職場としての県立高校

初めて投稿します。県立高校の教員です。

高校の先生達は普段、どんなことを考えて学校で

仕事しているのか、出来るだけ具体的に紹介してみようと思います。

私が直接見たり聞いたりしたことを中心に、他の教員から聞いたことも加えて

何回かに分けて投稿します。

外部の人にはわかりにくいところがあるかもしれません。質問や意見をいただければ

投稿の中でお答えするなりしてわかりやすいものにしていければと思っています。

まず私が直接関わった、大分の県立高校で起きた情実入試についてお話しします。

(情実入試とは、コネを使って不正に合格させることです。裏口入学と言った方がわかりやすいかもしれません。)

まず当時の新聞記事を引用します。

(ここから引用)

大分の教諭 「昨春高校入試で情実」 公正さ回復求め申立書

大分市内の現職高校教諭(35)が5日、「昨年3月の高校入試で情実入学があった」として①当時の校長と教頭の処分②入試の公正さを回復し、二度と教職員に差別的選考にかかわらせないーことを大分県人事委員会に求める。

 

「運営上の理由」に異議

教諭の申立書などによると「不正があった」とされるのは、この教諭が勤務する高校普通科の入試。県教委が定めた「県立高等学校入学者選抜実施要綱」では、合格者は校長が決定する。しかし公正を期すため、校長と教頭、教職員で構成する選考委員会を設置する。この高校の場合も、校長、教頭、教職員の一部が参加する「選考会議」で合格者原案を作り、原案を基に選考委員会にあたる「合格判定会議」(全教職員が参加)に諮った。

この教諭は合格判定会議に参加。提示された原案は、受験番号が入試成績の高い順に並べられていた。しかし、ある点数以下の受験生について、教頭が、「ボーダーラインを上下15点の幅とし選考する」と説明。こうした“当落線上”の受験生30~40人の欄には「スポーツ成績」「生徒会活動」といった説明が書かれていた。

ところが、このうち3人については説明欄が空欄になっており、教頭が「学校運営上の理由で合格させたい」と説明。これに対し、この教諭は「どういう意味か」と質問したが、具体的な説明はなかったという。結局、約20人が合格。この中には「学校運営上の理由」とされた3人が入っていた。その結果、3人のうちの最低得点の生徒より、10点以上高い得点の生徒が不合格になったという。

その後、この教諭は選考会議に出た教諭から「校長は(この3人を)PTA関係だと説明していた」という証言を得た。さらに、この教諭は教頭から「運営上の理由は長年の慣行として認められてきた」と言われたという。

これらの事情から、教諭側は、3人は情実入学だと判断。そのうえで、教諭側は、情実入学が起きた原因を調査し、対策を検討しなければ、今後も違法行為に加担させられる、と主張。公務員が自らの勤務条件に関する是正措置を要求できることを定めた地方公務員法46条に基づき、人事委員会に申し立てをする。県教委の実施要綱には「学校運営上の理由」による合格についての記載はない。

 

その他の教諭は納得

当時の校長の話 点数だけで判断するのではなく、さまざまな才能、性格を評価するのが、選抜の重要な役割。「学校運営上の理由」といったことではなく、今回も、選抜の趣旨に基づき厳正に判断した。会議で反対したのは、この教諭だけであり、その他の教諭は納得している。情実入学ではない。

 

問題提起として意義

下村哲夫・筑波大教授(教育法制論)の話 入学辞退者を見込んだ上積み合格はよくあるが、その際もスポーツ成績など本人の属性で判断するのが原則。ただし、定員割れを避けるため、絶対辞退しない者を考慮の枠に入れることはあり得る。例えば「両親が卒業生」は、望ましくないが考慮の対象にならなくもない。「情実入試」を理由にした措置要求は聞いたことがない、地公法46条の「勤務条件」に当たらず、却下されるだろう。ただ、似たような事例は他の学校でも予想され、問題提起としては意味がある。

(引用ここまで) 毎日新聞1996年4月5日

実際に不正のあった入試から新聞記事の措置要求まで1年経っています。この間の教員集団の動きをこれから何回かに分けて書いて行くつもりですが、ひと言で言ってデタラメ・事なかれ主義そのものでした。次回はこの記事にもある、措置要求書を紹介します。

 

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職場としての県立高校 への1件のコメント

  1. HP管理者 のコメント:

    ●はじめまして、大分の教諭さん。
    ●県立高校・PTA・大分県教育庁の鉄の癒着構造は強固なようです。また、彼らの規範意識は極めて低く、これが法治国家の公立高校行政か、と呆れ果てるばかりです。彼らは、『高校村』は治外法権であり、飼いならされた生徒・保護者は高校・PTA・大分県教育庁に対して正論を申し立てることなど考えていませんから、平気で法律を犯します。
    ●このところ大分県教育庁の木っ端役人たちと交渉を続けていますが、彼らは全く無能です。自分たちが一体誰のために働いて報酬を得ているかを全く理解していません。また、自らを処す法律さえ理解していません。しかし、無能・無知故に論理的に話し合うことが出来ません。これは彼らの強みです(笑)。
    ●私は、批判のための批判をするつもりは毛頭ありません。何とかこの閉塞した大分県の教育環境に風穴を開けて、若者により良い教育環境を取り戻す一助になりたいと考えています。
    ●そのための鍵は、やはり現場の教師の皆さんが中核となり、保護者と協力して、教育の統制を考えている国家・地方自治体、そしてその手先である学校管理職・PTA役員と正面から対峙出来るだけの体制を築くことだと考えます。
    ●そのための情報交換の場としてこのブログを使っていただければ幸いです。

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