた絶え間ない理不尽な侵略、戦争犯罪を冷静に見てきた北朝鮮やロシアにとっては正に死活問題なのです。
 米国ないしこれに牛耳られているNATOがロシアの隣国であるウクライナを囲い込むことは、ロシアにとっては米軍の核兵器をのど元につきつけられたも同然です。これはかつてのソ連が同盟国キューバにミサイルを配備したのに対して、米国が核攻撃寸前までいったキューバ危機と同じ構造です。
 北朝鮮にすれば、米韓軍事同盟によって米国の核を含む戦力がのど元に突き付けられた状態が続いているわけです。
 こうした米欧、NATOの軍事的圧力・恫喝に力で対抗するために、今回のロシアはウクライナ侵攻でNATOへの囲い込みを阻止することをめざし、北朝鮮は韓国の背後にいる米国と対等になるために、米国本土を直接射程とする核兵器を早急に開発することが唯一の対抗策なのです。プーチンや金正恩の政策は狂気などで暴走しているわけではなく、凶暴な米国の世界戦略に対抗するための理性的・合理的な一つの判断です。

 ただ、北朝鮮やロシアなどの米国に反対する勢力が米国同様に軍事力で対抗しようとする限り、戦争の世界に終わりはないでしょう。
 恒久的な平和な世界を目指す唯一の手段は、国際紛争の解決手段としての武力行使を一切放棄することです。仮に武力的な抵抗を一切行わない丸腰の国に対して米国が軍事介入すれば、さすがにその非道さは非難され、誰が悪者かがはっきりするでしょう。また、武力で対抗する国がないのに巨大な米国軍隊を莫大な国費を投入して維持することには米国民からも賛同は得られなくなるでしょう。

 恒久平和を作るのは軍事同盟ではなく、憲法9条であり、絶対平和主義であり、一切の武力の放棄なのです。確かに野蛮で暴力的な米国やこれに同調する欧州諸国がいる中で、武力を放棄することはとても勇気のいる決断です。しかし、気が付いたものからこれを実践していくほか、道はありません。日本の核戦略のように、核兵器保有国がいるのに非核に賛成できないなどと言う「現実論」は欺瞞です。

 最後に、天木さんのメールマガジンの記事を紹介しておきます。


□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年3月17日第140号
■ https://foomii.com/00001
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  ものすごいことになってきた

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 ものすごいことになってきた。
 ウクライナ情勢のことではない。
 ウクライナ情勢をめぐるこの国の状況だ。

 ここぞとばかり、ネトウヨと対米従属保守が、プーチンのロシア叩き、ゼレンスキーのウクライナ支援を叫んでいる。
 それを止めるはずの左翼や平和主義者が、一緒に、同じように騒いでいる。

 ふつうなら考えられないような憲法9条破壊の動きが、さしたる反対もなく、なし崩し的にどんどんと進んでいる。

 そんな中で、どうしたらいいか戸惑っている大多数の善良な国民がいるのだろう。
 ところが、メディアがこれまたプーチンのロシア叩き、ゼレンスキーのウクライナ支援一色だ。
 かくて日本は戦争に巻き込まれていく。


 何でそんな馬鹿なことになってしまったのか。
 あとでそう反省、検証しても後のまつりだ。
 おそらく太平洋戦争直前の日本もこういう事だったのだろう。
 まさか生きているうちに、それを体験できるとは思わなかった。

 「本当は私もおかしいと思っていたのですよ」
 後になってそう言い出す一人になりたくないために、私は言い続ける。
 憲法9条を持つ日本こそ、「ウクライナとロシアの戦争は、どちらに正義があると言い争うのではなく、まず即時停戦すべきだ」と言うべきだと。
 ウクライナとロシアに同時停戦させることが出来るのは、いまの国際政治では米国と中国しかないと。
 米国と中国が、世界平和実現の為に、ともに責任を果たすしかないと。
 それを言えるのは憲法9条を持つ日本だと。
 たとえ今の日本にその力がなくても、国連で、世界の国が見てる前で、そう訴え続ければいいのだと。
 大多数の非同盟の国々は賛同する。
 それこそが、新しい国連に生まれ変わる第一歩だと。
 憲法9条を世界に誇れるチャンスが今、日本に訪れたのだ。

 そう考えればウクライナ侵攻も悪い事ばかりではなかったということだ。

 問題はその事に日本が気づくかどうかだ。
 平和の女神は逃したら二度と現れない(了)


 

No.1379(2022/03/10)争いを止めることのできない愚かな人間D
ロシアのウクライナ侵攻について欧米や日本以外はどう見ているか?

 すでに書いたように、ロシアのウクライナ侵攻に対する日本の報道は、欧米の極めて偏った立場からの一面的な世論が世界の世論だとばかりに、日本国民を洗脳する内容が氾濫している。まるでIPCCによる人為的CO2地球温暖化に対する異常な洗脳報道と同じ構造です。

 ヒステリックな西欧の世論は今回のロシアによるウクライナ侵攻は「第二次世界大戦後最悪」などという表現をしていますが、あまりにも冷静さを欠いています。
 米国による朝鮮戦争、ベトナム戦争はもとより中南米への軍事介入・暗殺、近年の9.11以降のイラクへの侵略・体制転覆、アフガニスタンの内戦状態の泥沼化など、米・欧による侵略は今回のウクライナよりもはるかに悪質で苛烈で長期間にわたる武力介入でした。米・欧の価値観では、中東や東アジアの土民に対する侵略など数に入らないということでしょう。「脱亜入欧を果たした日本」などと考えているとそのうち痛い目に合うことになるでしょう。

 以下、天木さんのメールマガジンの記事などを紹介します。


送信日時: 2022/3/10, 木, 0:39

中本さん
リンダウア−さんの件、天木さんから返信が来ました。その内容は衝撃的なものでした。

当時レバノンの大統領だったジュマイエル氏が、2003年2月にバグダッドを訪れ、フセインに会い、その足でワシントンに飛んでいき、ラムズフェルド国防長官と面会して帰国したとレバノン紙が報道したそうです。
それを見た天木さんは間違いなく仲介をしてきたと思って、親しかったジュマイエル氏に会いに行き、話を聞いたそうです。
サダム・フセインは、「イラクを攻撃しないと約束するならすべてを米国の好きなようにしてもいい」とジュマイエル氏に言ったと。
その全面降伏のメッセ−ジを持ってジュマイエル氏はワシントンに飛び、ラムズフェルドに伝えたら、彼は黙ったままで、側近が、
「もう遅い、我々が欲しいのはサダム・フセインの降伏ではなく、イラクを作り替えることだ。」と。
それを聞いたジュマイエル氏は米国のイラク攻撃は止められないと思ったと深刻そうな顔で天木さんに語ってくれたそうです。
つまりイラク攻撃はサダムフセインを倒してイラクに米国の傀儡政権を作ることが初めから決まっていたのだということです。
天木さんは、この超一級の極秘情報を外務省に送りましたが、反応はなかったそうです。
これが日本外交の現実であり、20年経っても米国も日本も日米関係も何も変わらずあの時のままだと書いてきました。

本当にやるせないですね。
リンダウア−さんの著書の翻訳本を何とか出したいし、リンダウア−さんと天木さんのコラボに脚光を当てたいものです。
米国の本質とその米国にそこまで従属する日本の姿を国民に晒したい。


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□■ 天木直人のメールマガジン2022年3月10日第128号
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       朝日が書いた中東の声

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 きょう3月10日の朝日新聞に、中東アフリカ総局長の武石英史郎記者が、「ウクライナで起きている不条理を目の当たりにして、世界中の誰もが私たちと同じ感情を抱くとは限らない」と書いて、中東の声を紹介していた。
 「ガザへの爆撃で米欧はイスラエルの肩を持った」
 「ウクライナよりイエメンの内戦の方が深刻だ」
 「ウクライナはイラク占領に加わった事を忘れるな」
などなどの投稿があふれているという。

 そして、武石記者はこう書いている。

 いま中東からアフリカにかけての一帯は、民主主義にとって、寒々とした風景が広がっていると。
 10年余り前に「アラブの春」で民主化への希望に沸いた国々は、ほとんどが権威主義的な政権に戻るか内乱に陥っている
と。
 こうした地域に暮らす人々にとって、ウクライナ侵攻も数ある紛争の一つに過ぎないと映るのも現実だと。

 何をいまさらだ。
 そして、その原因を作った国がどこであるかを書かない。

 中東の現実はもっと悲惨だ。
 かつて私がレバノンに赴任した20年ほど前、パレスチナに対するイスラエルの弾圧が激化し、最後の人民蜂起(インティファーダ)が起きていた。
 レバノンに避難して抵抗を続けるパレスチナの若者が、いま俺たちに核兵器があれば何のためらいもなくテルアビブに打ち込むと私に言った。
 それを止める権利は誰にもないと言った。
 俺たちの自爆テロは日本のカミカゼ(特攻隊)から学んだのだと。

 メディアは真実を伝えなくてはいけない。
 それはフェイクニュースにだまされるなという事だけではない。
 伝えるべき事を公平に伝える。
 それだけでも世の中は違ってくる。
 メディアの中立性とはそういう事である
(了)


 

No.1378(2022/03/06)争いを止めることのできない愚かな人間C
「防衛のための敵基地攻撃」とは侵略行為を正当化するための詭弁

 安倍晋三や高市早苗だけではなく、自民党、維新の会など好戦的な政治家たちがウクライナに対するロシアの侵略に乗じて、歴代保守政権でも国是としてきた日本の非核三原則や憲法9条を露骨に「空想」だと攻撃を始めています。おりしも国会では「防衛のための敵基地攻撃」についての議論が開始されています。

 日本が「現実的な対応」として核武装、軍備強化するということは、正にこれまで米国やロシアなどの核保有国が他国を恫喝するための道具として軍事力を利用してきたように、日本もまた核によって周辺国を恫喝する側に与することにほかなりません。これでは米国やロシアなど核保有国と同じムジナであり、世界を武力によってコントロールすることを是とすることに加担することを意味します。

 防衛のための敵基地攻撃を正当なものだとすることは、侵略戦争を正当化することにほかなりません。
 近年では9.11以降に米国が行った濡れ衣によるイラクへの侵略・政権転覆、それに引き続きアフガニスタン侵略によって泥沼の内戦状態を作り出したのは、正に米国が「自国を守るための防衛的な措置」を大義名分として遂行されたことを忘れてはいけません。
 今回のロシアによるウクライナ侵略もまたウクライナのロシア人同胞を守るためであり、NATOの軍事的脅威を排除するためだとしています。
 このように、自国に対する脅威と言うものは、どのようにでも解釈が可能であり、「防衛のための敵基地攻撃」=侵略戦争の正当化であることを理解しなければなりません

 本当に人民の平安を希求し、人命を守るというのであれば、ロシアによる侵略行為を非難すると同時に、ロシアの侵略に対してウクライナに兵器を供与することで軍事的に対抗しようとしているNATOの対応にも反対すべきです。
 現在、各国でロシアの侵略に対する非難のためのデモンストレーションが広がっていますが、参加者にそこまでの思慮があるのか、とても心配です。

 ウクライナに軍事的にテコ入れを強化して、軍事的にロシアを止めることができたとしても、その成功体験は平和のためには軍事力を大きくすることだという抑止論を正当化するだけであり、潜在的な将来的な軍事衝突の危険性、被害の拡大の原因を作ることになります。

 軍事的な緊張関係による見かけ上の平穏という欺瞞を超克するためには、犠牲を払ってでも、あるいは多少停戦までの期間が長くなったとしても、周辺国やウクライナを支援する国は、紛争をあらゆる非暴力的な対抗手段によって解決することで協力していくことが必要です。
 「緊急避難的措置」として軍事力によってロシアを屈服させたところで、国際紛争の解消手段としての戦争の廃絶、あるいは恒久的な平和は訪れることはなく、米国やロシアなどの傍若無人な核保有国による覇権主義的な軍事力による世界支配の構造は解消されないのです。
 

 今回も天木さんのメールマガジンの記事を紹介して終わりにします。


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 「ロシアとウクライナの関係」は「米国と日本の関係」だと喝破した佐藤優

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 発売中の週刊新潮(3月10日号)の新聞広告に、佐藤優が読み解く「皇帝の頭の中」ー野望に燃えるプーチン本当の狙いとはー、と題する緊急寄稿の宣伝文句を見つけた。
 いま日本で一番プーチンに好意的な識者は、佐藤優をおいて他にはいない。
 果たして佐藤優はプーチンをどのように弁護するのか。
 その新聞広告につられてさっそく週刊新潮を買って読んだ。

 今や佐藤優は、あらゆる雑誌に登場する国民的人気者だ。
 だから、一億総プーチン叩きの中で、プーチンを手放しでほめて「炎上」するわけにはいかない。
 「ロシアの行為はまったく是認できるものではありません」と日本の世論に迎合し、プーチンの発言の数々を、「屁理屈」、「国際法の濫用」という言葉で批判するポーズを取っている。
 しかし、彼がその緊急寄稿で述べている内容は、これ以上ないプーチンの弁護であり、もっと正確に言えばプーチンの代弁だ。
 すなわち、プーチンは狂人でもなければ郷愁に囚われたナショナリストでもない、24時間、国のためにはたらくことができる国益主義者である、と誉める。
 その一方で、コメディアンのゼレンスキーを、政界にはびこる腐敗を正せず、当初70%あった支持率も1年後には30%ほどに落ち込み、(ウクライナ侵攻前は)さらに低下していた、そこで支持率上昇のために、反ロシア感情を高め、領土の回復を試みようと動いたのだ、とこき下ろす。
 ここまでは、佐藤優でなくとも言える。
 私が驚いたのは、佐藤優が、ロシアのウクライナ占領政策を、あたかも米国の日本占領政策であると言わんばかりに正当化していたところだ。
 すなわち、ロシアは、「ドネツク」、「ルガンスク」という、ウクライナ東部の二つの人民共和国を国家承認し、これらの国と「友好、協力、相互援助条約」を結んだ。これは、日米安保条約と同じような同盟条約であり、これらの国の要請を受けてロシアは軍隊を派遣したのだと。
 すなわち、今回のロシアの軍事占領は、ロシアと事を構えない融和政権がウクライナで樹立されるまで続く、と。
 すなわち、破壊されたウクライナの軍事施設を再建できないようにした上で、マッカーサーが戦後日本で行ったように、自衛のための軍隊だけを認めると。
 それらが達成されたのち、ロシアは手を引くと。

 まさしくこれは、プーチンが安倍首相に突きつけた言葉だ。

 北方領土を返してほしかったら、そこに在日米軍を置かない事を約束できるか、といったあの時のプーチンの考えそのものだ。
 ロシアの安全保障が脅かされない保証が得られれば、領土も返すし、軍隊も撤収すると言っているのだ。
 講和条約を締結しても日本の主権を踏みにじったまま、米軍を駐留させる米国にロシアを非難する権利はないと言ってるのだ。
 平和になっても米軍の駐留を許し、日米安保条約で主権を奪われたままの日本の首相はゼレンスキー以下だと言っているのだ。
 ロシアのウクライナ侵攻は、図らずも日本の対米従属の矛盾を浮き彫りにさせたということである(了)


 

No.1377(2022/03/04)争いを止めることのできない愚かな人間B
憲法9条を「空想」という頭の悪い戦争オタク・ファシスト安倍晋三

 露骨に憲法9条をないがしろにする頭の悪い非国民・安倍晋三がまた非科学的な持論によって憲法9条を守ることを主張するまともな日本人である共産党の志位氏に難癖をつけた。新聞報道の仕方も安倍の太鼓持ち的であり、情けない限りですが・・・。


大分合同新聞2022年3月4日

 すでに何度も書いてきたことですが、簡単に触れておきます。

 安全保障の目的とは何でしょうか?これは第一に自国民の生命を守ることだと考えます。また、曲りなりにも平和国家を名乗っている日本ですから、海外へ軍事的に侵攻することはないことを前提として、憲法9条の精神を普遍化することと日本を核武装を含めて軍事強国化することといずれが国民の生命を守れるのかについて考えます。

 地政学的に見て、日本はアジア大陸の東に位置する島国です。戦略的な地下資源を豊富に有しているわけではありませんから、アフリカや中東のように地下資源確保のために侵攻をされることは考えられません。日本への侵攻が考えられる第一の原因は、日本が極東における米軍の最大の基地が全土に展開されていることに尽きます。米国と軍事的に対峙しうる中国、ロシアとは狭い日本海を隔てているだけです。その意味で、ウクライナと似た立場にあります。したがって、日本に米軍基地があることが日本にとって最大の安全保障上の危険要因です。

 日本がウクライナと異なるのは、まさに憲法9条によって、今のところ他国の領土に対しては不可侵が国是となっていることから、中国やロシアにとって喫緊の危険がないことが現在の平安を守っているのです。NATOを事実上コントロールしている米国は、第二次世界大戦以降、最も多くの戦争に関与して他国に侵攻し最も多くの民間人を殺傷してきた凶暴な国です。ロシアが危険視することは非常によく理解できます。
 ここに、頭の悪い安倍が言うように、米国の核を配備し、日本が敵基地攻撃能力の行使を可能にすることになれば、日本と中国、ロシア間の軍事的な緊張関係は一気に大きくなり、まさに今回のウクライナの状況を招来することになるのは自明です。

 一般的に、軍事的な緊張関係による均衡によって見かけ上の平和が維持されている場合、「防衛のための軍事力」を大きくすればするほど、均衡が破れた場合の軍事衝突による人命を含めた被害が増大することになります。これは説明の必要もないでしょう。したがって、出来る限り軍事力を削減することこそ被害を最小化することにつながるのです。その究極の形が国際紛争の解決手段として一切の軍事力を放棄するという正に日本国憲法第9条の精神なのです。

 最後に最近の兵器と軍事的な交戦について科学ないし技術の問題として考えることにします。

 まず、日本は島国であり、海岸線の長さは世界有数です。仮想敵国として、中国、北朝鮮、ロシアを想定した場合、超高速ミサイル、巡航ミサイル、弾道ミサイルを問わずミサイル攻撃をミサイル防衛網で防ぐことは100%不可能です。これは北朝鮮が長距離弾道ミサイル実験を行った時のPAC3の無能さを見ればお分かりの通りです。
 特に日本の日本海側の海岸線には動かぬ核弾頭である原子力発電所が多数存在するため、核兵器を使うまでもなく、日本国土を広範囲で放射能汚染することが可能です。事実上、ひとたび戦争状態になれば、ミサイルは打ち放題であり、これを無力化することは技術的に不可能なのです。
 さらに、日本本土に対する軍事侵攻まで発展した場合、海岸線からの侵攻を食い止めることは100%不可能です。

 日本が防衛力という軍隊を強化し核武装したとして、報復攻撃を行ったところで、要するに殴り合いであって、双方に死者を含む多大な被害が生じることを止めることはできないのです。軍備の強化や核武装によって平和を守るという安倍の主張こそ科学・技術的には「空論」なのです。
 消耗戦になれば、中国やロシアという大国に対して勝つことなど不可能なことは太平洋戦争で経験済みです。むしろ日本が軍事力を強化すればするほど攻撃の手は強まり、民間人の犠牲者も増加することになります。

 つまり、どのように軍備を強化したところで、ひとたび軍事的な衝突に至れば、決して無傷ではいられないのです。防衛力という軍備を強化すれば国民の安全が守れるなどという思い込みこそ空想なのだということを理解すべきでしょう。

 結論です。国民の生命を守るためには一切の軍事力を放棄したうえで、中立を保ち、全方位外交を貫徹すること以外にないのです。

  最後に、今回も天木さんのメールマガジンの記事を紹介しておきます。


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     十分な事前協議なく採択にかけられた対ロシア非難決議

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 やはりそうだったのかと思った。
 7時に流されたNHKニュースで、中国の報道局長が記者会見で語っていた画像が映った。
 そこで中国の報道局長は何と言っていたか。
 十分な事前協議がなされず、中国の意見が反映されなかったから止むえず棄権したと語ったのだ。
 私もジュネーブの日本政府代表部に在勤していた時、毎日のように国連決議の交渉を担当させられた時があった。
 国連決議は、事前の交渉がすべてであると言っても過言ではない。
 最終局面では、夜を徹して一字一句その決議の文言について交渉することが常だった。

 今度の対ロ非難決議は、まさしくどのような文章になるのか、その文言が、賛成、反対の決め手になるほど重要な決議だ。
 その対ロ非難決議案が、常任理事国の中国にさえ十分に協議されないまま、強引に採択に付されたのだ。
 一体、議長国はどの国だったのか。
 その国に米国からどのような圧力がかかったのか。

 その実態を報じた日本の新聞は皆無だ。

 はからずも、中国の報道官の発表で、その強引さ、性急ぶりが明らかにされたのだ。
 ちなみに、きょうの朝日が各国の投票行動について詳しく報じていた。
 それによると、反対5、棄権35の外に無投票の国が12カ国あったことがわかった。
 そのなかには、エチオピア、モロッコ、ウズベキスタン、ベネズエラなどという、単なる欠席で無投票にしたとは思われない国も含まれている。
 これら諸国の大部分は対ロ非難に消極的だったに違いない。
 つまり出席して、反対とはまではいかなくても棄権したと思われる国々に違いない。
 つまり賛成141カ国に対して52カ国が、どちらかと言えば非賛成国だったのだ。
 141対40と、141対52では、受ける印象が違ってくる。
 「圧倒的多数が賛成」とはならないのだ。

 それにしても、メディアの中でも、特にNHKの偏向は目に余る。
 きのうのニュースウオッチ9でも、元アメリカ総局長のキャスターが、異常とも思える表情と強い口調で、ロシアを批判していた。

 今朝のNHKのニュースでも東野という名前の女性学者の解説者が、「藁をもつかむプーチンが」と決めつけていた。
 どうして、いまのプーチンが、藁をつままなければいけないのか。
 独裁、強権振りは、いささかも変わっていないというのに。
 そして、極めつけは、中国の仲介をどう思うかと聞かれたのに対し、その解説者は一刀両断に否定した。
 私は評価しないと。
 中国に仲介されては困るのだ。

 ウクライナ情勢が好転したら困るNHKと解説者が結託した仕組まれた報道である(了)


 

No.1376(2022/03/02)争いを止めることのできない愚かな人間A
相変わらず軽率な発言をする軍国主義者・ファシスト安倍晋三

 このところのウクライナに侵攻したロシアに対する批判報道には辟易しています。

 さて、ウクライナの現状に対する欧米の対応は、本気でウクライナの国民の安全を確保しようとしているとは思えません。ドイツやフランス他、そしてEUはウクライナに対して兵器を供与するという愚かな対応をしています。今戦火が実際に起こっているところへ兵器を投入することは正に「火に油を注ぐ」ことであり、戦線を拡大し、犠牲者をさらに増加させることは必定です。
 真に戦争状態を止める気があるならば、ロシアに対する一定の譲歩を含む交渉を行うことが現実的です。ウクライナのゼレンスキーにしても本気で自国民の安全を第一に考えるならば、方便でもよいので、EU加盟やNATO加盟を一旦凍結するなどの交渉のための条件を整えるべきであり、彼の行動はこれとは全く逆行する軽率な行為であり、ゼレンスキー自身も欧米の武力によってロシアに対抗しようとしているという意味で国民を更なる危険にさらす行為です。

 基本的に、武力による緊張関係によって見かけ上の平和を維持するという方法論は、ロシア、中国、北朝鮮ばかりでなく、欧米諸国も全く同じです。これでは国際バランスが混乱すれば即座に戦争状態になることはわかりきっています。この愚かな武力による平和、抑止論に与する限り永遠に問題は解決することはありません。また、北朝鮮の核開発を非難することはできません。

 9.11の後の米国による国連を無視したイラクへの侵攻によって、イラクの体制を転覆して米国傀儡政権を作り、更にアフガニスタンに侵攻し、無人爆撃機などによってたびたび民間施設を破壊し非戦闘員を殺傷してきた米国に対して、日本の政府や報道は一体どんな評価をしてきたのか?このダブルスタンダードをなんとも思わないほど、この日本という国は米国の奴隷になっているとしか言いようがありません。

 天木さんも言っているように、日本国憲法9条の思想を普遍化することだけがこの問題を解決することになる、現実的な政策であると考えます。この問題は既に多くの論考で書いてきたのでこの辺にしておきます。

 今日の主題は、このような状況下で、またしても頭の悪い軍国主義者・安倍晋三がここぞとばかりに「現実的な対応」として日本を米国の核兵器によって核武装すべきであるという愚かな発言をしたことです。これに対して、同じくタカ派自民党議員高市早苗もすぐに同調したようです。安倍シンパの好戦的保守系政党議員、ないし維新の会の愚か者にはあきれるばかりです。
 この安倍の日本の核武装という武力の均衡による抑止力による平和維持という主張は、立場を変えれば北朝鮮の核兵器開発に正当性を与えるものです。日本で最も金正恩に似ているのは安倍晋三自身なのかもしれません。


大分合同新聞2022年2月28日

 曲りなりにも平和憲法を擁するわが日本は、現状の武力の均衡による平和ではなく、憲法9条の精神に則り、国際紛争を解決する手段としての武力を廃絶して、真の平和を希求する行動を先導すべきだと考えます。またそれこそが最善の安全保障だと考えます。

 最後に、今回も天木さんのメールマガジンの記事を紹介しておきます。


□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年3月2日第109号
■ https://foomii.com/00001
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 うんざりさせられるウクライナ情勢についてのメディアの印象操作

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 ウクライナ情勢のニュースで一色だ。
 そこまでは仕方がない。
 なにしろ前代未聞の世界戦争の危機だ。
 しかし、すべてロシアが悪い、プーチンが悪い、という日本のメディアの印象操作の洪水にはうんざりさせられる。
 およそ国際情勢に素人が、ましてやウクライナ情勢などまるで知らない連中までも、テレビに出してロシア批判を繰り返す。
 幼い犠牲者の惨状を伝える画像を、どのテレビ局も、同じ画像を使って繰り返す。

 極めつけはきのう3月1日のNHKニュースウオッチ9だ。
 司会者の元NHKワシントン特派員が、ニュースの最後を、「すべての責任はプーチン大統領にあります」と締めくくった。
 これはバイデン大統領がプーチン批判した時の言葉だ。
 ここまで対米従属にならなくてもいいだろう。

 日本には、「盗人にも三分の理」、「一寸の虫にも五分の魂」、という言葉があるはずだ。

 そこで思い出されるのが1990年に始まった湾岸戦争の時のウソ報道だ。
 あの時アメリカは、イラクが流したと、油まみれの水鳥の映像とともに発表したが、実はアメリカがイラクの石油精製施設に撃ち込んだミサイルが原因だったということが、後になってわかった。
 ひとりの少女がTVの前で身を震わせ、涙ながらに訴えた画像が流された。
 「クウェートに侵入したイラク兵達が、保育器に入った未熟児を投げ出して殺すのをこの目で見ました。たくさんの赤ん坊たちがそんな目にあったのです」と。
 ところが、あとで判明した。
 その少女はクワェート駐在のアメリカ大使の娘であり、しかも、広告代理店がその少女を起用し、TVに出演させ、そのような証言をさせたのだ。

 「戦争で真っ先に犠牲になるのは真実である」

 「一人をだまし続けることはできる。多くの者を一時的にだますことはできる。
  しかし、多くの者をだまし続けることはできない」

 誰が言ったか知らないが、まさしく至言である(了) 


 

No.1375(2022/02/24)争いを止めることのできない愚かな人間
ウクライナを巡るロシア、欧米の争いと、これに加担する「平和国家日本」

 このところ、「安全保障」についてあまり触れてきませんでしたが、ウクライナを巡るロシアと欧米諸国の身勝手な動き、そして一方の頭目である米国の犬と化した「平和国家日本」、平和国家といいながら敵基地攻撃能力などという物騒な話題が議論される日本の国会を見ていて、心穏やかではいられない今日この頃です。

 繰り返し述べてきたように、私は絶対平和主義者であり、あらゆる武力を否定するものです。私の考えは既に語りつくしています(例えばHP管理者から「政治・経済・軍事」)。ここでは、天木さんのメールマガジンの記事を紹介しておくことにします。


□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年2月24日第95号
■ https://foomii.com/00001

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 歴史に残るケニア国連大使のウクライナ安保理緊急会合における演説

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 ウクライナ情勢をめぐって、2月21日に国連安保理の緊急会合が行われたという。
 そこでどういう議論がなされ、どういう結論が出たかは知らない。
 事態はより深刻に展開しているのだから、どうせ、常任理事国間の非難の応酬で終わった不毛な会合だったに違いない。
 しかし、その会合で、持ち回りで選ばれる非常任理事国のひとつであるケニア国のキマニという国連大使が、歴史に残る名演説を行ったというのだ。
 きょうの毎日新聞の記事を引用して、その演説の言葉の数々を紹介したい。

 「この状況(ウクライナの状況)は私達の歴史と重なる。ケニアや、ほとんどのアフリカ諸国は帝国の終焉によって誕生した。私たちの国境は私たちが自分で引いたものではない。ロンドンやパリ、リスボンなど植民地時代のはるか遠くの大都市で引かれたものだ」

 「今でもアフリカ諸国では国境の向こう側に、歴史的、文化的、言語的に強く結ばれた同胞が暮らしている

 「もし独立する時に、民族や人種、宗教の同質性に基づく国家を追求していれば、何十年も血にまみれた戦争を続けることにはならなかっただろう」

 「同胞と一緒になりたいと思わない人はいないし、同胞と共通の目的を持ちたいと思わない人はいない・・・しかし、そのような願望を力ずくで追い求めることをケニアは拒否する。私たちは、二度と支配や抑圧の道に陥ることなく、今はなき帝国の残り火から、回復を遂げなければならない

 ケニア大使の演説は約6分間だったという。
 しかし、その6分間の演説に、ウクライナ情勢の問題のすべてが言い当てられている。
 いや、戦後の国際社会が、なぜ、平和を実現できなかったか、そのすべてが言い当てられている。
 この演説こそ、憲法9条を持つ日本の国連大使が行うべき演説なのだ。
 しかし、残念ながら日本にはその資格はない。
 大アジア主義を掲げておきながら朝鮮、中国を植民地支配しようとして米国に叩き潰された日本。
 戦後は一変してその米国に全面服従し、世界のいたるところで戦争を仕掛ける新植民地主義の親玉の米国の使い走りをする国になってしまった日本
 そもそも日本に憲法9条を持つ資格はないのだ。
 日本に再生があるとしたら、すべては、我々国民が、戦後の日本の歴史をもう一度出発点から見直す事である。

 正しい歴史認識を持つという事は、そういう事である(了)


 2022年2月25日 追記

 昨日、ついにロシアが動いてしまった。日本の報道はロシア非難一色に染まった。もちろんロシアの武力による侵略は許されるはずもないことです。しかし、欧米側の偏った正義を主張することには賛同できない。天木さんのメールマガジンの記事を以下に紹介する。 


□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2022年2月25日第97号
■ https://foomii.com/00001
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一億総ロシア批判の危うさ(この国に真の護憲政党は出て来ないのか)

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 やはり、わたしが真っ先に指摘したい事は、一億総ロシア非難の危うさについてだ。
 プーチンのウクライナ侵攻が許されないことは当然だ。
 しかし、ロシアを非難することは誰でもできる。
 安倍元首相までいち早く非難したぐらいだ。

 しかし、重要なことは、プーチンのウクライナ侵攻を誰も防げなかった事だ。
 そして、侵攻が行われた後でも、誰もそれを止めさせる策を提示できない事だ。
 確かにバイデンはプーチンと話した。
 しかし、話しても侵攻は止めらないことがわかったから最後の首脳会談は取り止めた。
 そういう事になっている。

 しかし、もしプーチンが求めているように、NATOはロシアと敵対しない、その証としてウクライナのNATO入りを求めない、求められても認めない、そう約束したらどうだったか。
 それどころか、もしプーチンがウクライナ侵攻を止めるなら、NATOそのものを解体してもいい、そこまで米国とNATOが譲歩したらどうだったか。
 それでもプーチンはウクライナ侵攻を行っただろうか。


 戦争回避のためには、みずから攻撃されない限り、あらゆる譲歩をする、それが憲法9条の求める外交なのだ。
 そのことを、胸を張って主張する政党、政治家は日本には存在しないのか。
 それどころか、まるでプーチンのロシアを非難しなければこの国の政治からのけものにされると言わんの与野党のプーチン非難そろい踏みだ。
 メディアもまた、こぞってプーチン非難、ロシア非難一色だ。


 ウクライナ侵攻でこれだ。

 もし台湾有事になれば、ますます一億総中国非難になる。
 そして、憲法9条改憲やむなし、となる。

 ただでさえ大政翼賛会に向かいつつあるこの国の政治だ。
 ウクライナ侵攻とその先にある台湾有事で、いよいよ憲法9条は不要になる。
 それどころか憲法9条は悪者にされる

 それに抗する本当の意味での護憲政党が出て来なくてはいけない(了)


 

No.1374(2022/02/06)広瀬隆のCO2温暖化についての最新動画
捏造されたCO2地球温暖化の虚像を膨大な事実によって否定する

 愚かな科学性の欠如した原発反対運動の多くが、人為的CO2地球温暖化のバカ騒ぎに乗って再生可能エネルギー発電導入促進運動に変質しています。

 原子力発電に反対するジャーナリストの大御所である広瀬隆は、さすがにCO2地球温暖化詐欺について正しい評価をしています。人為的CO2地球温暖化詐欺の実態を暴く最新映像(2022年1月27日)がネット上に公開されています。多少長くて冗長な部分はありますが、数々の事実が紹介されています。時間のある方は、是非ご覧ください。

 原子力廃絶運動は再生可能エネルギー発電促進運動ではなく、再生可能エネルギー発電廃絶運動であると認識すべきです。

【1/3】https://www.youtube.com/watch?v=7mBzcDj_64Y
【2/3】https://www.youtube.com/watch?v=ZMK1KHBtdo0&t=11s
【3/3】https://www.youtube.com/watch?v=GkN8jSz_aoE&t=0s

 

No.1373(2022/01/19)今日の朝焼けがとてもきれいだったこと
早くもトンガの海底火山噴火の噴出物が日本上空まで到達したのかもしれない

 今朝起きて山を見ると雪の残った鶴見岳の山肌が鮮やかに赤く染まっていました。「赤富士」ならぬ「赤鶴見」でした。冒頭の写真は、少し時間がたってしまったために太陽高度が高くなったせいで赤みがだいぶ褪せてしまってしまいましたが・・・。

 ご存じの通り、朝焼けや夕焼けは、大気中を長く透過した太陽光が大気中の比較的大きな粒子によって長波長側の光が散乱されることによっておきます。例えば、夏の夕立の後の夕焼けが美しいのは大気中の細かな水滴のおかげです。

 今日は当地では今季一番の冷え込みの快晴でした。大気中の水蒸気や水滴の量は少なかったはずです。それにもかかわらずこの鮮やかな朝焼けはなぜでしょうか?

 考えられる一つの要因は15日に南太平洋のトンガの海底火山で起こった巨大な爆発によって成層圏にまで吹き上げられた火山噴出物が日本上空にまで到達したからではないでしょうか?
 思い起こせば30年前のフィリピンのピナツボ山の大噴火の折にもとても鮮やかな朝焼け・夕焼けが見えたことを思い出します。 

 

No.1372(2022/01/17)トンガ海底火山噴火に伴う海面水位の上昇
今後数年間の世界的な気温あるいは大気中CO2濃度に与える影響に注目

 日本時間の1月15日午後1時過ぎにトンガの海底火山が大爆発を起こしました。気象庁は、当初、この海底火山爆発による日本沿岸の潮位の変動は軽微としていました。しかし、実際には予想された到達時刻よりも早い時間帯に、日本各地で1mを超えるような潮位の上昇が観測されました。
 この予想を超えた潮位の上昇は、通常の地震による津波とは異なる仕組みで発生したものと考えられています。詳細については今後明らかになってくるものと思います。

 海面水位の上昇は、物理的には火山噴火のエネルギーが海水や大気という媒体に伝わり、これが伝搬して到達するものです。自然現象としては、気象現象よりもはるかに単純なメカニズムで起こる現象です。それにもかかわらず、当初の気象庁の予測は大きく外れることになりました。
 気象庁の予測が外れたことを批判するのは全くお門違いであり、今回の潮位上昇は海底火山の爆発による、これまで観測経験がない、あるいは極めて稀な潮位の上昇メカニズムであったということでしょう。比較的単純な力学的な現象である潮位の上昇という自然現象であっても、まだまだ未解明の現象が存在することを理解するうえで貴重な事例だと考えます。

 気象現象は大気や海水の力学的な移動だけでなく、太陽放射などの電磁現象、大気組成、大気温度など様々の階層の現象が輻輳するとても複雑な現象です。このような現象を粗雑なコンピューターシミュレーションによって長期予測することなど不可能であることを理解すべきだと考えます。

 さて、このトンガの海底火山爆発の規模は1991年のフィリピンのピナツボ火山の大爆発と同等か少し小さい程度と言われています。噴煙は15km以上の上空まで吹き上げたようです。噴煙は成層圏にまで到達していることから今後数年間は噴出物が成層圏に滞留することが考えられるため、地球大気の太陽光に対する反射率が大きくなり、ピナツボ火山噴火の時と同じように世界的な気温の低下傾向、ないし大気中CO2濃度の上昇傾向の低下が観測されることになると予想されます。注視していきたいと思います。

 

No.1371(2022/01/05)2022年寒中お見舞い申し上げます
社会構造の脱炭素化という非科学的で技術的に実現不可能な目標への暴走

 寒中お見舞い申し上げます。

 すでに年始に今年最初のレポート「コンピューターの濫用と自然科学の劣化」を公開いたしました。人為的CO2地球温暖化説、あるいは気象予測シミュレーションという『疑似科学』による世界規模の詐欺事件が現在進行中です。
 かつて、インターネットが普及すると国家的な嘘は存在できなくなるという楽観的な意見が多かったように思います。しかしネット情報を制御できる権力による大量の宣伝によってむしろ嘘がつきやすくなると述べてきましたが、予想通りになったように思います。
 権力やそれに迎合する組織による大量の宣伝によって、都合の悪い少数の意見は埋没し、あるいはネット運営企業そのものが国家によって統制されることで、少数意見を排除することになりました。よほど意識の高い人でない限り、砂漠に針を落としたような小さな意見をネット上の莫大な情報から拾い出すことは至難の技になっています。

 微力ではありますが、今年も「反・人為的CO2地球温暖化説」の立場から情報を発信していきたいと考えております。よろしくお付き合いください。


 

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