No.1158 (2016/12/15)オスプレイ墜落で見えた安倍米国傀儡政権の実体
米軍発表を鸚鵡返しする稲田防衛相の売国ぶり。日本政府は国民を守らない

  昨日、沖縄県名護市において米軍輸送機オスプレイの墜落事故が起きました。この事件をめぐる安倍政権・日本政府の行動によって、現政権が進める日米同盟の実体が非常によく見えたと考えます。大分合同新聞2016年12月15日朝刊から幾つかの写真・記事を紹介します。

  まず一面に掲載された墜落事故現場の様子です。米軍の発表では、事故機はコントロールされた『不時着』であるというものです。不時着とは、当初の飛行計画にはない目的外の場所に緊急避難的に着陸することです。写真でわかるように、オスプレイはバラバラに大破しており、今回の事故は不時着ではなく『墜落事故』であることは一目瞭然です。
  この状況に対する安倍政権の防衛大臣である稲田朋美の発言はブラックユーモアでなければ、あまりにもふざけた内容です。

  この事故に対して抗議の申し入れを行った沖縄県の副知事に対して、在沖縄米軍トップは『沖縄県民への被害を回避したパイロットに感謝すべきである』というとんでもない発言をしています。彼らは沖縄県、そして日本を植民地程度に考えているのであって、とても対等な同盟関係などとは考えていないことが明白です。

  そして、米軍基地の外で起こったこの墜落事件に対して、日本の捜査機関・警察は米国のお許しがなければ証拠品に触れることさえ出来ないのです。
  北部ヘリパッドの建設では日本中から警察官が集まって、米軍のために沖縄県民(警察官の認識では土人だそうですが・・・)の抗議行動を排除し、今回のオスプレイ墜落事件では日米安保の地位協定によって、証拠品に手を付けることさえ出来ない日本警察とは米国の使いっ走りなのでしょうか。
  日米安保条約は独立国家の対等な二国間条約ではなく、安倍の言う日米同盟の強化とは、日本の米国に対する隷属関係の強化にほかならないことは明白です。

  オスプレイ墜落事故をめぐる日本政府の対応から、安倍政権とは、沖縄県民・日本国民を守ることよりも宗主国米国の言いなりになることを優先する安倍ファシスト・売国・米国傀儡政権(笑)であるという実体を明確に示したのです。

  以下、天木直人さんのメールマガジンの内容を紹介させていただいています。


□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2016年12月15日第915号
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オスプレイ墜落事故を追及しない国会と野党の沈黙  
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オスプレイの墜落事故について、わが目を疑う事が起きている。
 抗議に赴いた沖縄県の副知事に、逆に海兵隊にやり込められて返って来た。
 海兵隊の責任者らしき男が逆に抗議に対して怒鳴り返したのだ。
 パイロットは安全な場所を選んで墜落した、文句を言われる筋合いはないと言わんばかりだ。
 その光景がNHKニュースで何度も繰り返された。
 とんでもないことだ。
 よくもこのような暴言を放置できるものだ。
 沖縄県民は、いや、日本国民は、いますぐこの海兵隊の責任者の謝罪と解任を求めなければいけない。
 野党は国会で沖縄県民や国民の怒りを安倍政権にぶつけなければいけない。
 今度の墜落事故を緊急質問で取り上げ、オバマ大統領の謝罪と、オスプレイの配備見直しを要求するよう、野党は安倍首相に迫らなければいけない。
 ところが、まったくそのような動きが見られない。
 カジノ法案の事で明け暮れている。
 カジノ法案で内閣不信任案を出すという。
 何をやっているんだ。
 いま国会が最優先すべきは、オスプレイの墜落事故だろう。
 民進党がダメでも、せめて共産党くらいは、いまこそ共産党らしさを発揮して、安倍首相を吊し上げるのだ。
 それが出来ないようでは、いよいよこの国は終わりだ。
 永久に米軍に占領されたままになる。
 そんな日本にならない事を祈るばかりである(了)
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No.1157 (2016/12/08)安倍政権の軍事国家化を止めるために
天木直人氏、新党憲法9条を結成!来る総選挙に候補者を擁立へ

  このHPでも時々、天木直人さんのメールマガジンの内容を紹介させていただいています。

  私はこのHPでも繰り返し述べてきたように、絶対平和主義者であって、あらゆる戦闘行為に対して反対です。平和を希求しながら、手段として軍事攻撃を容認するなどというのは、絶対的な論理矛盾だと考えます。
  また、核ミサイルや遠隔操作の各種の無人兵器が使用されるようになった現在、軍事力によって日本の国土を完全に防衛することなど技術的に絶対不可能です(PAC3やTHAADは実戦で役に立つ可能性の低い張子の虎です)。これまでの日米韓の愚かな外交対応によって、既に北朝鮮の核兵器の開発状況は実戦段階に到達しつつあります。北朝鮮が決断すれば、最早日本国土を例えば北朝鮮の潜水艦搭載ミサイルによる核攻撃から防衛することなど不可能な状況になっているのです。
  もし軍事力によって日本の国土の平和を絶対的に守ることが出来るとすれば、先制攻撃の第一撃で敵性国家の軍事力を壊滅させるだけの圧倒的な軍事力を日本が保持する以外にありませんが、これは現実的には実現不可能です。

  このような国際状況を冷静かつ論理的に分析すれば、最も現実的な安全保障とは、日本国憲法第9条を厳密に遵守し、如何なる軍事同盟にも属さず、平和的な外交を徹底すること以外にないと考えます。

  天木直人さんの安全保障に対する新党憲法9条の主張に完全に同意します。安倍政権の数の暴力によって成立した憲法違反の安保関連法案に対する野党共闘は、各党のシガラミによって参議院選挙では大きな争点とできずに、空中分解し、安倍政権のさらなる暴走を許す結果になりました。
  このような状況下で、短期的に改悪された安保関連法案を破棄することは難しいことかもしれませんが、既成政党のシガラミから独立して、平和憲法第9条を守るという一点において国民の政治的受け皿となる政党を誕生させることが是非とも必要だと考えます。

新党憲法9条 ホームページ http://kenpo9.com/

以下、天木さんの最新のメールマガジンです。


□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人のメールマガジン2016年12月9日第899号
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   安倍政権の暴政とそれを誰も止められない絶望的な政治
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  きのう12月8日は象徴的な日だった。
  九州電力が川内原発を再稼働させた。
  もはや原発再稼働の流れは止められない。
  3・11の原発事故から巻き起こった原発反対の気運は一体何だったのだろう。
  最高裁が厚木騒音訴訟の逆転判決を下した。
  米軍機はもとより、自衛隊機の飛行差し止めさえも覆された。
  しかも、自衛隊機の飛行を「公共性」という言葉を使って擁護した。
  驚くべき最高裁の国策擁護判決だ。
  このままでは砂川判決の再審請求訴訟もまた最高裁で退けられるだろう。
  日米安保は国策であるとして。
  そしてきのう、「税制改正」という名でごまかされた増税、格差助長の、税制案が、安倍与党の税制案としてあっさり合意された。
  国民生活はますます苦しくなり、国民格差は進むだろう。
  一部の富裕者を除いて、一億総貧困層に国民は追いやられていく。
  もはや安倍暴政を誰も止められない。
  野党共闘は、安保法を止められなかった時点でとっくに終わっていたのだ。
  そして、日本の戦後の政治史を振り返れば、自民党の暴政を止めたのは野党ではなく自民党のリベラルだったのだが、そのリベラルが、田中派の消滅と福田派の長期支配によって、自民党から消え去ってしまったのだ。
  日本の政治は深刻である。
  既存の政党、政治家の合従連衡、離合集散の繰り返しでは、もはやどうにもならない。
  政治の常識では考えられない事が起きない限り、安倍暴政は止められない。
  誰かが政治革命を起こさなければいけない。
  なんとかしてくれという、国民の声なき声に応える受け皿を、今こそ誰かが作らなければいけない(了)
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No.1156 (2016/12/05)安倍政権のなりふり構わぬ経済政策
アベノミクスで「美しい日本」は失われ「醜悪な日本」が出現する

  また年末のイルミネーションが始まりました。年中行事なので(笑)、毎年のことですが、今年も一言書いておくことにします。
  今年はパリ協定が発効し、温暖化対策のために世界中でCO2放出を削減することが行われることになりました。CO2放出量削減のために最も効果があるのは、エネルギー消費の縮小、経済活動の縮小であることは論を俟ちません。近年ではリーマンショック以降の世界経済の縮小によって目に見えるCO2放出量の減少が起こりました。その反面、再生可能エネルギーの導入でCO2放出量の削減が観測されたことはありません(笑)。もういい加減に再生可能エネルギーの導入でCO2放出量が減るなどという戯言に気づくべきでしょう。
  発電や動力装置からの直接的なCO2放出量を減らすために、効率が悪く不安定で迂回度の高い再生可能エネルギーの導入で、供給単位エネルギー当たりの石炭、石油、天然ガスの使用量は増大し、鉱物資源消費量が爆発的に増加するのです。その(再生可能エネルギーの導入の)結果として、エネルギー単価やエネルギー利用のための社会的な費用は増大しているのです。
  端的な例として電力料金を考えてみてください。日本では2015年度の名目で電力供給量の2%程度が再生可能エネルギーですが、そのために1.5兆円を超える再エネ賦課金が徴収されているのです。もし電力供給量の20%を再生可能エネルギーの導入で賄うことになれば、単純に考えれば15兆円の再エネ賦課金が徴収され、電力料金は倍増することになります。実際には再生可能エネルギーという不安定電力を20%にも増やせば、電力供給の安定性を確保するためには更に付加的なインフラ整備が必要になるでしょうから15兆円では収まらないでしょう。

  有限の有用エネルギー資源である石炭、石油、天然ガスを有効利用し、消費量を削減することは政策判断として正しいことです。そのために第一になすべきことは、不必要あるいは重要性の低いエネルギー消費活動をなくしていくことです。
  温暖化対策のためのCO2放出量削減は無意味ですが、有用エネルギー資源である石炭、石油、天然ガスの消費量削減のために、不要電力消費の削減は有効です。無駄なエネルギー消費の最たるものの一つが意味もない年末イルミネーションです。パリ協定の必要性を訴えながら年末のイルミネーションを歓迎している世論は論理矛盾であることに、もういい加減に気づいてほしいものです。
  しかし実際には、今年もまた醜悪な年末イルミネーションは巨大化し、増加する一方です。日本の科学教育水準、そして知的水準の低下は、危険水域に達しているようです。

  さて、本題です。安倍政権の経済政策「アベノミクス」はすでにほとんど崩壊してしまいました。アベノミクスの内容は、
1.財政政策として日銀とつるんで円安・株高誘導で見かけ上の短期的な景気の拡大を演出し、
2.財政出動によって公共事業を拡大し、
3.稼いだ時間で実体経済の立て直し、新規成長分野を創出する。

という内容につきます。1、2は時間稼ぎ一時しのぎのカンフル剤的な効果しかないことは分かりきったことで、問題は3の実体経済の立て直しであることは自明です。
  ところが実体としては、円安、株高誘導のために貸出金利を引き下げ、更にはマイナス金利まで導入したにも関わらず、マネタリーベースは急拡大したものの肝心の資金は回らず、だぶついています。先行きの分からない経済状況は、超低金利にも関わらず、庶民のさらなる貯蓄行動になっています。
  結局は実質的に効果のある財政出動の拡大による公共事業の拡大でかろうじて面目を保っている状況です。しかし、これではかつての田中内閣の列島改造から始まった公共事業拡大政策、当然の帰結としての国債の乱発、財政悪化に拍車が掛かることは当然です。

  実体経済の立て直しがうまくいかない中で、アベノミクスの第3の矢の目玉として構想されているのが、政財産官の合作で進められようとしている禁じ手とも呼べそうな産業分野への参入です。
  第一は、国内では未だ事故処理法さえ目処の立たない欠陥発電技術である原子力発電の海外への売り込みです。
  第二に、兵器の輸出です。安倍政権の憲法違反の集団的自衛権の無条件の行使容認を内容とする安保関連法案の成立によって、日本は国連安保理常任理事国同様、死の商人として動き始めたのです。兵器産業は収益率が高く、一度足を踏み入れれば、麻薬患者のように容易に抜けることは出来ません。米国の軍需産業を見れば分かるように、絶えず戦場を欲することになります。
  そして第三は、カジノの解禁です。賭博とは単純にみると、何らかのゲームによって掛け金を胴元が吸い上げる仕組みです。結局のところ賭博とは、実業で真面目に稼いだ市民から、金を巻き上げる装置であり、これを国が合法化して、胴元の上がりを更に国がピンはねするということです。これを日本という国の経済成長の国策の中に位置づけるというのです。何というふざけた魂胆でしょうか!

  安倍政権の経済政策は、大企業にボロ儲けさせてそのオコボレで庶民の生活を多少向上させると言うものです。断末魔のアベノミクスは、大企業がボロ儲けすることさえ出来るのであれば、欠陥商品でも海外に売りつけ、死の商人となって殺人機械を売りさばき、真面目に稼いだ金までも賭博で巻き上げることさえ厭わないのです。とてもまともな商行為・経済政策とは考えられません。アベノミクスによって、日本は「醜悪な国」に成り下がろうとしています。

 

No.1155 (2016/12/01)天皇・皇室の人権問題を考える
民主主義と象徴天皇制(世襲君主制)は並立不可能

  今年の夏ころからでしょうか、平成天皇明仁氏の退位の意向を巡る議論が賑やかです。昨日も天皇退位についての『有識者』からの意見聴取が行われていました。
  国家神道の復活を望み、太平洋戦争敗戦以前の軍国主義日本の国家体制を復活させることによって、天皇制を利用して自らの権力を大きくしたいと望んでいる神社本庁や日本会議、あるいはそれに連なる『有識者』(笑)は、概ね天皇退位の制度化に反対のようです。それはそうでしょう、自らが利用しようとしている天皇制度の安定性を絶対的なものとして維持したい彼らにとって、天皇の退位を認めることは天皇制の崩壊に繋がる可能性があるので、絶対容認できないのでしょう。

  ここでは、日本の近代史における天皇制の問題はひとまず横におくとして、民主主義国家である日本における天皇、あるいは皇室という特殊な職業について私見を述べたいと思います。皇太子徳仁氏の配偶者である雅子氏の病や娘である愛子氏の就学問題などを見るにつけ、皇室という特殊な身分・職業は精神的な負担の大きい、ある意味で非人間的なものだと推察されます。

  日本という民主主義国家の国民であれば、他者に不利益を与えない範囲において、誰にでも職業選択の自由、思想信条の自由、表現の自由という基本的な権利=人権が「建前上」かもしれませんが、憲法によって保証されています。
  ところが、象徴天皇制民主主義国家である日本では、天皇ないし天皇の親族である皇室を構成する人たちは日本に居ながら日本国民ではなく、人権がありません。象徴天皇制は形式的には立憲君主制に似ていますが非なるものです。

  君主制とは、国の主権が君主に属する国家体制です。その典型は絶対君主制であり、これが本来の君主制です。絶対君主制において、英邁な君主が国を統治すれば、良い国家運営がなされますが、同時に暴君や愚鈍な君主が登場すれば国家は不安定になります。
  そこで、国民の地位の向上と君主の権力の制限の妥協の産物として登場したのが立憲君主制であり、国家経営を安定化させるために憲法によって君主の権力に制限を加え、国民による議会と君主との緊張関係の上で国家運営を行う体制です。
  日本の明治から太平洋戦争敗戦までは、形式的に立憲君主制でした。しかし、太平洋戦争前夜以降の日本の国家運営は、翼賛議会によって議会が形骸化し、軍部と一部の政治家の独断が横行しました。形式的には天皇の大権によって統治される形式を取りながら、実質は軍部と一部政治家が天皇の権威(ないし国家神道)を利用して国を統治しました(天皇制ファシズム)。現在、神社本庁や日本会議などが復活を望んでいるのは、正にこの政治体制でしょう。

  太平洋戦争敗戦によって憲法が全面的に改定され、天皇は形式的には法律の公布や国会の招集などの「国事行為」を行うことになっていますが、全ての国事行為は内閣による承認が必要であり、実質的な権能はなく、単なる儀式の演者、内閣の操り人形になっています。これを「象徴天皇」としています。
  現在の日本の国家運営は内閣によって決定されており、象徴天皇の国事行為は実質的には全く意味を持たない行為ばかりです。意味のない行為を行うことだけが仕事という職業は、虚しいものでしょう。その上、個人としての政治的・思想的発言は禁止され、今回の退位騒ぎでもわかるように、職業選択の自由さえ奪われている状態です。
  一般社会であれば、無用な社員を部屋に閉じ込め、一日中無意味な仕事を与えて精神的に追い込んで自ら退社させる、などという話を聞きますが、天皇や皇室の人々には退位する自由までもが奪われているのです。なんと絶望的で非人間的な扱いでしょうか。

  天皇や皇室の人々は、世襲的に職業が強制され、職業選択の自由が剥奪されています。更に、思想信条の自由、表現の自由が剥奪されています。民主主義国家において、最も基本的権利であるはずのこうした権利を剥奪された人の存在を許してよいのでしょうか?天皇の退位について、当事者である天皇が発言することが許されず、第三者である「有識者」(笑)が議論するなど、おかしくないですか。

  今回の天皇退位問題という混乱が起こるのは、本質的に世襲君主制である象徴天皇制という国家体制と、民主主義という政治体制が論理的に並立できないからです。日本が真に民主主義国家になるためには、天皇制を排して、共和制に移行すること以外に方策はないと考えます。

  天皇や皇室の人々にとっても象徴天皇制からの開放によって初めて人としての独立性を取り戻し、自由が実現できるのではないでしょうか。所詮、絶対君主的な天皇制以外の天皇制であれば、実質的には政治家や軍部によっていいように利用されるだけであることは、日本の歴史が示しています。戦前回帰を目指す安倍政権は徹底的に天皇制を利用しようとしているように見えます。明仁氏や徳仁氏が英邁であったとしても、安倍のような奸臣(笑)に利用され、協力したという汚名を着せられることにしかなりません。

 

No.1154 (2016/11/30)ロボコンに見るグロテスクな未来の妄想
戦争国家では、優秀な理工系技術者は殺人機械開発に従事することになる

  この時期になると、高校生、工業高専、大学などの理工系学生諸君による各種の自主制作ロボットの競技会が開催されます。
  また、プログラム言語の進化によって、小学生を対象にした簡単なロボットの制御プログラムの講座なども増えているようです。

  私が育った時代とは隔世の感があります。しかしながら同時に危機感を覚えます。

  一つに、幼い頃からプログラミングに慣れ親しむことに対する危惧です。当然のことですが、何らかのプログラムを作成するとき、重要なのは何を実現することが目的なのかという点であって、プログラムを作成することはその手段に過ぎません。目的もなく、単にプログラミング技術だけを習得させることにはそれほどの意味を感じません。どうも目的と手段の倒錯が起きているように感じます。幼い頃から、プログラミングに接してきた人間は、プログラムは万能なのだというような誤った世界観に陥るのではないか、とても危惧しています。

  これは単なる杞憂ではありません。このHPでも継続的に扱っている気象学の現場においてはすでに大きな問題を起こしています。
  気象学においては超高速コンピュータによって気象現象に対する各種の数値シミュレーションが行われています。数値シミュレーションとは、現実空間で起こっている現象の仕組みを数式に表現し、これをコンピュータ言語によって表して超高速コンピュータに計算させることによって、現実空間で起こる現象を模倣する技術です。
  したがって、対象とする現象を完全に数式で表現できることが最低必要条件です。その上で未来の予測シミュレーションを行うためには、対象とする現象に対して影響を与える全ての外的要因の未来の変動を正しく予測できなければなりません。
  しかし、現在の極めて稚拙な気象シミュレーション・プログラムでは、関連するすべての現象を正しく数式で表現することが出来ないばかりでなく、確定することの出来ない要素に対して作為的に数値を指定して与えなければ計算を行うことの出来ない不完全なものです。勿論、未来の太陽活動や磁場の変動などの外的要因を正確に予言することも不可能です。それにもかかわらず、「シミュレーション気象学者」は気象予測シミュレーションの結果は正しく未来を予測するとして、人為的CO2地球温暖化仮説が正しいと主張します。
  実際の気象変動がコンピュータ・シミュレーションによる気象予測と異なる傾向を示したことに対して「実際の気象のほうがおかしい」と大真面目で語るという、最早笑い話のようなことまで起こっています。
  勿論、限られた条件の下で行う気象シミュレーションには、有用なものが存在します。例えば、福島原発事故に於ける放射性物質の拡散シミュレーションなどはかなりの精度を期待できます。しかしながら、全地球規模などという広範囲の100年先の気候予測数値シミュレーションは、全く無意味としか言いようがありません。現実の気象現象を理解せずに、適用範囲を見誤った数値シミュレーション万能主義に侵されているのです。
  また、地道な気象観測を行う研究者よりも、気象現象に対する理解が浅くても、コンピュータ・プログラミングに精通している研究者の方が大きな予算にありつけるのです。

  気象学に限らず、あらゆる自然科学、工学分野における研究において、コンピュータ・シミュレーション万能主義は、現象を帰納的に理解する過程という本質を見失い、演繹主義の誤った普遍化を招くものです。特に、未知の分野・現象に対する自然科学的考察能力が失われることが危惧されます。

   そしてもう一つの心配が軍事利用の問題です。ロボット工学の応用分野の第一は、危険労働のロボットによる代替で、労働者の安全を確保することです。通常の社会であれば全く好ましい分野ということになります。日本が現行憲法を遵守して、将来的にも武力行使を行わないのならば大きな問題はなかったかもしれません。
  しかし、安倍内閣による憲法を無視した自衛隊の軍隊化、実質的な交戦権の容認を定めた安全保障関連法の成立、それに先立つ武器輸出3原則の実質的な廃止によって、状況は180度変わりました。
  安全保障関連法の成立によって、日本における最も危険な労働は戦闘行為になったのです。その帰結として、ロボット工学に対して最も期待されるのは自動殺人ロボット兵器による戦争の工業化になったのです。

  既に、防衛省は武器輸出の解禁、自衛隊の軍隊化を見越して大学に対して手厚い研究費の提供を開始しています。日本においては、太平洋戦争において大学が軍事研究に協力した反省に立って、軍事研究には協力しないという基本姿勢でしたが、これが揺らいでいます。
  日本の貧困な文教政策によって、大学の独立行政法人化、大学に対する研究予算の削減が進められ、大学の研究現場、特に理工系の現場では研究予算の獲得に血眼になっています。軍事研究に繋がると知りつつも、潤沢な研究費の提供に目が眩んで、防衛省の研究予算に手を出す大学が現れています。

  国が戦争国家になった場合、最も優秀な理工系の学生たちは、金に糸目をつけない研究開発が可能な軍需産業に集まることは歴史や現実が証明しています。
  90歳を越えた私の家内の伯父は、極めて優秀な方で、飛び級で東京帝国大学に入り、卒業後は造船技術者となり太平洋戦争末期に軍艦製造、人間魚雷回天の製造にも関わっていたそうですが、戦後は慙愧の念を持ち続けているようです。戦後は石川島播磨重工に在籍し、取引先にいた安倍晋三と面識があるそうですが、太平洋戦争に反省のない安倍内閣に対しての憤りは激しいものです。
  また、優秀な工業高専の機械科卒業生が三菱重工に就職し、次期自衛隊の主力ステルス戦闘機F-35に関わることになると誇らしげに報告に来たと、知人である教授が嘆いていました。なんとも悍ましい時代になりつつあるようです。

 

No.1153 (2016/11/29)トランプ効果について考える 最終回
グローバリゼーションで米国の良識と声なき多数派の乖離は極限に達した

  相変わらず日本の主要メディアの論調としては、トランプ氏の主張は極端なもので、大統領就任後には現実路線に戻ってほしい、あるいは戻るであろうという観測が主流のようです。あるいは、トランプ氏の登場で「米国の良いもの」の多くが失われかねないという危惧を表明しています。

  しかしこれは現実を見ていない見当ハズレの分析です。これまで日本の報道機関、マスメディアだけではなく、米国の主要メディアでさえ、米国の経済的にも知識レベルにしても中流以上の洗練された都会的な市民層の良識を米国の良識と勘違いしていたのであろうと考えます。あるいはそのような人々以外は米国の支配階層やマスメディアには見えていなかったのかもしれません。特に民主党にはその傾向が強かったのではないでしょうか?

  しかし、あらゆる国でもそうですが、国の主流から外れた故に声を上げることさえ出来ずに辛酸をなめている階層が存在するのです。民主主義において権力は、そうした声を上げることの出来ない弱者に対する救済について特に配慮すべきですが、残念ながら議会の多数派は往々にして奢りからそれを軽視する傾向にあります。

  英国のサッチャーや米国のレーガンによって推し進められ、日本でも小泉政権で明確に導入された規制緩和による新自由主義経済政策、そして自由貿易の例外なき普及を目指す世界市場の普遍化によって進められてきたグローバリズムの暴力的な拡大によって、強い国の強い産業は増々繁栄した結果、経済規模の拡大によって、一面的には世界経済が活性化しました。
  しかしその陰で、弱い国はますます収奪されることになりました。それだけではなく、強い国の中において、相対的に弱い産業に従事する労働者の経済的な没落が生じました。また強い産業は多国籍企業となり生産拠点を海外に移転した結果、国内産業の空洞化、失業者の増加をもたらしました。特に工場生産ラインの労働者など、比較的低学歴の熟練を必要とされない労働者ほど強い影響を受けることになりました。

  米国内では新自由主義経済政策、貿易自由化によって、白人の工場労働者を中心とする中流階級の経済的な没落が顕著です。更に、米国の特殊事情として、国内の炭鉱と油田が人為的CO2地球温暖化対策によって、産業分野全体として低迷しています。
  米国では新自由主義経済政策、自由貿易体制、温暖化対策=グローバリゼーションによって白人中流階級が経済的に没落して、白人貧困層が増大し、不満が鬱積し、膨張していたのでしょう。
  トランプ氏は、こうした膨張する白人貧困層の存在に注目して、これまでの米国の都会的に洗練されたマスメディアには注目されてこなかった彼らの主張を、大統領選挙を通じて代弁し、彼らを救済する政策を打ち出した結果、大方の主要マスメディアの分析を覆して大統領選に勝利したのだと考えられます。

  日本の主要マスメディアは、未だにトランプ氏は米国の一般的世論と乖離した異常な大統領という論調で報道していますが、とんでもない勘違いです。これまで日本のマスメディアが報道してきた米国の一般的世論とは米国の支配階級ないし中流以上の都会的、エリート層の表面的な"political correctness"であって、多くの声なき白人貧困層の意見は"political correctness"とは全く乖離したものであったのです。
  その多くの声なき白人貧困層の主張と"political correctness"との間のグローバリゼーションに対する評価の乖離が臨界点を超え、貧困層が米国白人層の多数派にまで拡大していたことにクリントン・民主党政権は目を向けてこなかったのに対して、トランプ氏はそれを冷静に掴んでいたということです。紛れもなくトランプ氏は米国の主要な世論の一つを代表していると考えるべきです。

  私たちは、当然のことですが、一枚岩の米国世論などは存在せず、グローバリズムを可とする世論もあれば、反グローバリズムを主張する世論もあり、多種多様の主張があることを理解しておくことが必要です。

  英国のEU離脱、トランプ大統領の登場、欧州における国家主義・排外主義の台頭は、グローバリゼーションによる負の影響が限界点に達しつつあること、グローバリゼーションがすべての人にとっての利益になるという触れ込みが嘘っぱちであったという現実によって、冷遇されてきた階層の反発が最早政治的に抑え込めないところまで来ていることを示しているからだと考えます。

  さて、日本はどうなのでしょうか?アベノミクスは典型的な新自由主義経済政策であり、大企業が世界で最も自由に=傍若無人に活動できる国になることを目指し、庶民はそのオコボレで糊口をしのげというものです。日本のTPPへの参加は、極論すれば自動車(的な勝ち組産業)を輸出するために農業(的な弱小産業)をスクラップすることを目指しているのです。アベノミクスは弱小産業をスクラップし、所得格差を拡大する経済政策です。
  TPPについて、『日本の優れた農産品を輸出するチャンス』だと言い、海外で売れる高品質の特殊な農産物の生産農家、やる気のある農家にはビジネスチャンスであるなどと言ってごまかしています。馬鹿なことを言ってはいけません。私達の日常のごく平凡な家庭の食卓に並ぶ農産品を生産する大多数の農家はスクラップするのだということに他なりません。カロリーベースで40%を割っている食料自給率は更に減少することは明らかであり、農業生産の減少は経済的な意味だけではなく、日本の中山間地の限界集落の崩壊を加速し、農地や里山の荒廃につながるでしょう。

  安倍政権の政治・経済政策はとても奇妙なものです。政治的には国家神道を社会制度として復活して万世一系の天皇の統治する排外主義的な国家体制を理想としていながら、太平洋戦争で国体を破壊した米国に擦り寄り、多数の米軍基地の駐留を望んでいます。
  経済的には排外主義の対局と見える新自由主義経済政策やTPPの例外なき自由貿易体制を支持するという具合です。アベノミクスによって、真の意味での『美しい日本』の基盤となるべき日本の山野は荒廃し、中山間地の伝統的文化は失われていくでしょう。
  木に竹を接ぐような支離滅裂な安倍政権の政策をキメラのようだと評する方もいるようです(笑)。

  日本においても経済格差の拡大、貧困率の上昇で見られるように新自由主義経済政策、グローバリゼーションによって、かつての大多数を占めた経済的中間層が激減しています。トランプ氏の登場を他山の石として、日本の国家運営も根本的に見直すべきではないかと考えます。(完)

 

No.1152 (2016/11/22)トランプ効果について考える その4
東アジアの安全保障環境の劇的な改善の可能性

  トランプ次期米国大統領は選挙戦において、『世界の警察』からの撤退を考えていることを表明しました。これは大歓迎です。トランプ氏の判断は世界の紛争の沈静化に資するものと考えます。

  現在の世界中へのテロの拡散は、元はと言えば9.11同時多発テロに対する米国内のヒステリックで冷静さを欠いた反応を背景とした当時のブッシュ政権による国連を無視した中東への武力侵攻作戦の結果です。アフガンに対して主権を侵害する無謀な要求を行い、イラクには大量破壊兵器保持の濡れ衣を着せ、米国主導で日本を含む有志国連合は独立国家体制を破壊したのです。
  また、9.11同時多発テロの主犯とされたアルカイダは米国CIAの援助のもとに組織された、中東地域における反ソ連武装組織であり、9.11同時多発テロ自体が米国政府が何らかの形で関与していた、あるいは事前情報を把握していた可能性があるという見方が未だに払拭されていないようです。

  今回の米国大統領共和党候補者の元フロリダ州知事ジェフ・ブッシュ氏との討論において、トランプ氏は、2001年9/11同時多発テロ事件の当日に、当時の大統領であったジョージ・W・ブッシュが米国にいたビン・ラーディン一族を機密に国外に逃亡させたことを訴え、これまで、陰謀説とされてきたブッシュとビン・ラーディン一族との関係を明らかにしたのです。このような事実から、9.11同時多発テロは、中東地域を混乱させることで米国の軍事産業を儲けさせるために仕組まれたのではないかという陰謀説がくすぶり続けているのです。

  少し脱線しましたが、これまで世界中で行われてきた米国の国連を無視した非合法も含めた軍事行動によってパクス・アメリカーナを実現するという野望は、世界経済の中における米国経済の相対的な地位の低下で困難になってきていると考えられます。大統領選挙を通じて、トランプ氏は米国が世界の警察から撤退するという意向を示しています。これは、米国が直接戦争に加担することの不経済を合理的に判断した結果であろうと考えます。何れにせよ、米軍の縮小は世界平和にとって歓迎すべきことです。

  では、東アジア地域の安全保障環境はどうでしょうか?日本、あるいは米国が当面する東アジアにおける安全保障環境の緊張要因は北朝鮮の動向です。
  朝鮮半島の緊張状態は、元々は第二次世界大戦後の朝鮮半島がソ連と米国によって分割統治されたことを原因にしています。その後の東西冷戦状態においてソ連、米国という2つのスーパー・パワーの代理戦争として朝鮮戦争が起こったものです。その過程で、米軍の兵站あるいは前線基地として戦後日本経済は『朝鮮特需』でうるおいましたが、同時に不幸にも北朝鮮による日本人の拉致事件も発生しました。
  注意すべきは、あくまでも朝鮮戦争の戦争当事国は韓国と米国であって、日本は戦争当事国ではないということです。したがって、日本の対応次第でいくらでも日朝関係は改善できるのです。日本が第二次世界大戦まで行った朝鮮半島の植民地統治に対する反省と経済的援助(戦争賠償金ではないでしょうが韓国同等の支払いはすべきでしょう)を申し出れば、拉致問題も進展するでしょう。

  ここで足枷となっていたのが日米安保条約による同盟関係にある米国の意向でした。
  朝鮮半島をめぐる国際情勢は朝鮮戦争勃発当時とは大きく変わり、冷戦構造は崩壊し、中国、ロシアと米国の関係は随分改善されました。米国が北朝鮮と直接対峙する必然性は最早無いように思われます。核兵器開発能力を備えた北朝鮮に対して、これ以上挑発的な行動を取るよりも、核兵器保有国であることを認めた上で、平和条約を締結して米軍を韓国ないし日本から撤収したほうが『安全かつ安上がり』なことは明らかです。
  歴代米国政権は過去の経緯や面子から朝鮮半島から撤収できない自縄自縛状態でした。米国の本音は、泥沼状態の北朝鮮問題を解決した上で、むしろ経済的にも軍事的にも南東アジアへの進出を意図している中国への対応に専念したいはずです。その意味で、実業家であるトランプ次期政権であれば、過去のしがらみに関係なく実質的な安全と経済性から北朝鮮との関係を劇的に変更出来る可能性があります。選挙期間中にも述べていたように北朝鮮金正恩とのトップ会談を是非とも実現させてほしいものです。

  残念なのは今の日本政府が戦前回帰を目指す安倍ファシスト政権であることです。たとえトランプ氏が北朝鮮問題解決に踏み出し、駐留米軍の引き上げ、日本が初めて名実ともに平和独立国家となれる絶好のチャンスを目の前にしても、愚かな好戦的な安倍内閣は北朝鮮を仮想敵国として戦争国家を目指すのでしょう。

 

No.1151 (2016/11/21)トランプ効果について考える その3
排外主義政権のトップランナーはトランプではなく安倍晋三内閣

  トランプ次期米国大統領の発言ないし主張に対する批判の中で最も強いのが不法移民や各種のマイノリティーに対する排外主義のようです。日米欧の主要マスコミは、トランプ氏の登場が欧州、ドイツ、フランスなどにおける排外主義を助長しているという報道をしています。

  現代の欧米諸国の中で排外主義はトランプ氏によって初めて主張されたことではありません。単一民族国家ではないあらゆる近代国家のうちに内在する普遍的な問題です。欧米先進国は表面的には紳士的で問題を内在しつつも表面上は排外主義とは無関係であるように装ってきましたが、問題は深く潜伏して存在し続けていたし、本心では皆が感じていたことでしょう。
  米国大統領選挙においてトランプ氏が不法移民排斥政策を打ち出す前にも、既にドイツではネオ・ナチ主義の台頭や極右政党の躍進が進んでいました。フランス然りです。また、英国のEU離脱も排外主義・一国主義の一形態ではないかと考えられます。トランプ次期大統領が登場したことで世界的な排外主義の台頭をもたらしたかのような主張は、殊更にトランプ氏を貶めるための報道でしょう。

  日本とて例外ではありません。それどころか、排外主義者が政権の座についた国としてはトップランナーと言っても過言ではありません。
  第一次安倍政権の当初から、美しい日本を取り戻すことを第一に掲げ、戦前回帰のアナクロニズムによる教育基本法の改悪を行い、教育行政に対する国家介入を強化し、道徳教育に力を入れてきました。また、安倍政権登場と同時に、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチがにわかに脚光を浴びるようになってきたことも無関係ではありません。


元在特会関西市部長増木茂夫氏と安倍晋三総理大臣

  安倍の言う『美しい日本』とは、日本は天照大神に連なる天皇家の万世一系の家系によって統治されてきた世界に類を見ない「素晴らしい国」のことであり、安倍内閣の目的は第2次世界大戦の敗戦によって極東軍事裁判によって否定された敗戦前のこの国の美しい伝統=明治期にでっち上げられた皇国史観、国家神道によって国民を支配した天皇制ファシズム=国体を取り戻すことなのです。皇国史観は排外主義思想の最たるものの一つです。
  蛇足ですが、安倍政権がサミットを伊勢の地で開催したことも、国家神道における最高神天照大神を祀る伊勢神宮があることと無関係ではありません。背後には国家神道(神道的な実践を国家運営における国民統合の支柱とする。神道と政治の関係をGHQによって発せられた政教分離を求める『神道指令』以前に戻す。)の復活を願う伊勢神宮や神社本庁の影響が見え隠れしています。
  安倍政権の大半の閣僚が国家神道の復活を望む神道政治連盟や日本会議に所属しています。安倍政権は正に排外主義的政権です。


  安倍政権の安倍を信奉する女性閣僚、例えば山谷えり子がヘイトスピーチ団体である在特会、高市早苗や稲田朋美が日本版ネオナチ団体の幹部と撮影した写真が暴露されたり・・・と、安倍政権の排外主義的実体を示す事実は枚挙に暇がありません。


参議院議員会館にて増木重夫氏と山谷えり子国家公安委員長


国家社会主義日本労働者党(ネオ・ナチズム団体)山田一成代表と高市早苗、稲田朋美

我が日本安倍政権は海外メディアからは戦前の天皇制ファシズムへの回帰を目論んでいる危険な政権ではないかと見られているのですが、当の日本国民の鈍感さには呆れるばかりです。

  このような状況を見るとき、米国においてトランプ氏が排外主義を掲げて登場したのは、現在の世界秩序の中において、欧米先進国グループ、中でも白人の社会的地位・所得の低下に対するいらだちが顕在化してきたことの反映だと考えるべきではないかと思われます。
  そのような状況の中で、トランプ氏はむしろアジアの自由主義国家において排外主義のトップランナーである日本の安倍ファシスト政権に見習ったのではないでしょうか?ある意味、安倍政権とトランプ政権は親和性の強い政権なのかもしれません。恐ろしい時代です。

 

No.1150 (2016/11/18)トランプ効果について考える その2
自由経済、自由貿易=TPPは地球環境を破壊する

  先進国の一般的な世論として、自由経済、自由貿易は世界を豊かにするものであり、守るべき普遍的な価値であるという認識です。なんと馬鹿馬鹿しい、嘘っぱちの主張でしょうか?これは経済的な強者の立場からの主張であって、普遍的に正しいものではありません。

  完全な自由主義経済とは徹底的に弱肉強食の経済制度です。資本を持ち、市場において優位な商品を供給するものに富が独占される仕組みです。一国内では市場の寡占化そしてやがて独占化につながるものです。
  これを多国間に広げた完全なる自由貿易を容認すれば、富める国はますます富み、貧しい国は国内産業が破壊され、大量の失業者を抱えた債務国に転落することになります。

  また、富める国の国内においても、世界市場の商品価格よりも割高な商品を生産する産業分野は破壊されることになります。例えば、日本の農林水産業は衰退の一途を辿っています。

  勿論、富める国においては、国の社会的な安定のため、あるいは安全保障、国土保全など、経済性以外の要因を考慮して、野放しの自由放任の経済が行われるわけではありません。零細企業や世界市場において相対的に弱い産業分野に対しては政策的に国庫からの財政的な援助によって支えています。
  米国や欧州先進国では、食料安全保障や農業生産者の保護を目的として農家に対して大きな財政援助が行われており、世界市場に農産物をダンピング価格で供給しています。その結果、世界市場における主要な農業輸出国の大半は先進工業国という状態です。
  主要産業が農林水産業という発展途上国(その多くは熱帯や乾燥地帯に多い)に対して、先進工業国の供給する安価で良質な農業生産物は発展途上国の自給的農業を破壊します。自給的農業の生産者は離農せざるを得なくなり失業者となり、農地は荒廃します。また、先進国の資本投入によって行われる輸出用の商品作物のプランテーションは、土壌を酷使し物質循環を破壊することで砂漠化の要因になります。

  自由貿易とは普遍的に富める国を更に豊かにし、貧しい国を更に貧しくし、自然環境を劣化させるものです。これを防ぐためには、各国に対して関税自主権を認めること、各国の国内事情による商慣行や規制を認めることが必要です。

  ここで安倍政権の経済政策に少し触れておきます。安倍政権は『新自由主義』を標榜し、世界で最も大企業の企業活動が自由に行える経済体制を築くとしています。これは言い換えれば、大企業優先で中小零細企業や不採算産業分野の淘汰を促進することであり、大企業の経済規模・利益の増大、富の集中=所得格差の増大を目指すものです。彼は、経済規模が大きくなればトリクルダウン=オコボレで社会全体が豊かになるとしていますが、実体はそうはなりません。

  日本では、既に巷に必要以上の商品が溢れています。既に生活必需品の商品生産は飽和しているのです。その一方で失業者や路上生活者が増加しています。また、過大な残業による労働災害が増加しています。問題は富と労働の社会的な分配が完全に失敗していることです。
  更なる自由主義経済による経済規模の拡大とは、さらなる富の集中と経済格差の助長、不要不急のどうでも良い商品を開発して消費者の欲望を掻き立て売りさばくという、無駄の拡大=有用資源の浪費に他なりません。安倍政権がTPPに積極的な姿勢を取っているのは、彼の新自由主義経済政策のさらなる拡充を目指していることを示しています。

  米国という経済的な勝者である国のトランプ氏がTPPに反対するのは、なぜでしょうか?これは米国内における富の分配格差が社会的安定を損なうレベルにまで拡大しているからでしょう。かつてならば、白人の低所得者層でも、黒人や移民という更に低賃金で働くスケープゴートが存在しました。
  しかし、黒人や移民の社会的地位の向上と、白人低所得者層の没落・失業によって、経済的に逆転現象が起こり始めているのだと考えられます。その結果が黒人やヒスパニック、イスラムへの差別意識の強化につながっていると考えられます。
  トランプ氏の移民排斥やTPP離脱という公約が、白人中低所得者層の支持を掴んだことが大統領選挙の勝利につながっているのだと考えられます。反対に、ヒラリー・クリントンに代表される白人エリート層=富裕層や、ヒラリーの黒人やヒスパニックに対するシンパシーに対して、白人低所得者層の反発がトランプ大統領を実現したとも言えます。
  蛇足ですが、前回触れたパリ協定からの脱退も、低迷する石炭、石油産業の復活、白人労働者の経済環境改善に直結する政策でもあります。

  例外なき関税撤廃を原則とするTPPは、経済的な強者の理論によって独立国家の正当な権利である関税課税の自主権や国内制度的な規制を廃止することを要求する内政干渉です。また、自然環境の劣化を促進する可能性の高い制度です。弱小国を食い物にして自国の利益を最大化させるようなことはすべきではないと考えます。トランプ氏のTPP離脱によってTPPが頓挫することを期待したいものです。

  先進国の中では日本は最も農業政策の貧困な国です。先進国の中で食料自給率が50%に満たないのは日本だけです。生産コストは高くても、日本国内では高品質の農産物が生産可能です。大企業を儲けさせるために農業をスクラップすることは長期的には亡国の経済政策です。国土の自然環境を健全に保つためにも、日本の農山漁村を復活させ農林水産業を成り立つ産業にするための政策(適正関税、国庫からの経済的援助など)を早急に立案すべきです。

 

No.1149 (2016/11/16)トランプ効果について考える その1
人為的CO2地球温暖化仮説の自然科学的な再検討の開始の契機

  米国大統領選挙に対する日本の主要マスコミの総括は、自らの取材能力のなさを棚に上げて、トランプ氏が次期大統領になった事実のほうがおかしいのだと言わんばかりでした。正に噴飯モノです。自らの無能を何らまともに総括できないようです。

  その後もトランプ氏の選挙時の発言、政策は過激であり荒唐無稽なものという際物扱い的に報道し、現実路線に戻ることを期待する、というような基調での報道が目立ちます。

  しかし私はそうではないと考えています。彼の人為的CO2温暖化に対する『でっちあげ』発言は比喩的な意味ではなく、無論暴言ではなく、自然科学的に全く正しい発言です。TPPに対する認識も、彼自身実業家であるわけであり、その経済感覚からして自由で公正な貿易ルールなどというものが存在しない事をよく理解しているからであろうと考えます。

  トランプ氏の移民問題に対する発言や女性蔑視の発言、差別発言については、賛成だというつもりは毛頭ありませんが、白人米国人の多数派の意見をプロの政治家ではない彼が率直に述べただけであり、"political correctness"などと言って表面上だけ取り澄まして建前論ばかりで本音を隠してきたエリート政治家の方がまったくもって胡散臭い存在だと考えます。米国民の多くもそう考えたからこそ、トランプ氏の暴言を聞いても、いや聞いたからこそ『ヒラリーよりも誠実だ』と判断したのではないでしょうか?
  考えてみてください、これ見よがしのレディー・ファーストなど、私は女性蔑視(女性は劣等であるから庇護してやるのだ!)の最たるものだと思います。あるいは、米国内で相変わらず繰り返される黒人やヒスパニックに対する暴力事件、然りです。足元の問題には頬っかぶりして、中国や北朝鮮の人権問題を批判する厚顔無恥さ、これが「political correctness」の正体でしょう。
  最たるものは、例えば9.11を契機に始まったアフガン、イラク、パキスタン、シリアなどで行われている米国による一方的な大量虐殺です。他人種・他民族に対する差別意識、人命軽視の意識がなければ、なぜあれほど残忍なことが出来るでしょうか?殺人にまさる人権侵害などこの世に存在しません。米国人の中には根強いイスラム差別意識があると考えます。
  多くの米国の白人が社会的に認めるのは今でも「アンクル・トム」だけであり、米国に従順なイスラム教徒なのでしょう。トランプ氏の登場で表面上隠されていた差別問題が顕在化したことは、一時的に混乱の激化をもたらすでしょうが、差別問題を本当の解決に向かわせる契機を与えたと考えます。

  だいぶ枕が長くなりました(笑)。日本国内では、あまりにもトランプ氏を貶めるための我田引水的な客観性のない無能な報道が多いことに嫌気が差していましたので・・・。
  本題です。トランプ次期大統領に最も実現してほしい、そして実現可能性の高い公約がでっち上げの人為的CO2地球温暖化仮説に基づくパリ協定からの脱退です。折しもパリ協定発効以降最初の『気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)』が18日までマラケシュで開催されていますが、合わせてパリ協定第一回締約国会議=CMA1も行われています。パリ協定締約国の代表はトランプ氏の発言に一喜一憂しているようです。

  さて、パリ協定は世界の大多数の国と地域が参加を表明しています。またパリ協定が実効性(笑?!)を持つためには大CO2排出国であり、最大のスポンサーである米国の参加が不可欠です。米国以外の締約国は強力にパリ協定からの脱退に反対することになるのは必定です。
  トランプ政権のパリ協定からの離脱を思いとどまらせるためには、人為的CO2地球温暖化をでっち上げと認識しているトランプ氏に対して、これを覆すだけの自然科学的な論拠を示すことが必要です。しかし、これは人為的CO2地球温暖化仮説をでっち上げた気象研究者にとって、実は最も触れたくない部分なのです。彼らは、人為的CO2地球温暖化仮説の脆弱性、もっと端的に言えば自然科学的に誤りであることを知っているだけに、これを白日のもとに晒すような議論は避けたいはずです。おそらく苦肉の策として、米国以外の締約国は人為的CO2地球温暖化仮説の自然科学的な議論ではなく、道義的(笑)な理由を論拠として米国の説得を試みることになるでしょう。

  私は、薄汚い裏表のある政治的駆け引きにまみれていない現実主義者であり実業家であるトランプ氏にこそ、徹底的に人為的CO2地球温暖化仮説の自然科学的な論争を再開する可能性を感じています。米国内には人為的CO2地球温暖化仮説の間違いを主張しているまともな自然科学者は少なくありません。
  トランプ政権は棚上げされている人為的CO2地球温暖化仮説を再び自然科学的な議論の場に引き戻して、自然科学的な妥当性を徹底的に再検証することを指示することによって、自らの主張の正当性を証明する道を選んでほしい
と考えます。

追記(2016.11.17)

  今朝もNHKのニュース番組でトランプ氏のパリ協定脱退発言に対するCOP22参加者からの批判と残留を促す発言が報道されていました。それに続いて、日本の国家系の研究機関の海洋研究者がIPCCの気温上昇シミュレーションの予測に従えば、海水温の上昇によって日本の太平洋近海のイワシの漁獲が減る危険性があるので、「CO2排出量削減が必要だ!」と述べて(述べさせられて(笑)??)いました。これは最近の人為的CO2地球温暖化関連の主張の典型的なものです。

  この研究者が言う通り、IPCCの予測通りに気温が上昇すれば(?!)、日本近海のイワシの漁獲量が減少することになるのかもしれません。しかし、彼の最終的な主張である「CO2排出量削減が必要だ!」を合理的に導くためには、気温上昇の原因が人為的に放出したCO2の影響であるという因果関係が正しいことを論証する必要があるのです。それを論証しないまま「CO2排出量削減が必要だ!」と主張することは自然科学者の態度として無責任極まりないものです。この研究者が人為的CO2地球温暖化仮説の詳細について承知していないのであれば、あくまでも「海水温の上昇はイワシの漁獲高の減少につながる」という結論に留めるべきです。

  最近の温暖化の脅威を煽る研究や報道の典型は今回の事例のように、気温上昇による将来のマイナスイメージの予測を行い、人為的CO2地球温暖化仮説の自然科学的な論証なしに、いきなり「だからCO2排出量を減らさなければならない」と短絡的に結論に導くやり方です。

  最早、人為的CO2地球温暖化仮説は神聖化(=宗教化)され(笑)、科学的な再検証をすることさえ許されない状況になっているのです。私が最も危惧しているのは、国家や権力の名の下に、一部の利害関係者の思惑によって自然科学が歪められ、大衆が何も疑わない現在の状況です

  私は、トランプ氏の「人為的CO2地球温暖化でっち上げ発言」が、人為的CO2地球温暖化仮説の自然科学的な妥当性というものが絶対的なものではないのだということを、米国民や多くの人々に思い出させたことだけでも、実に大きな功績であったと考えます。

  私は、米国大統領選の初期においてサンダース氏が最良ではないかと考えていましたが、おそらくサンダース氏では人為的CO2地球温暖化に対して疑義を挟むことはなかったであろうことを考えれば、トランプ氏が最良であったのかもしれないと思っています。

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