告発手段としての措置要求

ずいぶん前のことですが、愛知県の小学校の先生が書いた本を読んだことがあって、その中に、この措置要求の解説が実例付きで詳しく書かれていました。その本には、「この『措置要求』は、法的にスト権を剥奪された公務員が、労働条件(勤務条件)の改善を当局に申し出る公的な唯一の方法」として紹介されていました。それを思い出して自分もやってみようかと思った訳です。

今回の不正入試の件で、実際に措置要求書を提出する前に弁護士にも相談しましたが、弁護士もやはりこの方法以外にはないだろうとの意見でしたので、私が書き、弁護士のアドバイスでいくつか修正して提出しました。

どうして弁護士を立てることにしたのか、そもそも事件後措置要求書提出まで職場内外でどんなやり取り・交渉があったのかはやや長くなりますので次回以降お伝えするつもりですが、簡単に経緯を言うと、私一人の思い込みで突っ走った訳ではなくて、色々な立場の人と相談しながら(やれることは全部やってみた上で)最終的に、組織の自浄作用は到底期待できない、真相解明と再発防止のために最も効果が期待できるのは措置要求という手段しかない、との判断に至ったからです。

措置要求書の内容は以下の通りです。

(ここから引用)

措置要求書

1996年4月5日

大分県人事委員会

委員長  河野  浩 殿

大分市○○○○ ○○○○―○○

要求者    ○  ○   ○ ○

大分市○○○○ ○○○○○

  (℡ 0000-00-0000 Fax 0000-00-0000)

代理人弁護士  ○  ○   ○ ○

                    大分市○○○○ ○○○○○

代理人弁護士  ○  ○   ○ ○

地方公務員法第46条に基づき、下記のとおり勤務条件に関する措置の要求をする。

一、 要求者の氏名・所属・職名

氏名   : ○ ○  ○ ○

生年月日 : ○○○○年○月○日

所属   : 大分県教育委員会

職名   : 大分県立○○高等学校教諭

 

二、 要求する措置

(1)   大分県教育委員会は、高等学校入学者選抜の公正さを回復させ、要求者ら教職員を不正かつ差別的な選考に関わらせないようにすること。

(2)    前○○高等学校校長(現大分県教育センター教育相談部相談員)○○○○及び前教頭(現大分県教育委員会学校教育課課長)○○○○が1995年度入学者選抜において行った、裁量権を逸脱・濫用した入学者選抜の実態を解明し、今後合否判定において同様の裁量権の逸脱・濫用が行われないような措置を講ずること。その目的のために両名に対して違法行為に相応した処分を行うこと。

三、 措置要求の理由

(1)    大分県立高等学校入学者選抜の合否の判定については各高等学校長は大分県教育委員会(以下「県教委」という)の定めた「大分県立高等学校入学者選抜実施要項」(甲第1号証、以下「入試要項」という)によって厳正、公平に行うこととされている。

すなわち選考は、高等学校長が推薦者、調査書、適性検査、面接及び小論文の結果等を資料として行う選考に基づいて内定者を決定することとされているが、この選考にあたっては、校長の恣意独断に陥らぬよう、「校長、教頭及び教職員をもって組織する選考委員会を設置し厳正・公平を期すものとする。」と定められている。(甲第1号証5頁)。

要求者の勤務する大分県立○○高等学校では、校長、教頭及び教職員お代表による選考会議において合否判定の原案が作成されたうえで、全教職員による合否判定会議を開催する制度となっており、この合否判定会議が入試要項における選考委員会の役割を果たしている。要求者も教職員として当然にこの合否判定会議に出席して合否判定業務に関与することになると同時に、教職員の代表として選考会議に出席しうる資格を有している。

要求者ら教職員がこのような職務を執行するにあたり、入試要項の定める厳正・公平な判定の要請を遵守するためには、判定基準が明確化され基準以外の恣意的な判定要素が入り込む余地が排除されていなければならない。

(2)    ところが1995年度大分県立○○高等学校の入試判定会議において、校長・○○○○(現在教育相談員)及び教頭○○○○(現在学校教育課長)は、複数の受験者を「学校運営上の理由」という極めて恣意的要素の介入しやすい判定基準に基づいて合格とする原案を合否判定会議に示した。

すなわち、当該合否判定会議においては、学力検査の得点順に上位の者をまず合格とし、次に定員らいん前後の受験生について上下5点もの幅を持たせた中から調査書の合計点や調査書のその他の記載事項を考慮して合格者を決めたが、その際校長は、「学校運営上の理由」というだけで、何ら具体的根拠も示さないまま2名を合格させることを提案した。その上で、さらに数名分定員に余裕があるからとの理由で、上記の幅よりさらに下に5点の幅を設け、この中からも数人を合格としたいと提案し、その際やはり「学校運営上の理由」というだけで、何ら具体的根拠も示さない1名の合格を提案した。

その結果、学力調査成績や調査書の合計点「学校運営上の理由」による合格者より上位の受験者も多数存在したが、彼らは不合格とされることになった。

要求者は、これら3名の者を合格とする「学校運営上の理由」とは何かついて具体的説明をするように○○及び○○に再三求めたが、○○らはこれを明らかにしないまま判定会議を終了し、強引に原案通り合格者を内定してしまった。

(3)    結局上記「学校運営上の理由」を根拠とする合格は、同年に3名の受験者に適用されたのであるが、これらの受験者の合格は、後にPTA関係と県議会議員の紹介に基づく情実が理由であったことが明らかになった。

(4)    「学校運営上の理由」を基準とする合格は、入試要項で定められた判定の「厳正・公平」の要請に反するものであり、しかも合否判定会議においてその具体的内容を明らかにしないままで合格者を決定してしまうことは、入試要項において教職員も含む選考委員会を設置して選考するよう定めている趣旨にも反し、合否判定における校長の裁量権を逸脱・濫用した違法なものである。

このような恣意的基準が設定された結果として、現実に情実による合格が行われてしまったのであり、このようなことが繰り返されれば、大分県立高等学校における選抜の厳正、公平性に対する受験生、父母及び社会の信頼は根底から崩れ去ることになってしまう。

二度と同様なことが行われないようにするためには、「学校運営上の理由」といった恣意的判断の介入しうる判定基準を廃止し、判定基準をより具体化、明確化することが不可欠である。

ところが、1996年度の選抜においても、この「学校運営上の理由」の基準は廃止されることなく、判定基準が明確化されることはなかった。

(5)    要求者は、1995年の合否判定会議の後も○○及び○○に対して「学校運営上の理由」の具体的説明を再三求めたが、結局何ら納得しうる回答はなされなかった。

合否判定を入試要項に基づき厳正、公平なものとし、受験者、父母及び社会の信頼を得たものとするためには、まず情実合格が行われた1995年度の選抜の実態を徹底的に調査、解明し、なぜ情実合格が可能になったかを明らかにしたうえで、今後の対策を真剣に検討する必要がある。そして、○○及び○○に対しては、その違法行為に相応した処分も行わなければならない。

このような措置が講じられなければ、要求者は今後も不明確な判定基準のもとで、違法行為に加担させられることになってしまう。

(6)    以上のような理由で、本措置要求を行ったのである。

四 審理方法

公開口頭審理によることを求める。

 

添  付  書  類

 

1. 代理人選任届

2. 証拠書類

甲第1号証 平成7年度大分県高等学校入学者選抜実施要項

甲第2号証 要求者の陳述書

その余はおって提出する。

以上

(引用ここまで)

次回は具体的にどんなやりとりがあったのか、どんな発言があったのか、当時のメモをもとに復元してみようと思います。

 

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