解題「温暖化の虚像」⑨

大気中CO2濃度の上昇は気温を低下させる③

気温はどのように決まるのか?
 前回は、対流圏下層大気に含まれる赤外活性気体による地表面放射の吸収について考察しました。現在の地球の対流圏下層大気では、地表面放射の吸収局面では、圧倒的に濃度の高い水蒸気H2Oと雲による吸収が支配的であり、二酸化炭素CO2やメタンCH4による吸収は極めてマイナーな要素であることを述べました。気温上昇による赤外活性気体濃度の上昇による正のフィードバック効果はそれほど大きくはなく、あったとしても最大の効果を持つのはH2O濃度の上昇であることを述べました。

 今回は温室効果のもう一つの側面である地球系外への赤外線放射による放熱について考えることにします。
 地球大気に温室効果がなければ=赤外活性がなければ、有効太陽放射によって供給されるエネルギーと地表面放射によって地球系外へ放出するエネルギーが平衡します。
 地球大気に赤外活性気体が含まれることによって、地表面放射の9割程度(102/114)が一旦対流圏大気の運動エネルギーとして吸収されます。

 その結果、地表面放射で地球系外へ放出されるエネルギーは有効太陽放射で供給されるエネルギーの17%(12/69)程度であり、残りは対流圏上層大気あるいは雲頂からの上向きの低温赤外線放射が担うことになります。
 実際には地球の対流圏大気中で起こる複雑な気象現象によって、場所によって地球系外への赤外線放射による放熱量には大きな幅があります。ここでは平均的な性質について考えることにします。

 地球の大気システムによる低温赤外線放射による放熱は、雲頂からの赤外線放射と大気に含まれる赤外活性気体からの赤外線放射です。
 雲頂あるいは対流圏上層大気からの赤外線放射の強さは大気の温度によって変化します。地表面放射と大気システムからの低温赤外線放射の合計が有効太陽放射と平衡するように対流圏上層の大気温度が決まります。対流圏上層の大気の温度が定まれば、そこから下方の大気の鉛直温度分布は大気の平均的な温度減率に従って、1km当たり6℃程度上昇することになります。

 有効太陽放射は変化せずに平均気温が上昇した場合、対流圏上層の大気温度も上昇し、大気システムからの低温赤外線放射による地球系外へ放出するエネルギー量が増加します。すると大気システムの保有するエネルギー量が減少するため、気温は低下することになり、再び有効太陽放射と平衡する温度状態が回復されます。
 地球大気の温度状態は、変化に対する負のフィードバック機能を持つため、平均的に見れば、地表面放射と大気システムからの低温赤外線放射の合計は有効太陽放射と常に平衡することになります。

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解題「温暖化の虚像」⑧

大気中CO2濃度の上昇は気温を低下させる②

気温変動の結果としてCO2濃度が変化する
 前回示したように、温室効果の内、地表面放射を吸収する局面ではCO2の寄与は大きめに見積もったとしても5%未満であり、更に人為的な影響に限れば0.15%未満、ほとんど誤差の範囲であり、温度計で観測できるような気温変動をもたらすことはありません。
 一方、気温の変動が大気中のCO2濃度やCH4濃度を変動させています。例えば、ここ80万年程度の期間の気温とCO2、CH4の大気中濃度との関係は南極のアイスコアの成分分析から示されています。

南極Dome C におけるアイスコア分析

 上図は、上から気温、CO2濃度、CH4濃度、塵について約80万年間の変動を示しています(右端が西暦1950年であり、これを基準年とした時間軸)。
 この気温に同期するCO2濃度、CH4濃度の変動は、気温変動によってもたらされたものです。これはCO2やCH4の海水への溶解反応が発熱反応であることから当然の結果です。

 ところが、人為的CO2地球温暖化説を唱える研究者によると産業革命以降については、それまでとは逆に、CO2濃度の変動が気温変動をもたらしていると言います。
 この点についてはこれまで検討してきたとおり、産業革命以降の大気中CO2濃度の変動の大部分についても、産業革命以前と同様に、自然変動であり、大気中CO2濃度に占める人為的なCO2放出の寄与は3%程度に過ぎません。したがって、産業革命以後に気温変動とCO2濃度変動の原因と結果が逆転するというドラスティックな変化が起こる必然性はありません。

 上図に示すように、近年の気温と大気中CO2濃度の変動の関係からも、気温変動の結果として大気中CO2濃度が変化していることは明らかです。


 対流圏下層大気による地表面放射の吸収は、主に水蒸気と雲によって賄われていると考えて差し支えありません。現状ではCO2やCH4濃度の変動は極めてマイナーな要素にすぎません。
 もちろん、気温上昇によって対流圏下層大気に含まれる赤外活性気体(主にH2O、CO2、CH4)濃度や雲量が増加することは間違いありません。しかしながら、それによる地表面放射の吸収量の増加はそれほど大きくなく、雲の増加は日傘効果によって気温を低下させる効果を持ちます。その結果、顕著な正のフィードバック効果をもたらすことはありません。
 また、正のフィードバック効果を持つとしても、その最大の要因は水蒸気濃度の上昇です。

 平均的な地球大気の気温を15℃、湿度を50%と仮定すると、H2Oの大気中濃度は次の通りです。

{12.8(g/m3)×50%/18(g/mol)}×22,400(ml/mol)=7,964ppm

気温が1℃上昇した時のH2Oの大気中濃度は次の通りです。

{13.6(g/m3)×50%/18(g/mol)}×22,400(ml/mol)=8,462ppm

気温が1℃上昇すると、H2Oの大気中濃度は498ppm増加することになります。実際には平均的な湿度も50%よりも高くなるため、もう少し増加量は多くなるでしょう。したがって、気温上昇に伴う主要な赤外活性気体の中で最大の濃度上昇を示す=最大の正のフィードバック効果を持つのはH2Oです。CO2の寄与は主要なものではないのです。
 気温の上昇に伴う多少の赤外活性気体濃度の上昇による正のフィードバック効果があるかもしれませんが、赤外活性気体濃度の上昇が原因となって観測できるような気温上昇がおこることは、現状では考えられません。

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解題「温暖化の虚像」⑦

大気中CO2濃度の上昇は気温を低下させる①

地球大気の温室効果に対する人為的な影響
 地球の大気には赤外活性を持つ気体が含まれています。赤外活性とは、赤外線(可視光線の赤色光よりも長波長でミリ波よりも短波長、波長0.7μm~1000μmの範囲の電磁波)を吸収し、あるいは放射する性質のことです。
 温室効果とは、大気が赤外活性気体を含むことによって地表面付近の大気温度=気温が上昇する現象の総体です。通俗的には対流圏下層大気が地表面放射を吸収する現象に対して温室効果と呼ぶことが多いようですが、そもそもこの認識が温室効果に対する認識を歪めています。

 地球の対流圏下層大気の主要な赤外活性気体は水蒸気H2Oと二酸化炭素CO2です。
 大気中のH2O 濃度は気温や天候によって大きく変動しますが、日本であれば概ね5000ppm~30000ppm程度の範囲にあると考えられます。これに対してCO2濃度は400ppm程度です。
 極性分子であるH2Oは回転運動によって、12μmよりも長波長側の広範囲の赤外線を吸収・放射します。更に対称伸縮振動、反対称伸縮振動、変角振動の基準振動でそれぞれ波長2.73μm、2.66μm、6.27μm付近の赤外線を吸収・放射します。
 CO2は無極性分子であり、反対称伸縮振動と変角振動の基準振動でそれぞれ波長4.26μm、15.01μm付近の赤外線を吸収・放射します。

地表から頂点方向の大気の赤外線吸収・放射率

 したがって、対流圏下層大気の地表面放射(波長10μm付近にピークを持つ赤外線)に対する吸収の90%以上はH2Oが担っています。CO2の影響は4.26μm付近と15.0μm付近のごく一部に限られます。4.26μm付近は地表面放射の主要部分から外れているため効果は小さく、15.0μm付近ではH2Oの帯域と重なるため、有効なのはごく一部に限られます。その結果、CO2による地表面放射の吸収量は小さく、多めに見積もっても対流圏下層大気による地表面放射の全吸収量の5%程度だと言われています。
 上図に示した赤外線に対する吸収・放射率の分布は晴天時の大気に対する値です。実際には地球の表面積の50%程度には常時雲が広がっています。雲は8μm~12μm付近の地表面放射に対する大気の窓を塞いで全ての地表面放射を吸収します。

 その結果、地表面放射114の内の102、割合にして約90%が大気ないし雲によって捕捉されています。

 上図は大気圏外における平均的な太陽放射341.5W/m2を100とした場合の相対的な値を表しています。大気を通過する過程で雲や地表面によって31が反射されます。地球大気に赤外活性気体がない場合=温室効果がない場合には、反射されなかった69に相当する太陽放射が地表面を暖めます。地表面の放射平衡温度は次のように計算できます。

T={(341.5×69/100)/(5.67×10-8)}1/4=253.9(K)=-19.1(℃)

したがって、地表面に接している大気の温度=気温も-19.1℃程度だと考えられます。
 地球大気に赤外活性気体が含まれることによって地表面放射は114になります。この時の地表面の放射平衡温度は次のように計算できます。

T={(341.5×114/100)/(5.67×10-8)}1/4=287.9(K)=14.9(℃)

したがって、気温は14.9℃程度になります。つまり、地球大気の温室効果によって、14.9 - (-19.1)= 34℃だけ気温が上昇していることになります。
 CO2による温室効果を大きめに5%(雲による地表面放射の吸収効果を考えればこれよりもはるかに小さい)として、これが気温上昇にリニアに反映されるものと仮定すると、CO2による気温上昇は

34℃×5/100=1.7℃

程度と見積もることができます。現在の大気中CO2濃度に占める人為的な影響は3%程度です。したがって、人為的なCO2濃度上昇による気温上昇は、

1.7℃×3/100=0.05℃

ということになります。これはほとんど測定誤差の範囲であり、問題にする必要はありません。人為的なCO2の影響を針小棒大に誇張して人心を不安に陥れようとする気象研究者たちの行動は理解できません。

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解題「温暖化の虚像」⑥

大気中CO2濃度の上昇の主因は自然現象⑤

吸収率 r についての覚書
 循環モデルを表す微分方程式について、大気中のCO2量Qに対する海洋・地表面環境の吸収率 r と、海洋・地表面環境からのCO2放出量 qin について一定とした場合の解を示しました。
 実際には r も qin も時間の経過に対して予測不能な不規則変動するため、微分方程式の一般解を厳密に求めることは不可能です。
 この微分方程式の利用価値は、ある時点における大気中のCO2量Q(あるいはCO2濃度)、qin の内訳が観測などによって計測できた場合に、その時点の静的な大気中のCO2量の構成や、海洋・地表面環境の吸収率 r がどの程度であるのかを推測することに役立ちます。そのためには、大気中のCO2量の変動は十分ゆっくりであると考えられるので、微分方程式の定常解さえ分かっていれば十分です。

 今回は、吸収率 r が物理的にどのような意味を持つのかについて考えることにします。

 CO2の水への溶解反応は可逆反応であり次のように表すことができます。

 溶解反応速度 v1 は速度定数 k1 とCO2の大気中濃度[CO2(gas)]∝Qを使って、次のように表すことができます。
v1 = k1[CO2(gas)]
 速度定数は一般に反応系の温度 T の関数となります。例えばアレニウスの式では次のように表されます。
k(T) = A exp(-Ea/RT)
Ea は反応の活性化エネルギー、Rは気体定数です。Aは頻度因子と呼ばれます。アレニウスの式から、速度定数は活性化エネルギー Ea が小さいほど、反応系の温度 T が高いほど大きくなります。

 海洋部分では qout ∝ v1 と考えられるので大気中のCO2に対する吸収率は k(T) に比例することになります。
 しかし陸上のCO2に対する主要な吸収機構である光合成反応は光合成生物の代謝に関わる反応であり、とても複雑です。
 光合成反応は、現状では大気中のCO2濃度が高くなれば活発になり、大気中のCO2に対する吸収量は多くなります。環境の温度については、低すぎてもまた高すぎても光合成反応の活性度は低くなり、したがってCO2吸収量は少なくなります。
 また、大気中のCO2濃度や環境の温度とはかかわりなく、人為的な陸上植生の改変、乾燥化、森林伐採や農地の開墾・放棄などの影響も小さくありません。

 循環モデルの大気中のCO2に対する吸収率 r は、海洋部分と陸上部分の双方の影響を受けるために、単純にCO2の水への溶解反応の速度定数に比例するわけではなく、地球表面環境や生態系の様々な影響を受けることになります。
 IPCCの炭素循環図によれば、産業革命以前の吸収率 r = 0.3186 であり、現在の吸収率 r =0.2864 になっています。この変化は、気温変化だけではなく陸上の土地利用・水循環の変化、植生、農業形態、森林伐採、人口増加を含めた動物の生態の変化などの複合的な影響の総体を含んでいます。 
 

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解題「温暖化の虚像」⑤

大気中CO2濃度の上昇の主因は自然現象④

 前回、分析の基礎になる大気中CO2濃度を表す数値モデルとして、循環モデルを構築しました。これを基に、産業革命以降の大気中CO2濃度上昇の主因について考えることにします。

 IPCC2007年の炭素循環図では、産業革命までの大気中CO2量Qは597Gtでした。現在の大気中CO2量は762Gtです。
 前回、人為的なCO2放出を6.4Gt/年としたシミュレーションを行いましたが大気中CO2量Qは617.1Gtで定常状態になりました。これは産業革命以後の大気中CO2量Qの増加量165Gtに対して20.1Gt、割合にして12.2%に過ぎません。したがって、産業革命以降の大気中CO2量Qの増加の主因は人為的なCO2放出ではないことは明らかです。

 この間、人為的なCO2放出以外のCO2放出源からの変化もあります。これを次の図に示します。

 これを見ると海洋・地表面からのCO2放出の増加量の内訳は、海洋からのCO2放出の増加量が最大で20.0Gt/年、次いで人為的な放出6.4Gt/年、土地利用の変化1.6Gt/年になります。
 大気中に放出されたCO2は放出源によって区別することは出来ないので、産業革命以降の大気中CO2量Qの増加に最大の影響を与えたのは海洋からのCO2放出の増加であることがわかります。

定常解を用いた分析
 循環モデルの定常解を再度示します。
Q = qin/r (Gt) ,qin (Gt/年) = qout (Gt/年)

産業革命までの大気中CO2量Qに対する海洋・地表面の吸収率は、
r = 190.2/597 = 0.3186 (1/年)
です。この吸収率の下で海洋・地表面からのCO2放出量qinが190.2Gt/年から218.2Gt/年に増加した場合の大気中CO2量Qを求めると次の通りです。
Q = 218.2/0.3186 =684.9 Gt

 これではIPCCの現在の大気中CO2量Q = 762 Gtよりも77.1 Gtも少なくなってしまいます。
 産業革命以前と現在の海洋・地表面からのCO2放出量以外の条件の違いは、気温が0.6~1.0℃程度上昇したことです。
 CO2の海洋への溶解反応は発熱反応です。環境の温度が上昇すると化学平衡状態は吸熱反応が進む方向、つまり大気中のCO2量Qが増加する方向に遷移します。これは、気温の上昇によって吸収率 r が変化することを示しています。現在の吸収率を計算すると次の通りです。
r = 218.2/762 = 0.2864 (1/年)

 以上をまとめると、
人為的なCO2放出による増加量   20.1 Gt 12.2%
自然起源のCO2放出による増加量  67.8 Gt 41.1%
気温上昇などによる吸収率rの変化  77.1 Gt 46.7%

 つまり、産業革命以降の大気中のCO2量Qの増加に対して、人為的なCO2放出の影響は12.2%に過ぎず、残りの87.8%、約9割は自然変動なのです。大気中のCO2濃度上昇の主因は自然現象です。

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解題「温暖化の虚像」④

大気中CO2濃度の上昇の主因は自然現象③

CO2循環モデルの構築
 前回検討したように、現在、世界標準とされている「人為的CO2蓄積モデル」は人為的なCO2放出が大気中CO2濃度上昇の原因であるという前提で創造された、自然現象の実体を全く無視した、辻褄合わせのモデルです。今回は、自然現象としての実態に即した形の大気中CO2濃度モデルを構築することにします。

 最も基本的な条件は、海洋・地表面環境からのCO2放出源は様々ですが、大気中にCO2が放出されると同時に、大気中に既に存在していたCO2と混合するため、大気中に存在するCO2の挙動は放出された時期、あるいは放出源ごとに分離して考えることは出来ないということです。


 海洋・地表面環境からの主要なCO2放出源は、陸上生態系の呼吸と海洋からの放出です。大気中に存在するCO2の主要な吸収機構は陸上生態系の光合成と海洋の吸収です。
 海洋と大気との間のCO2交換は、「温暖化の虚像」2-5節「高校化学で考える化学平衡と大気中CO2濃度」(p.30)で示したCO2の水への溶解反応という可逆反応に従います。したがって、海洋へのCO2の溶解速度は大気中のCO2濃度ないしCO2量Qに比例します。化学平衡状態では海洋からのCO2放出速度と大気から海洋へのCO2溶解速度(吸収速度)は等しくなります
 陸上生態系と大気とのCO2の交換は生態系の呼吸によるCO2放出と、光合成生物によるCO2吸収によっています。陸上生態系の第一生産者である植物を中心とする光合成生物の生産性が陸上生態系の活性度を表すと考えられます。
 現在の大気中CO2濃度は光合成生物にとって十分高くはないため、大気中CO2濃度の上昇は光合成生物の生産性を高めます(例えばハウス栽培では施設内のCO2濃度を高くすることで収量の増加を図っています。)。したがって、大気中CO2濃度が上昇することによって、光合成生物のCO2吸収量は増加します。第一次近似として、光合成によるCO2吸収速度は大気中CO2濃度ないしCO2量Qに比例すると考えることができます。
 それでも、陸上生態系の大気中CO2濃度変化に対する応答は、植物や動物の成長速度などによる制約からそれほど速くありません。また、化石燃料の燃焼や風化や地表面環境の改変等によるCO2放出は大気中CO2濃度には直接関連付けることは出来ません。
 しかし、これらのCO2の放出・吸収の不平衡量は、CO2の水への溶解反応における大気中CO2濃度ないしCO2量Qを変化させた場合に相当するため、海洋のCO2放出・吸収の調整能力によって、速やかに平衡状態を回復します。こうして、化石燃料の燃焼や風化や地表面環境の改変等によるCO2放出は、海洋の調整能力を介して、間接的に大気中のCO2濃度ないしCO2量Qと関連付けられています。
 大気中CO2濃度の変化速度は十分小さいので、全体として海洋・地表面からのCO2放出量と大気からのCO2吸収量は等しいと考えて差し支えありません。したがって、人為的CO2蓄積モデルが主張するように、海洋・地表面からのCO2放出量と大気からのCO2吸収量の差が長期間にわたって人為的なCO2放出量の半量程度で変化しないという状況は起こり得ないのです。

 以上の条件で、大気中のCO2量のモデルを構成することにします。

CO2循環モデル

 大気中のCO2量Qに関連する構成要素は、海洋・地表面からのCO2放出速度qinと大気からのCO2吸収速度qoutです。
 大気中のCO2量Qを定常状態に調整する機構は、大気からのCO2吸収速度qoutがQに比例することです。比例定数(=吸収率)をrとすると、qin = r×Q です。
 ある短い時間⊿tに対する大気中のCO2量Qの増分を⊿Qとすると次の関係が得られます。
⊿Q = (qin – qout)×⊿t

 この関係は、実は、前回紹介した人為的CO2蓄積モデルの基礎となる式と全く同じです。問題はこの基礎式をどのように展開するか、なのです。前後しますが、ここで再び人為的CO2蓄積モデルについて触れておきます。前回示したように、人為的CO2蓄積モデルでは、
(qin – qout) = 0.5×qinH = 一定
としました。上式を基礎式に適用して⊿t→0の極限を求めると、
dQ = (0.5×qinH) dt
上式の両辺を積分することで人為的CO2蓄積モデルの大気中CO2量Q(t)を求めることができます。
Q(t) = ∫(0.5×qinH)dt = Q0 + 0.5×qinH×t (Q0は積分定数あるいはQの初期値)
これは時間tについての一次関数ですから、時間経過とともに単調に増加し、発散します。また、海洋・地表面からの自然起源のCO2放出qinNの影響を全く表現することができません。つまり、自然起源のCO2放出は大気中CO2量に全く影響しないことを主張しています。したがって、このモデルでは人為的なCO2放出のない場合の大気中CO2量Qは不変であることを主張しているのです。
 これは産業革命以前の大気中CO2量の変動を説明することができません。また、人為的CO2蓄積モデルは将来的に人為的なCO2放出をゼロにしても大気中のCO2量は一切減らすことができないことをも主張しているのです。

 話を基に戻します。循環モデルでは、
⊿Q = (qin – qout)×⊿t = (qin – r×Q)×⊿t
⊿Q/⊿t = qin – r×Q
この式について、⊿t→0の極限を求めることで、Qの時間に対する変化率を表す微分方程式を求めることができます。




 この微分方程式に対して、二つの解を求めることにします。大気中CO2量Qの変化は十分遅いため、大気中のCO2の静的な性質を考察する場合には、近似的に微分方程式の定常解(時間に対する依存性のない解、平衡状態を示す解。)を使うことができます。
 定常解は、微分方程式においてdQ/dt = 0とすることによって求めることができます。
0 = qin – rQ ∴Q = qin/r, qin = qout

 時間に対する変化を調べる場合には微分方程式の一般解を求める必要があります。qin、rが時間に依存する場合には、一般解を解析的に求めることができるとは限りません(数値的な解析手段を用いることになります。)。ここでは解析解が求められる最も簡単な場合として、qin = 一定かつr = 一定という条件の下での一般解を示しておきます。

この解は、大気中CO2量がQ0 = 一定という定常状態に対して、qinに有限の変化が生じた場合のQの時間に対する変化を表すことができます。右辺第一項は定数であり、第二項は時間経過に伴って急速に0に収束します。つまりQ(t)は時間経過とともに急速に右辺第一項で示される新しい定常状態に収束することになります。
 ここで、IPCC2007年報告の産業革命以前の定常状態(qin=190.2Gt/年=qout、r=190.2/597=0.3186)に対して、ステップ関数的に人為的なCO2放出6.4Gt/年が増加した場合についてシミュレーションした結果を示します。

不知火書房「検証温暖化」p.180

 上図にはCO2循環モデルと参考のために人為的CO2蓄積モデルによる大気中CO2量Qの時間tに対する変化を示しています。循環モデルではわずか15年間程度で定常値に収束しますが、人為的CO2蓄積モデルでは発散することがわかります。
 実際には人為的なCO2放出量qinは産業革命以後200年間程度をかけてゆっくり6.4Gt/年にまで増加しました。したがって、この間、常にqin ≒ qoutであったと考えてよいでしょう。

 図4.22に示した一般解を用いたシミュレーションでは、実際には産業革命以降200年余りかけて6.4Gt/年に増加したqinHを一瞬で増加させた場合について示しました。例えばこれを、20年毎に0.64Gt/年づつ増加したとすると、次のようになります。

上図には比較のために一度に6.4Gt/年を与えた場合も示しています。一度に6.4Gt/年を増加させた場合、最大でqinとqoutの差は6.4Gt/年です。これを20年毎に0.64Gt/年づつ増加させると、各期首に最大でqinとqoutの差は0.64Gt/年になります。
 理論的には、期間の分割数を無限大にした場合の極限がqinが連続的に変化した場合を表すことになります。
分割数→∞ のとき (qin - pout ) → 0 つまり qin ≒ qout
と考えてよいでしょう。緩やかで連続的な入力の変化に対しては、入力と出力は等しいと考えて差し支えないでしょう。
 したがって、人為的CO2蓄積モデルが主張するように、qinとqoutの差が6.4Gt/年の半分の3.2Gt/年よりも小さくならないという主張はあり得ないのです。

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解題「温暖化の虚像」③

大気中CO2濃度の上昇の主因は自然現象②

人為的CO2蓄積モデルは静的モデル
 前回見たように、人為的CO2蓄積モデルは、近年観測されている大気中のCO2濃度の上昇を、入力としての海洋・地表面からのCO2放出qinと出力としての海洋・地表面のCO2吸収量qoutの差が、ある有限の着目期間⊿tの間に蓄積していると解釈しています。着目期間の大気中のCO2量Qの変化量⊿Qとすると、
⊿Q = (qin – qout)×⊿t
と表されるということです。ポイントは、有限の着目期間を未来永劫続くとしていることです。その意味で時間経過に対する状況の変化を考慮していない「静的なモデル」なのです。
 この静的なモデルを用いて大気中のCO2量Qを表すと、
Q(t) = Q0 + (qin – qout)×t
ここに、Q0は初期値、tを経過時間とします。
 人為的CO2蓄積モデルでは、qinとqoutの間に何の関係も示しておらず、独立に自由な値をとることができます。したがって、このモデルの定常状態とは、たまたま偶然にqin = qoutだったということにならざるを得ません。

大気中のCO2を起源によって区別するご都合主義
 人為的CO2蓄積モデルでは更に特異な設定を行っています。海洋・地表面からの入力であるqinを人為的な部分とそれ以外の「自然起源」に分けて考えています。人為的な部分には上添字H、自然起源の部分には上添字Nを付して表します。つまり、
qin = qinH + qinN
 人為的CO2蓄積モデルでは、大気中に放出されたqinH と qinN、そしてもともと大気中に存在しているQに対して、それぞれ全く異なる挙動を許しています。実際には、大気中にCO2が放出されると同時に、もともと大気中にあったCO2と混合するため、qinH 、 qinN、Qを区別することは出来なくなります。人為的CO2蓄積モデルは、現実の自然現象を無視した数式を玩ぶだけの形而上学的な議論です。その具体的な内容を以下に示します。
 人為的CO2蓄積モデルでは、海洋・地表面からの自然起源のCO2放出qinNがいくら変動しても、海洋・地表面は常に100%吸収するために、大気中には一切蓄積されないから大気中のCO2量Qは不変であると考えています。これは一見合理的に見えるかもしれませんが、自然現象としてはあり得ません。
 「温暖化の虚像」2-5節「高校化学で考える化学平衡と大気中CO2濃度」(p.30)で触れたCO2の水への溶解という可逆反応で示したように、気温上昇による海洋・地表面からのCO2放出量qinNの増加は、大気中のCO2濃度を増加させる新たな化学平衡状態への遷移を起こします。平衡状態ではqinNは勿論、完全に海洋・地表面に吸収されています。人為的CO2蓄積モデルは、化学の基礎的な現象さえ満足していない出鱈目なモデルです。さらに言えば、産業革命以前の大気中CO2濃度の変動を説明することができません。
 
 話を進めます。人為的CO2蓄積モデルではqinNは大気中CO2濃度に変化を与えず、人為的に放出されたqinHに対する海洋・地表面の吸収率をr = 0.5として、qinHのうち(1 – r) = 0.5 だけが大気中に蓄積すると考えます。つまり、
(qin – qout) = qinH×(1 – r) =0.5×qinH
したがって、
Q(t) = Q0 + (qin – qout)×t = Q0 + 0.5×qinH×t
 前回紹介した「地球温暖化懐疑論批判」議論18の彼らのモデルは、上式の右辺第二項を一年ごとの離散的な表現で書き表したものです。人為的CO2蓄積モデルでは、ほんの少しでも「有限の人為的なCO2放出がある限り大気中CO2濃度は際限なく上昇を続ける=発散する」という自然現象としてはあり得ない主張を導くのです。また、なぜ人為的な放出qinHに対する吸収率rは0.5なのでしょうか?
 さらに、もともと大気中にあったCO2量Q0については、海洋・地表面は一切吸収しないと考えています。出鱈目という以外にありません。

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解題「温暖化の虚像」②

大気中CO2濃度上昇の主因は自然現象

 地球の表面環境(固体地球の表面付近と海洋と対流圏の大気を指すものとします)の中ではCO2は絶えず循環しています。その概要をIPCC2007年の報告書に掲載された炭素循環図で見ておきます。

 炭素循環図の黒の数字と矢印は産業革命前の「定常状態」の値を示し、赤の数字と矢印は産業革命以降現在までの増加量を示しています。
 海洋は炭素ないしCO2の巨大なバッファーです。CO2の水への溶解反応は可逆反応であり、化学平衡状態では環境の温度によって大気中のCO2濃度と水の溶存CO2の濃度は一意的に決まります。大気と海洋・地表面との間の炭素循環は海洋の持つ調整能力によって平均的に見ると、常に
 海洋・地表面からのCO2放出量(Gt/年)≒海洋・地表面のCO2吸収量(Gt/年)
の関係が成り立つと考えられます。
 この点について「温暖化の虚像」2-3節「地球の炭素循環」(p.26)において「CO2放出量とCO2吸収量はほぼ均衡している」と書いた点について、以下その理由について考察することにします。

人為的CO2蓄積モデル
 IPCCの炭素循環図の現在における炭素循環では、概要であるにもかかわらず敢えて、海洋・地表面からのCO2放出量が218.2(Gt/年)であるのに対して、CO2吸収量が215.0(Gt/年)であるとしています。不平衡量は3.2(Gt/年)です(→温暖化の虚像p.26)。
 これは、C.D.Keelingが彼の南極とハワイにおける大気中CO2濃度の連続精密観測記録について、「観測期間中の大気中CO2濃度の上昇量は、同期間に化石燃料の燃焼などによって人為的に放出されたCO2の半量程度に相当する」と報告したことを受けて、人為的なCO2放出量6.4(Gt/年)の半量である3.2(Gt/年)が大気中に蓄積していることを示したかったのであろうと考えられます。
 人為的CO2蓄積モデルでは、「海洋・地表面からのCO2放出量が218.2(Gt/年)、CO2吸収量が215.0(Gt/年)」として、その差⊿q=3.2(Gt/年)が毎年積み重なって大気中CO2濃度が上昇していると解釈しています。しかし「CO2放出量218.2(Gt/年)≠CO2吸収量215.0(Gt/年)」という状態が継続的に維持される状態は自然現象として考えられない状態です。

定常開放系
 ある系が物質ないしエネルギーの入出力があり、しかもある一定の状態が保たれているような系を定常開放系と呼びます。太陽光からエネルギーを受け取り、赤外線で放熱している地球も定常開放系です。

定常開放系としての地球のエネルギー収支

 定常開放系の成立する条件は「入力=出力」であることです。地球の表面環境の温度状態は「有効太陽放射=地球からの赤外線放射」を満足するように決まります。
 高校地学の学習指導要領では、
「地球全体の熱収支」については、太陽放射の受光量と地球放射の放熱量が釣り合っていること・・・
を教えるように求めています。
 定常開放系はいたるところに見ることができます。生きている生物は全て定常開放系とみることができます。生物が一定の状態を維持する機構をホメオスタシス、恒常性といいます。
 物質やエネルギーの入出力がありながら、一定の安定した状態を維持している系は、偶然に微妙なバランスが保たれているわけではありません。自然現象は不断に様々な擾乱を受けているにもかかわらず、安定した状態を保っています。それは、そのシステム自身の中に入力と出力を調整する仕組みを持っているからです。

定常性はどのように回復されるのか
 では定常状態にある系に対して擾乱を与えた場合に、どのように定常性が回復されるのかを簡単な例で考えてみることにします。例として穴の開いた水槽を考えることにします。

 このモデルでは、ポンプで汲み上げられて水槽に注がれる単位時間あたりの水量をqin、水槽の底の穴から流れ出る水量をqoutとします。水槽にたまっている水の量はQ(=S×h)です。定常状態では、qin = qoutが成り立ちます。
 ここに擾乱として流入する水量をステップ関数的に⊿qだけ増加させます。この初期状態について上添字「0」を付けることにすると、
qin0+⊿q > qout0
になるため、水槽の水位hが上昇し始めます。水槽の水位hが上昇するにつれてqoutも増加するため、やがて
qin0+⊿q = qin1 = qout1
となって再び定常状態を回復します。上添字「1」は新しい定常状態を示します。初期の水位をh0、新たな定常状態の水位をh1とすると、水位変化の過程を模式的に示すと次のようになります。

 図に示すように、水槽の水位は新たな定常状態h1に急速に漸近する上に凸な曲線で表すことができます。これは、qinとqoutとの差が大きいほど、hの変化速度が大きいことを示しています。
 この例では、qinをステップ関数的に変化させたため、qoutの応答には有限の時間がかかっています。しかし、qinを連続的に十分緩やかに変化させるとqinとqoutは同期して変化するように観測されます。
 この水槽の例で考えると、ポンプの出力を連続的にゆっくり上昇させると、それに伴って水位が上昇し、ポンプ出力の変化を止めると同時に水位の上昇も止まることになります。この間、常にqin ≒ qoutが成り立っています。
 このように、定常系に対する入力の連続的な緩やかな変化に対して、出力は常に同期して変化するのです。この水槽モデルの具体的な調整機構は、水槽の底から流れ出る水量qoutが水深hの平方根に比例して大きくなるという性質です。
 水位の上昇は単純に「qinとqout差が蓄積」されるのではなく、入力と出力と貯水槽を巡る流量の変化によって全体のバランスが変化した結果なのです。

 大気中のCO2量QないしCO2濃度(大気中CO2濃度は0.04%と小さいため、Qと大気中CO2濃度は比例すると考えてよい)は、海洋・地表面からのCO2放出という入力と、海洋・地表面のCO2吸収という出力のバランスで決まります。大気システムは定常系と考えられます。大気中のCO2濃度の変動は十分緩やかです。大気中のCO2濃度が変化していても、常に「海洋・地表面からのCO2放出量qin(Gt/年)≒海洋・地表面のCO2吸収量qout(Gt/年)」という関係が成り立っています。
 人為的CO2蓄積モデルでは、入力と出力の差を固定して、その差が毎年蓄積して大気中のCO2濃度が上昇すると説明します。しかし実際の大気では大気中のCO2濃度の上昇に伴って、大気中にあるCO2の海洋への溶解速度qoutが大きくなるため、有限の差が固定されるという現象は起こり得ないのです。

 人為的CO2蓄積モデルについて、日本の人為的CO2温暖化論者のまとめた「権威ある」冊子である東大IR3S/TIGS叢書No.1「地球温暖化懐疑論批判」から彼らの考えを紹介します。
※彼らの用いている記号Qは人為的なCO2 放出量であることに注意。Q = 6.4Gt/年rは、Qに対する海洋・地表面の吸収率を示す。彼らによるとr = 0.5。

 このように、彼らは人為的なCO2放出がある限り永続的に年間Q×( 1 – r )の割合で大気中のCO2濃度が単調に増加し続けるのが正しい(通常!)、と主張しています(吸収率r = 0.5、つまりQ×(1 – r) は人為的な放出量の半分が大気中に蓄積することを意味する。)。
 これは、定常系の調整機能を全く無視した暴論です。大気中のCO2濃度が上昇すればqoutが増加するため、単調に大気中のCO2濃度が上昇し続けることは自然現象としてあり得ません。「人為的CO2蓄積モデル」は、大気中CO2濃度に与える人為的な影響を大きく見せるために創られた、あまりにも自然現象として不自然かつ異常なモデルと言うしかありません。
 また、海洋・地表面環境から放出されるCO2量は炭素重量で218.2Gt/年であり、人為的な放出はわずか6.4Gt/年であり、3%程度に過ぎません。放出された残りの97%のCO2の行方を無視して、人為的な放出の半分だけが大気中CO2濃度を決定するなどという主張は、余りにも不完全というしかないでしょう。

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解題「温暖化の虚像」①

 不定期で「温暖化の虚像」について、よりよく理解していただくために、捕捉的な情報などを書いていこうと思います。また、コメントいただいたご意見やご質問に対しても答えていきたいと思います。 

 本書をお読みくださる方には、いろいろな動機があると思います。

 まず、人為的CO2地球温暖化説について、自然科学的な理解を深めたいという方が考えられます。
 人為的CO2地球温暖化説は、二つの仮説から成り立っています。一つは、産業革命以降の対流圏大気のCO2濃度上昇の主要な原因が化石燃料の使用によって人為的に放出されたCO2が大気中に蓄積したからであるという「人為的CO2 蓄積説」です。これは、1950年代に米国のC.D.Keelingによって開始された南極サウスポール基地とハワイのマウナ・ロア山における大気中CO2濃度の精密連続観測について、Keelingが「観測期間の大気中CO2濃度の上昇量は同期間に人為的に放出されたCO2の半量程度に見合う」と報告したことに端を発しています。
 そしてもう一つは、産業革命以降の地球の平均気温の上昇は、CO2濃度上昇による対流圏地球大気の温室効果の増大によるという「CO2温暖化説」です。
 人為的CO2地球温暖化説について理解を深めたいと思われる方は、2章~4章を重点的にお読みください。

 人為的CO2地球温暖化対策として進められようとしている再生可能エネルギー発電による環境破壊について知りたいという方が考えられます。
 再生可能エネルギー発電導入の大義名分は人為的CO2地球温暖化対策ということですから、基礎的な知識として大気中CO2濃度について知っておくことが良いでしょう。これは2章をお読みいただければよいでしょう。余裕があれば4章に目を通されてもよいと思いますが、3章については必ずしも読む必要はないでしょう。
 再生可能エネルギー発電、より具体的には太陽光発電と風力発電の問題点については5章と6章3節を重点的にお読みください。

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シリーズ[環境問題を考える]⑥「温暖化の虚像」

●今年は、気候変動に関する国際連合枠組条約の下、パリ協定の実施年に入ります。残念ながら、あまりにも非科学的な「化石燃料の燃焼によって人為的に放出したCO2の大気中への蓄積によって大気の温室効果が増大した結果、人類にとって脅威となるような気温上昇が起こる」などという人為的CO2地球温暖化説が、現在、大多数の人たちに信じられています。

●そして、人為的CO2地球温暖化脅威説に踊らされた結果、CO2排出量を削減するという触れ込みで再生可能エネルギー発電を始めとする「誤った対策」が暴走し始めようとしています。今提案されているCO2温暖化対策を推し進めることは、自然環境を破壊し、工業化社会のシステムそのものを破壊することになります。

●ホームページ“「環境問題」を考える”において、人為的CO2地球温暖化説について槌田敦さんと一緒に論考を加えてきました。今回、その内容をシリーズ[環境問題を考える]⑥としてまとめました。これまでは、不知火書房から紙の書籍として発刊してきましたが、より多くの人に読んでいただきたいと考え、PDF形式の電子書籍としてネット上において無償で公開することにしました。自由にアクセスしてご覧いただき、もし内容について意義を見出していただけましたなら、広く友人・知人に紹介いただければ幸いです。また再配布していただいてもかまいません。

●読者諸兄にお願いなのですが、願わくは、できるだけ多くの方の目に留まるよう、ミラーサイトを多く作りたいと思います。協力いただける方は、PDFファイルをダウンロードしてご自分のサイトをミラーサイトとしていただけないでしょうか?よろしくお願いいたします。

※ミラーサイトの提供にご協力いただける方は、お手数ですが下記メールアドレスまでご連絡ください。版を改訂した場合などにご連絡差し上げます。

kondoh#env01.net (#を@に変えてください。)

※「温暖化の虚像」の内容に対するご意見やご質問がある場合は、コメントを書き込んでください。

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